
相続のしかたには、単純承認、限定承認、相続放棄の3種類があります。
相続放棄は、ほかの2つの方法(単純承認、限定承認)が、相続財産を引き継ぐことを前提としているのに対して、相続財産を引き継がないための手続の方法をいいます。
相続放棄を中心に、その他の2つの方法との違い、相続放棄のデメリットなどについて、相続に強い弁護士が解説します。
「遺産分割」の人気解説はこちら!
遺産分割
2019/2/9
相続分の譲渡は特別受益?遺留分侵害になる?【最高裁平成30年10月19日】
平成30年10月19日の最高裁判所判決で、遺留分の侵害が争われた事件において、「相続分の譲渡が『遺留分侵害』にあたるかどうか」という点について新しいルールが示されました。 この最高裁判決によれば、相続分の譲渡をした場合に、それが「贈与」にあたり、遺留分を侵害する可能性があるという判断が下されました。この判決の内容は、相続の生前対策や、遺留分をめぐる争いに大きな影響を与えます。 そこで、今回の解説では、最高裁平成30年10月19日判決で示された新しいルールと、最高裁の示した新しいルールと相続法改正を踏まえて ...
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遺産分割
2018/12/12
遺産相続は、いつ弁護士に相談する?依頼すべき適切なタイミングは?
遺産相続のトラブルを抱えてしまったとき、弁護士に相談をするタイミングに「早すぎる」ということはありません。むしろ、できるだけ早いタイミングで一度ご相談をいただいた方が、先の方針も見据えた有効なアドバイスができます。 一方で、弁護士に相談、依頼するには、相談料や着手金など費用がかかるため、依頼すべき適切なタイミングに初めて遺産相続問題を相談、依頼したいと考える相続人の方が多いのではないでしょうか。 「もう少し問題が深刻化したら。」「まだ自分一人で解決できるはず」と考えて遺産相続問題を弁護士に相談せず、依頼の ...
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遺産分割
2018/12/6
遺留分減殺請求権で不動産は得られる?不動産の遺留分の3つのこと
不動産(土地・建物など)を持つ地主の場合、特に相続分割のときにトラブルとなりがちです。 不動産を所有した地主の方がお亡くなりになり、「不動産を全て、1人の相続人に相続させる」という遺言書が残っていると、不動産を得られなかった相続人は、どのような請求ができるでしょうか。 よくある相続相談 不動産を相続できると思っていたら、1人の相続人にだけ相続させるという遺言書が発見された。 不動産から得られる賃料を、1人の相続人がずっと得ていた。 相続財産に占める不動産の金額が大きく、不動産の分割方法について話し合いが成 ...
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遺産分割
2019/2/4
相続財産に債務(借金・ローン)がある場合の遺留分の計算方法は?
相続によって取得する財産には、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含まれます。 マイナスの財産には、お亡くなりになった方(被相続人)が生前にした借金や住宅ローン、自動車ローンや教育ローンなど、支払わなければならないあらゆる金銭が含まれます。これをまとめて「相続債務」と呼ぶことがあります。 民法に定められた、相続人が最低限相続できる財産である「遺留分」を計算するにあたり、相続債務も考慮に入れる必要があるのでしょうか。遺留分は相続財産をもらう権利ではあるものの、そもそも債務があれば、その分だけ遺留分も少な ...
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遺産分割
2018/12/20
親を介護したら、多くの財産を相続できる?相続分を増やす方法は?
介護が必要となった方がお亡くなりになるとき、お亡くなりになる直前の介護負担は相当大変なものとなることが予想されます。介護の貢献をたくさんした相続人にとっては、より多くの財産を相続したいと考えるお気持ちは当然のことです。 しかし、既に同居をしていなかったり、遠方に嫁いでしまったりして、介護を受け持たなかった相続人が、「法定相続分通りこそが公平」、「介護負担など同居していればそれほど重くないのでは」と反論してきて、「争続」となってしまうことも少なくありません。 そこで今回は、お亡くなりになった方(被相続人)の ...
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遺産分割
2019/1/30
相続における「養子」の全ポイントを弁護士がわかりやすく解説!
相続のとき養子がいることがありますが、養子がいるのといないのとで、相続手続きがどの程度変わるか、ご存じでしょうか。 養子は、「養子縁組」をすることで発生する身分関係ですが、相続と養子の関係について、「養子であっても、実子と同様に取り扱うもの」、「養子であることで特別扱いとなるもの」などがあり、相続の場面に応じて養子の取扱いを変えなければならないことがあります。 今回は、相続と養子の関係する問題点をすべて、相続に強い弁護士が解説します。 「遺産分割」の人気解説はこちら! [toc] 養子縁組をする場合としな ...
