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相続手続

相続放棄したら、借金返済する必要はなくなる?放置しても大丈夫?

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相続放棄をすると、借金返済をしなくても大丈夫になるのですか?」というご相談が、弁護士によく寄せられます。

お亡くなりになったご家族(被相続人)が、悪い筋で借金をしていたとき、生前には、「子どもでも妻でも借金を払ってもらう」と脅されたことがあるかもしれません。ドラマや小説でも、親の借金返済に必死になる息子、娘がよく描かれています。

相続放棄を、期限内に、適切な手続きで行えば、借金返済をする必要はなくなりますので、相続放棄と借金返済の関係についてよく理解しておいてください。相続放棄と借金返済についてよくあるご相談に、弁護士が回答します。

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相続手続

2019/2/12

親が連帯保証人のとき、相続する?相続放棄する?対応と注意点4つ

お亡くなりになったご家族(被相続人)が、借金の連帯保証人となっていたとき、相続人の立場として連帯保証人としての重い責任を負ってしまうのではないかと不安な方も多いのではないでしょうか。 連帯保証人の責任とは、借金をしている本人と同等の重い責任です。借金をした本人(債務者)が返済をできない場合はもちろん、そうでなくても、本人と同様に返済を行わなければならない義務を、連帯保証人は負うからです。 そもそも、親がお亡くなりになって初めて、連帯保証が存在することを知った、という事態とならないよう、生前対策が重要となり ...

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相続手続

2018/11/18

外国人の相続人がいるときの相続手続きの注意点を、弁護士が解説!

国際化が進むにつれて、国際結婚なども当たり前に行われるようになりました。すると、お亡くなりになった方のご家族の中に、外国籍の方(外国人)がいることも少なくありません。 外国人が相続人となるとき、当然に相続権があり、相続財産(遺産)を相続できるのでしょうか。外国人が相続人にいるときの相続手続きの注意点があるでしょうか。 いわゆる「国際相続(渉外相続)」には次のパターンがありますが、今回は「相続人が外国人のとき」の対応方法などの解説です。 よくある相続相談 相続人・被相続人のいずれかが外国籍(外国人)である。 ...

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相続手続

2019/3/8

株式を相続したかどうか調査する方法は?【相続財産調査】

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相続手続

2019/3/8

死後離婚する?しない?メリット・デメリットは?【司法書士解説】

「死後離婚」という言葉をテレビで耳にすることが多いのではないでしょうか。「死後離婚」とは、配偶者(夫や妻)の死亡後に、姻族(配偶者の親族)との関係を絶つことをいいます。 配偶者(夫や妻)が死んだ後(死後)に離婚することはそもそもできず、死亡によって夫婦関係(婚姻関係)は途絶えますので、「死後離婚」というのは、配偶者の死亡後に配偶者の両親などの家族との縁を切ることを「離婚」にたとえたマスコミの造語です。 法務省統計によれば、死後離婚は近年増加しています。配偶者(夫や妻)に対する愛情があったとしても、その家族 ...

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相続手続

2019/3/4

生命保険の受取人が、既に死亡していたときの対応方法・注意点4つ

生命保険の死亡保険金が、相当額に及ぶことは、相続問題でもよくあることです。生命保険の保険金をもらえるのは、あらかじめ、保険契約のときに決められた「受取人」です。 しかし、生命保険の対象となっている人(被保険者)がお亡くなりになったときには、既に、生命保険の「受取人」もまた死亡していた、ということもあります。特に、夫婦で生命保険をかけあっている場合、どちらかが先にお亡くなりになると、この問題が発生します。 保険金の支払事由である「被保険者の死亡」よりも先の時期に、「受取人の死亡」が起こってしまったというケー ...

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相続放棄しないと借金返済しなければならない?

