相続財産(遺産)を守る専門家(弁護士・税理士)が解説!

相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会

遺産分割

子どものいない夫婦の相続対策のポイントは?何からはじめたらよい?

投稿日:

家族のあり方が多様化し、結婚をしても、お子さんをつくらないというご夫婦も増えてきました。

お子さんがいないご夫婦の場合、「夫婦2人が生活できるだけの財産があればよい」、「死んだ後のことなど心配しても仕方ない」とおっしゃる方もいます。しかし、子どものいない夫婦であっても、相続対策のときに気を付けておいていただきたいポイントがあります。

お子さんがいないご夫婦の場合、「全財産を配偶者にあげたい」と考えることが多いでしょうが、対策なくしては実現できないケースもあります。

そこで今回は、子どものいない夫婦が行うべき、相続対策のポイントと、何からはじめたらよいのかについて、相続に強い弁護士が解説します。

「遺産分割」の人気解説はこちら!

遺産分割

2019/1/31

遺留分・遺留分減殺請求権は譲渡・贈与できる?【弁護士解説】

遺留分は、法定相続人に与えられた権利ですが、権利というものは、法律上、譲渡・贈与の対象とすることができます。そこで、遺留分や遺留分減殺請求権は、譲渡・贈与することができるのか、という疑問が生まれます。 遺留分や遺留分減殺請求権が譲渡・贈与することができるかどうかは、相続が開始しているかどうか、遺留分に関する権利が具体的な権利として発生しているかどうかなどによって異なるため、そのタイミングによって場合分けして、弁護士が解説します。 遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人(つまり、配偶者、子・孫、両親・祖父母な ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/4

相続人になれない?「相続欠格」・「相続廃除」とは?違いは?

民法に、相続人になることができると定められている人のことを「法定相続人」といいます。法定相続人は、本来、必ず相続人になることができますし、相続権を侵害されても「遺留分」という考え方で守られています。 しかし、法定相続人であっても、相続人になることができない場合があります。被相続人側からしても、法定相続人であっても、どうしても相続人にしたくない、というケースがあるのではないでしょうか。 よくある相続相談 「相続欠格」と「相続廃除」の違いを知りたい。 被相続人の立場で、法定相続人から虐待を受けているため、相続 ...

ReadMore

遺産分割

2018/11/20

いとこが亡くなったら遺産を相続できる?いとこが相続する方法は?

一般的に、「相続」というと、親子関係で起こる相続をイメージされる方が多いのではないでしょうか。しかし、相続の中には、親子だけでなく、祖父母、孫、兄弟姉妹などが相続人となる場合があります。 「いとこ(従兄弟、従姉妹)」は、両親の兄弟の子のことをいい、4親等離れています。直接の親子関係にある「直系血族」に対して、「傍系血族」といいます。 いとこは、相続人となることができるのでしょうか。いとこが死亡したとき、相続財産を得られるのでしょうか。いとことの関係が仲良しの方も仲が悪い方もいるでしょうが、いとこが相続する ...

ReadMore

遺産分割

2019/1/23

特別縁故者とは?相続人以外でも財産をもらえるケースとは?

特別縁故者(とくべつえんこしゃ)という言葉をご存じでしょうか。ご家族がお亡くなりになったときに相続できる人は民法で定まっていますが、相続人でなくても相続できる場合もあります。 相続人がいない場合に、相続人でなくても相続することができるのが「特別縁故者」の制度です。 今回は、特別縁故者とはどのような人がなることができるのか、また、特別縁故者が、相続人ではないのに相続できる場合とはどのような場合であるか、その具体的手続きなどについて、相続に強い弁護士が解説します。 「遺産分割」の人気解説はこちら! [toc] ...

ReadMore

遺産分割

2019/1/8

死亡直前・直後の預金引出しへの、相続人の対応は?返してもらえる?

