

身近なご家族がお亡くなりになってしまったとき、「誰が財産を相続することができるのだろう。」と不安に思うことでしょう。
遺言・遺書などがのこされていたなど、お亡くなりになったご家族の意思が明らかでない場合には、相続をすることのできる人は、「法定相続人」とされています。「法定相続人」は、「民法」という法律で定められています。
法定相続人となることができるのは、配偶者(妻もしくは夫)、子、父母、兄弟姉妹ですが、ご家族の状況によって、法定相続人の範囲や、法定相続人が相続できる割合が変わってきます。
いざご家族がお亡くなりになってしまったときに、法定相続人の範囲と割合にお迷いにならないよう、民法における法定相続人の原則的なルールを、相続問題を得意とする弁護士が解説します。
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2018/10/25
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遺産分割
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遺産分割
2018/12/26
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2019/1/11
疎遠だった元父の子に「相続放棄してほしい」と言われたら【相続Q&A】
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遺産分割
2018/11/16
指定相続分とは?法定相続分との違いは?
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遺産分割
2018/11/24
遺産分割で預貯金をうまく分ける方法と、分け方のポイントを解説
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遺産分割
2018/11/4
相続人になれない?「相続欠格」・「相続廃除」とは?違いは?
民法に、相続人になることができると定められている人のことを「法定相続人」といいます。法定相続人は、本来、必ず相続人になることができますし、相続権を侵害されても「遺留分」という考え方で守られています。 しかし、法定相続人であっても、相続人になることができない場合があります。被相続人側からしても、法定相続人であっても、どうしても相続人にしたくない、というケースがあるのではないでしょうか。 よくある相続相談 「相続欠格」と「相続廃除」の違いを知りたい。 被相続人の立場で、法定相続人から虐待を受けているため、相続 ...
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遺産分割
2018/8/7
配偶者の取り分が増加?2018年法改正と「持戻し免除の意思表示」
2018年法改正で、「持戻し免除の意思表示」について、重要な改正がありました。 この「持戻し免除の意思表示」ですが、一般の方にはなじみの薄い専門用語ですので、今回の解説は、よくあるご相談内容をみながら、解説を進めていきます。 よくある相続相談 亡くなった夫が、「一緒に住んでいた自宅を私に与える」という遺言をのこしてくれていました。 自宅をもらえるのはありがたいのですが、自宅をもらってしまったために、逆に、預金や株式など、生活に必要な資金を十分にもらえませんでした・・・。 私たち夫婦は高齢なので、どちらかが ...
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遺産分割
2019/2/4
遺留分減殺請求訴訟とは?訴訟提起から判決までの流れ【弁護士解説】
相続人の最低限の相続分を確保するための「遺留分減殺請求」にまつわる争いごとを行うとき、話し合い(交渉・協議)や調停によっても解決できないときに利用されるのが「遺留分減殺請求訴訟(いりゅうぶんげんさいせいきゅうそしょう)」です。 遺留分減殺請求訴訟は、裁判所で行う訴訟手続きですので、訴状作成、証拠収集などの複雑な手続きは、弁護士にご依頼頂くメリットが大きいです。ただ、基本的な訴訟提起から判決までの流れや、依頼者に行って頂く準備などを理解しておいたほうがよいです。 遺留分の争いには、「取得した相続財産の評価」 ...
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遺産分割
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未成年者の特別代理人が必要な場合と、選任方法を弁護士が解説!
相続において、相続人の中に未成年者がいるとき、未成年者の特別代理人が必要な場合があります。例えば、お亡くなりになった方の妻と未成年の子が相続人であるといったケースです。 通常であれば、親は「法定代理人」として未成年者を代理して手続を行うことができますが、相続問題に限っては、妻と未成年の子の利益が相反する可能性があるため、母親として「法定代理人」になることはできません。 ご主人がお亡くなりになり、何もする気が起きなくなってしまうことでしょう。複雑な手続きをすぐに行う気力がわかない、というつらい気持ち、悲しい ...
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遺産分割
2018/11/27
遺産分割に期限はある?相続で注意すべき「期限」を弁護士が解説!
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遺産分割
2018/11/20
いとこが亡くなったら遺産を相続できる?いとこが相続する方法は?
