遺言書は、相続時に重要な役割を果たす書類です。遺言書を作成することによって、残された家族同士が相続で揉める事態を未然に防ぐことができます。
ただ、遺言書には様々な種類があり、メリットとデメリットも多様なので、自身のニーズにあわせた遺言の種類を選ばなければなりません。それぞれ法律の定める方式と要件に従わなければ将来に遺言が無効となるリスクもあります。誤った遺言の残し方は大きなデメリットにも繋がるのです。
今回は、遺言書の基本や無効とならないための対策を解説します。それぞれの遺言書の特徴をおさえて、順序よく手続きを踏む必要がありますので、相続にとって効果的な遺言を作成するには、弁護士に相談すべきです。
遺言書の基本
まず、遺言書の基本的な法律知識について解説します。
遺言書とは
遺言書とは、被相続人の生前最後の意思表示を書き記した書面です。
生前に効力が生じる意思表示なら、有効性に疑義が生じても、当の本人に聞けば真意を知ることができます。しかし、遺言は、遺言者が死亡して初めて効力を生じるので、いざ効力が発生したときには遺言者の真意を直接確かめることはできず、遺言書を読んで理解するしかありません。このとき、曖昧な内容で、相続人間の解釈が異なると、揉め事に発展します。
そのため、遺言者の真意を確認する手段として、遺言書という書面の作成が必要とされます。
「遺言書を生前に書いておこう」という気持ちのなかなか起こりづらい家庭も多いでしょう。
しかし、実際には、令和4年司法統計年報(裁判所HP)によれば、遺産分割事件の認容・調停成立件数(「分割しない」を除く)6,857件のうち、遺産5,000万円以下のものだけで5,231件と、全体の約4分の3を占めるのが現状であり、相続する財産がそれほど多くなくても、大きな揉め事がたくさん起こっています。相続は身近な問題であると考え、事前の対策は欠かせません。
遺言書の効果
遺言書は、相続において非常に大きな効果を有します。
故人の財産は、遺言書がなくても民法の法定相続人のルールにしたがって近親者に承継されます。そのため、相続をするのに遺言書は必須ではありません。一方で、遺言書を書いておくと、民法の定めに優先して、遺言者の希望通りに遺産を相続させることができます。また、遺言書によれば、相続人以外の人に対しても遺産を渡すことができます。
遺言がある場合と、ない場合の相続の流れは、次のように異なります。
遺言がある場合の相続の流れ
遺言がない場合の相続の流れ
遺産分割の基本について
遺言書の種類と違い
遺言は、遺言者の最終の真意を確保するため、必ず法定の方式によることが要求されます。
法律に定められた遺言書には次のように種類があります。通常は普通方式を用いますが、緊急時には特別方式を活用すべき場面もあります。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者の自筆で作成された遺言書です。自分の手書きだけで遺言を済ませたいときに、他に特別な手続きなく作ることのできる簡便な遺言です。公正証書遺言や秘密証書遺言など、他の方式とは異なり、証人は必要とせず、自分で作るので作成費用もかかりません。
作成後は、遺言者自身で保管しますが、2018年相続法改正で、法務局で保管してもらう制度も新設されました。遺言者の死後は、家庭裁判所による検認の手続きを要します。
自筆証書遺言について
公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人の関与のもと、公証役場で作成される遺言書です。
普通方式遺言の3種類のなかで、最も高い信用性があるため、弁護士に依頼して作成する場合には、基本的に公正証書遺言をお勧めします。遺言書の内容を公証人にチェックしてもらうことで形式不備を避けられ、かつ、原本が公証役場で保管されるので紛失の危険もありません。他の普通方式遺言書とは異なり、遺言者の死後にも検認の手続きは不要です。
一方で、公正証書遺言には、公証人手数料令に基づく費用がかかります。
公正証書遺言について
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言者自身で作成する点では自筆証書遺言と共通しますが、遺言書の存在は明らかにしつつ、その内容を完全に秘密にして作成する遺言書です。
