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遺産分割

代襲相続とは?範囲・割合をケースごとに弁護士が解説!

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「代襲相続」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。「代襲相続」を知ることによって、いざ相続が発生したとき、誰が、どれだけの遺産(相続財産)を相続できるかがわかります。

通常、相続が発生したときには、民法という法律に定められた相続人である「法定相続人」が相続をするのが原則となります。

しかし、「法定相続人」が、相続が発生したとき、既に死亡してしまっていた場合に発生するのが「代襲相続」です。

そこで今回は、「代襲相続」が起こるケースで、相続は具体的にどのように進むのか、「代襲相続」の範囲、割合などについて、相続問題に強い弁護士が解説します。

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遺産分割

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2019/1/15

遺言書があるか不明でも遺留分を請求できた事例【相続の解決事例】

今回は、相続相談に対して、実際に遺産相続に強い弁護士が受任し、解決に導いた事例を、「解決事例」の形式でご紹介します。 遺言書があり、民法で最低限相続できることが保障された「遺留分」を侵害されている場合には、遺留分を侵害している相続人に対して、その返還を求めることができます。 しかし、実際には、遺言書があると遺言によって相続財産(遺産)を得た相続人が単独で相続登記などを行うことができるため、「遺言書があるのかどうか」がそもそも知らされず、どうしてよいのかわからず、対応にお迷いになる相談ケースも少なくありませ ...

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2018/11/9

特別受益とは?認められる場合・認められない場合と計算方法

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2018/11/9

限定承認すべき場合とは?限定承認の方法と手続の流れを弁護士が解説

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2018/11/5

遺留分が認められる割合は?遺留分割合の計算方法・請求方法は?

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2018/11/13

遺留分減殺請求権の行使方法を、弁護士がわかりやすく解説!

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2018/11/27

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2018/12/6

遺留分減殺請求権で不動産は得られる?不動産の遺留分の3つのこと

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2019/1/11

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2018/11/2

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2019/2/4

遺留分減殺請求訴訟とは?訴訟提起から判決までの流れ【弁護士解説】

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2018/11/6

寄与分とは?認められる場合と計算方法を、弁護士が解説!

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2019/1/30

相続における「養子」の全ポイントを弁護士がわかりやすく解説!

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2018/11/16

相続放棄と、単純承認・限定承認の違いは?相続放棄のデメリットは?

相続のしかたには、単純承認、限定承認、相続放棄の3種類があります。 相続放棄は、ほかの2つの方法(単純承認、限定承認)が、相続財産を引き継ぐことを前提としているのに対して、相続財産を引き継がないための手続の方法をいいます。 相続放棄を中心に、その他の2つの方法との違い、相続放棄のデメリットなどについて、相続に強い弁護士が解説します。 「遺産分割」の人気解説はこちら! [toc] 相続財産を守る会を運営する、弁護士法人浅野総合法律事務所では、相続問題と遺産分割協議のサポートに注力しています。 [speech ...

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2018/12/25

生前贈与された財産を遺留分減殺請求で取り戻す方法【弁護士解説】

「生前贈与」と「遺留分」という言葉をご存知でしょうか。お亡くなりになった方(被相続人)が、生前に、相続人や、相続人以外の人に対して、財産を贈与することを「生前贈与」といいます。 被相続人の生前贈与の結果、相続人であるあなたのもらえる財産が少なくなってしまったとき、救済する手段が「遺留分減殺請求権」です。しかし、生前贈与の全てがこの「遺留分減殺請求権」の対象となるわけではありません。 故人が生前にかわいがっていた弟にばかり結婚、出産、新居購入のタイミングに財産を贈与した。 父が、母が亡くなった後に同居した事 ...

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2019/2/9

相続分の譲渡は特別受益?遺留分侵害になる?【最高裁平成30年10月19日】

平成30年10月19日の最高裁判所判決で、遺留分の侵害が争われた事件において、「相続分の譲渡が『遺留分侵害』にあたるかどうか」という点について新しいルールが示されました。 この最高裁判決によれば、相続分の譲渡をした場合に、それが「贈与」にあたり、遺留分を侵害する可能性があるという判断が下されました。この判決の内容は、相続の生前対策や、遺留分をめぐる争いに大きな影響を与えます。 そこで、今回の解説では、最高裁平成30年10月19日判決で示された新しいルールと、最高裁の示した新しいルールと相続法改正を踏まえて ...

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2019/1/13

兄弟姉妹に遺留分はない?兄弟姉妹が相続財産を増やす方法5つ

兄弟姉妹には、遺留分が認められていません。「遺留分」とは、民法に定められた、最低限相続でき、侵害されない財産のことですが、兄弟姉妹は、遺留分を認めてまで相続財産(遺産)を保護するほどの必要性がないと考えられているからです。 遺留分が認めらないと、遺言による贈与(遺贈)や生前贈与によって相続財産(遺産)が一切もらえないという結果になったとき、遺留分減殺請求権という法律上の権利行使によって財産を取り返すことができなくなります。 今回は、兄弟姉妹には遺留分が認められないことと、兄弟姉妹がお亡くなりになったときに ...

