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遺産分割

特別受益とは?認められる場合・認められない場合と計算方法

更新日:

お亡くなりになったご家族から、生前に、学費や住宅の新築、建替えなど、多くの援助をしてもらった相続人と、援助を全くしてもらえなかった相続人との間で、不公平感が生じることがあります。

相続人間の、生前にお亡くなりになったご家族(被相続人)から受けた利益による不公平をなくすための制度が、特別受益です。

よくある相続相談


長男は結婚してマイホームの頭金をもらったが、次男は、独身で実家に住んでいる。
長男の私立大学の学費を全て親が出したが、次男は公立大学に通った。
娘は、結婚の際に多くの援助を受けたが、息子は全く援助を受けなかった。

民法に定められた法定相続分にしたがえば、「子」は、法定相続人として、相続財産から一律に財産を受け継ぐことができます。これは、長男であっても次男であっても同様です。

しかし、さきほどの具体例のように、生前に、被相続人から受け取った利益を調整しなければ、法定相続分のとおりでは相続人間に不公平が生じ、相続紛争の火種ともなりかねません。

そこで今回は、遺贈(遺言による贈与)、生前贈与などによって生じた、共同相続人間の不公平を調整する特別受益の考え方について、相続に強い弁護士が解説します。

「遺産分割」の人気解説はこちら!

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2019/1/30

相続における「養子」の全ポイントを弁護士がわかりやすく解説!

相続のとき養子がいることがありますが、養子がいるのといないのとで、相続手続きがどの程度変わるか、ご存じでしょうか。 養子は、「養子縁組」をすることで発生する身分関係ですが、相続と養子の関係について、「養子であっても、実子と同様に取り扱うもの」、「養子であることで特別扱いとなるもの」などがあり、相続の場面に応じて養子の取扱いを変えなければならないことがあります。 今回は、相続と養子の関係する問題点をすべて、相続に強い弁護士が解説します。 「遺産分割」の人気解説はこちら! 目次1 養子縁組をする場合としない場 ...

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2019/1/29

遺留分減殺請求をされても不動産を失わない方法「価額弁償」とは?

民法上、相続人が最低限相続できる財産である遺留分を侵害して多くの財産を得た人は、他の相続人から「遺留分減殺請求権」を行使されるおそれがあります。 遺留分減殺請求をされたとき、不動産(土地・建物)を生前贈与や遺贈などによって得て、多くの相続財産(遺産)を得ていたとき、遺留分減殺請求の結果、その不動産が共有となってしまったり、その不動産を渡さなければならなかったりすることがあります。 「価額弁償」という方法を利用することによって、不動産を多くもらうことによって他の相続人の遺留分を侵害した人であっても、不動産を ...

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2019/1/28

代襲相続人には遺留分減殺請求権がある?認められる遺留分の割合は?

少子高齢化が進み、お子さんが生きているうちに、親のほうが先に亡くなってしまうというケースも稀ではなくなってきました。被相続人の死亡よりも前に、既に相続人がお亡くなりになっていると、その子が代わりに相続をする「代襲相続」が発生します。 代襲相続は、子が死亡しているときは孫、孫が死亡しているときは曾孫(ひまご)へと延々続いていきますが、代襲相続人の相続に関する権利は、代襲される人(お亡くなりになった相続人)と同内容の権利を持つことになります。 そこで、生前贈与や遺贈などによって最低限相続できる遺留分を侵害され ...

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法定相続分を超える「超過特別受益」は、返還する義務がある?

お亡くなりになった方(被相続人)から、生前贈与などによって特別な利益を得た人は、その分を遺産分割のときに調整することとなります。これを「特別受益」といいます。 特別受益の考え方は、共同相続人間の不公平を正すために、相続財産(遺産)となるはずの財産をより多く得ていた方が、その財産を相続財産(遺産)に加算して清算するためのものです。しかし一方で、法定相続分を超える財産を生前に得ていたとき、特別受益の考え方では調整ができない場合があります。 そこで今回は、法定相続分を超える財産を、被相続人の生前に得ていた「超過 ...

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2019/1/23

特別縁故者とは?相続人以外でも財産をもらえるケースとは?

特別縁故者(とくべつえんこしゃ)という言葉をご存じでしょうか。ご家族がお亡くなりになったときに相続できる人は民法で定まっていますが、相続人でなくても相続できる場合もあります。 相続人がいない場合に、相続人でなくても相続することができるのが「特別縁故者」の制度です。 今回は、特別縁故者とはどのような人がなることができるのか、また、特別縁故者が、相続人ではないのに相続できる場合とはどのような場合であるか、その具体的手続きなどについて、相続に強い弁護士が解説します。 「遺産分割」の人気解説はこちら! 目次1 特 ...

