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遺産分割

遺留分とは?誰がいくらもらえる?計算方法は?【弁護士解説】

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相続の専門用語である「遺留分」の考え方について、弁護士が、わかりやすく解説します。

「遺留分」とは、ご家族がなくなったときに発生する、「相続人が、これだけはもらえる。」という財産の割合のことです。

相続が発生するとき、次のようなご希望から、民法に定められた相続の割合(法定相続分)どおりでない分割方法となることがあります。

よくある相続相談


相続財産(遺産)にかかる相続税を、できるだけ安くしたい。
相続財産(遺産)の維持、増加に貢献した人に、できるだけ多くの財産を残したい。
被相続人(亡くなったご家族)に対する愛情の少ない人に、できるだけ財産を残したくない。

このような相続相談から、ご家族がお亡くなりになる前から、遺言・生前贈与などによって「生前対策」を行うわけです。

そこでまずは、「遺留分」の基礎知識について、誰が、いくらもらえるのか、また、その具体的な計算方法を知っておきましょう。

注意ポイント

「生前対策」によって、「遺留分」が侵害されると、侵害された相続人は「遺留分侵害額請求権」を行使することで救済を図れます。

2018年の相続法改正で、「遺留分減殺請求権」と呼ばれていた救済方法は、「遺留分侵害額請求権」と改称されます。

弁護士
浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区)、代表弁護士の浅野です。この記事の解説は、私が監修しています。

相続人であるにもかかわらず、遺言生前贈与の結果、本来であればもらえたはずの相続財産を、もらえない結果に終わってしまうことがあります。

「遺留分」とは何か、特に、相続人の立場にある方にとっては、「具体的には、いくらの『遺留分』があるのか」を知っておくことが、相続人としての権利を侵害されないために重要です。

ご家族がお亡くなりになったときの「相続」とは?

ご家族がお亡くなりになると、「相続」が発生します。

「相続」のやり方(分割方法)は、民法という法律に詳しく定められています。相続が発生し、遺言などの特別な事情がないときは、民法にしたがって、相続財産を分けることが原則です。

民法にしたがった「相続」のときの分割方法は、次のとおりです。

相続人の範囲

ご家族がお亡くなりになったとき、民法にさだめられた相続人が、お亡くなりになった方の相続財産を承継します。

この民法に定められた相続人のことを「法定相続人」といいます。

民法に定められた「法定相続人」は、次の順序で、簡単にご理解いただくことができます。

ポイント

  1. 配偶者(夫もしくは妻)は、必ず法定相続人となります。
  2. お亡くなりになった方に「子」がいる場合、必ず法定相続人となります。
  3. お亡くなりになった方に「子」がいない場合、直系尊属(父母、祖父母など)が法定相続人となります。
  4. お亡くなりになった方に「子」「直系尊属」のいずれもいない場合、兄弟姉妹が法定相続人となります。

以上が、民法に定められた「法定相続人」についての考え方です。ただし、相続財産を受け取りたくない場合には相続を放棄することができ、相続を放棄した場合には、はじめから相続人ではなかったものとされます。

「内縁」の方は、法定相続人の範囲には含まれません。

相続できる財産

ご家族がお亡くなりになったときの、相続人の範囲についてご理解いただけたでしょうか。

具体的に、相続人の範囲を知っていただくためには、登記・戸籍の調査が必要となります。

「誰が相続人なのか。」を知ることができたら、次は、相続人のもらえる相続財産(相続分)を知る必要があります。民法で定められた相続分(「法定相続分」といいます)は、次のとおりです。

ポイント

  • 相続人が、配偶者と子のケースにおける「法定相続分」
    :配偶者の相続分=1/2、子の相続分=1/2
  • 相続人が、配偶者と直系尊属のケースにおける「法定相続分」
    :配偶者の相続分=2/3、直系尊属の相続分=1/3
  • 相続人が、配偶者と兄弟姉妹のケースにおける「法定相続分」
    :配偶者の相続分=3/4、兄弟姉妹の相続分=1/4

「配偶者」は、1人に限りますが、「子」、「直系尊属」、「兄弟姉妹」は、複数いる場合があります。この場合、それぞれの相続分を、人数で均等に分割することになります。

遺言などがなく、遺産分割協議をしても分割方法が決まらないときは、原則として、「法定相続分」にしたがうことが基本です。

遺留分とは?

遺留分とは、ここまで解説してきた民法によって相続することのできる相続人の相続分を、一定の割合で保障する制度のことをいいます。

民法という法律にしたがった分割方法をとらなければならないわけではありませんが、民法とは異なる分け方で相続財産を分けた場合であっても、相続人には一定の財産が保障されるということです。

お亡くなりになったご家族の意思で、「生前贈与」「遺言・遺贈」が行われたとしても、遺留分は奪われません。

「遺留分」は、配偶者、子、直系尊属にのみ存在し、兄弟姉妹には「遺留分」は認められていません。

遺留分が問題となる具体例

遺留分が問題となる、相続における具体的な場面について、例をあげてみてみましょう。

たとえば・・・

相続手続きの中で、遺留分が問題となるケースをあげてみます。

お亡くなりになった夫に、相続人以外に愛人がいて、夫が遺言によって「愛人にすべての財産を相続させる」と記載してしまったケースを考えてみましょう。

この場合、「愛人にすべての財産を相続させる」という分け方は、民法にしたがった分割方法ではありませんが、遺言書が有効に作成されていれば、お亡くなりになった夫の意思は尊重されます。

