相続財産(遺産)を守る専門家(弁護士・税理士)が解説!

相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会

遺産分割

法定相続分を超える「超過特別受益」は、返還する義務がある?

投稿日:

お亡くなりになった方(被相続人)から、生前贈与などによって特別な利益を得た人は、その分を遺産分割のときに調整することとなります。これを「特別受益」といいます。

特別受益の考え方は、共同相続人間の不公平を正すために、相続財産(遺産)となるはずの財産をより多く得ていた方が、その財産を相続財産(遺産)に加算して清算するためのものです。しかし一方で、法定相続分を超える財産を生前に得ていたとき、特別受益の考え方では調整ができない場合があります。

そこで今回は、法定相続分を超える財産を、被相続人の生前に得ていた「超過特別受益者」が、この受益についてどのように調整する必要があるのか、返還する義務があるのかについて、相続に強い弁護士が解説します。

参 考
特別受益が認められる場合と、計算方法は、こちらをご覧ください。

お亡くなりになったご家族から、生前に、学費や住宅の新築、建替えなど、多くの援助をしてもらった相続人と、援助を全くしてもらえなかった相続人との間で、不公平感が生じることがあります。 相続人間の、生前にお ...

続きを見る

「遺産分割」の人気解説はこちら!

遺産分割

2018/11/16

指定相続分とは?法定相続分との違いは?

相続財産(遺産)を相続する割合のことを、「相続分」といいます。そして、相続分には、指定相続分と法定相続分とがあります。 相続財産の分け方は、遺言によって希望通りに決めることができますが、遺留分等に注意しなければなりません。指定相続分について民法の条文は次の通りです。 民法908条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。 今回は、指定相続分についての基礎知識、法定相続分との違い、指 ...

ReadMore

遺産分割

2019/1/24

配偶者居住権とは?自宅に住み続けるための活用方法│2018年改正

今回は、持ち家の相続に関するお話です。不動産を所有する方の相続では、私たち相続財産を守る会の専門家にも、多くのお悩みが寄せられます。 高齢社会の進展にともなって、夫婦の一方が亡くなったときの、のこされた配偶者の年齢もまた、これまでより高齢化しています。高齢であればあるほど、「自宅に住み続けることができるか」は、死活問題です。 よくある相続相談 夫に遺言を残してもらい、一緒に住んでいた家を相続したが、預金を相続できなかったため生活費に苦しんでいる。 相続分どおりに分割協議をして、家を相続したが、その他の現預 ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/20

いとこが亡くなったら遺産を相続できる?いとこが相続する方法は?

一般的に、「相続」というと、親子関係で起こる相続をイメージされる方が多いのではないでしょうか。しかし、相続の中には、親子だけでなく、祖父母、孫、兄弟姉妹などが相続人となる場合があります。 「いとこ(従兄弟、従姉妹)」は、両親の兄弟の子のことをいい、4親等離れています。直接の親子関係にある「直系血族」に対して、「傍系血族」といいます。 いとこは、相続人となることができるのでしょうか。いとこが死亡したとき、相続財産を得られるのでしょうか。いとことの関係が仲良しの方も仲が悪い方もいるでしょうが、いとこが相続する ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/22

特別寄与料とは?法改正で、相続人でなくても遺産が受け取れる!

民法において「相続人」と定められている人が、家族の面倒をまったく見ず、むしろ、「相続人」以外の人が、介護などすべての世話をしているというケースは少なくありません。 相続人ではないけれども、介護など一切の世話を行っていたり、お亡くなりになった方のために費用を支出していた場合、相続財産(遺産9からいくぶんかは頂きたいと考えるのも、無理からぬことです。 よくある相続相談 自分以外の兄弟は離れて暮らしているため、親と同居して、ずっと家業を手伝ってきました。兄弟よりも多めに遺産をもらうことができないでしょうか? ず ...

ReadMore

遺産分割

2018/12/14

遺産相続に強い弁護士の選び方の9つのポイント!

いざ遺産相続が起こり、弁護士に相談、依頼することが決まったとしても、一般の方の中には、「知り合いに弁護士がいない。」という方も多いのではないでしょうか。広告などで法律事務所は知っていても、手元の遺産相続問題を任せられるかどうか、不安も募るでしょう。 特に、遺産相続トラブルの場合、失敗すると損する金額がとても多額となることもあり、「絶対失敗したくない」という思いで迷い続けている方もいます。 今までに一度も弁護士と話したことのない方が、遺産相続問題を弁護士に依頼するときに、弁護士のどのような点に注意して選べば ...

ReadMore

超過特別受益とは?