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2019/1/21

遺留分減殺請求の期限はいつまで?時効・除斥期間は?

相続開始からある程度たった後ではじめて、「自分の相続した財産が少ないのではないか」、「不公平な相続で権利を侵害されたのではないか」と気づいたとき、どのように対応したらよいでしょうか。 民法で最低限相続できることが保障されている「遺留分減殺請求権」の行使には、「時効」、「除斥期間」という2つの期限があり、いつまででも権利行使できるわけではありません。一方で、「時効」については中断する方法があり、きちんと対応しておけば、期間が経過した後でも遺留分を取り戻せます。 そこで今回は、遺留分減殺請求権の「時効」、「除 ...

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2019/2/20

持戻し免除の意思表示とは?遺留分との関係を、弁護士が解説!

お亡くなりになった方(被相続人)から生前に特別の利益を受けていた相続人がいる場合、「特別受益の持戻し計算」といって、特別受益分を、相続財産(遺産)に加えて計算することで、不公平を取りのぞくこととなっています。 しかし、この方法によると、被相続人が、ある相続人に対して特に多く財産を相続させるはずであったという意思が実現できなくなります。そこで活躍するのが「持戻し免除の意思表示」です。つまり、「特別受益であっても、持戻し計算はしなくていい」ということです。 「持戻し免除の意思表示」を行った場合、相続分の計算、 ...

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2018/12/26

遺留分減殺請求の金額を増やすには?遺留分をより多くもらう方法

遺留分減殺請求を行うとき、現在の制度では、遺留分減殺請求を受けた人の選択で、現物で返還をするか、金銭で返還をするか(価額弁償)を選べることとなっていますが、2018年民法改正が施行されると、金銭の返還のみとなります。 いずれであっても、生前贈与や遺言による贈与などによってもらえるはずの相続財産が少なくなってしまったと考えて遺留分減殺請求を行う側にとっては、「できるだけ多くの遺留分をもらいたい。」「請求金額を増やしたい。」と考えるのではないでしょうか。 そこで今回は、遺留分として受け取れる金額を、できる限り ...

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2019/1/4

遺留分の放棄はできる?方法・手続と注意点を弁護士が解説!

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2018/11/27

遺産分割に期限はある?相続で注意すべき「期限」を弁護士が解説!

「遺産分割」とは、亡くなった方(被相続人)の遺産を、相続人の間で分ける手続きです。 ご家族がお亡くなりになった後、多忙であったり、遺産分割協議が円滑に進まないまま放置されたりした結果、遺産分割が長期間にわたって行われず、不動産の登記が亡くなった方のままとなっているような事例があります。 結論からいうと、「遺産分割」自体に期限はありません。しかし、いつまでも遺産分割を行わずに放置しておくとデメリットも多くあります。というのも、遺産分割に付随するいくつかの相続手続きには、明確な期限があるからです。 そこで今回 ...

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2019/1/13

兄弟姉妹に遺留分はない?兄弟姉妹が相続財産を増やす方法5つ

兄弟姉妹には、遺留分が認められていません。「遺留分」とは、民法に定められた、最低限相続でき、侵害されない財産のことですが、兄弟姉妹は、遺留分を認めてまで相続財産(遺産)を保護するほどの必要性がないと考えられているからです。 遺留分が認めらないと、遺言による贈与(遺贈)や生前贈与によって相続財産(遺産)が一切もらえないという結果になったとき、遺留分減殺請求権という法律上の権利行使によって財産を取り返すことができなくなります。 今回は、兄弟姉妹には遺留分が認められないことと、兄弟姉妹がお亡くなりになったときに ...

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2018/12/12

遺産相続に強い弁護士に、相談・依頼する6つのメリット

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2018改正で導入「預貯金の仮払い制度」の対応・利用方法は?

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2019/1/5

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ご家族がお亡くなりになったとき、遺族に対して生命保険(死亡保険金)が支払われるか確認してください。。生命保険の死亡保険金は、遺産分割協議を丸く収める目的や、相続税の納税資金の目的で、お亡くなりになる方が貯めていることがあるからです。 「争続」となる可能性のある揉める遺産分割協議などが、生命保険をうまく活用することによってうまく進めることができる場合も少なくありません。 遺産分割協議が揉めると長い時間がかかり、10カ月以内に納付しなければならない相続税の納税資金も準備できないといった危険な事態に陥らないよう ...

