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不動産相続

土地を分筆して相続するメリットと節税の具体例を、弁護士が解説!

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面積が広く、形もよい土地は、使い勝手がよいため、土地の価値が高く、その土地をおもちの所有者の方にとっては、とても大切な資産です。

しかし、相続の場面では、そのような広く使い勝手のよい土地が、逆に、「相続税の対策をどうすべきか」、「誰に相続させるのか」など、なやましい財産にもなってしまいかねません。

財産的価値の高い不動産であるからこそ、争いの火種になったり、相続税の課税対象となったりなど、多くの問題を引き起こすのです。

今回は、そのような土地を相続する場面で使えるテクニックとしての「分筆(ぶんぴつ)」について、そのメリットや注意点、「分筆」を活用することが考えられる具体的な例を、相続に強い弁護士が解説します。

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不動産相続

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不動産相続

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不動産相続

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不動産相続

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不動産相続

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広く使い勝手のよい土地の相続時のトラブルとは?

「広く使い勝手のよい土地」というと、とても財産的な価値が高く、相続財産(遺産)の中にそのような土地があることは、相続人にとって喜ばしいメリットしかないと考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、「広い土地」、「使い勝手のよい土地」を相続するときに発生する、典型的なトラブルとしては、以下のものがあります。弁護士が、順に解説していきます。

誰がどのように相続するかで争いになる

広く、使い勝手のよい土地は、価値が高いので、その土地をほしがる相続人は多いです。複数の相続人がその土地を自分で使いたいと思えば、誰がその土地を相続するかで、争いになってしまいます。

土地の価値が大きければ、土地そのものは不要と考える相続人であっても、代わりに、多額のお金を支払うよう求めるのが通常です。そうすると、土地を相続したいと考える人は、その相続人に支払うお金を用意しなければなりません。

このように、「広く使い勝手のよい土地」が相続財産(遺産)となると、「誰が、どのようにその土地を相続するか」でトラブルとなり、「争続」となってしまうケースがあります。

参 考
遺産分割協議がもめる理由と対処法は、こちらをご覧ください。

「遺産分割協議」とは、法定相続人や、遺言によって相続人に指定された人が、相続財産(遺産)をどのように分けるかについて話し合いをする協議のことです。 遺産分割協議は、あくまで話し合いですから、円満に解決 ...

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相続税の計算における評価額が高くなる

広く使い勝手のよい土地は、相続税を計算する際の、土地の評価額も、高くなってしまいがちです。

土地の評価額が高くなれば、その分だけ、相続税も高くなってしまいますので、相続人の負担が大きくなってしまいます。

相続税は、「3000万円+600万円×法定相続人の人数」という基礎控除額を下回る場合には相続税はかかりませんが、「広く使い勝手のよい土地」の評価額は数千万円、数億円など、相続税の基礎控除を大きく越えることも少なくありません。

参 考
相続税がかかるかどうか調べる方法は、こちらをご覧ください。

相続税がかかるかどうかは、相続財産の金額によって異なります。具体的には、相続税法が「基礎控除」の金額を定めており、相続財産の金額がこの基礎控除額の範囲内であれば、相続税はかかりません 一方、相続税法は ...

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土地の「分筆」で問題解決する方法

「広く使い勝手のよい土地」が、さきほど説明した様々な問題の引き金となってしまうことを理解していただいた上で、これらの問題を解決するための1つの方法として、土地の「分筆(ぶんぴつ)」について説明します。

土地の「分筆(ぶんぴつ)」とは、1つの土地を2つ以上の土地にわけることです。

土地を「分筆」することで、1つの土地を、2つ以上の土地にわけて、別々の登記をすることができます。土地を分筆して別々の登記にすれば、分筆された複数の土地を、ばらばらに処分することもできるようになります。

2つ以上の土地に分けるといっても、土地の間に線を引いたり、柵を建てたりする必要はありません。土地を測量するなどして、2つの土地が、登記簿や図面などから、別々の土地であると分かるようにしておくのです。

土地の「分筆」のメリット

土地を分筆することを検討している場合には、土地を分筆することで得られるメリット・デメリットを比較する必要があります。

なお、土地の分筆は、相続開始後、つまり被相続人がお亡くなりになった後でも、行うことができます。相続税を減らす対策となる「土地の分筆」ですが、相続開始後であっても行うことができるので、相続が始まった後の相続税対策としても、ぜひ活用を検討してください。

土地の分筆で、相続の際に得られるメリットには、次のものがあります。

参 考
相続財産に占める土地の割合が高いときの対処法は、こちらをご覧ください。

相続財産の中で、最も大きな割合を占めるのが、不動産の評価額、特に、土地の評価額である場合が多いです。 不動産(土地・建物)を所有している方がお亡くなりになって、その土地の評価額よりも多額の現金・預貯金 ...

