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遺産分割

法定相続分と割合を知り、相続で損しない方法を弁護士が解説!

更新日:

法定相続分とは、その名のとおり、「法律」で定められた「相続分」のことをいいます。民法で、「誰が、どの程度の割合の相続財産を得ることができるか」ということです。

法定相続分は、お亡くなりになったご家族(被相続人)との続柄、関係性と、相続人の人数によって決まっています。

法定相続分は、遺言生前贈与寄与分などがなければその通りになりますが、侵害された場合には、「遺留分侵害額請求権(遺留分減殺請求権)」によって救済されます。

そこで今回は、相続で損しないために、法定相続分の意味と、割合についての詳しい知識を、相続に強い弁護士がわかりやすく解説していきます。

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連帯保証人の保証債務を、複数人で相続したとき、どう分割する?

相続人は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も相続する結果、親が有する、「連帯保証人」という地位も相続することになります。マイナスの財産を相続したくない場合には、家庭裁判所に相続放棄を申述するしかありません。 しかし、相続人が複数いるとき、不動産、動産、預貯金といった、遺産分割をイメージしやすいプラスの財産と異なり、連帯保証人としての保証債務は、どのように分割するのでしょうか。 特に、連帯保証人は、「分別の利益」が認められず、債権者から請求されたら、共同保証人がいたとしても全額返済をしなければならないこ ...

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遺留分減殺請求権の行使方法を、弁護士がわかりやすく解説!

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2018/12/22

【書式付】遺留分減殺請求の内容証明の書き方・作成方法・注意点

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遺産相続は、いつ弁護士に相談する?依頼すべき適切なタイミングは?

遺産相続のトラブルを抱えてしまったとき、弁護士に相談をするタイミングに「早すぎる」ということはありません。むしろ、できるだけ早いタイミングで一度ご相談をいただいた方が、先の方針も見据えた有効なアドバイスができます。 一方で、弁護士に相談、依頼するには、相談料や着手金など費用がかかるため、依頼すべき適切なタイミングに初めて遺産相続問題を相談、依頼したいと考える相続人の方が多いのではないでしょうか。 「もう少し問題が深刻化したら。」「まだ自分一人で解決できるはず」と考えて遺産相続問題を弁護士に相談せず、依頼の ...

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2019/1/15

遺言書があるか不明でも遺留分を請求できた事例【相続の解決事例】

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遺留分減殺請求をされても不動産を失わない方法「価額弁償」とは?

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「相続放棄」と「代襲相続」の関係を弁護士が解説!【全まとめ】

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2019/1/30

相続における「養子」の全ポイントを弁護士がわかりやすく解説!

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2018/11/20

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2018/12/21

遺留分減殺請求にかかる費用は?弁護士報酬(弁護士費用)はいくら?

ご家族がお亡くなりになったとき、残された遺言によって、あなたの相続できるはずであった財産が減らされてしまったとき、「遺留分減殺請求権」を行使して救済できる可能性があります。 遺留分減殺請求権を行使する方法には、内容証明郵便など、話し合いによって解決する方法のほか、遺留分減殺請求訴訟を起こして裁判所で解決する方法がありますが、いずれの方法でも、幾分かの実費がかかります。 遺留分減殺請求権について、他の相続人が争いって来て「争続」になり紛争が激化する場合、その交渉、面談、訴訟などの全てを、相続に強い弁護士にお ...

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2018/11/22

特別寄与料とは?法改正で、相続人でなくても遺産が受け取れる!

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相続財産を守る会を運営する、弁護士法人浅野総合法律事務所では、相続問題と遺産分割協議のサポートに注力しています。

[speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="asano.jpg" name="弁護士
浅野英之"]

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野です。

「法定相続分」は、法定相続人に認められた相続分のことです。法定相続分にしたがった遺産分割協議、遺言書の進め方を知ることで、もめにくい相続となります。

法定相続分は、被相続人との続柄、人数により、相続財産(遺産)に一定の分数をかけることによって計算することができます。
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法定相続分とは?