一般的に、「相続」というと、親子関係で起こる相続をイメージされる方が多いのではないでしょうか。しかし、相続の中には、親子だけでなく、祖父母、孫、兄弟姉妹などが相続人となる場合があります。 「いとこ(従兄弟、従姉妹)」は、両親の兄弟の子のことをいい、4親等離れています。直接の親子関係にある「直系血族」に対して、「傍系血族」といいます。 いとこは、相続人となることができるのでしょうか。いとこが死亡したとき、相続財産を得られるのでしょうか。いとことの関係が仲良しの方も仲が悪い方もいるでしょうが、いとこが相続する ...
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遺産分割
2018/12/29
子どもの一人にできるだけ相続財産(遺産)を残さない6つの方法
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遺産分割
2018/12/14
遺産相続に強い弁護士の選び方の9つのポイント!
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遺産分割
2019/1/23
特別縁故者とは?相続人以外でも財産をもらえるケースとは?
特別縁故者(とくべつえんこしゃ)という言葉をご存じでしょうか。ご家族がお亡くなりになったときに相続できる人は民法で定まっていますが、相続人でなくても相続できる場合もあります。 相続人がいない場合に、相続人でなくても相続することができるのが「特別縁故者」の制度です。 今回は、特別縁故者とはどのような人がなることができるのか、また、特別縁故者が、相続人ではないのに相続できる場合とはどのような場合であるか、その具体的手続きなどについて、相続に強い弁護士が解説します。 「遺産分割」の人気解説はこちら! [toc] ...
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相続財産を守る会を運営する、弁護士法人浅野総合法律事務所では、相続問題と遺産分割協議のサポートに注力しています。
[speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="asano.jpg" name="弁護士
浅野英之"]
弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野です。
「法定相続人」とは、民法で定められた、「誰が、どのような割合で、どのような順位で遺産を相続することができるか」を定めたものです。法定相続人が相続できる割合を、「法定相続分」といいます。
ご家族がお亡くなりになってしまったとき、円満で、誰も損をしないような相続とするためには、法定相続人の範囲、順位、割合などについて、きちんと理解しておかなければなりません。
[/speech_bubble]
法定相続人とは?

ご家族がお亡くなりになり、相続が発生するとき、お亡くなりになったご家族のことを「被相続人」、相続財産(遺産)を引き継ぐ人のことを「相続人」といいます。
「法定相続人」は、この相続人の中でも、民法によって一定の割合で財産を相続できることが定められている人のことをいいます。そして、この制度を「法定相続制度」といいます。
法定相続人が誰であるか、どこまでの財産を相続できるかは法律に定められており、遺言による遺贈、生前贈与などによって特に優先的に定められていない限り、法定相続人は、法律に定められた割合の財産を相続できます。
法定相続人の基本的な考え方

法定相続人の考え方、ルールは、民法に明確に定められています。
遺産分割協議を円滑に進めたり、遺言を作成するときに遺留分を侵害しないようにしたりするためにも、法定相続人についての基本的な考え方を理解しておく必要があります。
専門的な解説となりますが、弁護士がわかりやすく解説します。
特に、相続財産が多額な場合や、相続財産に不動産が含まれる場合、遺産分割協議が重大事になることもあります。法定相続人と法定相続分を目安に、協議を進めるのがよいでしょう。
配偶者は必ず法定相続人になる
法定相続人には、優先順位がありますが、最も優先順位が高い法定相続人が、「配偶者」(妻もしくは夫)です。配偶者は必ず相続人となりますので、順位・順番は関係ありません。
配偶者とは、夫からみた妻、妻からみた夫のことであり、相続発生のときに結婚をしている人のことをいいます。離婚し、再婚したときは、後妻が法定相続人となります。
配偶者が必ず法定相続人になるのは、配偶者は、被相続人の財産の増加に貢献しており、また、被相続人によって養われていることが多いためです。
相続が発生したときに、既に離婚をしていた場合には、「元配偶者」は、法定相続人にはなりません。
法定相続人にはならない場合とは?
- 相続発生時に、既に離婚をしている元配偶者(元妻、元夫)
- 相続発生時に、先に死亡してしまっている配偶者
配偶者が法定相続人になるときには、これから説明する第1順位から第3順位までの法定相続人がいる場合には、それらと同順位になります。
第1順位から第3順位までの法定相続人がいない場合には、配偶者だけが法定相続人となります。つまり、この場合には法定相続人は1人だけ(配偶者のみ)になります。
もっとくわしく!
