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法定相続分とは?民法の定める相続できる割合を解説します

相続が発生した際、遺産の分配のルールは、民法の定める「法定相続分」が基本となります。法定相続分とは、その名の通り「法」の「定める」相続分のこと、これを定めるのが民法です。法定相続分は、亡くなった方(被相続人)との続柄、相続人の人数によって決まります。

ただ、法律に決まりがあるとはいえ、実際の相続の場面では家族関係が複雑で、法定相続分の計算が難しい場合があります。そして、計算を誤ると、本来もらえるはずだった相続財産をもらいそこねたり、他の相続人の遺留分を侵害したりしてトラブルになります。また、遺言や生前贈与などにより、法定相続分とは異なる分け方をすべきケースもあります。

今回は、法定相続分とはなにか、その基本的な理解を解説します。

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法定相続分とは民法の定める相続できる割合

法定相続分とは、亡くなった方(被相続人)の財産を、相続人に分配するときの割合のうち、民法で決められた原則的な割合のことを指します。

法定相続分は、相続人間での紛争を避け、公平な財産の分配を保証する役割を有します。遺言がない場合や、遺言によっては全ての財産の分配方法が決められていない場合には、法定相続分にしたがって相続財産を分配するのが基本となります。

民法では、相続人の範囲と順位、法定相続分が明確に定められ、これにより、誰がどれだけの遺産を受け継ぐことができるか決められています。法律で相続人と定められるのは一定の続柄の血縁関係のある人であり、具体的には、配偶者(夫または妻)、子、直系尊属(両親や祖父母など)、兄弟姉妹といった人が、それぞれルールに基づいて相続する可能性があります。

例えば、被相続人に配偶者と子どもがいる場合は、配偶者と子どもが法定相続人となり、それ以外は相続人にはなりません。そして、決まった相続人に対し、法定相続分に基づく割合の遺産が分配されます。なお、遺言がある場合には、遺言書の定める内容が遺留分を侵害しない限り、遺言を優先して相続分が決定されます(指定相続分)。

法定相続分を定める民法900条は次の通りです。

民法900条(法定相続分)

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。

三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。

四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

民法(e-Gov法令検索)

この条文から分かる通り、法定相続分は、被相続人が死亡して相続が開始されたときに、どの続柄の人が存命か(もしくは既に死亡しているか)のパターンによって異なります。

次章で、具体例を挙げながらわかりやすく解説します。

各続柄ごとの法定相続分の割合について

次に、実際にどのような続柄の人が、どれほどの割合の法定相続分を有するか、解説します。

配偶者の法定相続分

配偶者は、法律上の婚姻関係にある夫または妻のこと。亡くなった方(被相続人)に扶養されていたり生計を共にしていたり、被相続人の財産の増加に貢献していることも多く、常に法定相続分があり、かつ、他の相続人より多い割合が設定されます。

なお、事実婚のパートナーや内縁関係では、法定相続分はありません。

配偶者の法定相続分は、その他に相続人となる人の続柄に応じて、次のように決まります。

相続人が配偶者のみのとき

配偶者のみが相続人なら、その法定相続分は100%、つまり、遺産の全てを相続できます。

相続人が配偶者と子のとき

配偶者と子が相続人のとき、配偶者の法定相続分は2分の1であり、子の相続分も2分の1、つまり、配偶者と子が遺産を半分ずつの割合で分割することになります(子が複数いる場合は、子の相続分の2分の1を、その人数で等分します)。

配偶者の法定相続分2分の1
子の法定相続分2分の1

相続人が配偶者と直系尊属のとき

配偶者と直系尊属(両親や祖父母など)が相続人のとき、配偶者の法定相続分は3分の2、直系尊属が3分の1となります。直系尊属については、子がいない場合に相続人となり、両親が既に存命でない場合は祖父母が相続人となります。

配偶者の法定相続分3分の2
直系尊属の法定相続分3分の1

相続人が配偶者と兄弟姉妹のとき

配偶者と兄弟姉妹が相続人のとき、配偶者の法定相続分は4分の3、兄弟姉妹の法定相続分は4分の1となります。兄弟姉妹は、以上に説明した直系卑属も直系尊属もいずれもいない場合に相続人となります。

配偶者の法定相続分4分の3
兄弟姉妹の法定相続分4分の1

子の法定相続分

亡くなった方(被相続人)に子供がいるときは、第一順位として必ず法定相続分を有します。子もまた、配偶者と同じく、扶養されており生計を共にしていることが多いからです。

配偶者がいるときは配偶者と共に、いないときは子だけが相続人となります。子がいる場合、直系尊属(両親や祖父母)、兄弟姉妹は相続人になりません。

相続人が子のみのとき

子だけが相続人なら、遺産の全てを相続できます。子どもが複数いるときは、法定相続分は、子によって平等に分けられます。

子供が未成年でも、胎児でも、法定相続分を得る権利があります。夫婦が離婚していたとしても親子関係はなくならないため、前夫の子(前妻の子)もまた法定相続分を有します。