民法の基本的な考え方では、お亡くなりになった方の相続財産(遺産)は、民法に定められた割合にしたがって計算され、「法定相続人」となる一定の続柄の血縁に対して分配されます。

このとき、法定相続人に分配される、相続財産(遺産)の割合、もしくは量のことを意味するのが「法定相続分」です。

法定相続分を定める民法900条は、次のとおりです。

民法900条

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

民法900条の条文からもわかるとおり、法定相続分は、ご家族(被相続人)がお亡くなりになって相続が開始したとき、どのような法定相続人がいるかによって、いくつかのパターンがあります。

今回は、法定相続人と法定相続分のパターンについて、具体的な例をあげながらわかりやすく解説していきます。

配偶者の法定相続分は?

配偶者とは、結婚している夫もしくは妻のことをいいます。

配偶者は、お亡くなりになったご家族によって扶養されていたり、生計をともにしていたり、また、被相続人の財産の増加に貢献をしていたりすることが多いため、常に法定相続分があり、かつ、他の相続人より多く設定されています。

配偶者の法定相続分は、配偶者以外に相続人となる人(両親、祖父母、子、兄弟姉妹など)の続柄に応じて、次のように決められています。

もっとくわしく!

配偶者とは、結婚をしている夫婦のことをいいます。そのため、事実婚のパートナー、内縁の妻などには、法定相続分はありません。

前妻と離婚をして、後妻と再婚をしたときには、後妻にだけ、法定相続分があり、前妻には法定相続分はありません。

配偶者のみが相続人のとき

配偶者のみが相続人のときには、配偶者の法定相続分は、100%です。

つまり、配偶者が、お亡くなりになったご家族(被相続人)の相続財産を、すべて相続することができます。

配偶者と子が相続人のとき

配偶者と子が相続人のとき、配偶者の法定相続分は「1/2」です。

つまり、配偶者と子どもが、相続財産(遺産)を半分ずつ分けることとなります。

配偶者の法定相続分 1/2
子の法定相続分 1/2

ポイント

被相続人に、子が複数いるときは、子は、「1/2」法定相続分を、さらにその人数で分けることになります。

これに対して、配偶者は常に1人ですので、「1/2」法定相続分のすべてを得ることができます。

配偶者と親が相続人のとき

お亡くなりになったご家族(被相続人)の相続人が、配偶者と、両親・祖父母などの直系尊属の場合には、配偶者の法定相続分は「2/3」となります。

つまり、被相続人に子がいない場合、直系尊属が相続人となり、この場合、両親もまたお亡くなりになっている場合には、祖父母が相続人となります。

配偶者の法定相続分 2/3
直系尊属の法定相続分 1/3

配偶者と兄弟姉妹が相続人のとき

お亡くなりになったご家族(被相続人)に、相続開始の時点で、子も両親、祖父母もいない場合には、兄弟姉妹が相続人となります。

この場合に、配偶者と兄弟姉妹が相続人のとき、配偶者の法定相続分は「3/4」となります。

配偶者の法定相続分 3/4
兄弟姉妹の法定相続分 1/4

子の法定相続分は?

お亡くなりになったご家族(被相続人)に子どもがいるとき、その子は第一順位の法定相続人となりますので、法定相続分を得ることができます。

この場合、被相続人に配偶者がいるときは、「配偶者(夫もしくは妻)と子」が法定相続分を得ることになり、配偶者がいないとき(死亡していた場合や、離婚していた場合)には、子だけが法定相続分を得ます。

子が法定相続分を得るとき、直系尊属(父母、祖父母)や兄弟姉妹は法定相続分を得ません。

子だけが相続人のとき

子だけが相続人のとき、相続財産のうちすべてを法定相続分として得ることができます。これは、子が未成年であったり、胎児であったりしても、変わらず法定相続分を得る権利があります。

既に離婚した前妻の子であっても、親子関係はなくなりませんから、子が法定相続分を得ることとなります。

子どもが複数いるときは、法定相続分は、子によって平等に分けられます。

もっとくわしく!