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【メリット1】分筆して別々の相続人が相続できる

メリットの1つ目は、1つの土地を複数の土地に分割することで、別々の相続人が相続できるというメリットがあります。1つの土地を、別々の相続人が相続できれば、相続財産(遺産)の分け方を、より柔軟に決めることができます。

特に、相続財産(遺産)にしめる土地の割合が大きい場合には、土地をそのままにしていれば、その土地を誰が相続するかで争いになり、「争続」となってしまうことはさけられません。

相続人の1人が土地全体を相続したいと考えた場合には、他の相続人には、代わりにお金を支払わなけばなりませんが、その金額が大きくなり過ぎて、資金を用意できないこともあります。

最悪の場合には、土地を売却してお金にかえるしか方法がなくなることもあります。

【メリット2】相続税を節税できる

土地を分筆するメリットの2つ目は、土地をうまく分筆すれば、相続税の計算上、1つの土地のまま相続する場合とくらべて、相続税の額を低くおさえることができる点です。 

2つの道路に面した「便利な」土地を分筆して、1つの道路にしか面しない土地2つに分ければ、その分筆されたそれぞれの土地は、1つの道路にしか面していない、分筆前よりも「不便な」土地として評価されます。

土地が「便利」か「不便」かによって、相続税の計算上、土地を評価額の計算方法が変わります。相続税の計算上、土地の評価額を下げることができれば、相続財産(遺産)の額が低くなり、相続税も低くおさえることができます。

相続発生前の生前に、土地の分筆を済ませておけば、土地の分筆にかかった諸費用も、相続財産(遺産)から支払うことができます。

参 考
相続税を安くする節税対策の基本は、こちらをご覧ください。

相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内に、税務署に対して申告し、納税しなければなりません。節税対策を全く行っていないと、相続税があまりにも高額となり、期間内に払いきれない危 ...

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【メリット3】分筆した土地の一部を売却できる

1つの土地を複数の土地に分筆することで、その一部を第三者に売却することもできるようになります。土地を分筆することで、それぞれの土地を登記できるようになり、別々に処分することができるのです。

相続税をおさめるためのお金を相続人がもっていないという場合であれば、このような方法により、お金を用意することもできます。

また、相続人の一人は、自分が住むための土地として使いたいが、他の相続人は、他に住む家をもっているのでお金がほしいという場合も、土地を分筆することで、それぞれの希望をかなえることができます。

土地の「分筆」の注意点

土地を分筆することによる相続の生前対策・節税対策について解説しましたが、しかし、土地の分筆には、メリットだけでなく、注意しなければならない点もあります。

そのため、土地の分筆をすればするほどよい、ということではなく、ケースに応じて、分筆することが適切かどうかを考えなければなりません。以下では、土地分筆のデメリット・注意点について、弁護士が説明します。

分筆後の土地が単独で使えるように分ける

土地を分筆する場合には、分筆してできたそれぞれの土地を、単独で使えるように分けてください。

遺産分割によって、土地を2つに分筆したが、そのうちの1つの土地が道路に接しない狭い土地で、単独では使えない土地にしてしまうと、問題があるからです。

単独では利用することの難しい土地を作り出すような分筆は、合理性がなく、相続税の計算をするときにも不合理な分筆であるとして認められない(1つの土地とみなされる)危険があります。

特に、土地が2メートル以上、道路に接していない場合、実態のない不合理な分筆であると判断されやすくなります。

分筆費用がかかる

土地を分筆するためには、土地家屋調査士に、測量をしてもらって、土地の境界を決めてもらうための費用がかかります。

費用は、土地の大きさや形、隣接する土地の所有者の数、土地が接する道路が公道であるか私道であるかなどによって変わりますが、最低でも40~50万円程度が一般的です。土地の形が複雑だったり、交渉しなければならない隣地所有者の数が増えると、100万円以上の費用がかかることもあります。

節税のために土地を分筆するのであれば、その土地を分筆することによって本当に節税効果がえられるのかどうかを、相続税に強い税理士に相談することが欠かせません。税理士の相談費用も、考慮にいれておく必要があります。

