相続財産(遺産)を守る専門家(弁護士・税理士)が解説!

相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会

遺産分割

遺留分減殺請求の期限はいつまで?時効・除斥期間は?

投稿日:

相続開始からある程度たった後ではじめて、「自分の相続した財産が少ないのではないか」、「不公平な相続で権利を侵害されたのではないか」と気づいたとき、どのように対応したらよいでしょうか。

民法で最低限相続できることが保障されている「遺留分減殺請求権」の行使には、「時効」、「除斥期間」という2つの期限があり、いつまででも権利行使できるわけではありません。一方で、「時効」については中断する方法があり、きちんと対応しておけば、期間が経過した後でも遺留分を取り戻せます。

そこで今回は、遺留分減殺請求権の「時効」、「除斥期間」という2つの期限と時効中断の方法について、相続に強い弁護士が解説します。

「遺産分割」の人気解説はこちら!

遺産分割

2018/11/13

相続財産をもらいすぎた人への対応は?特別受益で調整する方法

遺言や、お亡くなりになった方の生前の贈与によって、相続財産(遺産)をもらいすぎの人がいるとき、相続人はどのように対応したらよいのでしょうか。 相続財産を守る会には、「特別受益」に関する次のようなご相談がよく寄せられます。 よくある相続相談 兄が親と同居しており、親が亡くなる前に多額の生活費をもらっていた。兄は相続財産をもらいすぎではないか? 妹は結婚の際に多額の支度金をもらっていたが、自分はもらわなかった。妹だけお金をたくさんもらって不公平ではないか? 他の相続人から「遺産をもらいすぎだ」と言われているが ...

ReadMore

遺産分割

2018/12/29

子どもの一人にできるだけ相続財産(遺産)を残さない6つの方法

家庭内に問題があり、子供の1人に、相続財産(遺産)を一切残したくない、という相続相談が少なくありません。しかし、さまざまな方法があるものの「100%必ず、子供の1人に相続財産を与えない」方法はありません。 一般的には、「子どもにできるだけたくさんの財産を残してあげたい」というのが親心でしょうが、中には「勘当した」「縁を切った」「子がどこにいるか、生死もわからない」というご家庭もあります。 一方で、「子どもに与えるくらいなら、配偶者(夫や妻)、近しい友人に財産をもらってほしい」という想いを実現する方法もあり ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/13

遺留分減殺請求権の行使方法を、弁護士がわかりやすく解説!

相続が開始されたときに、相続財産をどのように引き継ぐ権利があるかは、民法に定められた法定相続人・法定相続分が目安となります。 しかし、お亡くなりになった方(被相続人)が、これと異なる分割割合を、遺言によって定めていた場合、法定相続人の法定相続分を少しでも権利救済する目的で設けられた制度が、「遺留分減殺請求権」です。 今回は、遺留分減殺請求権を行使するための方法を、相続に強い弁護士が順にわかりやすく解説します。 [toc] 相続財産を守る会を運営する、弁護士法人浅野総合法律事務所では、相続問題と遺産分割協議 ...

ReadMore

遺産分割

2018/10/25

代襲相続とは?範囲・割合をケースごとに弁護士が解説!

「代襲相続」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。「代襲相続」を知ることによって、いざ相続が発生したとき、誰が、どれだけの遺産(相続財産)を相続できるかがわかります。 通常、相続が発生したときには、民法という法律に定められた相続人である「法定相続人」が相続をするのが原則となります。 しかし、「法定相続人」が、相続が発生したとき、既に死亡してしまっていた場合に発生するのが「代襲相続」です。 そこで今回は、「代襲相続」が起こるケースで、相続は具体的にどのように進むのか、「代襲相続」の範囲、割合など ...