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2018/11/8

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ご家族がお亡くなりになったとき、遺産分割協議を始める前に、「相続人の確定」をしておくことが重要です。 「誰が相続人になるのか。」は、民法で法定相続人に関するルールが定められていますが、実際の相続のときに具体的に誰が相続人となるかは、「相続人の確定」で決める必要があります。 「相続人の確定」を、遺産分割協議の前提事項として調査しておかなければ、「知らなかった」、「発見できなかった」思わぬ相続人を見落とすおそれがあります。 そこで今回は、相続人の確定方法、相続人を確定する時期、相続人の確定にかかる費用などにつ ...

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相続財産を守る会を運営する、弁護士法人浅野総合法律事務所では、相続問題と遺産分割協議のサポートに注力しています。

[speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="asano.jpg" name="弁護士
浅野英之"]

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野です。

「代襲相続」という用語は、相続における法律専門用語であり、とてもわかりにくく感じますが、弁護士がわかりやすく解説します。

特に、親が子よりも先に亡くなってしまった、という亡くなる順序が逆転してしまったケースで考えなければならないのが、今回解説する「代襲相続」です。
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代襲相続とは?

代襲相続とは、本来の相続人である「法定相続人」が、相続開始時に、既に死亡してしまっていたときなどに、その承継人が代わりに「法定相続人」としての地位を受け継ぎ、相続する制度のことをいいます。

代襲相続をする相続人のことを、「代襲相続人」といいます。

代襲相続人が相続できる相続分(相続割合)は、代襲相続によって受け継いだ相続人(本来相続するはずであった相続人)の相続分と同じ割合であるとされています。

参 考
「法定相続人」の順位、相続分(割合)、範囲などは、こちらで詳しく解説しています。

身近なご家族がお亡くなりになってしまったとき、「誰が財産を相続することができるのだろう。」と不安に思うことでしょう。 遺言・遺書などがのこされていたなど、お亡くなりになったご家族の意思が明らかでない場 ...

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たとえば・・・

代襲相続についての考え方をわかりやすく理解していただくため、1つの例で解説します。

例えば、ある方(被相続人)がお亡くなりになったとき、妻子がいたけれども、既に子どもはお亡くなりになってしまっていたとします。

この場合、相続が開始したときに、子どもの子(つまり、孫)がいる場合には、孫が、子の相続分を代襲相続します。

この場合、妻子が相続人だとした場合の相続分は妻が1/2、子が1/2ですから、子を代襲相続した孫もまた、1/2の相続財産を相続することとなります。

【ケース別】誰が代襲相続人になる?

では、実際に、世代を飛び越えて代襲相続が起こるケースを見ることによって、「誰が代襲相続人になるのか」を、相続に強い弁護士が解説します。

結論から申し上げますと、代襲相続人となる可能性のある人、代襲相続にならない人は、次のようにまとめることができます。

ポイント

代襲相続人となる可能性のある人

  • 孫、曾孫(ひ孫)などの直系卑属
  • 兄弟姉妹の子(甥・姪)

代襲相続人とならない人

  • 甥・姪の子
  • 配偶者の連れ子

兄弟姉妹の代襲相続は、甥・姪までであり、その子は再代襲しませんが、直系卑属の再代襲は、子、孫、曾孫(ひ孫)、玄孫(やしゃご)へと続いていきます。

孫が代襲相続する場合

被相続人がお亡くなりになって相続が開始されるよりも前に、被相続人の子が死亡しており、被相続人に孫がいる場合(被相続人の子に、子がいる場合)には、代襲相続します。

この場合、子を代襲相続した孫が、相続できる相続財産の割合は、次のとおりです。

相続人が孫と配偶者(夫または妻)の場合 孫:1/2、妻:1/2
相続人が孫のみの場合 孫が全ての遺産を相続する

子は、第一順位の法定相続人であるため、子を孫が代襲相続するときには、子よりも順位の低い親(父母)、兄弟姉妹は、法定相続人にはなりません。

養子の子が代襲相続する場合

さきほどと同様に、「孫が子を代襲相続する」という場合であっても、「養子の子」である場合には、特別のルールがあります。「養子の子」についての代襲相続の考え方は、次のとおりです。

ポイント

  • 養子縁組よりも前に生まれた子
    →代襲相続することができます。
  • 養子縁組よりも後に生まれた子
    →代襲相続することができません。

養子縁組よりも前に生まれていたその養子の子(被相続人の孫)は、いわゆる「連れ子」であって、子が死亡していた場合には代襲相続することができません。

これに対して、養子縁組をした後に生まれたその養子の子(被相続人の孫)は、代襲相続人となることができます。

甥・姪が代襲相続する場合

兄弟姉妹が本来相続人となるはずであったけれども、既に兄弟姉妹がお亡くなりになってしまっていたときは、兄弟姉妹の子(つまり、甥・姪)が、代襲相続します。

なお、甥・姪も既に死亡してしまっていたときは、甥・姪の子が「再代襲」することはありません。

この場合、兄弟姉妹が相続人となる場合であることから、お亡くなりになったご家族には、子、両親・祖父母などの直系尊属がいずれも存在しない場合となります。甥、姪の相続割合は、次のとおりです。

相続人が甥・姪と配偶者(夫または妻)の場合 孫:1/4、妻:3/4
相続人が孫のみの場合 甥・姪が全ての遺産を相続する

もっとくわしく!