特別受益とは、被相続人の生前に、生前贈与や遺贈によって特別な利益を受けている場合のことをいい、特別受益があるときには、その特別受益の金額を相続財産(遺産)に加算し、その上で遺産分割を行い、特別受益との差額を受け取ることになります。この計算方法を、「持戻し計算」といいます。

しかし、この持戻し計算によると、生前贈与や遺贈などによる特別受益の金額が、民法で定められた相続割合(法定相続分)を超えているときに、特別受益者が受け取る金額がマイナスになってしまいます。

特別受益の金額が、法定相続分を超えている場合のことを「超過特別受益」といい、この超過特別受益を得た相続人のことを「超過特別受益者」といいます。

超過特別受益を返還する必要はない

法定相続分を超える特別な利益を、生前贈与遺贈によって得たとしても、この超過特別受益について、他の相続人に返還する必要はないものとされています。

つまり、さきほどご説明しました特別受益の計算式において、相続財産(遺産)に特別受益分を加えて遺産分割した結果、本来もらえるはずであった財産以上の財産を得ていたとして、相続によってもらえる財産がマイナスになったとしても、その金額を他の共同相続人に返さなくてもよいのです。

これは、お亡くなりになった方(被相続人)が、法定相続分を超えるほど多額の財産をある1人の相続人に渡していたということは、その人により多くの財産を相続させたいという意思があったということであり、その意思を尊重すべきだという考え方からです。

この場合に、法定相続分を超える金額について、他の相続人に渡さなければならないとすれば、被相続人が生前に、より多額の財産を譲渡した意味が薄れてしまいます。

超過特別受益と、遺留分減殺請求権との関係は?

超過特別受益を、他の相続人に返す義務はないと説明しました。そうすると、生前贈与などによって多額の財産を得ていた相続人は、他の相続人に比して不公平であるものの、そのまま「もらい得」になってしまうのでしょうか。

しかし、超過特別受益を返還する必要がないとしても、その分によって他の相続人の「遺留分」が侵害されてしまったときは、「遺留分減殺請求権」によって救済を図ることは可能です。

遺留分とは、民法に定められた相続人(法定相続人)が、最低限、相続できることを保障された財産のことをいいます。遺留分は、相続人のうち、配偶者(夫または妻)、子、直系尊属(両親・祖父母)に認められており、兄弟姉妹には遺留分がありません。

したがって、生前にご家族からもらった生前贈与や遺贈(遺言による贈与)が、法定相続分を超えているだけでなく、他の相続人の遺留分まで侵害している場合には、他の相続人に対してその一部を返還しなければならないことになります。

参 考
遺留分減殺請求を弁護士に相談するメリットは、こちらをご覧ください。

遺留分減殺請求は、多くの相続手続きの中でも、難しい法律問題を含んでおり、「争続」にもなりやすいため、弁護士に相談・依頼したほうがよい手続であるといえます。 遺留分減殺請求権を行使すると、権利行使をされ ...

続きを見る

参 考
遺留分減殺請求をされたときの対応方法は、こちらをご覧ください。

「遺留分減殺請求」とは、兄弟姉妹以外の法定相続人が、遺言や生前贈与などによって、最低限相続できることが保障された「遺留分」すら相続することができなくなってしまったときに、逆に多くの相続財産(遺産)を得 ...

続きを見る

兄弟姉妹には遺留分がない

兄弟姉妹は、法定相続人ではありますが、遺留分がありません。兄弟姉妹は、生計を別にしており、被相続人の財産によって生活しているわけではない場合が多いと考えられているからです。

ご家族がお亡くなりになるとき、相続人が、配偶者(夫または妻)と兄弟姉妹、となる場合(つまり、子も両親、祖父母もいない場合)には、兄弟姉妹に財産ができる限りいかないようにするためには、全ての相続財産(遺産)を、配偶者に対して生前贈与しておくことが可能です。

このような方法によっても、特別受益とはなり、持戻し計算の対象とはなるものの、そもそも法定相続分を超えており、かつ、兄弟姉妹には遺留分が存在しないからです。

参 考
兄弟姉妹が相続財産(遺産)を増やす方法は、こちらをご覧ください。

兄弟姉妹には、遺留分が認められていません。「遺留分」とは、民法に定められた、最低限相続でき、侵害されない財産のことですが、兄弟姉妹は、遺留分を認めてまで相続財産(遺産)を保護するほどの必要性がないと考 ...

続きを見る

【具体例】超過特別受益の計算方法

では、最後に、超過特別受益がある場合の、遺産分割の計算方法を、よりわかりやすくご理解いただくために、計算の具体例をあげておきます。

次の例で考えてください。

たとえば・・・

被相続人は、2500万円の相続財産(遺産)を残してしぼうしました。

被相続人には、妻、長男、長女、次男がいました。被相続人は生前に、長男に対して事業開業資金として3000万円、長女には結婚支度金として500万円を生前贈与していました。

参 考
相続財産のもらいすぎを「特別受益」で調整する方法は、こちらをご覧ください。

遺言や、お亡くなりになった方の生前の贈与によって、相続財産(遺産)をもらいすぎの人がいるとき、相続人はどのように対応したらよいのでしょうか。 相続財産を守る会には、「特別受益」に関する次のようなご相談 ...