ReadMore

遺産分割

2019/4/15

異母兄弟には相続権がある?相続分の割合は?【弁護士解説】

「相続人が誰か?(誰が相続権を持っているか?)」を考えるとき、現代の家族関係の複雑さが、問題を難しくすることがあります。 近年では、「3人に1人が離婚する」といわれているように、離婚率が非常に高い状況となっています。そのため、離婚にともなって、意図している場合、意図しない場合いずれも、「異母兄弟」が相続人となるケースがあります。 特に、バツイチ同士が、子連れで再婚した、という場合、誰が相続権を持つのか、また、異母兄弟の具体的相続分はいくらなのか、計算が複雑化することも少なくありません。 今回は、異母兄弟の ...

ReadMore

[toc]

遺留分減殺請求権の2つの期限とは?

そもそも「遺留分減殺請求権」とは、民法で、兄弟姉妹以外の法定相続人が最低限相続できることを保障された「遺留分」を、遺贈や生前贈与などによって侵害されたときの救済策のことです。

遺留分を有している法定相続人は、配偶者(夫や妻)、子、直系尊属(両親、祖父母)やその代襲相続人であり、兄弟姉妹は遺留分を認められていません。

参 考
遺留分減殺請求権を弁護士に相談するメリットは、こちらをご覧ください。

遺留分減殺請求は、多くの相続手続きの中でも、難しい法律問題を含んでおり、「争続」にもなりやすいため、弁護士に相談・依頼したほうがよい手続であるといえます。 遺留分減殺請求権を行使すると、権利行使をされ ...

続きを見る

遺留分減殺請求の期限については、民法の条文で、次のように定められています。

民法1042条

減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

この民法の規定を読んでいただければわかるとおり、遺留分減殺請求権には、「1年」と「10年」という2つの期限があり、それぞれ別々に進行します。2つの期限について弁護士が詳しく解説します。

消滅時効:相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年

遺留分減殺請求には「消滅時効」があります。「消滅時効」とは、法律で定められた一定の期間が経過したときに、対象となる権利を消滅させる制度であり、消滅した権利は行使することができません。

権利を行使せずに長期間経過した場合、「もはや権利は行使されないだろう」という期待を保護し、安定性を高めることが目的とされています。

遺留分減殺請求権の消滅時効は「1年」であり、1年の起算点は、「相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時」とされています。つまり、相続が開始したことを知らなかったり、遺留分を侵害する贈与・遺贈を知らなかったりすれば、時効期間は進行しません。

相続の開始や遺贈・贈与のことを「知った」といえるためには、これらの事実だけでなく、これによって「遺留分が侵害されたこと」を知ったという状態でなければ、時効期間は進行しないものとされています。

ただし「遺留分を侵害されていること」を知ったといえる状態であるかどうかは、相続財産の調査、遺留分の計算方法について理解する必要があります。自分の遺留分が侵害されているかどうか、ご心配な場合には、弁護士にご相談ください。

参 考
遺留分減殺請求権の行使方法は、こちらをご覧ください。

相続が開始されたときに、相続財産をどのように引き継ぐ権利があるかは、民法に定められた法定相続人・法定相続分が目安となります。 しかし、お亡くなりになった方(被相続人)が、これと異なる分割割合を、遺言に ...

続きを見る

除斥期間:相続開始の時から10年

ここまで解説したとおり、相続開始や、遺贈・生前贈与により遺留分が侵害されていることを知っていなければ、消滅時効は進行しませんが、一方で、除斥期間は、これらを知らなくても進行します。

除斥期間とは、権利の存続期間のことをいい、中断などはなく、一定の期間が経過すると権利が消滅して行使できなくなる制度のことです。

そして、遺留分減殺請求権の除斥期間は、相続開始から10年間とされています。つまり、相続開始を知らなかったり、遺贈や生前贈与によって遺留分を侵害されていることを知らなくても、相続開始から10年経過後は、遺留分減殺請求ができません。

遺留分減殺請求の期限を過ぎてしまったら?