兄弟姉妹とも、既に疎遠となってしまっていることも少なくありませんが、甥・姪が代襲相続するケースでは、兄弟姉妹も既に亡くなった後であり、甥・姪と連絡がとれないことも少なくありません。

このような場合に備えて、既に子、両親がおらず、兄弟姉妹も既にお亡くなりになっている、という方は、「全ての相続財産を配偶者(妻もしくは夫)に相続する」という内容の遺言を残しておくことがお勧めです。

兄弟姉妹には「遺留分」が存在しないため、遺言が法定相続分よりも優先することから、このような遺言があれば、甥・姪が代襲相続することはありません。

代襲相続する人が複数いる場合は?

本来相続するはずであった相続分を、更に代襲相続をする人の人数で割った割合を、それぞれの代襲相続人が相続します。

代襲相続人をさらに代襲相続する「再代襲」の場合にも、再代襲をする人(例えば「孫の子」)が複数名いる場合には、その人数で割った割合を相続することとなります。

たとえば・・・

本来の法定相続人が、兄弟姉妹であったとします。この場合に、被相続人がお亡くなりになって相続が開始するときに、既に兄弟姉妹が死亡していたとき、代襲相続が発生します。

代襲相続は、兄弟姉妹の子である甥・姪が行うこととなりますが、兄弟姉妹の子が、2名いた場合には、兄弟姉妹の相続するであった相続分の1/2が、甥・姪の相続分となります。

なお、甥・姪も既に死亡してしまっていたとき、甥・姪の子は、代襲相続をすることができません。

代襲相続が、死亡以外で起こるケース(相続欠格・廃除)

代襲相続が起こる典型的な事例は、「法定相続人が、被相続人よりも先に死亡していた。」というものですが、この死亡によって起こるケース以外でも、代襲相続が発生する場合があります。

それが、相続欠格による場合と、廃除による場合です。いずれも、相続人が一定の事由にあたることによって相続に参加することができなくなる結果、代襲相続が起こります。

相続欠格による代襲相続

「相続欠格」とは、相続人となるのにふさわしくない、不適切な行為をした相続人を、被相続人の意思とは関係なく、相続人ではなくする制度のことをいいます。

「相続欠格」にあたる行為とは、次のとおりです。

注意ポイント

  • 被相続人や、他の相続人を殺そうとした
  • 遺言を偽造、変造、隠匿した
  • 遺言の作成を詐欺、脅迫により妨害した

相続人が、相続欠格事由にあたるために相続人となれなかった場合であっても、それは相続人個人の問題であって、その子が代襲相続をすることができるものとされています。

したがって、相続欠格にあたる場合には、>代襲相続が起こります。

廃除による代襲相続

「廃除」とは、被相続人に対する背信行為など、相続人となるのにふさわしくない行為をした相続人を、被相続人の意思で、相続人から除外する制度のことをいいます。

例えば、「廃除」が行われるのは次のような場合です。

注意ポイント

  • 被相続人に対して暴力をふるった
  • 被相続人を虐待した(精神的・身体的・経済的な虐待)
  • 被相続人に対するいちじるしい非行があった

廃除によって相続人でなくなってしまう場合もまた、廃除をされた理由は相続人1人に帰属するものであって、その子が代襲相続することは問題ありません。

したがって、相続人が廃除された場合には、代襲相続が起こります。

代襲相続は、相続放棄によっては起こらない!

相続放棄とは、相続人が、相続をすることができる権利を放棄することです。相続人が、相続が発生したことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所に申述することによって起こるのが「相続放棄」です。

相続放棄は、ここまで解説した「相続欠格」、「廃除」の場合とは違い、「最初から、相続人ではなかったものとして扱われる」という特殊な決まりがあります。

相続放棄によって、最初から相続人ではなかったこととなるわけですから、その相続人に子がいたとしても、代襲相続は起こりません。

被相続人の財産よりも、被相続人の借金(マイナスの財産)のほうが大きい場合には、相続放棄を家庭裁判所に申述することを検討しましょう。

相続問題は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか。

今回は、代襲相続の基礎知識と、実際に代襲相続が発生したときの具体的な順位、相続分(相続割合)、範囲などについて、相続問題に強い弁護士が解説しました。

代襲相続は、専門的な用語で難しく思えますが、代襲相続を見逃していると、相続割合を間違えてしまい、相続財産の分割協議が困難になってしまうかもしれません。

「相続財産を守る会」でも、相続の専門家(弁護士、司法書士)が、ご家庭のご事情をお聞きして、代襲相続も踏まえた損のない相続を提案します。

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弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所は、銀座(東京都中央区)にて、相続問題、特に、遺言・節税などの生前対策、相続トラブルの交渉などを強みとして取り扱う法律事務所です。 同オフィス内に、税理士法人浅野総合会計事務所を併設し、相続のご相談について、ワンストップのサービスを提供しております。

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