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相続手続

相続で必要な「出生から死亡までの戸籍謄本」の集め方・取り寄せ方

更新日:

身近なご家族がお亡くなりになり、相続手続きをしなければならないときに必要となるのが、戸籍の収集です。今回は、必要な戸籍の集め方・取り寄せ方についての解説です。

遺産分割協議を開始するときに相続人を調査し、相続登記、相続税など、相続手続きのあらゆる場面で、戸籍が重要となります。

よくある相続相談


相続手続きを進めるのに何部戸籍を取得すべきでしょうか?
相続手続きで必要な戸籍はどこまでの範囲でしょうか?
日中仕事があり、郵送やインターネットなどで戸籍を取得できますか?

相続手続きにでもならなければ一般の方にはあまり馴染みのない「戸籍」ですが、相続を有利に進め、損しないために、戸籍調査が重要となります。

相続手続きのどのような場面で、どのような戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)が必要であるかについて、相続登記・戸籍に強い司法書士が解説します。

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相続財産を守る会を運営する、弁護士法人浅野総合法律事務所では、相続問題と相続手続きの代行サポートに注力しています。

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吉越清顕"]

弁護士法人浅野総合法律事務所、司法書士の吉越です。

戸籍の収集、取り寄せは、専門家に依頼しなくても、自分でも行うことができます。しかし、相続に必要となる戸籍は、通数が多く、どの戸籍が必要かの判断も複雑な場合があります。

司法書士戸籍の調査、収集を一括してお任せいただければ、相続の場面に応じて必要な戸籍を、ひとまとめにしてお渡しすることができます。
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相続手続で戸籍謄本が必要な場面とは?

戸籍とは、ある人の出生から死亡までの、あらゆる法律上の親族、身分に関する情報が登録される台帳です。

昭和23年に、民法・家族法が改正される以前は、戸籍は、一つの家を単位として編成されていました。昭和23年以降は、戸籍は、一つの夫婦とその子供を単位として、編成されています。

一人の人の戸籍の記録は、原則として、出生から始まり、死亡で終わります。

つまり、相続手続きの際に、なぜ戸籍謄本が必要かというと、その戸籍の記載によって、亡くなった方(被相続人)の死亡が公的に証明されるからです。

したがって、戸籍謄本は、あらゆる相続手続きの場面で必要になります。戸籍が必要となる相続手続きの場面は、例えば次のとおりです。

たとえば・・・

  • 相続税の申告・納付
  • 不動産(土地・建物)の相続登記
  • 金融機関の預貯金や株式・金融資産の名義変更
  • 自動車の名義変更
  • 相続放棄、限定承認などの家庭裁判所の手続

このように見て頂くと、ほとんどすべての相続のケースで、戸籍謄本の収集が必須であることを理解していただけるでしょう。戸籍収集をしなくてもよい相続はないと言っても過言ではありません。

相続財産に不動産がなかったり、相続税を申告するほど多額(最低3600万円以上)の相続財産がなかったとしても、預貯金は大抵の相続財産に含まれているのではないでしょうか。

相続手続に必要な戸籍とは?

相続手続に必要となる戸籍謄本の迅速な収集は、相続手続きを迅速に、かつスムーズに進めるうえで重要です。

そのために相続手続きで必要になる戸籍の種類、記録のされかた、通数などの基礎知識を理解しておく必要があります。相続手続きに必要となる戸籍の種類などについて、司法書士が解説します。

戸籍の種類・名称

一概に「戸籍」といっても、戸籍にはさまざまな種類があります。専門的な用語となりますが、戸籍の証明書の呼び方について理解して、戸籍を集める方が、簡単、迅速になります。

そこで、戸籍の集め方、取り寄せ方を効率よく理解していただくため、戸籍の種類や記載内容などを、相続登記・戸籍に強い司法書士が解説します。

戸籍の種類

戸籍(現在戸籍)
:戸籍(現在戸籍)とは、その戸籍の人が在籍していて、現に使用されている戸籍のことです。通常、ただ単に「戸籍」といった場合は、この現在戸籍をさしています。

除籍
:除籍とは、すべての人が、転籍、結婚や離婚、養子縁組や離縁、死亡、分籍等の理由で、その戸籍から除かれた戸籍のことを言います。

なお、結婚等で別の戸籍に移動した人の名前にも「除籍」と記録されますが、他の人が残っている場合は、それは除籍ではなく戸籍です。

改製原戸籍
:改製原戸籍は、正しくは「かいせいげんこせき」と読みますが、「かいせいはらこせき」と呼ぶ通称もあります。改製とは、法令によって戸籍の様式を改めることを言います。

