相続財産(遺産)を守る専門家(弁護士・税理士)が解説!

相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会

相続の相談窓口

「遺産分割」と「遺産相続」の違いを、弁護士がくわしく解説!

投稿日:

今回は、基本的な用語の解説です。相続問題を考えるとき「遺産相続(相続)」ということばと、「遺産分割」ということばがいずれも登場します。

「相続」、「遺産分割」はいずれも、「財産をもらえる」という意味では共通していますが、専門家でもなければ、きちんと使い分けることができている人は少ないのではないでしょうか。

「相続」のことを「遺産相続」などというと、「遺産相続(相続)」「遺産分割」」の違いは、ますますわかりづらくなります。

そこで今回は、相続を多く取り扱う弁護士が、「遺産相続(相続)」「遺産分割」の言葉の違いについて、基本的な用語の使い方を解説します。

「遺産分割」の人気解説はこちら!

遺産分割

2018/11/16

指定相続分とは?法定相続分との違いは?

相続財産(遺産)を相続する割合のことを、「相続分」といいます。そして、相続分には、指定相続分と法定相続分とがあります。 相続財産の分け方は、遺言によって希望通りに決めることができますが、遺留分等に注意しなければなりません。指定相続分について民法の条文は次の通りです。 民法908条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。 今回は、指定相続分についての基礎知識、法定相続分との違い、指 ...

ReadMore

遺産分割

2019/2/20

持戻し免除の意思表示とは?遺留分との関係を、弁護士が解説!

お亡くなりになった方(被相続人)から生前に特別の利益を受けていた相続人がいる場合、「特別受益の持戻し計算」といって、特別受益分を、相続財産(遺産)に加えて計算することで、不公平を取りのぞくこととなっています。 しかし、この方法によると、被相続人が、ある相続人に対して特に多く財産を相続させるはずであったという意思が実現できなくなります。そこで活躍するのが「持戻し免除の意思表示」です。つまり、「特別受益であっても、持戻し計算はしなくていい」ということです。 「持戻し免除の意思表示」を行った場合、相続分の計算、 ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/11

遺産分割協議書の書式・ひな形サンプルのダウンロードと作成方法

ご家族がお亡くなりになると、相続財産(遺産)を得るためには、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成しなければならない場合があります。 遺言がない場合や、遺言があるけれども、相続財産(遺産)の全てについての相続が記載されていないケースでは、相続人全員が協議に参加し、遺産分割協議書に実印を押印しなければ、相続財産の名義変更、処分ができません。 今回は、遺産分割協議書の作成方法を、書式・ひな形のサンプルをもとに、相続に強い弁護士が解説します。 ポイント 遺産分割協議書の書式例・ひな形のサンプルは、こちらからダ ...

ReadMore

遺産分割

2018/8/6

2018改正で導入「預貯金の仮払い制度」の対応・利用方法は?

2018年(平成30年)7月に、民法の中の相続法に関する部分が改正されました。相続法の改正は、私たちの生活にも重要な影響を与えます。 改正項目の1つに「預貯金の仮払い制度」というものがあります。この記事をお読みの皆さんも、どこかで「預貯金の仮払い制度」を見聞きしたのではないでしょうか。 「預貯金の仮払い制度」は、特にこれまでの改正前のルールでは不都合の多かった部分であり、注目度の高い改正です。 よくある相続相談 相続人間に争いがあり、預貯金を引き出すことができないため、相続税が支払えない。 相続人のうち1 ...

ReadMore

遺産分割

2019/2/4

養子にも遺留分は認められる?養子が相続分を確保する方法とは?

養子縁組が、相続税対策のために利用されることがありますが、養子縁組のあと「争続」となり、せっかく養子になったにもかかわらず、その相続分が不公平なほどに少なくなってしまうことがあります。 民法で認められた相続人(法定相続人)のうち、兄弟姉妹以外には「遺留分」が認められており、遺留分を侵害する程度の少ない財産しかもらえない場合には、遺留分減殺請求権による救済を受けることができます。 そこで今回は、養子縁組した養子であっても、実子と同様に遺留分を認めてもらうことができるのか、また、具体的な救済方法などについて、 ...

ReadMore

[toc]

相続(遺産相続)とは?

「相続(遺産相続)」とは、その言葉どおり、相続財産(遺産)を引き継ぐことをいいます。つまり、お亡くなりになった方(被相続人)から相続人が財産を承継することを、「相続(遺産相続)」といいます。

相続人が1人の場合には、相続財産(遺産)のすべてを、1人の相続人が「相続」します。つまり、相続人1人のときでも、「相続」は起こります。人が死亡すると、必ず相続が発生します。

相続が発生すると、遺産分割をしない間は、相続財産(遺産)は、相続人全員の共有状態になります。このままでは、相続財産を有効利用したり処分したりすることは、相続人1人の判断で勝手にはできません。そこで、遺産分割が必要となります。

遺産分割とは?