自筆証書遺言と違って全て自署する必要はなく、遺言者本人による署名・押印があれば足ります。完成した秘密証書遺言書は、公証役場に持参し、作成した事実を記録してもらいます(手数料11,000円)。公証人が関与する点では公正証書遺言と類似していますが、公証人は内容を見ることはしません。作成した秘密証書遺言は、公証役場で保管してもらうことはできず、遺言者本人が保管します。
遺言者の死後は、家庭裁判所による検認の手続きを要します。
特別方式の遺言
特別方式の遺言は、普通方式によることが不可能か、または、著しく困難な場合に例外的に認められる遺言書です。特別方式は、遺言者が死亡の危機に瀕したときに認められる方式と、遺言者が交通の遮断された場所にいる場合に認められる方式とに分けられます。
【遺言者が死亡の危機に瀕したときに認められる方式】
- 危急者遺言(民法976条)
- 船舶遭難者遺言(民法979条)
【遺言者が交通の遮断された場所にいる場合に認められる方式】
- 伝染病隔離者遺言(民法977条)
- 在船者遺言(民法978条)
死亡の危機に瀕したときに認められる方式は、遺言者が、その健康状態や病状などによって、遺言内容を口授できるものの、署名や押印ができないというケースが想定されています。他方で、交通の遮断された場所にいる場合に認められる方式は、遺言を残したくても公証人の関与を求めることが物理的に困難なケースを想定しています。
遺言書の書き方と無効とならないための例文、記載例
遺言書は、民法の定める厳格な要件を満たさないと、無効になります。
せっかく作成した遺言が、将来無効と判断されないためにも、遺言の種類ごとに民法の定める要件を理解し、細心の注意を払って遺言書を書き上げる必要があります。心配なときは、例文や記載例を参考にして、自分の状況にあわせて氏名や財産の種類などを書き換える方法がお勧めです。
以下の解説は、無効とならないための最低限のルールです。更にそこから一歩進んで、相続人間の紛争を防ぎたいなら、文面もよく練る必要があり、弁護士のサポートが有効です。
自筆証書遺言の要件と書き方
まず、自筆証書遺言を成立させるには「自署」と「押印」の2つの要件を満たす必要があります。
自署とは、遺言書の全文、日付及び氏名を遺言者自身が手書きすることです。
【遺言書の全文】
- 用紙は便箋や罫紙など、文字が書けるものであれば何でもよい。
- 筆記用具は、ボールペン、筆、万年筆のいずれも可能だが、消えやすく、改ざんされやすい鉛筆やフリクションペンは避ける。
- ワープロ、タイプライター、点字機、テープレコーダーによる記載は、自書に該当せず無効となる。
- 遺言の意味内容が正確に理解できれば、外国語、略字、速記文字で記載してもよい。
- 相続財産目録は、例外的に自署でなくてよい(民法968条2項)。ただし、この場合には、遺言者は財産目録の全頁に署名押印する必要がある。
【日付】
- 日付は西暦でも元号でもよいが、暦上の特定の日を表示する。
- 年月だけで日の記載がないものは無効(最高裁昭和52年11月29日判決)。
- 「吉日」との記載は特定の日を表示するとはいえず無効(最高裁昭和54年5月31日判決)。
【氏名】
- 戸籍上の氏名を自署するのが基本。
- 通称名、芸名、雅号、ペンネームでもよい。
更に一歩進んで、トラブルの元とならない遺言書とするには、法定相続人には「相続させる」、それ以外の人には「遺贈する」という文言を使い、財産の記載漏れを防ぐため、最後に「その他の一切の財産については◯◯に相続させる」という文言を追加するようにしてください。
公正証書遺言の作成のプロセス
公正証書遺言については、形式的な要件を公証人が確認してくれるため、作成のプロセスについてよく理解するようにしてください。
- 2名以上の証人が立ち会い、遺言者が公証人に遺言の趣旨を口授する。
- 公証人に遺言者の口授を筆記してもらう。
- 筆記した内容を遺言者と証人に読み聞かせ、または、閲覧させる。
- 遺言者と証人が公証人の筆記の正確であることを承認する。
- 遺言者と証人が署名押印する。