内縁の妻(事実婚)は、夫婦と同等の権利義務を持つものとして扱われる場合もありますが、法定相続人にはなりません。正式な婚姻をしている夫婦だけが、法定相続人となります。
したがって、遺言・生前贈与などによって相続財産を得るのでない限り、内縁の妻が、法定相続分によって相続をすることはありません。
第一順位の法定相続人:子

お亡くなりになったご家族に、子どもがいる場合には、「子」が第一順位の法定相続人となります。この場合、第二順位、第三順位の法定相続人は、相続人とはなりません。
子どもが、法定相続人となるとき、次のようなポイントに注意してください。
ポイント
「養子縁組をしている子(養子)」は、法定相続人となります。
:再婚した相手の連れ子(義理の娘・息子)であっても、養子縁組をしている子(養子)であれば、法定相続人となります。
「胎児」は、法定相続人となります。
:民法上、胎児は既に生まれたものとみなされます。死産となってしまったときは、遡って法定相続人としての権利を失います。もちろん、未成年であっても法定相続人となります。
「非嫡出子」は、認知されている場合には、法定相続人となります。
:非嫡出子とは、婚姻していない男女の間に生まれた子のことをいいます。父親が認知(遺言による認知も含む)をしていれば、法定相続人となります。
「前妻との間の子」は、法定相続人となります。
子が、被相続人が死亡したときに、既に先にお亡くなりになってしまっていたときには、孫がいるときは孫が法定相続人となります。これを「代襲相続」といいます。
既に結婚をしていて、家を出て別居している娘であっても、子であることには変わりありませんから、法定相続人となります。これに対し、「息子の嫁」は、義理の子ですが、養子縁組していなければ法定相続人とはなりません。
お亡くなりになった方に子どもがいない場合には、第二順位、第三順位の法定相続人を確認することとなります。
もっとくわしく!
養子が法定相続人となる場合については、次のことに注意して進める必要があります。
実子であっても養子であっても、法定相続人となる場合には、相続割合は変わりません。
実の両親との親子関係がなくならない「普通養子」の場合、実の親からの相続も受けることになります。実の親子関係が消滅する「特別養子」の場合には、養親からのみ相続を受けることになります。
第二順位の法定相続人:直系尊属(父母・祖父母)
お亡くなりになった方(被相続人)に、直系卑属(子・孫など)がいなかったときは、直系尊属(父母・祖父母など)が、第二順位の法定相続人となります。
配偶者がいる場合には、法定相続人は「配偶者と両親」、配偶者がいない場合には、法定相続人は「両親のみ」となります。
両親が既に離婚をしていたとしても、親子関係は変わりありませんから、父母のいずれもが法定相続人となります。
注意ポイント
「配偶者の親(妻の親など)」のように、義理の両親の場合には、「直系尊属」ではないので、法定相続人とはなりません。
第三順位の法定相続人:兄弟姉妹
直系卑属(子・孫など)も直系尊属(両親・祖父母など)も、いずれもいない場合や、既に先にお亡くなりになっていた場合には、次に、「兄弟姉妹」が第三順位の法定相続人となります。
注意ポイント
兄弟姉妹が法定相続人となる場合には、「配偶者と兄弟姉妹」、もしくは、「兄弟姉妹のみ」が法定相続人となります。
お亡くなりになった方(被相続人)の子や親がいる場合には、兄弟姉妹は法定相続人となりませんので、「子と兄弟姉妹」、「親と兄弟姉妹」が法定相続人となることはありません。
腹違いの兄弟姉妹(異母兄弟、異父兄弟など)であっても、法定相続人となりますが、このように両親のいずれかだけが一緒の兄弟姉妹は、通常の兄弟姉妹の法定相続分は、半分(1/2)の割合となります。
「兄弟姉妹」がいるけれども、既にお亡くなりになっていた場合には、兄弟姉妹の子、つまり、甥・姪が法定相続人となります。
これを「代襲相続」といい、兄弟姉妹の代襲相続は、甥・姪までとされており、甥・姪の子には代襲相続しません。兄弟の配偶者(兄の嫁などの義理の兄弟姉妹)は、どのような場合も法定相続人にはなりません。
法定相続人の代襲相続とは?