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遺産分割
2019/1/28
代襲相続人には遺留分減殺請求権がある?認められる遺留分の割合は?
少子高齢化が進み、お子さんが生きているうちに、親のほうが先に亡くなってしまうというケースも稀ではなくなってきました。被相続人の死亡よりも前に、既に相続人がお亡くなりになっていると、その子が代わりに相続をする「代襲相続」が発生します。 代襲相続は、子が死亡しているときは孫、孫が死亡しているときは曾孫(ひまご)へと延々続いていきますが、代襲相続人の相続に関する権利は、代襲される人(お亡くなりになった相続人)と同内容の権利を持つことになります。 そこで、生前贈与や遺贈などによって最低限相続できる遺留分を侵害され ...
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遺産分割
2018/11/22
特別寄与料とは?法改正で、相続人でなくても遺産が受け取れる!
民法において「相続人」と定められている人が、家族の面倒をまったく見ず、むしろ、「相続人」以外の人が、介護などすべての世話をしているというケースは少なくありません。 相続人ではないけれども、介護など一切の世話を行っていたり、お亡くなりになった方のために費用を支出していた場合、相続財産(遺産9からいくぶんかは頂きたいと考えるのも、無理からぬことです。 よくある相続相談 自分以外の兄弟は離れて暮らしているため、親と同居して、ずっと家業を手伝ってきました。兄弟よりも多めに遺産をもらうことができないでしょうか? ず ...
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遺産分割
2018/11/12
未成年者の特別代理人が必要な場合と、選任方法を弁護士が解説!
相続において、相続人の中に未成年者がいるとき、未成年者の特別代理人が必要な場合があります。例えば、お亡くなりになった方の妻と未成年の子が相続人であるといったケースです。 通常であれば、親は「法定代理人」として未成年者を代理して手続を行うことができますが、相続問題に限っては、妻と未成年の子の利益が相反する可能性があるため、母親として「法定代理人」になることはできません。 ご主人がお亡くなりになり、何もする気が起きなくなってしまうことでしょう。複雑な手続きをすぐに行う気力がわかない、というつらい気持ち、悲しい ...
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遺産分割
2018/11/10
もめる遺産分割協議8パターン、揉める理由と対処法を弁護士が解説
「遺産分割協議」とは、法定相続人や、遺言によって相続人に指定された人が、相続財産(遺産)をどのように分けるかについて話し合いをする協議のことです。 遺産分割協議は、あくまで話し合いですから、円満に解決し、相続人全員の合意のもと、相続財産(遺産)が分割されることも少なくありません。 しかし、遺産分割協議のうち一部は、大きなもめごととなります。相続財産を分けるとき、遺産分割協議がもめる理由、原因ごとに、その対処法を相続に強い弁護士が解説します。 遺産分割協議のもめ事を未然に防ぐため、そして、いざもめてしまった ...
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遺産分割
2018/12/25
生前贈与された財産を遺留分減殺請求で取り戻す方法【弁護士解説】
「生前贈与」と「遺留分」という言葉をご存知でしょうか。お亡くなりになった方(被相続人)が、生前に、相続人や、相続人以外の人に対して、財産を贈与することを「生前贈与」といいます。 被相続人の生前贈与の結果、相続人であるあなたのもらえる財産が少なくなってしまったとき、救済する手段が「遺留分減殺請求権」です。しかし、生前贈与の全てがこの「遺留分減殺請求権」の対象となるわけではありません。 故人が生前にかわいがっていた弟にばかり結婚、出産、新居購入のタイミングに財産を贈与した。 父が、母が亡くなった後に同居した事 ...
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遺産分割
2018/11/12
遺産分割調停とは?申立てから調停成立までのわかりやすい手続の流れ
遺産分割調停とは、相続財産(遺産)の分割方法について、家庭裁判所において、調停委員の関与のうえで話し合いを行うことです。遺産分割協議が、いざ進めると相続人本人間だけでは思ったようにまとまらないとき利用すべき制度です。 ご家族がお亡くなりになる前は「親戚関係はうまくいっているから、相続トラブルは起こらないはず。」という家族間も、遺産分割調停が長引くケースも少なくはありません。遺産分割調停が長引くと、相続人は精神的に疲弊します。 よくある相続相談 遺産分割調停を、家庭裁判所に申し立てる方法、必要書類を知りたい ...
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遺産分割
2018/11/13
遺留分減殺請求権の行使方法を、弁護士がわかりやすく解説!