父が亡くなりました。父は生前に事業を経営しており、銀行や公庫などに多くの借金をしていたようです。

私は、長男として跡継ぎとなりますが、父の借金を全て返済しなければならないのでしょうか。

相続放棄をしない場合には、子は、親の相続財産をすべて相続します。相続財産(遺産)には、プラスの財産(現金、預貯金、不動産、株式、有価証券など)とともに、マイナスの財産(借金、住宅ローンなど)も含まれます。

そのため、相続をしたら、全ての権利義務を承継しますので、子は親の借金を返済せねばなりません。親にプラスの財産が十分にあれば、その財産から借金を返済すればよいですが、プラスの財産が少なかったり、そもそもゼロのとき、どうしたらよいでしょう。

この場合、お亡くなりになった方(被相続人)は、そもそも借金返済できない状態にあったのであり、相続人が相続したからといって支払うこととなると相続人が自腹を切って借金返済しなければなりません。

この不都合を回避するため設けられた制度が「相続放棄」です。相続放棄によって、相続人は、借金返済の義務を負わなくなります。相続放棄しなければ、やはり借金返済しなければなりません。

もっとくわしく!

相続したい不動産などの相続財産があり、相続放棄しない場合には借金返済をしなければなりませんが、そのときであっても、借金の内容や、金額について注意してください。

まず、借金返済を請求する債権者から、お亡くなりになった方(被相続人)の借金内容を、契約書などによって確認させてもらってください。

あまりに高金利であると違法(利息制限法・出資法など)無効の可能性もありますし、高金利の借金をたくさん返済していた場合には「過払い」といって払い過ぎの状態にあり、借金返済したお金の一部を返すよう請求できる場合もあるからです。

相続放棄の期限と、借金返済の期限は?

相続放棄をするかどうか、悩んでいます。というのも、父には借金がたくさんあったようですが、それ以外にプラスの財産もあり、それほどお金に困っていたようには見えませんでした。

まずは相続財産の調査が必要かと思いますが、相続放棄について最近知ったのでもうあまり時間が残されていないのではないでしょうか。

相続放棄には、民法上、行使できる期限が定められています。民法で定められた相続放棄の期限は、「相続の開始があったことを知ったときから3か月」です。これを熟慮期間といい、この期間内に相続放棄しなければ、相続放棄はできません。

これに対して、借金返済にも期限があります。借金返済の期限は、お亡くなりになった方(被相続人)が、お金を貸してくれた人(債権者)との間で締結した契約によって決まりますので、契約書などで確認してください。

ポイント

  • 契約書で借金返済の期限が定められているとき:その期限
  • 契約書で借金返済の期限が定められていないとき:請求されたとき

しかし、相続放棄をすることを考えているとき、借金返済の期限が先であったとしても、次に説明するとおり、借金返済をしたり、その他借金の請求に応じてはならない場合があります。

相続放棄するためには、むしろ借金返済してはいけない?

相続放棄することを決断しましたが、父が借金をしていたところは違法金利の消費者金融のようで、朝晩何度も取り立て電話がやみません。

その会社からの借金は少額なので、ひとまず借金返済して静かにしていてもらうことはできますでしょうか。

借金の返済に応じないと、闇金(ヤミ金)などの悪質な金融機関にお金を借りていたときは、執拗な催促が繰り返されるかもしれません。

しかし、相続放棄の手続中に、債権者から厳しい取り立てがあったとしても、相続放棄を考えているのであれば借金返済を行ってはいけません。

借金返済をしてしまっても、法的には相続放棄をすることができますが、相続財産の中から相続した借金を返済すると、「単純承認」をして相続したものとみなされる行為となります。相続財産を処分したと考えられるからです。

債権者からの厳しい取り立てに対しても、相続放棄をすること、手続中であることを説明し、断固とした対応が必要です。夜中に何度も電話をかけてくる、脅したり暴力をふるったり、家に直接何度も訪ねてくるなど、違法な取り立てに対しては、弁護士にご相談ください。

弁護士が、代理人として通知をすれば、金融機関は、相続放棄をするかどうかにかかわらず、借金返済について債務者に直接の取り立てをしてはいけないことになっています。

借金を知らなかったときでも相続放棄できる?

