相続財産(遺産)を守る専門家(弁護士・税理士)が解説!

相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会

遺産分割

特別受益とは?認められる場合・認められない場合と計算方法

更新日:

お亡くなりになったご家族から、生前に、学費や住宅の新築、建替えなど、多くの援助をしてもらった相続人と、援助を全くしてもらえなかった相続人との間で、不公平感が生じることがあります。

相続人間の、生前にお亡くなりになったご家族(被相続人)から受けた利益による不公平をなくすための制度が、特別受益です。

よくある相続相談


長男は結婚してマイホームの頭金をもらったが、次男は、独身で実家に住んでいる。
長男の私立大学の学費を全て親が出したが、次男は公立大学に通った。
娘は、結婚の際に多くの援助を受けたが、息子は全く援助を受けなかった。

民法に定められた法定相続分にしたがえば、「子」は、法定相続人として、相続財産から一律に財産を受け継ぐことができます。これは、長男であっても次男であっても同様です。

しかし、さきほどの具体例のように、生前に、被相続人から受け取った利益を調整しなければ、法定相続分のとおりでは相続人間に不公平が生じ、相続紛争の火種ともなりかねません。

そこで今回は、遺贈(遺言による贈与)、生前贈与などによって生じた、共同相続人間の不公平を調整する特別受益の考え方について、相続に強い弁護士が解説します。

「遺産分割」の人気解説はこちら!

遺産分割

2018/8/7

配偶者の取り分が増加?2018年法改正と「持戻し免除の意思表示」

2018年法改正で、「持戻し免除の意思表示」について、重要な改正がありました。 この「持戻し免除の意思表示」ですが、一般の方にはなじみの薄い専門用語ですので、今回の解説は、よくあるご相談内容をみながら、解説を進めていきます。 よくある相続相談 亡くなった夫が、「一緒に住んでいた自宅を私に与える」という遺言をのこしてくれていました。 自宅をもらえるのはありがたいのですが、自宅をもらってしまったために、逆に、預金や株式など、生活に必要な資金を十分にもらえませんでした・・・。 私たち夫婦は高齢なので、どちらかが ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/9

限定承認すべき場合とは?限定承認の方法と手続の流れを弁護士が解説

限定承認について、その方法と手続を解説します。相続人は、相続が開始した時点から、お亡くなりになった方(被相続人)の一切の権利義務を承継します。 一切の権利義務の中には、プラスの相続財産(遺産)も含まれますが、マイナスの相続財産(遺産)も含まれます。被相続人が生前に借り入れをした借金などが典型例です。 借金も相続してしまうのでは、せっかく相続財産(遺産)を得た意味がないので、どうせなら相続をしたくないです。 亡くなった私の父は、借金がかなり多く、借金の金額を合計すると、得られる相続財産(遺産)の金額を越えて ...

ReadMore

遺産分割

2019/1/24

法定相続分を超える「超過特別受益」は、返還する義務がある?

お亡くなりになった方(被相続人)から、生前贈与などによって特別な利益を得た人は、その分を遺産分割のときに調整することとなります。これを「特別受益」といいます。 特別受益の考え方は、共同相続人間の不公平を正すために、相続財産(遺産)となるはずの財産をより多く得ていた方が、その財産を相続財産(遺産)に加算して清算するためのものです。しかし一方で、法定相続分を超える財産を生前に得ていたとき、特別受益の考え方では調整ができない場合があります。 そこで今回は、法定相続分を超える財産を、被相続人の生前に得ていた「超過 ...

ReadMore

遺産分割

2018/12/2

相続放棄申述受理証明書とは?取得する必要あり?入手方法は?

相続放棄とは、相続人が、相続する権利を放棄することです。「相続しない」と宣言すること、と言ってよいでしょう。 相続をすると、亡くなった方のプラスの財産だけでなく、マイナスの財産、つまり借金・負債も引き継ぐため、亡くなった方が借金を多く抱えていた場合、借金を引き継がないために相続放棄を検討します。 相続放棄の手続きを家庭裁判所で行うと「相続放棄申述受理通知書」という書面が交付され、ほとんどの相続手続きはこの書面で進められます。 しかし、相続放棄申述受理通知書では足りず、「相続放棄申述受理証明書」を発行しても ...

ReadMore

遺産分割

2019/3/13

生前の預貯金の無断引出と、遺留分の関係は?パターン4つを解説!