相続が開始されたときに、相続財産をどのように引き継ぐ権利があるかは、民法に定められた法定相続人・法定相続分が目安となります。 しかし、お亡くなりになった方(被相続人)が、これと異なる分割割合を、遺言によって定めていた場合、法定相続人の法定相続分を少しでも権利救済する目的で設けられた制度が、「遺留分減殺請求権」です。 今回は、遺留分減殺請求権を行使するための方法を、相続に強い弁護士が順にわかりやすく解説します。 [toc] 相続財産を守る会を運営する、弁護士法人浅野総合法律事務所では、相続問題と遺産分割協議 ...
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遺産分割
2018/12/17
遺産相続を弁護士に相談・依頼する方法と、解決までの流れは?
遺産相続問題を、弁護士に相談・依頼し、解決するまでの流れを、わかりやすく順番に解説します。弁護士に初回相談した後は、弁護士の指示にしたがって進めていけばよいですが、基本的な流れについては理解して、不安を取り除いておきましょう。 ちなみに、遺産相続について弁護士にお願いするとき、法律相談をしても依頼しなければならないわけではなく、依頼もまた中途で解約できます。「解決まですべて任せる」というのでなくても、現在のお困りごと、お悩み事について弁護士に任せることができます。 他方で、弁護士に法律相談し、遺産相続に関 ...
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遺産分割
2019/4/18
子どものいない夫婦の相続対策のポイントは?何からはじめたらよい?
家族のあり方が多様化し、結婚をしても、お子さんをつくらないというご夫婦も増えてきました。 お子さんがいないご夫婦の場合、「夫婦2人が生活できるだけの財産があればよい」、「死んだ後のことなど心配しても仕方ない」とおっしゃる方もいます。しかし、子どものいない夫婦であっても、相続対策のときに気を付けておいていただきたいポイントがあります。 お子さんがいないご夫婦の場合、「全財産を配偶者にあげたい」と考えることが多いでしょうが、対策なくしては実現できないケースもあります。 そこで今回は、子どものいない夫婦が行うべ ...
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遺産分割
2019/2/15
遺留分減殺請求の相手方・請求先・判断方法・順番は?【弁護士解説】
民法で定められた相続人(法定相続人)が、最低限相続によって承継することが保障されている相続分を「遺留分」といい、遺留分を侵害されたときに、多くの財産を入手した人に対して財産を取り返すために行使されるのが「遺留分減殺請求権」です。 ところで、遺留分減殺請求権を行使する相手方、すなわち、請求先は、誰なのでしょうか。「遺留分を侵害している相手方」に行うのが原則ですが、「遺留分の侵害のされ方」も様々に異なるため、相手方・請求先が誰か迷う場合があります。 例えば、遺留分を侵害する生前贈与、遺贈(遺言による贈与)が複 ...
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遺産分割
2019/3/13
生前の預貯金の無断引出と、遺留分の関係は?パターン4つを解説!
ご家族がお亡くなりになったときに、「長男に全ての財産を相続させる」といった遺言があると、他の相続人の遺留分を侵害することとなります。民法で定められた最低限の相続分である遺留分を侵害された相続人は、遺留分減殺請求権によって救済を図ります。 しかし、上記のような不公平な遺言が残っていたようなケースでは、すでに、生前もしくは死後に、預貯金が無断で引き出されてしまっており、使われてしまっている場合が少なくありません。 このように、同居の家族や、遺留分を侵害するほどの財産を取得した相続人などが、預貯金を無断で引き出 ...
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遺産分割
2018/12/18
相続財産(遺産)が少ないのでは?と感じたときのチェックリスト
遺産相続に関するトラブルは、相続財産(遺産)のたくさんある富裕層特有の問題というわけではありません。相続財産(遺産)が少ない方がむしろ、奪い合いが加速し、相続トラブルが激化することもあります。 一方で、遺言や遺産分割協議の結果、「相続財産(遺産)が思ったより少ないのでは?」、「生前にはもっと財産があると聞いていたのだが。」といった不満、疑問を感じる相続人の方もいます。 本当はもらえるはずだった相続財産(遺産)を損していないかどうか、「相続財産(遺産)が少ないのでは?」と感じた方は、今回の解説を参考にして、 ...
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遺産分割
2019/4/6
子どもも両親もいない夫婦の相続は、誰が相続人になる?【相続Q&A】
今回の相続相談は、子どもも両親もいない夫婦の相続において、誰が相続人になるのか、相続財産(遺産)をどのような割合で分割したらよいのか?という相談です。 核家族化、晩婚化、少子高齢化の進行により、必ずしも、「結婚をして子どもをつくる」という一様な人生ばかりではなく、多種多様な家庭のありかたが肯定されるようになりました。 その結果、結婚をしていても、子どもはおらず、両親も既にお亡くなりになっている、というご家庭からの法律相談について、実際のご相談にお答えする形で、相続に強い弁護士が、Q&A形式で回答します。 ...