亡くなった父が借金をしたのを知ったのは、相続が開始してから、6か月後のことでした。突然、債権者からの葉書がポストに入っていたのを発見して知りました。

もう相続放棄の期限は過ぎており、借金を返済しなければならないでしょうか。

相続人が、お亡くなりになった方(被相続人)が借金をしていたことを知らなかったとき、相続放棄のタイミングを逃してしまうことがあります。つまり、3か月の熟慮期間内に、相続放棄の手続をすることができなかったときは、どうしたらよいでしょうか。

相続開始から3か月の熟慮期間を過ぎてしまった場合でも、特別な事情があるときは、相続放棄を認めてもらうことができる場合があります。

特別な事情について、最高裁の判例は次のように述べています。つまり、熟慮期間を経過してもやむを得ないような事情があれば、3か月経過後であっても相続放棄できる場合があるということです。

最高裁昭和59年4月27日判決

相続人が、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて、その相続人に対し、相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において上記のように信じたことについて相当な理由があると認められるときには、相続放棄の熟慮期間は相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時、または通常これを認識しうるべき時から起算すべきものである。

特別な事情によって熟慮期間を越えて相続放棄をしたいときは、その事情について書面などで主張し、立証を行います。

借金返済を知らないまま熟慮期間を経過してしまわないように、相続が開始したらすぐに借金の有無と金額について財産調査をすべきですが、財産調査に時間がかかるときは、熟慮期間を伸長する手続きもあります。

借金返済の保証人になった相続人は相続放棄できる?

私は、父の相続人でもありますが、合わせて、父の借金の保証人ともなっています。

相続放棄をすることで、私の連帯保証人としての責任もなくすことができるのでしょうか。

相続人が、お亡くなりになったご家族の借金について、保証人となっていた場合には、相続放棄をするメリットがあまり大きくありません。

というのも、相続放棄をしたとしても、保証人となっている借金については返済しなければならないからです。

逆に、お亡くなりになった方(被相続人)が他人の連帯保証人になっていた場合には、その責任を引き継がないよう、相続放棄することがお勧めです。連帯保証人は、本人が借金を返済できる状態であっても本人と同等に返済する責任がある、非常に重い負担です。

お亡くなりになった方(被相続人)がやむにやまれぬ事情や人間関係で連帯保証人となったとしても、相続人はその債務者本人のことを知らず、非常に重たい借金の責任を負わされているおそれがあるからです。

借金の有無、借金返済の状況はどうやって調べる?

父が亡くなり、借金があったとは聞いているのですが、誰にいくらの借金を返済したらよいのかを聞く前に亡くなってしまいました。

父の借金を調べる方法はあるのでしょうか。相続放棄の前提として調査しなければなりません。

お亡くなりになった方が、死亡前に借金を一覧にしてくれればよいのですが、突然予期せずお亡くなりになる場合もあり、借金を調査する必要があります。借金の調査については、次の順序でお進めください。

ただし、これ以外にも、返済すべき借金が存在する可能性もあり、相続財産(遺産)や遺品を整理しながら、借金を慎重に精査せねばなりません。相続財産の調査は、弁護士、司法書士など相続の専門家にお任せください。

ポイント

  • 借用書、金銭消費貸借契約書
    個人間で借金をしている場合、借用書や金銭消費貸借契約書などの書面で、契約条件を定めていることがあります。
  • 通帳の記載
    借金を振込や口座引き落としで返済している場合、毎月一定額の借金返済が通帳に記載されていることがあります。
  • 督促状、利用明細
    消費者金融、サラ金、クレジットローンなどの借金が存在する場合、返済をしなければ毎月督促状などが届きます。念のため1か月程度、ポストを注意して見ておいてください。

相続手続きは、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか?

返済しなければならない借金があるときの、相続放棄手続の大切さが、十分ご理解いただけたのではないでしょうか。お亡くなりになった方に少しでも借金があるとき、相続放棄を活用すべきケースではないか、よくお考えください。

特に、不動産(土地・建物)や事業用資産、非上場株式など、価値がわかりづらく、お金に代わりづらい財産があるとき、借金を返しきれるかどうか、つまり、相続放棄すべきかどうかの判断が微妙なケースがあります。

「相続財産を守る会」では、遺産分割に強い弁護士だけでなく、不動産の評価をしてくれる不動産会社や不動産鑑定士などともパートナーを組み、あなたのご家族にとって最も有利な相続手続きをご提案します。

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