続きを見る

みなし相続財産を計算する

まず、特別受益となる生前贈与が存在するときには、その金額を相続財産(遺産)に加算して、「みなし相続財産」を計算します。これが持戻し計算です。

今回の例では、みなし相続財産は、6000万円(2500万円+3000万円+500万円)となります。

相続人の本来的相続分を計算する

次に、各相続人の、本来相続できるはずであった財産の金額を計算します。具体的な方法としては、さきほど計算した「みなし相続財産」の金額に対して、民法で定められた相続割合(法定相続分)をかけて算出します。

つまり、各相続人ごとに、本来的相続分は次のとおりとなります。

  • 妻:6000万円×1/2=3000万円
  • 長男:6000万円×1/6=1000万円
  • 長女:6000万円×1/6=1000万円
  • 次男:6000万円×1/6=1000万円

したがって、本来相続できるはずの法定相続分が1000万円であるのに、生前に事業開業資金として3000万円の贈与を受けていた長男は、「超過特別受益者」となります。

相続人の具体的相続分を計算する

最後に、特別受益分を考慮して、各相続人が、具体的に相続できる金額を計算します。つまり、さきほど計算した本来的相続分から、既にもらっている生前贈与、遺贈に関する部分を控除した金額が、実際に相続で取得できる金額となります。

生前贈与などを得ている長男、長女について、具体的相続分は次のように計算されます。

  • 長男:1000万円―2500万円=―1500万円
  • 長女:1000万円―500万円=500万円

このように、超過特別受益を得ている相続人の、具体的な相続分はマイナスになりますが、不足額について他の相続人に返還する必要まではないとういうのが、今回の解説のポイントです。

超過特別受益分の調整は?

今回の例のケースで、長男には1500万円の超過特別受益が生じており、長男は、1500万円も、本来もらえるはずであった法定相続分よりも多くの相続財産(遺産)をもらうこととなりました。

この超過特別受益を、他の相続人に返す必要はないと解説したとおりですが、そうすると、この「マイナス1500万円」の分は、長男以外の相続人が負担することとなります。この場合、遺産分割協議や、調停・審判によって決着することとなりますが、負担の考え方は次の2つが参考となります。

本来的相続分の割合に比例して按分するケース

長男以外3名の相続人の、本来的相続分の割合は、「妻:長女:次男」=「3000万円:1000万円:1000万円」、つまり「3:1:1」となります。

つまり、本来的相続分に応じて、長男が1500万円よけいに相続した分を負担すると、各自の相続できる財産は、次のとおりとなります。

  • 妻:3000万円―1500万円×3/5=2100万円
  • 長女:1000万円―1500万円×1/5=700万円
  • 次男:1000万円―1500万円×1/5=700万円
具体的相続分の割合に比例して按分するケース

長男以外3名の相続人の、具体的相続分の割合は、「妻:長女:次男」=「3000万円:500万円:1000万円」、つまり「6:1:2」となります。

こちらの場合には、長女に対して被相続人が、生前贈与をしたいと考えた意思をできる限り尊重した結果となります。各自の相続できる財産は、次のとおりとなります。

  • 妻:3000万円―1500万円×6/8=1875万円
  • 長女:1000万円―1500万円×1/8=812万5000円
  • 次男:1000万円―1500万円×2/8=625万円

そして、この場合には、いずれの相続人も遺留分を侵害されてはいないため、遺留分減殺請求権は行使できません。もし、この計算結果で、例えば次男の相続分が、「1000万円×1/2(遺留分割合)=500万円」を下回るような結果となれば、遺留分減殺請求権を行使することができます。

遺産分割は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか?

今回は、「超過特別受益」という特殊な場合の遺産分割の処理方法について、相続に強い弁護士が解説しました。生前に特別な利益を多く得てしまった方も、逆に、相続財産(遺産)をあまりもらえず不公平感を感じている方も、「超過特別受益」の考え方を理解してください。

特に、遺留分を侵害されるほど多額の相続財産(遺産)の生前贈与、遺贈については、遺留分減殺請求権による救済を図ることができます。遺産分割を正したい方は、ぜひ一度「相続財産を守る会」の弁護士に法律相談ください。

ご相談の予約はこちら

相続のご相談は
「相続財産を守る会」
相続にお悩みの方、相続対策の相談をしたい方、当会の専門家にご相談ください。
お問い合わせはこちら
  • この記事を書いた人
  • 最新記事
弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所は、銀座(東京都中央区)にて、相続問題、特に、遺言・節税などの生前対策、相続トラブルの交渉などを強みとして取り扱う法律事務所です。 同オフィス内に、税理士法人浅野総合会計事務所を併設し、相続のご相談について、ワンストップのサービスを提供しております。

-遺産分割
-,

Copyright© 相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会 , 2019 All Rights Reserved.