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2018/12/18

相続財産(遺産)が少ないのでは?と感じたときのチェックリスト

遺産相続に関するトラブルは、相続財産(遺産)のたくさんある富裕層特有の問題というわけではありません。相続財産(遺産)が少ない方がむしろ、奪い合いが加速し、相続トラブルが激化することもあります。 一方で、遺言や遺産分割協議の結果、「相続財産(遺産)が思ったより少ないのでは?」、「生前にはもっと財産があると聞いていたのだが。」といった不満、疑問を感じる相続人の方もいます。 本当はもらえるはずだった相続財産(遺産)を損していないかどうか、「相続財産(遺産)が少ないのでは?」と感じた方は、今回の解説を参考にして、 ...

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2018/8/7

配偶者の取り分が増加?2018年法改正と「持戻し免除の意思表示」

2018年法改正で、「持戻し免除の意思表示」について、重要な改正がありました。 この「持戻し免除の意思表示」ですが、一般の方にはなじみの薄い専門用語ですので、今回の解説は、よくあるご相談内容をみながら、解説を進めていきます。 よくある相続相談 亡くなった夫が、「一緒に住んでいた自宅を私に与える」という遺言をのこしてくれていました。 自宅をもらえるのはありがたいのですが、自宅をもらってしまったために、逆に、預金や株式など、生活に必要な資金を十分にもらえませんでした・・・。 私たち夫婦は高齢なので、どちらかが ...

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もめる遺産分割協議8パターン、揉める理由と対処法を弁護士が解説

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相続放棄と、単純承認・限定承認の違いは?相続放棄のデメリットは?

相続のしかたには、単純承認、限定承認、相続放棄の3種類があります。 相続放棄は、ほかの2つの方法(単純承認、限定承認)が、相続財産を引き継ぐことを前提としているのに対して、相続財産を引き継がないための手続の方法をいいます。 相続放棄を中心に、その他の2つの方法との違い、相続放棄のデメリットなどについて、相続に強い弁護士が解説します。 「遺産分割」の人気解説はこちら! 目次1 3つの相続の方法とは?1.1 単純承認とは?1.2 限定承認とは?1.3 相続放棄とは?2 相続放棄を利用すべきケースは?3 相続放 ...

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相続財産を守る会を運営する、弁護士法人浅野総合法律事務所では、相続問題と遺産分割協議のサポートに注力しています。

弁護士
浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野です。

民法に定められた法定相続人、法定相続分は、一般的に公平と考えられる相続財産の分け方ですが、遺言生前贈与の結果、共同相続人間の不公平の是正が必要となる場合があります。

特別受益があるときは、相続財産の計算は、特別受益の分を相続財産に持戻して計算して、具体的な相続財産の金額を算出しなければなりません。

特別受益とは?

特別受益とは、相続人が、お亡くなりになったご家族(被相続人)から、生前贈与を受けたり、遺贈を受けたりすることによって、特別の利益を得ていることをいいます。

特別の利益を受けている相続人がいるとき、遺産分割協議のときに、その相続人と他の相続人とを平等に取り扱うと、特別の利益を受けている分だけ不公平になってしまいます。

そこで民法では、共同相続人間の公平を目的として、特別受益相続分の前渡しとみることで、特別受益分を相続財産に持戻して(加算して)相続分を算出することとしています。

民法903条1項(特別受益者の相続分)

共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

特別受益が認められる場合とは?

特別受益が、相続人間の不公平感を是正するための制度であることは理解しましたが、親が子に対して、特別の利益を与えるのは普通なのではないでしょうか。

結婚式費用や結納、マイホーム費用や独立開業資金など、どのような贈与も、特別受益として計算しなければならないのでしょうか。

生前贈与が、すべて特別受益となるわけではありません。相続財産の確定のため、特別受益が認められる場合について、正しく理解しましょう。

ご家族からの特別に利益を受けたときに、それが特別受益として認められるかどうか、どこまでの範囲が特別受益となるのか、については、とても難しい問題です。

特別受益と認められる財産の贈与には、次の4つの類型があります。

これらの類型にあてはまる遺贈、贈与のうち、被相続人の資産、収入、社会的地位などを総合的に考慮して、特別受益と認められるどうかが判断されます。

なお、特別受益が認められるかどうかにかかわらず、遺産分割協議を行う前に、相続人の確定、相続財産の調査を行っておく必要があります。

遺贈による特別受益

遺贈とは、遺言によって、遺言者の財産を無償で相続人などに贈与することをいいます。

遺贈は、他の贈与とは違って、その目的にかかわらず特別自益と認められます。

また、包括遺贈であっても特定遺贈であっても特別受益となりますので、「相続させる」という内容の遺言であっても、実質的には遺贈である場合には、特別受益と認められます。