ご家族がお亡くなりになったときに、「長男に全ての財産を相続させる」といった遺言があると、他の相続人の遺留分を侵害することとなります。民法で定められた最低限の相続分である遺留分を侵害された相続人は、遺留分減殺請求権によって救済を図ります。 しかし、上記のような不公平な遺言が残っていたようなケースでは、すでに、生前もしくは死後に、預貯金が無断で引き出されてしまっており、使われてしまっている場合が少なくありません。 このように、同居の家族や、遺留分を侵害するほどの財産を取得した相続人などが、預貯金を無断で引き出 ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/2

遺産分割協議の流れと、円滑な進め方のポイントを弁護士が解説!

遺産分割協議とは、ご家族がお亡くなりになってしまったときに、相続人が、遺産の分割方法について話し合いを行うことをいいます。 遺産分割協議が行われるのは、相続財産(遺産)の分け方に争いがあるケースです。例えば、次のような遺産分割協議についての相談が、相続に強い弁護士に寄せられます。 よくある相続相談 遺産分割協議を、損しないようスムーズに進めるための方法を教えてほしい。 遺産分割協議の方法、期間、期限や進め方を教えてほしい。 遺産分割協議の結果を遺産分割協議書にまとめるときの書き方(書式・文例)を知りたい。 ...

ReadMore

遺産分割

2019/1/29

遺留分減殺請求をされても不動産を失わない方法「価額弁償」とは?

民法上、相続人が最低限相続できる財産である遺留分を侵害して多くの財産を得た人は、他の相続人から「遺留分減殺請求権」を行使されるおそれがあります。 遺留分減殺請求をされたとき、不動産(土地・建物)を生前贈与や遺贈などによって得て、多くの相続財産(遺産)を得ていたとき、遺留分減殺請求の結果、その不動産が共有となってしまったり、その不動産を渡さなければならなかったりすることがあります。 「価額弁償」という方法を利用することによって、不動産を多くもらうことによって他の相続人の遺留分を侵害した人であっても、不動産を ...

ReadMore

遺産分割

2019/1/24

配偶者居住権とは?自宅に住み続けるための活用方法│2018年改正

今回は、持ち家の相続に関するお話です。不動産を所有する方の相続では、私たち相続財産を守る会の専門家にも、多くのお悩みが寄せられます。 高齢社会の進展にともなって、夫婦の一方が亡くなったときの、のこされた配偶者の年齢もまた、これまでより高齢化しています。高齢であればあるほど、「自宅に住み続けることができるか」は、死活問題です。 よくある相続相談 夫に遺言を残してもらい、一緒に住んでいた家を相続したが、預金を相続できなかったため生活費に苦しんでいる。 相続分どおりに分割協議をして、家を相続したが、その他の現預 ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/27

遺産分割に期限はある?相続で注意すべき「期限」を弁護士が解説!

「遺産分割」とは、亡くなった方(被相続人)の遺産を、相続人の間で分ける手続きです。 ご家族がお亡くなりになった後、多忙であったり、遺産分割協議が円滑に進まないまま放置されたりした結果、遺産分割が長期間にわたって行われず、不動産の登記が亡くなった方のままとなっているような事例があります。 結論からいうと、「遺産分割」自体に期限はありません。しかし、いつまでも遺産分割を行わずに放置しておくとデメリットも多くあります。というのも、遺産分割に付随するいくつかの相続手続きには、明確な期限があるからです。 そこで今回 ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/11

遺産分割協議書の書式・ひな形サンプルのダウンロードと作成方法

ご家族がお亡くなりになると、相続財産(遺産)を得るためには、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成しなければならない場合があります。 遺言がない場合や、遺言があるけれども、相続財産(遺産)の全てについての相続が記載されていないケースでは、相続人全員が協議に参加し、遺産分割協議書に実印を押印しなければ、相続財産の名義変更、処分ができません。 今回は、遺産分割協議書の作成方法を、書式・ひな形のサンプルをもとに、相続に強い弁護士が解説します。 ポイント 遺産分割協議書の書式例・ひな形のサンプルは、こちらからダ ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/6

寄与分とは?認められる場合と計算方法を、弁護士が解説!

民法に定められた法定相続人・法定相続分の考え方は、一般的に公平な遺産分割の割合であるとされていますが、実際には、法定相続分以上の貢献を主張したい相続人がいることがあります。 法定相続分を越えて、相続財産の維持、増加に貢献したことを主張する相続人の相続分を増やし、公平な相続を実現する考え方が、寄与分の考え方です。 よくある相続相談 長男は家業を手伝ったが、次男は生活費を入れなかったので、長男に多く相続してほしい。 長女が特に、被相続人の老後の看護を行ったので、長女に多く相続してほしい。 相続財産の大部分は、 ...

