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遺産分割

両親が離婚した後も、別れた親を代襲相続できる?【相続Q&A】

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今回の相続相談は、ご両親が離婚した後、母方が親権を有して、母方についていった子どもであっても、父方の相続について「代襲相続」をすることができますか?というご相談です。相続問題に詳しい弁護士が、Q&A形式で回答します。

両親が離婚した後でも、親子関係がなくならないことについては、こちらの相続Q&Aでも解説しました。今回はそれを越えて、別れた両親が既にお亡くなりになってしまった場合であっても、その両親に代わって祖父母の財産を「代襲相続」できるかどうかについてです。

代襲相続の範囲・割合は、こちらをご覧ください。
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遺産分割

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遺産分割

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遺産分割

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遺産分割

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相続相談の内容

質問

私の母は、私が幼い頃に父と離婚をしました。私はまだ乳飲み子だったため、母が親権者になり、母が私を引き取って今まで育ててくれました。

母と離婚した後、私の父は、まもなく亡くなったと聞いています。父は、新しい家庭を作らず、新しい妻も子もいないと聞いています。今回、父の父(つまり、私の祖父)が亡くなったと聞きました。母は再婚し、現在は養父も一緒に暮らしています。

父母が離婚して以降、父方の親族とは全く連絡をとっていなかったため、遺言書があるのかどうか、ある場合にはその内容、どれくらいの相続財産(遺産)をお持ちなのかは全くわかりません。

私の父は既に他界していますが、私は祖父の孫であることには変わりがないため、相続をする権利があるのではないかと疑問に思ったため、弁護士に相談させていただきました。相続財産(遺産)を得る権利があるのであれば、母には楽をさせてあげたいと思います。

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相続専門家(弁護士)の回答

回答

弁護士の浅野です。今回のご相談について、私が回答します。

まず、ご両親が離婚をしたとしても、離婚した父とご相談者との間に、親子関係が存在し続けます。そしてこれと同様に、離婚した父の父(ご相談者の祖父)とご相談者との間の祖父と孫の関係も、両親の離婚によっては何も変わりありません。

そのため、祖父がお亡くなりになる際に、既に父がなくなっていたときには、「代襲相続」が発生し、父が生きていれば相続によって取得できたであろう財産を、その子であるご相談者が、代わって相続することができます。

「代襲相続」とは、相続人となるはずの人が、相続開始時に既にお亡くなりになっていたときに、その相続人となるはずの人に「子」がいる場合に、代わりに相続する権利を取得することをいいます。

参 考
法定相続人の範囲・順位と割合は、こちらをご覧ください。

身近なご家族がお亡くなりになってしまったとき、「誰が財産を相続することができるのだろう。」と不安に思うことでしょう。 遺言・遺書などがのこされていたなど、お亡くなりになったご家族の意思が明らかでない場 ...

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――父が既に亡くなっていても、祖父の相続・遺産分割協議などに参加できることは理解しました。ただ、父方の親族と全く音信不通の状態が続いていたため、どのようにして権利を確保したらよいでしょうか。

浅野:まず、音信不通の状態が続いており、相続開始して初めて知ったような場合には、相続人調査、相続財産調査を進める必要があります。どのような相続人が存在し、どれほどの相続財産(遺産)が存在するかによって、ご相談者の取得できる財産額が異なるためです。

相続人の調査は、戸籍を取得することで行うことができ、相続人となる人であれば、他の人の登記も自分自身で全部取得することができます。書類の収集が面倒な場合には、相続の専門家(弁護士、司法書士など)にお任せください。

相続財産(遺産)の有無と金額(評価額)については、お亡くなりになった方の身近に他の相続人がいる場合には、開示を依頼しましょう。開示されたものが明らかに少なかったり、財産隠しのおそれがあったりする場合、遺産分割協議などの手続が必要となります。

――お亡くなりになった祖父には、父以外にも子がおりました。私から見て叔父にあたります。そして、祖父は、母が父と別れたことをよく思っておらず、全ての相続財産(遺産)を叔父に与えるという遺言書を書いていました。この場合でも財産をもらうことができますか?

浅野:ご相談者の父は、祖父の「子」という立場で、法定相続人となります。そして、兄弟姉妹以外の法定相続人には「遺留分」相当額の相続をすることが保障されていますから、父の代わりに代襲相続人となったご相談者にも、「遺留分」が保障されます。

具体的には、「遺留分減殺請求権」という権利を行使し、ご相談者の相続割合が減った分、より多くの割合を相続した人に、財産の返還を請求します。内容証明郵便など、証拠に残る形で、弁護士名義で行うことがお勧めです。

――遺留分の計算方法を教えてください。祖父の財産は、叔父いわく5億円だったと聞いています。祖父は資産家であったのでもっとあるのではないかと思いましたが、長年疎遠でもあったので、これ以上は望みません。

浅野:遺留分は、法定相続分に、遺留分割合をかけることで計算できます。祖父の妻(つまりご相談者の祖母)が既にお亡くなりになっており、相続人が叔父と、お父様を代襲相続下ご相談者の2名の場合、法定相続割合は、それぞれ2分の1となります。

遺留分割合は、相続人が子(とその代襲相続人)のみの場合には2分の1ですので、具体的に遺留分として確保できる金額は「5億円×1/2×1/2」=1億2500万円となります。

参 考
遺留分の割合と計算方法は、こちらをご覧ください。

相続のときに、「相続財産(遺産)をどのように分けるか」については、基本的に、被相続人の意向(生前贈与・遺言)が反映されることとなっています。 被相続人の意向は、「遺言」によって示され、遺言が、民法に定 ...

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――叔父の側が弁護士を立ててきて、私の父には「特別受益」があると反論してきましたが、どのような意味でしょうか。具体的には、既に離婚してしまいましたが、結婚時に結婚式費用を援助した件とのことでした。

浅野:叔父の側から、できるだけ遺留分減殺請求をされる金額を減らすために主張されるのが、ご相談にもあった「特別受益」です。

お亡くなりになった方(被相続人)から、特別に利益を得ていた相続人が、その分相続時に取得できる財産が少なくなる制度「特別受益」です。ご相談者の相続分は、お父様の代わりに代襲相続によって取得したものなので、お父様の特別受益も考慮しなければなりません。

とはいえ、結婚式の援助など、通常行われるような援助や、叔父も同様に平等に受けた援助などは、特別受益として考慮する必要はありません。特別受益に当たるかどうかはケースによって難しい検討が必要な場合があります。

参 考
相続財産をもらいすぎた人への対応は、こちらをご覧ください。

遺言や、お亡くなりになった方の生前の贈与によって、相続財産(遺産)をもらいすぎの人がいるとき、相続人はどのように対応したらよいのでしょうか。 相続財産を守る会には、「特別受益」に関する次のようなご相談 ...

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弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所は、銀座(東京都中央区)にて、相続問題、特に、遺言・節税などの生前対策、相続トラブルの交渉などを強みとして取り扱う法律事務所です。 同オフィス内に、税理士法人浅野総合会計事務所を併設し、相続のご相談について、ワンストップのサービスを提供しております。

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