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遺産分割
2018/11/24
遺産分割で預貯金をうまく分ける方法と、分け方のポイントを解説
お亡くなりになった方(被相続人)の財産の中で、銀行やゆうちょなどに預け入れてある預貯金もまた、相続される財産(遺産)になります。 そこで、遺産分割のときの、預貯金の分け方と、より良い分割方法のポイントについて、相続問題に強い弁護士が解説します。遺産に預貯金が含まれることが多いため、注意点も解説します。 預貯金の相続、遺産分割のときは、預貯金を勝手に引き出すことはできず、遺産分割協議を行って凍結を解除し、適切な分け方で分割する必要があります。 「遺産分割」の人気解説はこちら! [toc] 預貯金口座の凍結を ...
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相続財産を守る会を運営する、弁護士法人浅野総合法律事務所では、相続問題と遺産分割協議のサポートに注力しています。
[speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="asano.jpg" name="弁護士
浅野英之"]
弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野です。
相続放棄だけを、低額・安価なサポート価格で提供しているサービスも多くありますが、相続放棄を利用するときは、その他の相続方法と比較したときの違い、デメリットなどに注目する必要があります。
相続放棄をしたほうが絶対によいと言い切れるためには、相続財産の詳細な調査が不可欠です。不動産の登記簿謄本の取得、名寄帳の調査や、各金融機関(銀行)への照会などによって、相続財産を明らかにしていきます。
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3つの相続の方法とは?

単純承認とは?
単純承認とは、お亡くなりになった方(被相続人)の権利、義務を、すべて相続人が承継するという相続の方法のことをいいます。
すべての権利義務の中には、プラスの財産(相続財産)はもちろん、マイナスの財産(相続財務)をも含みます。相続となったとき、単純承認をするケースが最も多いです。
単純承認をするとき、借金が多額な場合には注意が必要です。借金の金額が大きいことにより、せっかく相続財産を承継しても、借金を払ったらマイナスになってしまった、という事態が起こり得るからです。
限定承認とは?
限定承認とは、相続財産を限度として、相続債務(負の相続財産)を引き継ぐという相続の方法のことをいいます。
相続財産の範囲内で相続財務を払いきれる場合には、残りの遺産を取得することができますが、相続財産だけで払いきれない借金は払う必要がなくなります。
相続において、借金の金額が不明確で、相続財産の範囲で払いきれるかどうかがすぐにはわからない場合などに、限定承認の方法による相続が選ばれます。
限定承認すべき場合とその方法は、こちらをご覧ください。
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限定承認すべき場合とは?限定承認の方法と手続の流れを弁護士が解説
限定承認について、その方法と手続を解説します。相続人は、相続が開始した時点から、お亡くなりになった方(被相続人)の一切の権利義務を承継します。 一切の権利義務の中には、プラスの相続財産(遺産)も含まれ ...
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相続放棄とは?
相続放棄とは、相続財産、負の財産であるとを問わず、相続によって承継するすべての権利、義務を承継しないという相続の方法のことをいいます。
単純承認、限定承認との最大の違いは、相続放棄をすると相続財産を1円たりとも引き継ぐことができない点です。
相続財産の範囲で、相続債務(借金)を支払いきれないことが明らかなほどに借金がある場合などに、相続放棄の方法が利用されます。
相続放棄をすると、相続放棄をした相続人は、相続開始のタイミングから、最初から相続人ではなかったこととして扱われます。そのため、相続放棄をした相続人に子がいたとしても、代襲相続をすることはできません。
相続放棄を利用すべきケースは?

相続放棄を利用すべきケースの典型例は、お亡くなりになったご家族に、相続財産(遺産)がほとんどなく、一方で、借金が多くあるというケースです。
たとえば・・・
お亡くなりになったご家族の相続人が、妻1人、子1人であり、相続財産は特になく、借金が2000万円存在する例を想定してみてください。
この場合、単純承認の方法によって相続すれば、妻と子が、それぞれ1000万円ずつの借金を負うこととなります。限定承認をしても、そもそも相続財産がないわけですから借金は全く返せません。
そのため、この例では、相続放棄を選ぶのが最適ということになります。
相続放棄をしたときの相続人の範囲・順位は?