口座の名義人がお亡くなりになると、銀行などの金融機関では、預貯金口座を凍結し、入出金ができないようにするのが原則です。しかし、金融機関は、人の生死を常にチェックしているわけではないので、死亡直前・直後に預金の引き出しが行われることがあります。 預貯金は、相続の際に、1円単位で分割できる、分割しやすい相続財産(遺産)である反面、預貯金の凍結解除や解約、名義変更、払い戻しに手間がかかったり、死亡直前・直後の引出が「不当利得」として「争続」の火種となるなどの問題があります。 特に、ご家族の死亡する前後では、入院 ...

ReadMore

[toc]

まずは相続人の確認からはじめる

お子さんがいないご夫婦の場合でも、それ以外の方と同様、相続の生前対策、相続税の節税対策を考えるにあたってまず重要なのが、「誰が相続人になるのか」です。お子さんがいない夫婦の方は、自分が亡くなった後誰が相続するか、認識するところからはじめてください。

お子さんがいらっしゃるご夫婦の場合には、配偶者(夫もしくは妻)と、「子ども」が相続人となりますが、お子さんがいない場合には、相続人として、思わぬ親族が出現するおそれがあります。

お子さんがいないとき、配偶者(夫もしくは妻)以外に、法定相続人となるのは、ご両親、祖父母、兄弟姉妹、兄弟姉妹の子(甥・姪)といった順序です。この中に、自分の意図しない相続人が存在しませんでしょうか。

もし、自分が相続財産を残したくない人がいる、という場合には、ただちに相続対策が必要です。

相続対策をするにあたって、「誰が相続人になるのか」を見逃さないためにも、相続関係図、家系図などを作成しておくことが有用です。

参 考
法定相続人の範囲・順位と相続割合は、こちらをご覧ください。

身近なご家族がお亡くなりになってしまったとき、「誰が財産を相続することができるのだろう。」と不安に思うことでしょう。 遺言・遺書などがのこされていたなど、お亡くなりになったご家族の意思が明らかでない場 ...

続きを見る

子どものいない夫婦が行うべき相続対策とは?

子どものいない夫婦であっても、相続対策をしておかなければ「すべての財産が妻(夫)に相続される」ことが保証されているわけではないことを解説しました。

そこで次に、子どものいない夫婦が行うべき相続対策、特に、夫婦ならではの遺言の作成方法と注意点について、弁護士が解説します。

法定相続人と遺言の関係

子どものいない夫婦の場合、民法で相続人になることが定められた「法定相続人」と、その相続割合は、次のとおりに決められています。

100%配偶者が相続できるわけではないどころか、むしろ、まったく縁もゆかりもなかった甥や姪が相続する可能性すらあります。

被相続人に父母がいる場合 配偶者2/3 父母1/3
被相続人に父母がいないが兄弟姉妹がいる場合 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4

兄弟姉妹がお亡くなりになっている場合に、兄弟姉妹の子、すなわち、甥、姪が、代わりに相続することを「代襲相続」といいます。このとき、甥や姪は、兄弟姉妹の相続権を、そのまま引き継ぐことになります。

参 考
「代襲相続」の範囲と割合については、こちらをご覧ください。

「代襲相続」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。「代襲相続」を知ることによって、いざ相続が発生したとき、誰が、どれだけの遺産(相続財産)を相続できるかがわかります。 通常、相続が発生した ...

続きを見る

相続対策が特に必要なケース

相続財産がたくさんあり、しかも、現金・預貯金など、わけやすい性質の財産であれば、それほど困ることはありません。

しかし、相続財産(遺産)が不動産しかなく、しかもその不動産が、夫婦の自宅として利用されていた場合には、のこされた配偶者が、その家のすべての権利を承継しなかった結果、住処を失ってしまいかねないケースがあります。

このように、相続財産(遺産)が少なかったり、財産の種類が少なかったりして、配偶者以外の人に財産がわたってしまうと遺産分割が「争続」となる場合こそ、ご夫婦しかいない相続において生前対策が重要となるケースです。

また、あわせて、「どうしても、仲の悪い兄弟姉妹には、財産を渡したくない」という場合もまた、相続対策が必須となります。

子どものいない夫婦が書くべき遺言書とは?