婚姻又は養子縁組のための贈与による特別受益

結婚養子縁組の際に必要となる、支度金、持参金などとすることを目的とした贈与は、原則として特別受益であると認められます。

ただし、金額が少額であって、被相続人の資産の状況、生活状況に照らして、扶養の一部であると考えられる場合には、特別受益とは認められません。

結納金や挙式費用とすることを目的とした贈与は、一般的には特別受益にはならないと考えられています。

学資のための贈与による特別受益

普通教育以上の、高等な教育を受けるための費用を負担してもらった場合には、その利益は、特別の利益として特別受益になります。

しかし、その家庭にとって通常の教育水準であれば、学資のための贈与特別受益にはなりません。例えば、両親ともに私立医学部出身といった場合、たとえ子の学費が高くても、特別受益にならないケースもあるでしょう。

すべての子に対して、同等の教育環境が与えられている場合も同様に、学資のための贈与特別受益とは認められない場合があります。

その他の生計の資本としての贈与による特別受益

居住用の不動産(土地・建物)の贈与や、家を建てるための資金の贈与は、特別の利益として特別受益になります。

独立開業資金、企業資金を目的とした贈与も、特別受益と認められています。

これに対して、扶養義務の範囲内の生活費の援助は、特別受益とは認められません。

特別受益と認められる人とは?

ここまで特別受益として認められる財産の贈与について、類型に応じて説明をしてきました。

特別受益として認められるかどうかは、財産の贈与の方法だけでなく、贈与される人によっても判断されます。特別受益者に該当するのは、遺贈・生前贈与などをなされた時点で、その贈与を受ける者が推定相続人である必要があります。

つまり、相続人になる可能性のない人に対する贈与は、特別受益にはなりません。例えば、祖父母から孫への贈与は、特別受益にはなりません。

注意ポイント

ただし、特別受益と判断されることを回避するために、贈与の対象者について、名義だけ別人にするようなケースでは、特別受益と判断される可能性があります。

例えば、相続人である子に生前贈与すると特別受益となってしまうため、子の配偶者(夫または妻)に対して名義上贈与する、といった場合です。

特別受益の持戻し計算とは?

特別受益は、相続することのできる財産を、一部前渡しされたものと考えて計算します。

特別受益がある場合、相続財産の計算方法は、特別受益によって得た財産を、相続財産に持戻し(加算し)、これを法定相続分にしたがって分けた上で、特別受益者の相続分から特別受益によって受けた利益を控除する、という方法によります。

この計算方法を、「持戻し計算」といいます。

「持戻し計算」とは?

  1. 特別受益者が受けた特別の利益の額を、相続財産の金額に加算し(持戻し)「みなし相続財産」とします。
  2. 持戻した相続財産の金額を、法定相続分に応じた割合で分割します。
  3. 法定相続分から、特別に受けた利益の額を控除した額が、特別受益者の具体的な相続分となります。
  4. 特別に受けた利益の額を控除した結果がマイナスになる場合、相続できる財産はゼロとなります。

たとえば・・・

ある男性の法定相続人が、妻と、子4人であり、死亡時にのこされた相続財産が1億円であったとします。

そして、相続人のうち、長男には、独立開業資金として400万円、長女には結婚の支度金として1000万円を生前に贈与し、次男には600万円を遺贈し、いずれも特別受益にあたるとします。

このときの、法定相続人の具体的相続分の計算は、次のとおりとなります。

  1. それぞれ特別受益によって受けた400万円、1000万円、600万円を持戻して「みなし相続財産」を計算すると、「みなし相続財産」の金額は1億2000万円となります。
  2. 法定相続分は、妻が1/2、子はそれぞれ1/8ずつです。
  3. 法定相続分に応じてみなし相続財産を分割すると、妻6000万円、子はそれぞれ1500万円ずつです。
  4. ここから特別受益分を控除し、妻6000万円、長男1100万円、長女500万円、次男900万円、三男1500万円が具体的相続分となります。

特別受益と認められないケースとは?