ReadMore

遺産分割

2019/1/15

遺言書があるか不明でも遺留分を請求できた事例【相続の解決事例】

今回は、相続相談に対して、実際に遺産相続に強い弁護士が受任し、解決に導いた事例を、「解決事例」の形式でご紹介します。 遺言書があり、民法で最低限相続できることが保障された「遺留分」を侵害されている場合には、遺留分を侵害している相続人に対して、その返還を求めることができます。 しかし、実際には、遺言書があると遺言によって相続財産(遺産)を得た相続人が単独で相続登記などを行うことができるため、「遺言書があるのかどうか」がそもそも知らされず、どうしてよいのかわからず、対応にお迷いになる相談ケースも少なくありませ ...

ReadMore

遺産分割

2018/12/14

遺産相続に強い弁護士の選び方の9つのポイント!

いざ遺産相続が起こり、弁護士に相談、依頼することが決まったとしても、一般の方の中には、「知り合いに弁護士がいない。」という方も多いのではないでしょうか。広告などで法律事務所は知っていても、手元の遺産相続問題を任せられるかどうか、不安も募るでしょう。 特に、遺産相続トラブルの場合、失敗すると損する金額がとても多額となることもあり、「絶対失敗したくない」という思いで迷い続けている方もいます。 今までに一度も弁護士と話したことのない方が、遺産相続問題を弁護士に依頼するときに、弁護士のどのような点に注意して選べば ...

ReadMore

遺産分割

2018/10/25

代襲相続とは?範囲・割合をケースごとに弁護士が解説!

「代襲相続」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。「代襲相続」を知ることによって、いざ相続が発生したとき、誰が、どれだけの遺産(相続財産)を相続できるかがわかります。 通常、相続が発生したときには、民法という法律に定められた相続人である「法定相続人」が相続をするのが原則となります。 しかし、「法定相続人」が、相続が発生したとき、既に死亡してしまっていた場合に発生するのが「代襲相続」です。 そこで今回は、「代襲相続」が起こるケースで、相続は具体的にどのように進むのか、「代襲相続」の範囲、割合など ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/12

遺産分割調停とは?申立てから調停成立までのわかりやすい手続の流れ

遺産分割調停とは、相続財産(遺産)の分割方法について、家庭裁判所において、調停委員の関与のうえで話し合いを行うことです。遺産分割協議が、いざ進めると相続人本人間だけでは思ったようにまとまらないとき利用すべき制度です。 ご家族がお亡くなりになる前は「親戚関係はうまくいっているから、相続トラブルは起こらないはず。」という家族間も、遺産分割調停が長引くケースも少なくはありません。遺産分割調停が長引くと、相続人は精神的に疲弊します。 よくある相続相談 遺産分割調停を、家庭裁判所に申し立てる方法、必要書類を知りたい ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/5

遺留分が認められる割合は?遺留分割合の計算方法・請求方法は?

相続のときに、「相続財産(遺産)をどのように分けるか」については、基本的に、被相続人の意向(生前贈与・遺言)が反映されることとなっています。 被相続人の意向は、「遺言」によって示され、遺言が、民法に定められた法定相続分のルールよりも優先します。 この遺言による財産の分け方によって損をしてしまう法定相続人を保護する考え方が、「遺留分」です。お亡くなりになったご家族の意思から法定相続人の相続分を守るための権利です。 よくある相続相談 相続人の立場で、民法の法定相続分より少ない財産しかもらえなかった。 被相続人 ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/8

相続人の確定とは?遺産分割協議の前に必要な相続人の確定方法!

ご家族がお亡くなりになったとき、遺産分割協議を始める前に、「相続人の確定」をしておくことが重要です。 「誰が相続人になるのか。」は、民法で法定相続人に関するルールが定められていますが、実際の相続のときに具体的に誰が相続人となるかは、「相続人の確定」で決める必要があります。 「相続人の確定」を、遺産分割協議の前提事項として調査しておかなければ、「知らなかった」、「発見できなかった」思わぬ相続人を見落とすおそれがあります。 そこで今回は、相続人の確定方法、相続人を確定する時期、相続人の確定にかかる費用などにつ ...

ReadMore

遺産分割

2019/1/28

代襲相続人には遺留分減殺請求権がある?認められる遺留分の割合は?