結婚をしていない男女の間に生まれた子供を「非嫡出子」といいます。

非嫡出子も、認知をされれば、法定相続分を得ることができます。

以前の法律では、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の法定相続分の「1/2」とされていましたが、平成25年12月に民法が改正され、嫡出子と非嫡出子の法定相続分は同等となりました。

配偶者と子が相続人のとき

配偶者(夫または妻)と子が相続人のとき、子の法定相続分は「1/2」となります。

この場合、既に子どもが先にお亡くなりになってしまっていたときは、孫が代わりに相続することができます。これを「代襲相続」といいます。

配偶者の法定相続分 1/2
子の法定相続分 1/2
参 考
「代襲相続」についての詳しい解説は、こちらをご覧ください。

「代襲相続」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。「代襲相続」を知ることによって、いざ相続が発生したとき、誰が、どれだけの遺産(相続財産)を相続できるかがわかります。 通常、相続が発生した ...

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注意ポイント

民法では、未成年の子は、親権者が法定代理人として、その代わりに意思決定をすることができることとなっています。

しかし、配偶者と、未成年の子が相続人のとき、配偶者(子から見た親権者)と子の利益が、相反することがあります。

この場合に、相続の話し合いを続け、遺産分割協議を行うためには、家庭裁判所に申し立てて「特別代理人」を選任してもらう必要があります。

養子が相続人のとき

法定相続分を計算するにあたっては、実子であっても養子であっても、相続分の割合は変わりません。

このことから、相続税の節税目的のために、孫などの血縁者を、お亡くなりになる家族の養子とする例(孫養子)、妻の夫と養子縁組する例(婿養子)などがよくあります。

ただし、節税目的で増やせる養子の人数には制限があります。相続税の計算では、実子がいないときは養子は2人まで、実子がいるときは養子は1人までとされています。

直系尊属(親・祖父母)の法定相続分は?

配偶者も子もいない場合(未婚・独身の場合など)や、配偶者はいるけれども子はいない場合には、直系尊属(親・祖父母)に法定相続分があります。

このとき、両親が既に死亡しており、祖父母が存命の場合には、祖父母が法定相続分を得ますが、これは「代襲相続」とはいいません。

直系尊属(両親・祖父母)が相続人となるときの法定相続分は、次のとおりです。

被相続人に子がいる場合には、子のほうが優先して相続人となるため、直系尊属(親・祖父母)は相続人にはなりません。

直系尊属(親・祖父母)のみが相続人のとき

直系尊属(親・祖父母)のみが相続人となる場合とは、お亡くなりになったご家族に、配偶者(夫もしくは妻)も子どももいずれもいない場合です。

この場合には、直系尊属(親・祖父母)が、すべての相続財産を相続します。両親がいる場合には、法定相続分「1/2」となり、片親の場合には、残った親がすべて相続します。

直系尊属(親・祖父母)と配偶者が相続人のとき

配偶者(夫もしくは妻)がいる場合には、直系尊属(親・祖父母)と配偶者とが相続人となる場合があります。

直系尊属と配偶者が相続人となるとき、直系尊属の法定相続分は、次のとおりです。

配偶者の法定相続分 2/3
直系尊属の法定相続分 1/3

兄弟姉妹の法定相続分は?

兄弟姉妹もまた、法定相続分を有する場合があります。

兄弟姉妹が法定相続分を有する場合とは、配偶者と兄弟姉妹以外には、ほかに相続人がいないケースをいいます。

兄弟姉妹は、被相続人からみてそれほど親しい間柄ではなかったり、連絡がとりづらかったりすることがあるため、あらかじめ遺言などによって、兄弟姉妹には相続させないという内容を記載しておくことが有用です。