相続人に与えられた利益であっても、特別受益とは認められない場合もあります。

相続人に与えられたある利益が特別受益にあたるかどうかが、相続人間で争いとなる場合には、家庭裁判所の遺産分割調停、遺産分割審判において、判断してもらうことができます。

持戻し免除の意思表示があると、特別受益は認められない

特別受益を持戻し計算するのは、相続人間の公平とともに、お亡くなりになったご家族(被相続人)の意思にも合致すると考えられているからです。

特別の利益を与えたとしても、それ以外の財産の分割には影響させないという意思を被相続人が持っていた場合には、遺留分を侵害しない限り、その意思が尊重されます。

つまり、「持戻し計算をしない。」という被相続人の意思が明示されていれば、特別受益を受けた人が、その不公平を是正されず、利益を受けることができます。これを「持戻し免除の意思表示」といいます。

お亡くなりになったご家族が、「ある相続人に、特に利益を与えたい。」という意思で行った生前贈与、遺言などは、その意思が尊重されます。ただし、遺留分侵害には注意が必要です。

参 考
遺留分の割合について、詳しくはこちらをご覧ください。

相続のときに、「相続財産(遺産)をどのように分けるか」については、基本的に、被相続人の意向(生前贈与・遺言)が反映されることとなっています。 被相続人の意向は、「遺言」によって示され、遺言が、民法に定 ...

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参 考
遺留分の計算方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

相続の専門用語である「遺留分」の考え方について、弁護士が、わかりやすく解説します。 「遺留分」とは、ご家族がなくなったときに発生する、「相続人が、これだけはもらえる。」という財産の割合のことです。 相 ...

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生命保険は、特別受益と認められない

最高裁判所の決定によれば、生命保険(死亡保険金)は、原則として、特別受益にはならないものと判断されています(最高裁平成16年10月29日決定)。

ただし、生命保険の死亡保険金の金額が、相続財産の大部分を占めている場合など、特別受益として持戻し計算をしなければ著しく不公平な場合には、例外的に、生命保険が特別受益と認められるものとされています。

相続財産のうち、どの程度の割合を占めている生命保険であれば、特別受益と評価されるのかについて、次のとおり、裁判例の基準を参考にしてください。

もっとくわしく!

生命保険が特別受益と認められなかった例

  • 最高裁判所平成16年10月29日決定
    :生命保険が、相続財産の9.6%
  • 大阪家裁境支部平成18年3月22日審判
    :生命保険が、相続財産の6.1%

生命保険が特別受益と認められた例

  • 東京高裁平成17年10月27日決定
    :生命保険が、相続財産の99.9%

なお、不公平といえるほどの特段の事情があるかどうかは、死亡保険金の額や相続財産に占める割合のほか、同居の有無、相続人による貢献の度合いなどを総合考慮するものとされています。

その他、特別受益とは認められない場合とは?

家庭裁判所において特別受益があったと認めてもらえるためには、証拠が必要となります。そのため、特別の利益を受けた証拠がなければ、特別受益があったかどうかを証明すること自体が困難となってしまいます。

例えば、預金を引き出して現金化して交付し、領収書なども残さずに長期間経過してしまったケースでは、特別受益が認められない可能性が高いです。

相続人・被相続人間で、金銭の授受や、資金の移動があったとき、振込明細、領収書、通帳の記載などの証拠によって、これを証拠化、記録化しておく必要があります。

そもそも、特別の利益とは評価されない場合も、特別受益とは認められません。

例えば、学費が、他の相続人よりも少し高額であった、という程度では、特別受益とは認められない可能性が高いです。

相続問題は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか。今回は、生前贈与遺贈などによって起こる、相続人間の不公平を是正するための特別受益が認められる場合、認められない場合について、相続に強い弁護士が解説しました。

自分以外の相続人が、お亡くなりになったご家族から特別の利益を受けていたとき、特別受益の考え方を理解し、正しく相続財産を計算することによって、不公平な状況を回復しなければなりません。

特別受益の考え方を活用した、円満で損のない相続の実現のためには、相続に関する豊富な知識、経験を有する弁護士への相談が重要となります。

「相続財産を守る会」には、相続に強い弁護士が在籍しており、特別受益の絡む相続問題を多く解決した過去の実績から、無料相談にて相続をお手伝いしています。

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弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所は、銀座(東京都中央区)にて、相続問題、特に、遺言・節税などの生前対策、相続トラブルの交渉などを強みとして取り扱う法律事務所です。 同オフィス内に、税理士法人浅野総合会計事務所を併設し、相続のご相談について、ワンストップのサービスを提供しております。

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