具体的には、戸籍全部事項証明書のところで説明した平成6年の紙からデータに様式を改めた「平成の改製」、昭和23年に新しい民法・家族法になったことによる「昭和の改製」が、大きな改製です。

このように改製して新しい制度となる前の元の戸籍のことを「改製原」戸籍といいます。

戸籍証明書の種類・名称

戸籍の証明書にも、次のとおり種類があります。具体的には、「戸籍謄本」と、「戸籍抄本」の2種類があります。

さきほど解説した「戸籍の種類」と組み合わせて、「(現在)戸籍謄(抄)本」、「除籍(抄)本」」「改製原戸籍(抄)本」などと呼びます。

戸籍証明書の種類

戸籍謄本
戸籍謄本とは、戸籍の証明書で、その戸籍に記録されているすべての人の記録に関する証明書です。

以前は、戸籍謄本と呼ばれていましたが、平成6年の法令で電算化(データ化)された戸籍の証明書は、戸籍全部事項証明書という名前に変わりました。しかし、現在でもそのまま戸籍謄本と呼ばれます。

戸籍抄本(戸籍一部事項証明書)
戸籍謄本に対して、その戸籍に記録されている一部の人の記録に関する証明書は、戸籍抄本(戸籍一部事項証明書)と呼ばれます。

なお、相続の手続きでは、原則、戸籍謄本を使いますので、よくわからないときは、戸籍抄本ではなく戸籍謄本を取得するとよいでしょう。

参 考
戸籍謄本と戸籍抄本の違いと取り方は、こちらをご覧ください。

相続手続きでは、多くの戸籍が必要となります。相続手続きで必要となる戸籍には種類があります。 よく使われるのが、戸籍謄本、戸籍抄本、除籍、改製原戸籍です。このうち、戸籍謄本、戸籍抄本を「現在戸籍」といい ...

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戸籍の附票

戸籍の附票とは、その戸籍に入っている人の(住民票上の)住所の履歴を記録したものです。

住民票の場合は、別の市町村へ引っ越すと、新しい市町村の住民票と元の市町村の住民票の除票が作られます。しかし、戸籍の附票は、本籍地を移さない限り、引っ越した場合でも、同じ戸籍の附票に記録されていきます。

戸籍の附票にも、戸籍の附票、除附票、改製原附票の区別や、謄本、抄本の種類があります。

相続手続きにおいて、戸籍謄本が必要であるとき、除籍、改製原戸籍も当然に必要であることを意味しています。

ちなみに、現在戸籍の場合、発行日から3か月以内といった期間制限がある場合が多いですが、除籍謄(抄)本、改製原謄(抄)本については、この制限は適用されません。

もっとくわしく!

昭和23年の戸籍の改製は、膨大な作業量をともない、すべての戸籍の改製作業が終わったのが昭和40年代といわれています。

したがって、昭和40年頃よりも前に生まれた方の相続手続きのために戸籍を集める場合、昭和23年以前の様式の戸籍を取得する必要が出てくることもあり、戸籍謄本を読み解く難易度が上がります。

相続手続に必要な戸籍とは?

ここまでお読みいただければ、戸籍についての専門用語を理解していただき、「戸籍謄本」「除籍謄本」などと言ったとき、どのような戸籍を準備すればよいのかをご理解いただけるのではないでしょうか。

不動産や預貯金、自動車などの相続による名義変更には、次の2種類の戸籍謄本が必要とされています。順に、どのような戸籍であるかを解説します。

ポイント

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の現在戸籍謄本

「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」とは?

お亡くなりになった人(被相続人)の戸籍謄本を取得するとき、死亡のみを証明するのであれば、最後の戸籍のみで十分ですが、相続手続きでは、相続人は誰かを知るため、「出生から死亡までの戸籍」が必要です。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本には、被相続人がいた戸籍に記録されている人の情報が記載されるので、被相続人の相続関係の全体像を把握することができます。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集し、相続人を特定するための戸籍の集め方、取り寄せ方の例を挙げます。

たとえば・・・

まず、多く場合、お亡くなりになった方の配偶者と子供が相続人となりますので、被相続人の戸籍を読んで、配偶者や子供がいること(またはいないこと)を確認します。

戸籍には、それ以前の戸籍(除籍や改製原戸籍)に記録されていた情報のすべてが転記されるわけではないので、再婚をしている方が被相続人の場合は、前配偶者との間の子供が発見される場合もあります。

婚姻関係にない男女の子供は、母の戸籍に入るので、被相続人が男性の場合はその男性の子供は記録されません。その男性が「認知」をしていないかを確認することも重要です。

前配偶者の子供や未婚の男女間の子供であっても、被相続人の子供であれば、必ず相続人になります。

このように、被相続人の死亡時点の戸籍から、出生時の戸籍へと遡って取得していくことによって、知らなかった相続人が明らかになり、遺産分割全体に影響を及ぼすこともあります。

「相続人全員の現在戸籍」とは?