法定相続人の地位にある人が、被相続人がお亡くなりになった際に、既に死亡していたときには、その子が法定相続人の地位を受け継ぐことができます。このことを「代襲相続」といいます。
「代襲相続」は、その死亡した法定相続人が、さきほど解説したどの順位の法定相続人であるかによって、代襲相続のルールが変わります。
配偶者の代襲相続は?
配偶者は、相続順位にかかわらず、常に法定相続人となります。しかし、配偶者には、代襲相続は発生しません。
配偶者の子は、すなわち、被相続人の子でもあるため、子自身が独立して、法定相続人の地位を有しているからです。
第一順位の法定相続人(子・孫など)の代襲相続は?
第一順位の法定相続人である子が、既に死亡していた場合には、孫が代襲相続によって法定相続人となり、その後も同様です。
つまり、何親等までであっても、子、孫、曾孫(ひまご)、玄孫(やしゃご)が法定相続人となります。
このように、代襲相続をした人が死亡していたときに、更に代襲相続が続くことを、「再代襲」といいます。
第二順位の法定相続人(直系尊属)の代襲相続は?
第二順位の法定相続人である直系尊属(両親・祖父母)には、代襲相続は発生しません。
両親の子は、すなわち、被相続人自身であるため、代襲相続を考えることができないためです。
第三順位の法定相続人(兄弟姉妹)の代襲相続は?
第三順位の法定相続人である兄弟姉妹にも、代襲相続が発生します。しかし、兄弟姉妹の代襲相続は、1回限りに限定されています。
つまり、兄弟姉妹が、相続時に既に死亡していたとき、その子である甥・姪が代襲相続しますが、その甥・姪もお亡くなりになっていたとき、更に甥・姪の子が「再代襲」することはありません。
法定相続人と遺言(遺言書)の関係は?

相続が発生したときに、「誰が、どの程度の財産を相続するのか」を調べるにあたって、法定相続人についての考え方と同等に重要なのが、「遺言」が存在するかどうかです。
遺言(遺言書)が存在するときには、遺言(遺言書)に示された被相続人の意思が優先して、法定相続人の考え方どおりには相続が進まない場合もあるからです。
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2018/11/7
不公平な遺言書は有効?無効?公平に相続財産をもらう方法は?
あなたにとってあまりにも不公平な内容の遺言書が残っていたとき、「この遺言書は無効なのではないか。」と納得がいかない相続人の方から、ご相談を受けることがあります。 結論から申しますと、遺言書は、「不公平である。」という理由だけで無効になることはありません。すなわち、不公平な遺言書もまた、「遺言は有効である。」ということです。 一方で、不公平な遺言書によって権利を侵害された相続人が、少しでも公平に相続財産(遺産)をもらう方法として、「遺留分減殺請求権(遺留分侵害額請求権)」があります。 しかし「遺留分減殺請求 ...
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遺言
2019/2/7
遺言書に書いた財産がなくなった場合の対応は?書き直さないと無効?
相続対策として遺言書を作成している人の中でも、「争続」の大変さを理解している人は、かなり若いうちから遺言を残している人もいます。しかし、生前早くから相続対策をすればするほど、「遺言書に書いた財産がなくなった」「処分してしまった」ということが起こりえます。 遺言書の財産目録に記載をしたからといって、その財産の処分、売却などが禁じられるわけではありませんが、その財産がもはや手元になくなってしまえば、遺言書どおりに遺産分割をすることは困難です。 そこで今回は、遺言書に書いた財産を既に処分してしまったなど、遺言を ...
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遺言
2019/1/6
複数の遺言書が発見!対応は?どれが優先?【弁護士が解説!】
遺言書とは、お亡くなりになったご家族の、相続財産の分け方についての意向を示す、とても重要な書類です。その効果は絶大で、民法に定められた法定相続分よりも、遺言書に書かれた指定相続分が原則として優先します。 しかし、尊重されるべき重要な書類である遺言書が、複数発見されたとき、どのように対応したらよいでしょうか。どの遺言書にしたがえばよいのでしょうか。優先順位などはあるのでしょうか。特に、全ての遺言書の内容が全く違い、相反するとき混乱することでしょう。 遺言書は、お亡くなりになった方(被相続人)が熟考に熟考を重 ...
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遺言
2018/12/6
遺言書がトラブルの原因となるケースと解決法を、弁護士が解説!