では、子どものいない夫婦が書くべき遺言書とは、どのような遺言書なのでしょうか。弁護士が解説していきます。

子どものいない夫婦が、その片方がなくなったあとの問題を、「おひとり様問題」ということがありますが、「おひとり様」となった後、相続財産をうまく承継できないと、生活にすら困窮してしまう危険があります。

参 考
遺言書作成のメリット・デメリットは、こちらをご覧ください。

遺言は、いつかやってくるかもしれない万一の自分の死亡のときのために、残されたご家族が困らないように残しておくものです。そのため、適切な遺言には大きなメリットがあり、デメリットはそれほどありません。 し ...

続きを見る

遺言書の内容

子どものいない夫婦で、配偶者(夫または妻)にすべての財産を相続させたい場合、その旨の遺言書を作成すれば、叶うケースもあります。

たとえば、子どものいない夫婦の片方がお亡くなりになり、他に相続人となるのが、兄弟姉妹(もしくはそれを代襲相続した甥姪)のみの場合には、兄弟姉妹には「遺留分」という最低保証の遺産があたえられていないため、遺言書のとおりに相続させることができます。

その結果、「相続財産(遺産)をすべて妻に相続させる」といった内容の遺言書を作成しておけば、相続対策として十分な内容の遺言ということになります。

これに対して、子どものいない夫婦であって、ご両親は健在の場合には、ご両親のみが相続人の場合に「法定相続分×1/3」、ご両親と配偶者が相続人の場合に「法定相続分×1/2」の遺留分がご両親に認められます。

そのため、「相続財産(遺産)をすべて妻に相続させる」と遺言書に書いても、ご両親がこれを争う場合には、ご両親が一定の遺産を相続することになるため、事前の話し合い、根回しが必要となります。

「遺言」のイチオシ解説はコチラ!


[su_posts template="templates/list-loop.php" posts_per_page="5" tax_term="5" order="desc" orderby="rand" ignore_sticky_posts="yes"]

遺言書の種類

次に、子どものいない夫婦が残しておくべき、遺言書の種類について、解説します。

遺言書にはいくつかの種類がありますが、多く利用されているのは、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の2つです。

ポイント

「自筆証書遺言」:自分で手書きでつくる遺言書
「公正証書遺言」:のこしたい遺言の内容を公証人に伝えて、公証人に作ってもらう遺言

自筆証書遺言は、原則としてすべて手書きで作成しなければならない点が手間ですが、自分ひとりで遺言書を作成してのこすことができるため、よく利用されています。

ただし、遺言書の作成のルールは厳格に定められており、ミスがあると、遺言書が無効となってしまう場合があります。また、遺言書を誰かに隠されてしまう可能性もあります。

公正証書遺言であれば、手数料は必要ですが、公証人が関与して作成し、また、遺言書の内容も公証役場に保管されるため、確実に遺言書をのこしておくことができます。

参 考
「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の比較は、こちらをご覧ください。

数ある遺言書の種類のうち、特によく利用されているのが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類です。この2つの遺言については聞いたことがある方が多いでしょう。他方、秘密証書遺言や緊急時の遺言の利用頻度 ...

続きを見る

遺留分は自由に処分できない

遺留分は、法律によって認められた相続人の権利です。そのため、遺言をのこす方が、遺言書の中で、「両親には遺留分をみとめない」などと書いたとしても、そのような遺言は無効となります。

遺留分は、遺言書によっても、自由に処分することができません。

遺留分を生前に放棄してもらうためには、遺留分を持つ人が同意していたとしても、家庭裁判所の許可が必要となります。

参 考
遺留分を放棄するための方法と手続は、こちらをご覧ください。

他の相続人にあらかじめ遺留分を放棄させたい、もしくは、「争続」を回避するために、遺留分を放棄したい、という相続相談が、弁護士のもとに寄せられます。しかし、遺留分の放棄は、(特に、ご家族がお亡くなりにな ...

続きを見る

兄弟姉妹には遺留分がない!