遺産分割とは、相続人が複数いるときに、誰がどの財産を、どのような割合で相続するかを決め、相続財産(遺産)を分割することをいいます。「遺産」とは、被相続人の、お亡くなりになったときに有していた財産のことです。

相続人が1人のときには、相続財産(遺産)は、全てその1人が相続しますので、遺産分割は起こりません。「相続財産」と「遺産」は同じ意味で使われます。

「遺産相続」のパターンの中に、相続人が2人以上のときの場面で行われる)「遺産分割」が含まれると考えてください。

遺産相続(相続)と遺産分割の違い

以上のとおり、相続は、親などの被相続人から相続財産(遺産)を引き継ぐことをいい、遺産分割は、相続の際に、相続人が複数いるとき相続財産(遺産)を分割することをいい、別の意味です。

相続人が1人しかいないときは、遺産分割は不要であるため、遺産分割は発生せず、相続だけが発生しますので、この違いを考える必要はありませんが、相続人が複数のときは、遺産分割なしには相続はできません。

相続人が2人以上のとき、遺産分割で、誰がどの財産を、どのように受け取るかを決めることではじめて、相続によって財産を自分のもとに入手することができるのです。

2種類の遺産分割の方法

遺産分割と遺産相続は、似て非なるものです。遺産相続は、人が死亡すれば必ず、相続人の行為がなくても行われますが、遺産分割は、相続人が能動的に行為をしてはじめておこなうものです。

相続人が行う遺産分割の方法には、大きく分けて、次の2種類のパターンがあります。

遺言による遺産分割の方法

遺言がある場合には、遺言にしたがって遺産分割を行います。そのため、遺産分割協議書の作成は不要です。

遺言書の内容が公序良俗に違反していたり、遺言書が民法に決められた要件を満たしていない場合、遺言にしたがった遺産分割とはなりません。遺言執行者が定められている場合、遺言による遺産分割は、遺言執行者が行います。

ただし、遺言がある場合であっても、遺産分割協議を行い、相続人全員が、遺言とは異なる遺産分割をすることに同意すれば、遺言と異なる分割方法で遺産分割することも可能です。この方法は、遺言で禁止されていればできません。

遺産分割協議書による遺産分割の方法

遺産分割協議は、遺産分割のための話し合いです。つまり、誰が、どの財産を遺産相続するかを決めるための話し合いです。法定相続分を目安に決めることが多いですが、民法では、遺産分割の基準についての考慮要素が示されています。

民法906条

遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

話し合いではまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停・審判を申し立てることで、家庭裁判所の判断によって遺産分割を決めてもらうこともできます。

遺産分割が決定し、遺産分割協議書が作成されると、遺産分割の効力は、相続開始時にさかのぼって発生します。これを「遡及効」といいます。つまり、遺産相続した時点にさかのぼる結果、相続人はそれぞれ取得する財産を、被相続人から遺産相続したこととなります。

もっとくわしく!

共有状態にある間に、相続財産である不動産から得られた賃料は、相続人間で、法定相続分に応じて分けることとするという判例があります(最高裁平成17年9月8日判決)。

その後に、不動産を、法定相続分とは異なる割合で遺産分割したとしてもこれは変わりません。

そのため、遺産分割の結果、不動産の分割割合が、法定相続分とは異なることが予想される場合(たとえば、同居の配偶者がすべて取得する場合など)には、特に早めの遺産分割が必要となります。

相続相談は、「相続財産を守る会」にお任せください!

今回は、相続に関する基本的な用語である「遺産相続」、「遺産分割」の意味と、それぞれの用語の意味の違いについて解説しました。

遺産相続と遺産分割は異なる手続をあらわしているので、区別して使い分けてください。

簡単にいうと、人の死亡によって「遺産相続(相続)」が発生し、その後に、共有状態の財産について「遺産分割」が起こり、その効果が相続開始時にさかのぼる、ということです。

相続人が複数のとき、相続財産(遺産)を獲得するためには遺産分割が必要ですが、遺産分割に付随する手続きには、期限があるものもありスピーディに進めなければなりません。

ご相談の予約はこちら

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所は、銀座(東京都中央区)にて、相続問題、特に、遺言・節税などの生前対策、相続トラブルの交渉などを強みとして取り扱う法律事務所です。 同オフィス内に、税理士法人浅野総合会計事務所を併設し、相続のご相談について、ワンストップのサービスを提供しております。

-相続の相談窓口

Copyright© 相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会 , 2023 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.