相続の生前対策として「遺言書を書くこと」がよくあげられます。しかし、お亡くなりになったご家族残していた遺言が、かえってトラブルの原因・発端となることもあります。 「遺言書がなくて遺産分割でもめた」という話はよく聞きますが、逆に「遺言があったことでもめた」という相続相談も、弁護士のもとには多く寄せられています。遺産分割でもめると、相続税申告、相続登記などにも影響します。 そこで今回は、遺言書がかえってトラブルの原因となるケースと解決法を、相続に詳しい弁護士が解説します。遺言書は、争い回避の手段ですが、不適切 ...
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遺言
2018/8/8
自筆証書遺言が作成しやすくなりました!【2018年法改正】
「遺言を作ろう。」と考えている方に朗報です。 2018年7月に、相続分野の法律が改正されました。これによって、2019年からは、遺言が、より簡単に残しやすくなります。 というのも、「遺言」とひとことでいっても、「遺言」にはいろいろな形式があり、それぞれの形式ごとに、満たさなければならない要件があります。 「遺言」の法律上認められる要件を欠いてしまうと、せっかく遺言を作ったのに、お亡くなりになった後に「無効」となってしまい、「遺言」を作成した意思が実現できなくなってしまいます。 今回のテーマである「自筆証書 ...
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遺言
2018/12/19
遺言能力とは?遺言が有効にある場合、無効になる場合の判断基準
遺言能力とは、遺言を有効に行うことができる能力のことをいいます。相続の生前対策で、「遺言を残しておいた方がよい」というアドバイスをよく受けるかと思います。しかし、遺言能力のない状態で残した遺言書は、無効です。 せっかく相続税対策、揉めない遺産分割対策などの目的で残した遺言が無効となってしまわないためにも、遺言能力があるかどうか、の判断基準をしっかり理解してください。特に、認知症にり患してしまった後の遺言書作成には要注意です。 また、相続人の立場でも、不利な遺言が残っているとき、「遺言能力のない状態で作成さ ...
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遺言
2018/12/22
遺言執行者とは?2018年の法改正で権限が明確化!
相続財産(遺産)を、大切な家族やお世話になった方にどう分けてもらうかを生前に決めておく方法に、「遺言」の制度があります。遺言の中に、不動産は配偶者(妻や夫)に、預金は子どもに、などと財産の分け方を書いておくのです。 財産の分け方を遺言で決めても、いざ遺言者がお亡くなりになると、財産を遺言書どおりに分けるための手続きが必要です。 遺言に書かれた内容を実現する行為を、「遺言の執行」と呼び、この遺言の執行をする役割を負う人のことを、「遺言執行者」といいます。 2018年(平成30年)7月の相続法の改正で、遺言執 ...
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遺言
2019/1/18
2018年相続法の改正で変わる、遺言制度の見直し【弁護士解説】
2018年(平成30年)に行われた、民法のうち相続法に関する部分の重要な法改正について、今回は「遺言制度の見直し」という側面から解説していきます。 遺言制度に関して、今回の法改正で変更があった点は、次の4つです。 ポイント 自筆証書遺言の方式の緩和 自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度の創設 遺贈の担保責任等 遺言執行者の権限の明確化 特に今回の改正では、自筆証書遺言の様式の緩和によって、遺言が作りやすくなり、また、法務局での保管制度が創設されたことにより、検認手続も不要となったことから、自筆証書遺言が増加 ...
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遺言
2019/2/8
「相続させる旨の遺言」とは?遺贈との違いは?弁護士が詳しく解説!
遺言書においてひんぱんに登場するのが、「不動産は妻に相続させる」、「A銀行の預金は長男に相続させる」といった、「~を相続させる」という言葉です。このような内容の遺言は「相続させる旨の遺言」と呼ばれます。 遺言書において特定の財産を特定の方に与える方法には、「遺贈(いぞう)」もあります。正確には、特定の財産を与える遺贈は、「特定遺贈」と呼びます。 では、「相続させる旨の遺言」と「遺贈」は、どのように違うのでしょうか。遺言書において「相続させる」と書いた場合に、どのような意味があるのでしょうか。 遺言をのこさ ...