少子高齢化が進み、お子さんが生きているうちに、親のほうが先に亡くなってしまうというケースも稀ではなくなってきました。被相続人の死亡よりも前に、既に相続人がお亡くなりになっていると、その子が代わりに相続をする「代襲相続」が発生します。 代襲相続は、子が死亡しているときは孫、孫が死亡しているときは曾孫(ひまご)へと延々続いていきますが、代襲相続人の相続に関する権利は、代襲される人(お亡くなりになった相続人)と同内容の権利を持つことになります。 そこで、生前贈与や遺贈などによって最低限相続できる遺留分を侵害され ...

ReadMore

遺産分割

2019/2/15

遺留分減殺請求の相手方・請求先・判断方法・順番は?【弁護士解説】

民法で定められた相続人(法定相続人)が、最低限相続によって承継することが保障されている相続分を「遺留分」といい、遺留分を侵害されたときに、多くの財産を入手した人に対して財産を取り返すために行使されるのが「遺留分減殺請求権」です。 ところで、遺留分減殺請求権を行使する相手方、すなわち、請求先は、誰なのでしょうか。「遺留分を侵害している相手方」に行うのが原則ですが、「遺留分の侵害のされ方」も様々に異なるため、相手方・請求先が誰か迷う場合があります。 例えば、遺留分を侵害する生前贈与、遺贈(遺言による贈与)が複 ...

ReadMore

遺産分割

2019/2/20

持戻し免除の意思表示とは?遺留分との関係を、弁護士が解説!

お亡くなりになった方(被相続人)から生前に特別の利益を受けていた相続人がいる場合、「特別受益の持戻し計算」といって、特別受益分を、相続財産(遺産)に加えて計算することで、不公平を取りのぞくこととなっています。 しかし、この方法によると、被相続人が、ある相続人に対して特に多く財産を相続させるはずであったという意思が実現できなくなります。そこで活躍するのが「持戻し免除の意思表示」です。つまり、「特別受益であっても、持戻し計算はしなくていい」ということです。 「持戻し免除の意思表示」を行った場合、相続分の計算、 ...

ReadMore

相続財産を守る会を運営する、弁護士法人浅野総合法律事務所では、相続問題と遺産分割協議のサポートに注力しています。

弁護士
浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野です。

民法に定められた法定相続人、法定相続分は、一般的に公平と考えられる相続財産の分け方ですが、遺言生前贈与の結果、共同相続人間の不公平の是正が必要となる場合があります。

特別受益があるときは、相続財産の計算は、特別受益の分を相続財産に持戻して計算して、具体的な相続財産の金額を算出しなければなりません。

特別受益とは?

特別受益とは、相続人が、お亡くなりになったご家族(被相続人)から、生前贈与を受けたり、遺贈を受けたりすることによって、特別の利益を得ていることをいいます。

特別の利益を受けている相続人がいるとき、遺産分割協議のときに、その相続人と他の相続人とを平等に取り扱うと、特別の利益を受けている分だけ不公平になってしまいます。

そこで民法では、共同相続人間の公平を目的として、特別受益相続分の前渡しとみることで、特別受益分を相続財産に持戻して(加算して)相続分を算出することとしています。

民法903条1項(特別受益者の相続分)

共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

特別受益が認められる場合とは?

特別受益が、相続人間の不公平感を是正するための制度であることは理解しましたが、親が子に対して、特別の利益を与えるのは普通なのではないでしょうか。

結婚式費用や結納、マイホーム費用や独立開業資金など、どのような贈与も、特別受益として計算しなければならないのでしょうか。

生前贈与が、すべて特別受益となるわけではありません。相続財産の確定のため、特別受益が認められる場合について、正しく理解しましょう。

ご家族からの特別に利益を受けたときに、それが特別受益として認められるかどうか、どこまでの範囲が特別受益となるのか、については、とても難しい問題です。

特別受益と認められる財産の贈与には、次の4つの類型があります。

これらの類型にあてはまる遺贈、贈与のうち、被相続人の資産、収入、社会的地位などを総合的に考慮して、特別受益と認められるどうかが判断されます。

なお、特別受益が認められるかどうかにかかわらず、遺産分割協議を行う前に、相続人の確定、相続財産の調査を行っておく必要があります。

遺贈による特別受益

遺贈とは、遺言によって、遺言者の財産を無償で相続人などに贈与することをいいます。

遺贈は、他の贈与とは違って、その目的にかかわらず特別自益と認められます。

また、包括遺贈であっても特定遺贈であっても特別受益となりますので、「相続させる」という内容の遺言であっても、実質的には遺贈である場合には、特別受益と認められます。