兄弟姉妹には、「遺留分」がないため、遺言によって、兄弟姉妹には相続分を与えないようにすることができます。

兄弟姉妹のみが相続人のとき

兄弟姉妹のみが相続人のとき、兄弟姉妹の法定相続分100%です。つまり、すべての相続財産を、兄弟姉妹が相続します。

兄弟姉妹のみが相続人の場合とは、兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子、両親、祖父母など)がまったくいない場合のことをいいます。

半血の兄弟姉妹(異父兄弟・異母兄弟など)の場合には法定相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の「1/2」とされます。

兄弟姉妹と配偶者が相続人のとき

兄弟姉妹と配偶者が相続人となるとき、兄弟姉妹の法定相続分は、次のとおりです。

兄弟姉妹の配偶者法定相続分はありません。兄弟姉妹がお亡くなりになっていたときは、兄弟姉妹の子(甥・姪)が代襲相続しますが、更にその子(甥・姪の子)は、再代襲をすることはありません。

配偶者の法定相続分 3/4
兄弟姉妹の法定相続分 1/4

法定相続分と異なる遺産分割をするには?

法定相続分は、民法に定められた相続についての基本的な考え方ですが、必ずしもこれに従わなければならないわけではありません。

法定相続分は、民法で認められた相続をする権利ではあるものの、絶対にその通りにしなければならない義務はありません。相続人側からすれば、法定相続分通りには、必ずしももらえない場合があります。

法定相続分をある程度無視して、法定相続分とは異なる分配方法で遺産を分けるためには、次の方法があります。

「遺言」による法定相続分と異なる遺産分割

法定相続分とは異なる相続割合、分割方法などを定めた遺言が存在する場合には、法定相続分よりも優先します。お亡くなりになったご家族(被相続人)の生前の意思を、遺産分割にも反映するためです。

法定相続分に対して、遺言によって被相続人が定めた相続分のことを、「指定相続分」といいます。

しかし一方で、法定相続分は、被相続人によって扶養されていた配偶者や子の保護などの目的があるため、遺言によっても、最低限侵害されない保障があります。これが「遺留分」です。

そのため、遺言によって、法定相続分のうち、遺留分までも侵害されてしまっているときは、「遺留分侵害額請求権(遺留分減殺請求権)」によって、法定相続分のうちの一部を回復することができます。

参 考
「遺留分」の基本的な考え方について、詳しくはこちらをごらんください。

相続の専門用語である「遺留分」の考え方について、弁護士が、わかりやすく解説します。 「遺留分」とは、ご家族がなくなったときに発生する、「相続人が、これだけはもらえる。」という財産の割合のことです。 相 ...

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被相続人が、認知症になりそうな兆候があるときは、せっかく作成した遺言が無効となってしまうおそれがあるため、お早目の遺言作成をお勧めしております。

「遺産分割協議」による法定相続分と異なる遺産分割

被相続人がお亡くなりになった後、相続人が遺産分割について話し合いを行うのが、「遺産分割協議」です。

遺産分割協議で、相続人が全員合意をすれば、法定相続分とは異なる計算、割合によって、相続財産を分けることができます。このとき、遺産分割協議の結果は、法定相続分に優先します。

遺産分割協議による話し合いが、法定相続分とは違った内容でまとまったときは、再度の紛争が起こることを避けるためにも、遺産分割協議書という書面を作成し、合意内容をまとめておくことがお勧めです。

法定相続分通りにわけるのであれば、遺産分割協議書は不要です。

遺産分割協議が、相続人間の話し合いによってはまとまらないときは、家庭裁判所に、遺産分割調停という手続きを申し立てることができます。

相続問題は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか。

今回は、法定相続分の基礎知識を、相続人のケースに応じて、パターン別に相続問題に強い弁護士が解説しました。

法定相続分の考え方を正しく理解することによって、遺産分割協議を円滑に進めたり、遺言による相続税対策を間違いなく進めたりすることができ、損のない相続を準備することができます。

「相続財産を守る会」でも、相続の専門家(弁護士、司法書士)が、ご家庭のご事情をお聞きして、オーダーメイドの相続プランをご提案します。

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