分筆には時間がかかる

土地を分筆する場合には、測量や、隣地所有者との交渉などの時間がかかるため、少なくとも3ヶ月程度はかかると考えておくべきです。すぐに分筆ができるわけではありません。

相続税には申告期限(相続開始から10カ月以内)があるため、土地の分筆をお考えの場合は、それに間に合うように分筆のための手続きを進める必要があります。

分筆した土地の相続方法でもめないようにする

土地をお持ちの方が、のこされた家族が相続しやすいように土地を分筆したのに、その分筆した土地の相続方法をめぐって、ご家族が争ってしまったのでは、何の意味もありません。

分筆されたそれぞれの土地の価値が大きく違ったり、土地の使いやすさが違うために、誰がどの土地を相続するかで「争続」となることなどは、トラブルの原因となります。

相続にそなえて土地を分筆するのであれば、あらかじめ、それぞれの相続人が土地を相続したいのか、それともお金がほしいのかという点や、分筆した場合にどの土地がほしいのかといった点を、確認しておくべきです。

その上で、あとで相続人間で紛争にならないように、誰がどの土地を相続するのか、どの土地を売却するのかを、十分に話し合って決めておくべきです。

土地の分筆で節税できる具体例3つ

以下では、土地分筆により節税が可能となる具体的な事例3つを、相続に強い弁護士が解説します。

なお、実際にえられる節税効果は、土地の状況や、相続人の財産の状況によっても異なります。そのため、実際に土地の分筆を検討する場合には、弁護士とともに、かならず、相続税に強い税理士に相談する必要があります。

参 考
土地を分筆すべき5つのケースは、こちらをご覧ください。

「分筆」という言葉をご存知でしょうか。不動産登記の専門用語で、1つの土地を2つ以上に分けることを「分筆」といいます。具体的には1つだった土地の登記を、2つ以上の登記簿謄本に載るように分割することです。 ...

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2つの道路にはさまれた土地を、1つの道路に面する土地に分筆する

土地が、たとえば東西の2つの道路にはさまれている場合があります。このような土地は、2つの道路に面する「便利な」価値の高い土地であるとして、相続税を計算する際の評価額が、高くなることがあります。

このような土地を、たとえば中央で区切って、東側の道路に面した土地と、西側の道路に面した2つの土地に分筆する対策があります。各土地が1つの道路に面するだけの土地として評価されるため、相続税の計算上、土地全体の評価額を、分筆前よりも低くおさえることが可能です。

なお、この場合であっても、土地を完全に同じ面積ごとに等分する必要はありません。

角地を2つの土地に分筆する

土地が角地にあって、2面が道路に面している場合(たとえば東側と南側にL字のように道路に面している場合)には、その土地はとても「便利な」土地として、相続税を計算する場合の土地の評価額は、高額となる場合があります。

この土地を2つの土地に分筆することで、角地の土地と、1つの道路にだけ接する土地に分ければ、1つの道路にだけ接する土地は、角地のままで評価する場合よりも、評価額が下がります。

そのため、土地全体としての評価額を、分筆前よりも低くおさえることが可能です。

1つの道路に面する土地を2つに分筆する

1つの道路にだけ面した土地であっても、広い土地であれば、それを分筆することによって、土地全体の相続税上の評価額を下げる方法があります。

たとえば、1つの土地を、次のように区切ると、2つの土地はいずれも土地に面しているので、土地の上に建物を建てることが可能となりますが、図の土地Bのような土地は、その形から「旗ざお地」と呼ばれ、元々の1つの土地のままにしておくよりも、評価額を下げることが可能になります。

土地Bの上に建物を建てるためには、土地Bは、2メートル以上、道路と接していなければなりません。

不動産相続は、「相続財産を守る会」にご相談ください!

今回は、土地を分筆することによって相続にそなえる方法について、弁護士が解説しました。

土地を分筆することで、相続財産(遺産)を分けやすくしたり、相続税を節税したりできますが、事前に、信頼できる税理士土地家屋調査士に相談すべきです。分筆した土地にマンションを建てるなどの土地活用や、売却を考える場合は、あらかじめ、信頼できる不動産会社にも相談しておくことが必要です。

「相続財産を守る会」では、相続に強い弁護士、税理士などの専門家や、土地の活用に強い不動産会社などが協力して、あなたの相続対策を強力にサポートいたします。土地の分筆をふくめた相続対策(生前対策、相続開始後の対策)は、「相続財産を守る会」にお任せください。

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弁護士法人浅野総合法律事務所

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