相続放棄をすると、相続放棄をした人だけが、相続人ではなくなります。
このことは、限定承認が1人ではできず相続人全員の合意が必要であるのに対して、相続放棄は、相続人のうち1人だけでも可能であるからです。
相続では、民法のルールにしたがい、続柄ごとに、相続の順位が定められています。相続順位は、簡単にいうと「配偶者が最優先、第一順位が子、第二順位が直系尊属(親、祖父母)、第三順位が兄弟姉妹」です。
そして、相続放棄をした人は、最初から相続人ではなくなる結果、その順位の続柄の人が1人もいない場合、相続人は、次の順位まで繰り下がることになります。
たとえば・・・
お亡くなりになったご家族の相続人が、妻1人、子1人、相続財産が1億円の現金・預貯金であったとします。
この場合に、子が何等かの理由で相続放棄をしたとき、子は1人しかいませんから「第一順位:子」の続柄にいる相続人が、最初からいなかったことになります。
その結果、この相続では、「第2順位:親」が、配偶者とともにこの相続の相続人となります。
このように相続人の順位に変動が生じてしまうような相続放棄の場合には、相続放棄をするときにあらかじめ、順位変動によって相続人となる人(上の例では両親)に、伝えておいてください。
優先順位の先の相続人が相続放棄をした結果、突然借金の負担を負わされることとなった人は、不信感を抱き親族関係を悪化させかねないからです。
たとえば・・・
お亡くなりになったご家族の相続人が妻1人、子1人で、相続財産が借金1000万円しかなかったため、妻子ともに相続放棄したとします。
この場合、両親がご存命であれば両親が相続人となりますので、事前にお伝えし、両親にも同様に相続放棄をしてもらうことで、借金の負担を逃れる必要があります。
更に同様に、お亡くなりになった方に兄弟姉妹がいた場合には、第三順位で相続人となる兄弟姉妹にも相続放棄をしてもらわなければなりません。
参 考
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弁護士が解説する「誰が相続の優先順位か」は、こちらをご覧ください。
配偶者相続人が、常に相続順位のうちの最優先順位にいるのに対して、血族相続人には、相続順位に優劣があります。 血族相続人の相続順位には、「相続順位の優先する相続人がいる場合には、その人は相続人になること ...
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相続放棄のデメリットは?

相続放棄には期限がある(3か月)
相続放棄には、期限があります。つまり、相続開始を知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に対して申述する方法によって相続放棄をしなければ、単純承認をしたものとみなされ、その後は相続放棄を選ぶことができなくなります。
この3か月の期間を、「熟慮期間」といいます。つまり、3か月の間、相続放棄をするか、それとも単純承認、限定承認をするかをじっくり考えることができる期間があるというわけです。
単純承認とみなされる場合には、3か月の期間が経過した場合以外にも、たとえば、相続財産の一部を処分してしまった場合などがあげられます。
相続放棄は撤回できない
ひとたび相続放棄することを選択すると、その後に「やっぱり相続をしたい」ということはできません。つまり、相続放棄は、撤回できないのが、相続放棄のデメリットの2つ目です。
相続放棄が撤回できないことは、民法にも定められています。相続放棄をしたときには知らなかった高価な財産があったり、そもそも借金が返済する必要のないものであったりしても、相続放棄は覆りません。
相続放棄をしたあとで、知らなかった事実が発覚したのだから相続放棄を無しにしたい、という事態とならないよう、3か月の熟慮期間にしっかりと相続財産の調査をする必要があります。
相続財産を全くもらえない
相続放棄をすると、相続人は、遺産をまったく相続することができないことが、相続放棄のデメリットの3つ目です。
相続財産と、負の財産とわけたときに、負の財産のほうが多かったとしても、相続財産の中に、必ず相続したい重要な財産が含まれているような場合であっても、相続財産を全くもらうことはできません。
なお、相続放棄をすることによって相続財産が全くもらえないとしても、血縁関係、親族関係がなくなるわけではなく、家族でなくなるわけではありません。
相続問題は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか。
今回は、相続放棄の基礎知識と、限定承認、単純承認との違いや、相続放棄のデメリットについて、相続問題に強い弁護士が解説しました。
相続放棄は、「相続財産、借金を一切相続しない」というわかりやすい方法に見えますが、注意点を見過ごしていると、相続放棄を利用する際にデメリットともなりかねません。
特に、相続財産調査をきちんと行わずに相続放棄を選択した場合、損をする相続となってしまうおそれもあります。相続放棄を利用するのが適切である場合かどうか、相続財産調査をした上でじっくり検討しなければなりません。
「相続財産を守る会」でも、相続の専門家(弁護士、司法書士)が、ご家庭のご事情をお聞きして、法定相続人間でもめない相続を提案します。
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