婚姻又は養子縁組のための贈与による特別受益

結婚養子縁組の際に必要となる、支度金、持参金などとすることを目的とした贈与は、原則として特別受益であると認められます。

ただし、金額が少額であって、被相続人の資産の状況、生活状況に照らして、扶養の一部であると考えられる場合には、特別受益とは認められません。

結納金や挙式費用とすることを目的とした贈与は、一般的には特別受益にはならないと考えられています。

学資のための贈与による特別受益

普通教育以上の、高等な教育を受けるための費用を負担してもらった場合には、その利益は、特別の利益として特別受益になります。

しかし、その家庭にとって通常の教育水準であれば、学資のための贈与特別受益にはなりません。例えば、両親ともに私立医学部出身といった場合、たとえ子の学費が高くても、特別受益にならないケースもあるでしょう。

すべての子に対して、同等の教育環境が与えられている場合も同様に、学資のための贈与特別受益とは認められない場合があります。

その他の生計の資本としての贈与による特別受益

居住用の不動産(土地・建物)の贈与や、家を建てるための資金の贈与は、特別の利益として特別受益になります。

独立開業資金、企業資金を目的とした贈与も、特別受益と認められています。

これに対して、扶養義務の範囲内の生活費の援助は、特別受益とは認められません。

特別受益と認められる人とは?

ここまで特別受益として認められる財産の贈与について、類型に応じて説明をしてきました。

特別受益として認められるかどうかは、財産の贈与の方法だけでなく、贈与される人によっても判断されます。特別受益者に該当するのは、遺贈・生前贈与などをなされた時点で、その贈与を受ける者が推定相続人である必要があります。

つまり、相続人になる可能性のない人に対する贈与は、特別受益にはなりません。例えば、祖父母から孫への贈与は、特別受益にはなりません。

注意ポイント

ただし、特別受益と判断されることを回避するために、贈与の対象者について、名義だけ別人にするようなケースでは、特別受益と判断される可能性があります。

例えば、相続人である子に生前贈与すると特別受益となってしまうため、子の配偶者(夫または妻)に対して名義上贈与する、といった場合です。

特別受益の持戻し計算とは?

特別受益は、相続することのできる財産を、一部前渡しされたものと考えて計算します。

特別受益がある場合、相続財産の計算方法は、特別受益によって得た財産を、相続財産に持戻し(加算し)、これを法定相続分にしたがって分けた上で、特別受益者の相続分から特別受益によって受けた利益を控除する、という方法によります。

この計算方法を、「持戻し計算」といいます。

「持戻し計算」とは?

  1. 特別受益者が受けた特別の利益の額を、相続財産の金額に加算し(持戻し)「みなし相続財産」とします。
  2. 持戻した相続財産の金額を、法定相続分に応じた割合で分割します。
  3. 法定相続分から、特別に受けた利益の額を控除した額が、特別受益者の具体的な相続分となります。
  4. 特別に受けた利益の額を控除した結果がマイナスになる場合、相続できる財産はゼロとなります。

たとえば・・・

ある男性の法定相続人が、妻と、子4人であり、死亡時にのこされた相続財産が1億円であったとします。

そして、相続人のうち、長男には、独立開業資金として400万円、長女には結婚の支度金として1000万円を生前に贈与し、次男には600万円を遺贈し、いずれも特別受益にあたるとします。

このときの、法定相続人の具体的相続分の計算は、次のとおりとなります。

  1. それぞれ特別受益によって受けた400万円、1000万円、600万円を持戻して「みなし相続財産」を計算すると、「みなし相続財産」の金額は1億2000万円となります。
  2. 法定相続分は、妻が1/2、子はそれぞれ1/8ずつです。
  3. 法定相続分に応じてみなし相続財産を分割すると、妻6000万円、子はそれぞれ1500万円ずつです。
  4. ここから特別受益分を控除し、妻6000万円、長男1100万円、長女500万円、次男900万円、三男1500万円が具体的相続分となります。

特別受益と認められないケースとは?