相続人になるためには、被相続人が亡くなった時点で、生きていなければなりません。これを証明するために相続人の戸籍謄(抄)本も取得することになります。

相続人となるべき人が、亡くなってしまっていることもあります。

この場合、相続人となるべき人が、被相続人の死亡よりも先に亡くなっていたか(代襲相続)、後に亡くなっていたか(数次相続のいずれであっても、亡くなった相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を用意する必要があります。

被相続人と相続人が同じ戸籍にいる場合は、1通の戸籍で十分ですので、被相続人分と相続人分の2通を取得する必要はありません。

遺言がある場合、必要な戸籍が変わる!

遺言書がある場合は、用意する戸籍謄本の内容が変わります。

遺言は、遺言者の死亡がわかればよく、遺産を受け取る人は遺言書に明記されているので、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本を集める必要はなく、死亡時の戸籍謄本で十分です。

ただし、遺言者が、遺産になる財産を取得した後、結婚や離婚等で名字が変わっている場合や改名をしている場合は、その変更がわかる戸籍謄本も取得する必要があります。

遺言書が公正証書ではない場合は、家庭裁判所の検認手続きをするために、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本が必要になります。

遺言書に「〇〇に相続させる」と記載されている場合は、遺言者と○○の相続関係がわかる戸籍を用意する必要があります。

参 考
公正証書遺言の書き方と注意点は、こちらをご覧ください。

公正証書遺言は、自筆証書遺言、秘密証書遺言といった、その他の遺言の形式に比べて、確実性が高く、偽造、改ざんをされにくい点で、最もお勧めの遺言方法です。 遺言書を作成して遺言を残そうと、弁護士、税理士、 ...

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戸籍謄本の集め方・取り寄せ方は?

本籍地の市町村の窓口に請求する

相続手続きで、戸籍謄本を収集するときは、本籍地の市町村の窓口で発行してもらいます。出張所やサービスセンターでも、戸籍謄本を取得できます。

現在戸籍の場合、市町村によっては、マイナンバーカードを使って取得できます。本籍地が遠方の場合には、郵送で取得することがお勧めです。

本籍地とは、戸籍の筆頭者とあわせて、その戸籍を特定するための場所のことです。市町村の担当者も、戸籍謄本を検索するとき、本籍地、筆頭者、筆頭者の生年月日の3点で特定します。

本籍地がわからない方は、住民票を取得することで本籍地を知ることができます。相続人の住民票か被相続人の除票を取得する際に、本籍地と筆頭者の記載をするよう請求すれば、住民票に本籍地と筆頭者が記載されます。

もっとくわしく!

戸籍制度のできた明治時代には、本籍地は同時に住所地を意味しましたが、現代では住所地の意味はなく、戸籍を作成する際の単なる情報の一部です。

以前は、架空の本籍地に戸籍を作ることができたため、たとえば皇居等ありえない場所を本籍地とすることも可能でしたが、現在はできません。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得するため、本籍地をたどり、すべてを戸籍謄本を取得するまでに相当期間が必要な場合がありますので、相続が開始したら時間に余裕をもって収集しなければなりません。

特に、現在戸籍ではなく、除籍、改製原戸籍の場合には、発行に時間がかかる場合があります。

戸籍謄本を窓口で請求するときの必要書類

戸籍謄本を窓口で取得する際には、以下の書類などが必要になります。

ポイント


戸籍交付申請書(役所に備え付けてあります)
認印
本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどの公的身分証明書)

戸籍謄本の発行手数料は、全国均一で、現在戸籍謄(抄)本が1通450円、除籍及び改製原戸籍の謄(抄)本が1通750円です。

戸籍の附票については、各市町村で違い、おおよそ住民票と同じ金額である場合がほとんどです。

戸籍謄本を郵送で請求するときの必要書類

戸籍謄本を郵送で取得する際には、以下の書類などが必要になります。

ポイント


戸籍交付申請書(各市町村のホームページからダウンロードできます)
本人確認書類のコピー
手数料相当額の定額小為替
返送用封筒、郵便切手

普通郵便では、現金をおくることができないので、手数料は定額小為替で支払います。

定額小為替とは、ゆうちょ銀行が発行する決まった金額の為替で、手数料を普通郵便で送って決済をすることができます。

請求した戸籍謄本を送り返してもらうために返信用封筒を同封する必要がありますが、特に古い戸籍を請求した場合、戸籍謄本が厚く重くなりますので、切手は大目に貼っておきます。