この遺言書にしたがって相続財産を分けた結果、残された妻と子は、住んでいた家を失い、これまで得られていた生活費も得られなくなるとなれば、路頭に迷いかねません。

夫の介護を愛人が献身的に行っており、家族は見放していた、というケースであればまだしも、相続財産の形成にご家族が貢献していたのであれば、あまりに不利益が大きいといえるでしょう。

そこで、遺留分制度は、妻・子の相続できたはずの財産について、一定割合で保障しているのです。

生前贈与の例

お亡くなりになったご家族が、お亡くなりになる前に、「生前贈与」を行った場合、相続手続きにおいて遺留分が問題となり得ます。

「生前贈与」とは、生きているうちに財産を誰かに贈与することをいいます。「生前贈与」の相手は、第三者でも相続人でも構いません。

相続税対策であったり、誰かに必ず財産を承継したいという希望を叶えることを目的として、「生前贈与」が行われますが、これによって、相続人の遺留分が侵害されかねません。

死因贈与の例

お亡くなりになったご家族が、生前に、「死因贈与」を内容とする契約を締結していた場合にも、相続手続きにおいて遺留分が問題になり得ます。

「死因贈与」とは、死亡を原因として財産を贈与する契約のことです。

「死因贈与」の相手方も、相続人の場合と、第三者の場合とがありますが、いずれにおいても、遺留分を侵害する場合があります。

相続分指定の例

お亡くなりになったご家族が、遺言によって、相続分を指定することがあります。

「相続分の指定」とは、「この財産を、相続人Aに渡す」という遺言ではなく、「相続財産の○%を相続人Aに与える」というように、相続分を、民法に定められた決まりとは異なる内容とすることをいいます。

遺言によって「相続分の指定」が行われたとき、その指定の内容によっては、遺留分が侵害されます。

生命保険受取の例

生命保険の受取人が、相続人のうち1人と指定されていた場合も、遺留分を検討しなければならない場合があります。

特定の相続人を受取人にした生命保険は、原則として、遺産分割の対象とはならないとされていますが、著しく不公平なときは、遺留分の対象とすることを考えなければなりません。

「誰が」、「いくら」の遺留分をもらえる?

「遺留分が、どのような場面で問題となるか。」を理解いただいたところで、具体的に、「誰が」、「いくら」の遺留分をもらうことができるかを解説します。

遺留分は「誰が」もらえる?

遺留分をもらうことができる人は、民法に定められています。

遺留分をもらえるのは「誰か」は、相続人の中でも、特に遺留分による保護の必要な、次の続柄の人に限られています。

ポイント

  • お亡くなりになったご家族の「配偶者」
  • お亡くなりになったご家族の「子」
  • お亡くなりになったご家族の「直系尊属(両親・祖父母)」

「兄弟姉妹」には、遺留分はありません。

これに対して、胎児や、代襲相続をした人にも、遺留分が認められています。

「代襲相続」とは、相続をするはずの相続人が死亡していたときに、その子が相続をすることをいいます。

遺留分は「いくら」もらえる?