遺留分減殺請求の2つの期限(時効・除斥期間)について解説しました。これらの期限を過ぎてしまえば、どれほど不公平な遺言が存在していても、どれだけ多額の金銭請求ができるはずであったとしても、もはや権利行使はできません。

しかし一方で、遺留分減殺請求権の消滅時効期間は1年ととても短く、その間に相続人調査と財産調査を進め、遺言を調査し、遺留分が侵害されているかどうかを理解することは、専門家の助けを借りなければ非常に困難です。

実際、相続開始(被相続人の死亡)から1年を過ぎてから、弁護士のもとに法律相談に来られる方はとても多くいます。

相続開始(被相続人の死亡)から1年が過ぎていたとしても、まだ10年経過していない場合には、「消滅時効期間が経過していない」という主張が可能な場合があります。例えば、次の場合です。

ポイント

  • 相続が開始したこと(被相続人が死亡したこと)をしばらくの間知らなかった。
  • 遺言が隠されており、遺留分が侵害されていたことを知らなかった。
  • 相続財産の一部が隠されており、正しい遺留分の計算ができなかった。

これらの場合には、相続開始と同時に消滅時効期間が進行しないため、相続開始から1年足っていたとしても、まだ時効は完成しておらず、遺留分減殺請求が可能です。

加えて、次に解説するとおり、消滅時効は、中断することができます。

参 考
遺産相続に強い弁護士の選び方は、こちらをご覧ください。

いざ遺産相続が起こり、弁護士に相談、依頼することが決まったとしても、一般の方の中には、「知り合いに弁護士がいない。」という方も多いのではないでしょうか。広告などで法律事務所は知っていても、手元の遺産相 ...

続きを見る

遺留分減殺請求の時効・除斥期間の中断方法

「消滅時効」の制度は、ずっと放置をしておいた権利が消滅し、行使不可能になるという制度ですので、放置をしないことによって、時効を中断することができます。逆に言うと、相続開始や、遺留分が侵害されていることを知らなければ、時効中断のための方策をとることもできませんから、時効は進行しないこととされているのです。

より詳しく説明すると、遺留分減殺請求権は、ひとたび行使すればこれによって効果を生じるため、厳密には「時効中断」というより、一度行使をすればその後は時効が進行することはありません。このような権利の性質を「形成権」といいます。

一旦権利行使の意思表示をすれば、期限などを気にする必要がなくなるということは、「意思表示を行ったという事実」を確実に証拠化しておく必要があります。具体的には、配達証明付き内容証明郵便にて、通知書を送付する形で、遺留分減殺請求を行ってください。

遺留分減殺請求を行う方法には、内容証明を送って話し合いをする方法のほかに、調停、訴訟による方法があります。「調停前置主義」のため、訴訟より先に調停を行う必要があります。

参 考
遺留分減殺請求の内容証明の書式・書き方は、こちらをご覧ください。

遺留分減殺請求権とは、民法で認められた法定相続人のうち、兄弟姉妹以外(配偶者、子、孫、直系尊属)がもつ、遺言などによっても侵害されずに相続できる相続分のことをいいます。 生前贈与や遺言による贈与(遺贈 ...

続きを見る

相続問題は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか?

今回は、不公平な遺言・生前贈与によって遺留分を侵害された相続人の方に向けて、遺留分減殺請求権の2つの期限(消滅時効・除斥期間)とその止め方について、弁護士が解説しました。

遺留分減殺請求権は、ひとたび行使すれが効果を発揮する「形成権」であるため、権利行使の意思表示をすれば、「時効中断」というより、その後は期限が進行しなくなります。しかし、きちんと証拠に残るよう行使しなければなりませんし、その後に遺留分相当額を取り戻せなければ意味がありません。

「相続財産を守る会」では、遺留分に関する紛争、トラブルを数多く担当した弁護士が、遺留分の正しい計算方法と、遺留分の確実な権利行使を、ご相談者に代わってサポートします。

ご相談の予約はこちら

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所は、銀座(東京都中央区)にて、相続問題、特に、遺言・節税などの生前対策、相続トラブルの交渉などを強みとして取り扱う法律事務所です。 同オフィス内に、税理士法人浅野総合会計事務所を併設し、相続のご相談について、ワンストップのサービスを提供しております。

-遺産分割
-, , , ,

Copyright© 相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会 , 2023 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.