既にふれたとおり、兄弟姉妹には遺留分はありません。

子どものいない夫婦において、両親や祖父母が存命のときは、両親や祖父母の遺留分にも気を配る必要がありますが、両親や祖父母もおらず、兄弟姉妹がいるだけであれば、遺言によって、配偶者に全財産を与えることも可能です。

遺言書をのこさなければ、兄弟姉妹にも相続がみとめられるので、このような場合にこそ、遺言による生前対策が必要となります。

子どものいない夫婦の遺言書の注意点

以上の通り、子どものいない夫婦の場合、相続対策のための遺言書が非常に重要となることを解説しました。

しかし、遺言書とひとことでいっても、作成すればよいというものではなく、ご家族の状況に応じた、適切な遺言である必要があります。そこで、子どものいない夫婦の遺言書の注意点について、弁護士が解説します。

夫婦それぞれの遺言書を作成する

遺言書は、夫と妻が、それぞれ作成しておくべきです。

夫だけが遺言書を作っていると、妻がお亡くなりになったときに、妻の財産が、夫以外の妻の家族にわたってしまう可能性があります。

妻が重要な財産をもっていない場合にはそれでもかまいませんが、たとえば自宅が夫婦の共有名義になっていると、妻の持分が妻の家族によって相続されるおそれもあるため、注意が必要です。

夫婦がお互いにしか財産をのこすつもりがないのであれば、夫は「妻に全財産をあたえる」、妻は「夫に全財産をあたえる」という遺言をのこしておきます。

参 考
夫婦で一緒に遺言をつくるときの注意点は、こちらをご覧ください。

相続対策を検討するとき、相続問題は、ある1人の問題ではありません。ご家族全体の問題であるという自覚をもって、家族全員で話し合いをしながら、遺言書の作成など生前対策を進めるのはとても効果的です。 しかし ...

続きを見る

夫婦共同で遺言書を作成することはできない

遺言書は、夫と妻がそれぞれ作成すべきですが、その際、遺言書は、別々に作るようにしてください。夫と妻が連名で作成してしまうと、遺言書が無効となる可能性があります。

これを、「共同遺言の禁止」といいます。

兄弟姉妹に財産をわたす必要がないか

子どものいない夫婦で、財産はお互いにすべて相続させればよいと考える方は多いです。しかし、親から受け継いだ資産などを、本当にすべて配偶者にわたしてよいかということは、考えてください。

夫婦の一方が亡くなった場合に、すべての財産を配偶者に与えると、その後は、親から受け継いだ財産も、配偶者の家系で相続されます。

もし、自分と血縁のある方に相続してもらった方がよいと考える財産があるのであれば、その財産については、兄弟姉妹に与える手もあります。配偶者にすべての財産をわたすときは、兄弟姉妹との、その後の付き合い方のことも考えてください。

相続税を節税する

子どものいない夫婦では、夫婦のどちらが先にお亡くなりになっても配偶者の相続税の負担が大きくならないように、対策を練っておきます。

たとえば、共働きで、夫の稼ぎが多いのであれば、ふだんの支出は夫が多めに出し、妻の財産をためておきます。

そうすると、夫が先に亡くなっても、妻の相続税の負担を減らすことができます。また、妻の納税資金も確保できます。

参 考
相続税を少しでも安くする節税対策の基本は、こちらをご覧ください。

相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内に、税務署に対して申告し、納税しなければなりません。節税対策を全く行っていないと、相続税があまりにも高額となり、期間内に払いきれない危 ...

続きを見る

相続対策は、「相続財産を守る会」にお任せください!

今回は、子供のいない夫婦における相続対策について解説しました。

子どものいない夫婦でも、きちんと対策をしておかないと、思わぬトラブルに巻き込まれてしまいます。今回の記事を、ご夫婦の相続対策に役立ててください。

子どものいない夫婦における、遺言書作成、相続税対策などの生前対策・相続対策は、「相続財産を守る会」の専門家にお任せください。

ご相談の予約はこちら

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所は、銀座(東京都中央区)にて、相続問題、特に、遺言・節税などの生前対策、相続トラブルの交渉などを強みとして取り扱う法律事務所です。 同オフィス内に、税理士法人浅野総合会計事務所を併設し、相続のご相談について、ワンストップのサービスを提供しております。

-遺産分割

Copyright© 相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会 , 2023 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.