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遺言
2019/3/5
夫婦で一緒に遺言書を作成するときの注意点と、共同遺言の禁止
相続対策を検討するとき、相続問題は、ある1人の問題ではありません。ご家族全体の問題であるという自覚をもって、家族全員で話し合いをしながら、遺言書の作成など生前対策を進めるのはとても効果的です。 しかし、夫婦で一緒に遺言書を作成しようと考えるときには、注意点があります。それは、「共同遺言」が禁止されているということです。 夫婦の相続財産(遺産)の行方について、将来のことは未定ですので、「原則として配偶者(夫や妻)に残す。しかし、配偶者が死亡している場合には、長男に残す」と遺言したいとき、どのように進めたらよ ...
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遺言(遺言書)がある場合
遺言(遺言書)が存在するときは、遺言が法定相続人についての基本的な考え方よりも優先します。被相続人の、生前の意思を反映した遺産分割とするためです。
しかし、法定相続人のうち、配偶者、子、直系尊属(父母・祖父母)には、「遺留分」という権利が認められています。
「遺留分」として認められる権利よりも、遺言によって与えられる財産が少ない場合には、「遺留分侵害」といって、侵害された分の権利を回復するよう請求することができます。
これを「遺留分侵害額請求権(遺留分減殺請求権)」といいます。
参 考
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「遺留分」についての基本的な考え方は、詳しくはこちらをご覧ください。
相続の専門用語である「遺留分」の考え方について、弁護士が、わかりやすく解説します。 「遺留分」とは、ご家族がなくなったときに発生する、「相続人が、これだけはもらえる。」という財産の割合のことです。 相 ...
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遺言(遺言書)がない場合
遺言(遺言書)がない場合には、法定相続人について、これまで解説してきたとおりのことが成り立ちます。
つまり、遺言(遺言書)がない場合には、法定相続人とならない叔父(伯父)、叔母(伯母)、甥、姪、いとこ(従兄弟)などは、たとえ血縁であったとしても遺産を相続することはできません。
法定相続人の探し方・調べ方は?

お亡くなりになった方の法定相続人がわからない場合には、法定相続人の調査をしなければなりません。
お亡くなりになった方に、過去に前妻がいて、その間に子がいる場合などもあることから、法定相続人の探し方、調べ方は、戸籍の専門家である司法書士などに依頼し、慎重に進める必要があります。
生まれてから亡くなるまでの戸籍が必要
法定相続人を決定するためには、お亡くなりになったご家族の、生まれてからお亡くなりになるまでの連続した戸籍謄本が必要となります。
「連続した戸籍」とは、間に戸籍のない空白期間がないようにしなければならない、ということです。戸籍謄本だけでなく、「改製原戸籍」と呼ばれる古い戸籍の取り寄せが必要となるケースもあります。
必要となるすべての戸籍を取り終えたら、戸籍を読み解きながら家系図を作成することによって、法定相続人を確定することができます。
法定相続情報証明制度
法定相続人の方であれば、必要となる戸籍を収集して、法務局に申し出ることによって、「法定相続情報証明制度」を利用することができます。
「法定相続情報証明制度」では、提出された戸籍をもとに、法定相続情報一覧図を交付してもらうことができます。
法定相続人が相続放棄したときの計算方法は?

法定相続人であっても、相続財産をもらうことを放棄することができます。このことを「相続放棄」といいます。
法定相続人が相続放棄をするときは、相続が発生したことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申述しなければならず、相続放棄をすると、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金)の相続もしないこととなります。
法定相続人が相続放棄すると、相続発生のときから相続人ではなかったこととなり、相続人の順位、範囲、割合に、大きな影響を及ぼします。
たとえば・・・
お亡くなりになったご家族の相続人が、妻と子2人であり、両親、祖父母は既に他界されていたとします。
この場合の法定相続人は、通常であれば、妻と子2人となります。
しかし、子2人が相続放棄をすると、第一順位の法定相続人(子)、第二順位の法定相続人(両親・祖父母)がいずれもいなくなるため、第三順位の兄弟姉妹が、法定相続人となります。
相続問題は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか。
今回は、法定相続人の基礎知識と、相続をするときの順位、範囲、割合について、相続問題に強い弁護士が解説しました。
できるだけ円滑に、相続人間の財産の分配を進め、「骨肉の争い」を避けるために、法定相続人とその相続分(法定相続分)を理解し、お互いに損のない分割案を提案することが有用です。
「相続財産を守る会」でも、相続の専門家(弁護士、司法書士)が、ご家庭のご事情をお聞きして、法定相続人間でもめない相続を提案します。
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