戸籍謄本を代理人が請求するときの必要書類

市町村の窓口で取得する場合でも、郵送で取得する場合でも、代理人に戸籍謄本を取得してもらうことも可能です。この場合、次の必要書類が追加されます。

ポイント


相続人から代理人宛の委任状
代理人の本人確認書類

委任状は、原則、任意の様式で作成して問題ありませんが、豊島区等の一部の自治体では、自治体の作成した様式の委任状でなければならない市町村もあります。

また、法律的には、委任状に記名押印で問題ありませんが、豊島区等の一部自治体では、委任者の署名押印でなければならず、委任者に電話をして本人確認をする市町村もあります。

詳しくは、本籍地の市町村の窓口に電話して確認することをお勧めします。

司法書士に戸籍収集を依頼するメリット

戸籍の取得には、市町村の窓口に出向いたり、郵送で請求したりと、さまざまな手間がかかります。さらに一か所の市町村ですべての戸籍を取得できるとは限りません。

最近は市町村の窓口でも、親切に教えてくれる場合も多いですが、平日の日中に窓口に出向く必要があり、お仕事をされている方には、難しいのではないでしょうか。

また、特に戦前生まれの方の相続の場合、大量の戸籍を取得することになったり、筆書きの古文書のような戸籍を読み解くことになったり、震災や戦災で戸籍自体が消滅しているといった、難易度が各段に高いケースもあります。

司法書士などの相続業務に携わる専門家は、そういった難易度の高いケースであっても、日常的に接していて慣れています。また戸籍の取得の代行をする場合、司法書士の報酬は、戸籍1通あたり1,000円から2,000円程度です。

参 考
相続登記の司法書士費用について、詳しくはこちらをご覧ください。

相続財産に、不動産が含まれている場合には、遺言、遺産分割協議などによって決まった相続分にしたがって、不動産の登記名義を変更する必要があります。 相続が発生したときに、相続分にしたがって不動産の登記名義 ...

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必要な戸籍をたどる方法は?

相続手続きをすすめるにあたって、亡くなった方(被相続人)が死亡した事実とその被相続人の相続人が誰であるのかということは、もっとも重要なことです。

死亡の事実については、死亡届を提出すると被相続人の最後の戸籍に記録されます。また、だれが相続人になるのかは、被相続人の配偶者、子供、尊属、兄弟姉妹であると法律で決まっています。

では、被相続人の配偶者であること、子供であること等は、どうやってわかるのか、どうやって銀行や役所等の第三者に証明するのでしょうか。

参 考
法定相続人の順位・範囲と割合は、こちらをご覧ください。

身近なご家族がお亡くなりになってしまったとき、「誰が財産を相続することができるのだろう。」と不安に思うことでしょう。 遺言・遺書などがのこされていたなど、お亡くなりになったご家族の意思が明らかでない場 ...

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死亡時から出生時へと遡って戸籍を取得する

多くの外国では、婚姻の証明書、出生の証明書等を組み合わせて、配偶者であること、子供であることを、証明していきます。

日本の場合は、戸籍制度が、ある人の家族関係、相続関係を強力に証明してくれます。

つまり、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要かというと、その戸籍謄本の記載によって、被相続人が死亡した事実と被相続人の相続人であることを簡単に証明することができるのです。

もう一つ重要なことは、相続人を確定することです。

養子に出された子供や前妻についていった子供等、最新の戸籍には記録されていない相続人は、過去の戸籍にさかのぼって、相続人であることを証明する必要があります。

相続の手続きをする際に、被相続人の出生から、亡くなった時までの戸籍謄本を揃えるのは、このためです。

被相続人の出生から、亡くなった時までの戸籍謄本を集めるもう一つの理由は、被相続人の相続人は、戸籍に記載されている相続人以外にはいないということを証明するためでもあります。

参 考
協議前に必要となる「相続人の確定」は、こちらをご覧ください。

ご家族がお亡くなりになったとき、遺産分割協議を始める前に、「相続人の確定」をしておくことが重要です。 「誰が相続人になるのか。」は、民法で法定相続人に関するルールが定められていますが、実際の相続のとき ...