なお、法定相続分の計算においては、実子も養子も平等に扱われ、相続分の割合は変わりません。なお、節税目的で養子を増やす場合に、相続税の計算においては養子の数に制限があります(実子がいないときは2人まで、実子がいるときは1人までが、基礎控除の計算で考慮される)。

非嫡出子も、認知をされれば法定相続分を得られます。

以前の法律では、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の2分の1とされていましたが、平成25年12月の民法改正で、嫡出子と非嫡出子の法定相続分は同等となりました。

相続人が子と配偶者のとき

配偶者と子が相続人のときは、子の法定相続分は2分の1、配偶者の法定相続分も2分の1となります。なお、子が先に亡くなってしまったとき、孫が代わりに相続できます(代襲相続)。

配偶者の法定相続分2分の1
子の法定相続分2分の1

なお、未成年の子は、親権者が法定代理人として代わりに意思決定できますが、相続においては親子の利益が相反することがあります。この場合に、相続に関する話し合いをするには、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要があります。

離婚した親の相続について

直系尊属の法定相続分

配偶者も子もいないときや、配偶者はいるが子はいない家族では、直系尊属に法定相続分が生じます。直系尊属とは両親や祖父母のことであり、昨今の未婚化、晩婚化の促進によってこのようなケースも珍しくなくなりました。

直系尊属の法定相続分は、次の割合です。

相続人が直系尊属のみのとき

配偶者も子もいなければ、直系尊属(両親・祖父母)のみが相続人となり、遺産の全てを相続します。両親共に存命のときはその2分の1ずつを分け合います。

相続人が直系尊属と配偶者のとき

配偶者がいるときは、直系尊属と配偶者が相続人になり、その法定相続分は直系尊属が3分の1、配偶者が3分の2となります。

配偶者の法定相続分3分の2
直系尊属の法定相続分3分の1

兄弟姉妹の法定相続分

兄弟姉妹は、相続人のなかでも最も優先順位が低く、ここまで解説した子も直系尊属もいない場合に相続人となり、法定相続分を有します。

なお、兄弟姉妹は、被相続人とさほど親しい間柄でなく、相続開始後の連絡が取りづらいこともあります。生前対策の観点からすれば、あらかじめ、兄弟姉妹に相続させないという内容の遺言を残す方法も検討してください。兄弟姉妹には遺留分がないため、この遺言によって、遺産を全く承継させないことが可能となるからです。

兄弟姉妹の法定相続分は、次の割合となります。

相続人が兄弟姉妹のみのとき

兄弟姉妹のみが相続人のときは、その法定相続分は100%であり、全ての遺産を相続します。兄弟姉妹のみが相続人の場合とは、配偶者、子や孫、両親、祖父母など全ていない場合です。

なお、兄弟姉妹が複数いるときは人数で等分しますが、半血の兄弟姉妹(異父兄弟、異母兄弟)の法定相続は、全血の兄弟(父母双方が同じ兄弟)の2分の1です。

相続人が兄弟姉妹と配偶者のとき

兄弟姉妹と配偶者が相続人となるとき、兄弟姉妹の法定相続分は4分の1、配偶者が4分の3となります。なお、兄弟姉妹が既に死亡していたとき、その子(甥や名)が代襲相続しますが、更にその子への再代襲は生じません。

配偶者の法定相続分4分の3
兄弟姉妹の法定相続分4分の1

法定相続分と異なる遺産分割をする方法

法定相続分は、民法の定める相続の割合の原則的なルールですが、必ずしもこれに従わなければならないわけではありません。法定相続分通りにすると不公平が生じるケースもあります。

そこで、法定相続分とは異なる遺産分割をする方法についても解説しておきます。

遺言による分割

法定相続分とは異なる割合や方法を定めた遺言があるときには、その指定相続分が、法定相続分に優先することになっています。故人の生前の意思を、遺産分割に反映するためです。

しかし、法定相続分は、被相続人によって扶養された妻子の保護など、一定の続柄の人を守る目的もあるため、遺言によっても侵害されない最低限の保障として、遺留分が定められています。遺言によって、法定相続分のみならず、遺留分まで侵害されているときには、遺留分侵害額請求をすることによって、救済を受けることができます。

遺留分の基本について

遺産分割協議

被相続人の死亡時に、相続人が分割について話し合うのが遺産分割協議です。協議の結果、相続人全員が合意できれば、法定相続分とは異なる割合によって分けることができます。

話し合いが法定相続分とは異なる内容でまとまったときは、再度の紛争が起こるのを防ぐために、遺産分割協議書には特に細心の注意を要します。なお、法定相続分通りに分ける場合には協議書は扶養です。協議がまとまらず決裂した場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。

遺産分割協議の基本について

まとめ

今回は、法定相続分の基礎知識について解説しました。

法定相続分は、相続人が誰になるのかといった個別の事情に応じて、パターンに分けて理解する必要があります。法定相続分を正しく理解することは、遺産分割協議を円滑に進めるために不可欠なのは当然、生前の対策を間違いなく進めるにも必須の知識です。

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