「誰が」遺留分をもらえるのかを理解していただいたところで、遺留分をもらえる人にとって、では「いくら」の遺留分がもらえるのか、が重要ではないでしょうか。

遺留分が「いくら」なのかについても、その計算方法は、民法に定められています。遺留分の算出は、次の計算式で求められます。

ポイント

遺留分 = 相続財産 × 遺留分率 + 法定相続分の割合

遺留分率は・・・

  • 法定相続人が、「直系尊属のみ」の場合
    :相続財産の1/3
  • 法定相続人に配偶者、もしくは、子がいる場合
    :相続財産の1/2

とされています。

遺留分の計算の具体例

さきほど、遺留分の計算式をご紹介しましたが、具体例にしたがって、遺留分の計算方法を、よりわかりやすく説明していきます。

たとえば・・・

Xさんがお亡くなりになり、その相続人には、妻のYさん、子のAさん、Bさんがいました。

財産は全部で6000万円で、住宅にはローンが2000万円のこっていました。Xさんが、生前に遺言書で、「妻のYさんにすべての財産を相続させる」と書いていました。

この場合、子のAさんの遺留分は、いくらになるでしょうか、計算してみましょう。

まず、遺留分の基礎となる財産の総額は「4000万円(6000万円ー2000万円)」です。

そして、法定相続人が、妻と子の場合ですので、法定相続分は、妻Yさんが1/2、子Aさん、Bさんがそれぞれ1/4となります。

全体の遺留分は、1/2であるため、子Bさんの遺留分は「1/8(=1/4×1/2)」となり、これを4000万円に乗じますので、遺留分の金額は「500万円」です。

上記の具体例のように、遺留分を算出するために、必要となる調査方法、計算方法について、順に解説します。

相続財産を調べる

遺留分を計算するときに、基礎となる相続財産の金額は、相続開始のときに、お亡くなりになったご家族がもっていた財産の金額です。

具体的には、次の計算式によって算出されます。

ポイント

相続開始時の相続財産の金額 + 贈与財産の金額 - 相続債務の金額

遺留分を計算する目的で相続財産を調べるにあたって、注意しておいていただきたいのは、「相続財務を控除すること」と、「贈与財産を遺留分の対象とすること」の2点です。

お亡くなりになった方が、贈与をした財産のうち、遺留分を算定するときに対象としなければならないのは、次の財産です。

ポイント

  • 相続開始直前の1年間に行われた生前贈与
  • 贈与の当時者双方が、遺留分を侵害することを知って行った贈与
  • 不相当な対価で行われた有償による財産の移転
  • 特別受益と評価される贈与

相続人を調べる

次に、遺留分の計算式は、どのような相続人が、何人いるのかによって異なります。

そのため、遺留分を算定するためには、お亡くなりになったご家族の相続人が誰なのかを調べなければなりません。

この「相続人調査」は、お亡くなりになったご家族の戸籍、住民票をたどることによって行うことができます。調査結果は、「家系図」のような形で、関係図にまとめておくと便利です。

遺留分を計算する

対象となる相続財産の金額、相続人の範囲がわかったら、遺留分の算定式にあてはめて、遺留分を計算することができます。

個々の相続人が有する遺留分についての権利を、「個別遺留分」といいます。

「個別遺留分」は、全体の遺留分に、法定相続分の割合をかけることによって求めることができます。

侵害の有無を調べる

遺留分がわかると、「自分が、本来であれば、いくらの相続財産をもらうことができたのか。」を知ることができます。

そのため、想定していた金額を下回る額の財産しかもらえない場合には、遺留分を侵害されている可能性を考えた方がよいでしょう。

遺言、生前贈与、死因贈与など、遺留分を侵害する原因はさまざまです。遺留分を侵害した原因を特定することで、「誰に対して、どのような請求をすれば遺留分を取り返せるのか」を知ることができます。

遺留分の請求には、期限がある

遺留分を守るための請求権を、「遺留分減殺請求権」といいます。この遺留分減殺請求権には、期限があります。

遺留分を侵害した側にとっても、いつまでも遺留分減殺請求権を行使される可能性があるとすれば、承継した財産を有効に活用することができないからです。

遺留分減殺請求権を、「時効」、「除斥期間」による期限よりも前に行ったことを明らかにするため、後日の紛争を避けるためにも、意思表示は「内容証明郵便(配達証明付き)」の形式で、証拠に残しながら行いましょう。

消滅時効=1年

遺留分減殺請求権利の消滅時効は「1年」と、民法で決められています。

そして、この消滅時効「1年」の起算点は、次のいずれかの事実を知ったときから進行することとされています。

  • 相続の開始を知ったとき
  • 減殺すべき贈与があったことを知ったとき
  • 遺贈があったことを知ったとき

なお、これらの認識は、単に贈与や遺贈があったことを知っていただけでは時効は進行せず、「遺留分が侵害されることを知った時点」から進行するものと考えられています。

つまり、「遺産のすべてを奪われた。」というわかりやすいケースでもない限り、具体的な相続財産の内容、相続人の内容を調査によって知らなければ、遺留分の時効は進行しないケースが多いでしょう。

除斥期間=10年

遺留分減殺請求権の消滅時効が到来しなくても、相続の開始時から「10年」を経過することによって、権利が消滅するものとされています。

この権利の消滅は「除斥期間」といわれ、消滅時効とは異なり、一定の期間の経過によって当然に権利が消滅します。

このことは、その相続人が、「遺留分を侵害されていることを知らなかった」としても同様に、遺留分減殺請求権は消滅します。

相続問題は、「相続財産を守る会」にお任せください

いかがでしたでしょうか。

今回は、「相続人として、想定していた財産よりももらえた財産が少なかった」というご相談について、弁護士がくわしく解説しました。

相続人が、想定していたよりも少ない財産しかもらえなかったとき、「遺留分」を侵害されていないかを検討します。この際、「遺留分」についての基礎知識を正確に理解していただく必要があります。

当会では、「遺留分」について数多くの相談実績があり、相談者の状況に応じて、適切な「遺留分」を計算した上、請求方法を検討します。

「遺留分」を侵害され、相続人に対する請求をすることをお考えの方は、ぜひ、「相続財産を守る会」にご相談ください。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

「遺留分」の考え方は、非常に難しいですが、できるだけわかりやすく、具体例をあげて解説しました。

今回の解説をご覧になっていただくことで、次のことをご理解いただけます。

解説のまとめ

「遺留分」の基本的な知識
「遺留分」を、誰が、いくらもらえるのか。
ケース別の「遺留分」の算出方法・調査方法

相続財産を守る会では、相続に強い弁護士だけでなく、税理士、司法書士などの他の士業、不動産会社、FP、保険会社などが一丸となって、あなたの相続のサポートをします。

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