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戸籍の記録の読み方、収集の仕方

一つの戸籍には、大きく分けて二つの記録の枠があります。一つは戸籍事項欄、もう一つは個人事項欄です。戸籍事項欄は、その戸籍の全体についての記録、個人事項欄は、その戸籍に入る人についての記録が記載されています。

ポイント

戸籍事項欄
戸籍事項欄は、必ず戸籍の1ページ目の最上段にあります。「本籍地」「筆頭者の氏名」のほか、その戸籍を新しく作った原因と日付や、従前の戸籍の本籍地と筆頭者の名前等が記録されています。

戸籍全体についての変更(たとえば、改製や氏の変更等)についても記録されます。

個人事項欄
個人事項欄には、その戸籍にいる個人の情報が記録されます。戸籍の左側の欄にその人の名前(氏名ではありません)と戸籍記録の見出し、右側に、例えば出生、婚姻、死亡などの具体的な記録が記載されます。

まずは、最後の戸籍の戸籍事項欄から、その一つ前の戸籍の情報を探します。現在の戸籍で最も多いものは平成改製であることが多いと考えられますが、平成改製の場合は、かならず同じ本籍地に改製原戸籍が存在します。

もし、平成改製の記録ではなく、転籍や分籍の場合は、転籍(分籍)前の本籍地(及び筆頭者)が記録されているので、その情報をもとに、市町村の窓口に戸籍の請求をします。

改製原戸籍、除籍の場合も同様で、戸籍事項欄に記載されているその一つ前の戸籍をさかのぼる作業を繰り返して遡ります。

ただし、戸籍事項欄にかならず一つ前の戸籍の情報が記録されているとは限らず、筆頭者(又は戸主)の個人事項欄にそれ以前の戸籍の情報が記録されている場合もあります。

また、もし被相続人が婚姻や養子縁等でその戸籍に入ってきた場合は、戸籍事項欄には一つ前の戸籍の情報はありません。

この場合は、被相続人の個人事項欄を確認すると、入籍した原因と日付、入籍前の戸籍の本籍地、筆頭者の氏名が記録されているので、この情報をもとに、市町村の窓口に戸籍をすれば、良いことになります。

戸籍収集が複雑となる相続の例

戸籍収集の方法、戸籍の集め方について、詳しく解説をしましたが、最近の市町村の窓口は、以前と比べて親切に対応してくれることが多くなっています。

窓口で「出生から死亡までの戸籍をとりたい」と伝えると、「相続手続きに必要な戸籍の収集をしている」と伝わり、窓口で発行できる限りの戸籍謄本を発行してくれる市区町村も多くあります。

また、詳しい担当者であれば、その窓口で発行できる戸籍の前の戸籍の請求先を教えてくれることもありますので、まずは市町村窓口に相談するのも一つの方法です。

最後に、司法書士がよく経験する、戸籍収集が非常に複雑で、手間と時間がかかるケースをご紹介します。

たとえば・・・

  • 相続人になるべき方が、先に亡くなられている場合・子供がおらず、兄弟姉妹(又はその子供)が相続人となる場合
  • 結婚と離婚や養子縁組と離縁を繰り返している方が被相続人になる場合
  • 昭和10年以前に生まれた方が被相続人になる場合

高齢の方であっても、旧民法が適用されたり、古い戸籍までさかのぼったりする例は、年々少なくなっていますが、昔起こった相続での遺産分割が未了のまま放置されている場合などには、戸籍収集が大変なケースがあります。

相続手続きは、「相続財産を守る会」にお任せください

いかがでしたでしょうか?

今回は、相続手続きで必ずといっていいほど必要となってくる、戸籍謄本を取り寄せる方法について、相続に強い司法書士がご紹介しました。

戸籍謄本は、相続手続きのあらゆる場面で必要である反面、その取得には手間と時間、費用がかかります。

また、一般の方が取り寄せるとすると、平日の日中に役所にいったり、見慣れない古い戸籍を読み解いたりといった苦労がかかります。手間と時間を節約するため、戸籍収集を数多く行っている司法書士に依頼いただくことが有用です。

「相続財産を守る会」では、常時多数の相続手続きについてのご依頼をいただいておりますので、戸籍収集、戸籍読解のノウハウを多数蓄積しており、複雑な相続手続きもスピーディに対応できます。

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司法書士 吉越 清顕

司法書士吉越清顕は、弁護士法人浅野総合法律事務所に所属する司法書士です。東京都中央区、銀座駅から徒歩3分の利便性の高い、相続登記・戸籍に強い司法書士です。 同場所に所在する税理士法人浅野総合会計事務所と連携をとることで、ご相談者にとって最適なトータルサポートによる相続問題の解決を目指します。

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