相続人に与えられた利益であっても、特別受益とは認められない場合もあります。

相続人に与えられたある利益が特別受益にあたるかどうかが、相続人間で争いとなる場合には、家庭裁判所の遺産分割調停、遺産分割審判において、判断してもらうことができます。

持戻し免除の意思表示があると、特別受益は認められない

特別受益を持戻し計算するのは、相続人間の公平とともに、お亡くなりになったご家族(被相続人)の意思にも合致すると考えられているからです。

特別の利益を与えたとしても、それ以外の財産の分割には影響させないという意思を被相続人が持っていた場合には、遺留分を侵害しない限り、その意思が尊重されます。

つまり、「持戻し計算をしない。」という被相続人の意思が明示されていれば、特別受益を受けた人が、その不公平を是正されず、利益を受けることができます。これを「持戻し免除の意思表示」といいます。

お亡くなりになったご家族が、「ある相続人に、特に利益を与えたい。」という意思で行った生前贈与、遺言などは、その意思が尊重されます。ただし、遺留分侵害には注意が必要です。

参 考
遺留分の割合について、詳しくはこちらをご覧ください。

相続のときに、「相続財産(遺産)をどのように分けるか」については、基本的に、被相続人の意向(生前贈与・遺言)が反映されることとなっています。 被相続人の意向は、「遺言」によって示され、遺言が、民法に定 ...

続きを見る

参 考
遺留分の計算方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

相続の専門用語である「遺留分」の考え方について、弁護士が、わかりやすく解説します。 「遺留分」とは、ご家族がなくなったときに発生する、「相続人が、これだけはもらえる。」という財産の割合のことです。 相 ...

続きを見る

生命保険は、特別受益と認められない

最高裁判所の決定によれば、生命保険(死亡保険金)は、原則として、特別受益にはならないものと判断されています(最高裁平成16年10月29日決定)。

ただし、生命保険の死亡保険金の金額が、相続財産の大部分を占めている場合など、特別受益として持戻し計算をしなければ著しく不公平な場合には、例外的に、生命保険が特別受益と認められるものとされています。

相続財産のうち、どの程度の割合を占めている生命保険であれば、特別受益と評価されるのかについて、次のとおり、裁判例の基準を参考にしてください。

もっとくわしく!

生命保険が特別受益と認められなかった例

  • 最高裁判所平成16年10月29日決定
    :生命保険が、相続財産の9.6%
  • 大阪家裁境支部平成18年3月22日審判
    :生命保険が、相続財産の6.1%

生命保険が特別受益と認められた例

  • 東京高裁平成17年10月27日決定
    :生命保険が、相続財産の99.9%

なお、不公平といえるほどの特段の事情があるかどうかは、死亡保険金の額や相続財産に占める割合のほか、同居の有無、相続人による貢献の度合いなどを総合考慮するものとされています。

その他、特別受益とは認められない場合とは?

家庭裁判所において特別受益があったと認めてもらえるためには、証拠が必要となります。そのため、特別の利益を受けた証拠がなければ、特別受益があったかどうかを証明すること自体が困難となってしまいます。

例えば、預金を引き出して現金化して交付し、領収書なども残さずに長期間経過してしまったケースでは、特別受益が認められない可能性が高いです。

相続人・被相続人間で、金銭の授受や、資金の移動があったとき、振込明細、領収書、通帳の記載などの証拠によって、これを証拠化、記録化しておく必要があります。

そもそも、特別の利益とは評価されない場合も、特別受益とは認められません。

例えば、学費が、他の相続人よりも少し高額であった、という程度では、特別受益とは認められない可能性が高いです。

相続問題は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか。今回は、生前贈与遺贈などによって起こる、相続人間の不公平を是正するための特別受益が認められる場合、認められない場合について、相続に強い弁護士が解説しました。

自分以外の相続人が、お亡くなりになったご家族から特別の利益を受けていたとき、特別受益の考え方を理解し、正しく相続財産を計算することによって、不公平な状況を回復しなければなりません。

特別受益の考え方を活用した、円満で損のない相続の実現のためには、相続に関する豊富な知識、経験を有する弁護士への相談が重要となります。

「相続財産を守る会」には、相続に強い弁護士が在籍しており、特別受益の絡む相続問題を多く解決した過去の実績から、無料相談にて相続をお手伝いしています。

ご相談の予約はこちら

相続のご相談は
「相続財産を守る会」
相続にお悩みの方、相続対策の相談をしたい方、当会の専門家にご相談ください。
お問い合わせはこちら
  • この記事を書いた人
  • 最新記事
弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所は、銀座(東京都中央区)にて、相続問題、特に、遺言・節税などの生前対策、相続トラブルの交渉などを強みとして取り扱う法律事務所です。 同オフィス内に、税理士法人浅野総合会計事務所を併設し、相続のご相談について、ワンストップのサービスを提供しております。

-遺産分割
-

Copyright© 相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会 , 2020 All Rights Reserved.