- 公証人が、上記に掲げる方式に従って作った証書である旨を付記し、署名押印する。
条文上は、上記の順序となっていますが、実務的には、遺言者が文案をあらかじめ公証人に示しておくことも少なくありません。裁判例では、個々の要件がすべて満たされていれば、その順序が法定のものと異なっていても方式違反にならないと判断されています(最高裁昭和43年12月20日判決)。
秘密証書遺言の要件と書き方
秘密証書遺言は、以下の方式に従って作成される必要があります。
- 遺言者が、遺言書に署名押印する。
- 遺言書を封じ、遺言書に用いた印章で封印する。
- 遺言書の入った封書を公証人1人と証人2人以上の前に提出し、「自己の遺言書であること」「遺言者の氏名と住所」を申述する。
- 公証人が、遺言書提出日と遺言者の申述内容を封紙に記載する。
- 遺言者、証人、公証人それぞれが署名押印する
秘密証書遺言では、遺言書本文は自書する必要はなく、パソコンによる作成や他人の代筆も許されます。公証人が遺言書提出日を記載するので、遺言者自身が日付を書く必要もありません。ただ、署名押印については遺言者自身でする必要があります。
遺言書のメリット・デメリット
遺言書といっても様々な種類があり、その種類ごとに強みと弱みがあります。各遺言書のメリット・デメリットについて整理して解説します。
また、遺言書は、注意して作成しないとトラブルのもとになるなどデメリットやリスクもあります。そのため、遺言書を書くかどうかを判断するための事情についても触れます。なお、特別方式の遺言はやむを得ない状況で活用するもののため、メリット・デメリットを比較して検討することはありません。
自筆証書遺言のメリット・デメリット
【自筆証書遺言のメリット】
- 作成に費用がかからない。
- 自身のみで簡易に作成することができる。
- 自分1人でも取り掛かることができる。
【自筆証書遺言のデメリット】
- 形式不備によって無効と判断されるおそれがある。
- 死後に相続人が遺言書を発見できない可能性がある。
- 遺言書の紛失、偽造、改ざんのリスクがある。
- 検認や遺産分割など、死後の相続人の手続き負担が大きい。
以上のように、自筆証書遺言は、簡単に作成できる反面、あまり気を抜いて甘くみることもできず、明確性、正確性を欠く自筆証書遺言が、かえってその解釈を巡るトラブルを引き起こすことがあります。なお、2018年の相続法改正によって導入された自筆証書遺言の法務局保管制度によって、紛失、偽造、改ざんのリスクは多少軽減されました。
公正証書遺言のメリット・デメリット
【公正証書遺言のメリット】
- 遺言者の意思を実現しやすい。
- 公証人が関与するので形式不備のおそれが少ない。
- 公証人と証人が確認することで遺言能力の争いが起きづらい。
- 原本が公証役場に保管され、紛失、偽造、改ざんのおそれがない。
【公正証書遺言のデメリット】
- 遺言の存在や内容を生前に知られる危険がある。
- 作成のために費用がかかる。
- 公証人との打ち合わせに時間を要する。
公正証書遺言は、遺志を実現しやすく、相続人や受遺者にも手間をかける心配がなく、最も正確で信頼のおける方法といってよいでしょう。デメリットとしても費用もさほど高額ではなく、いずれにせよ手間を惜しんでいては確かな遺言は残せません。手軽さから自筆証書遺言を選び、死後に無効となっては意味がないので、公正証書遺言の方式によるのが最もお勧めです。
秘密証書遺言のメリット・デメリット
【秘密証書遺言のメリット】
- 原本が公証役場に保管されるので紛失のリスクはない。
- 遺言の存在を明らかにすることができる。
- 遺言の内容は、生前は秘密にしておくことができる。
【秘密証書遺言のデメリット】
- 公証人は遺言の中身をチェックしないので形式不備のリスクは残る。
- 作成に費用がかかる。
- 死後に検認の手続きを要する。
- 自分で署名できない人には利用できない。
秘密証書遺言は、どうしても遺言の内容を人に知らせたくない場合など、例外的なケースで活用されるものと考えてください。実際に、あまり使用例は多くはありません。というのも、公正証書遺言でも、証人に適切な人を選べば秘密を保つことができるためです。
遺言書を書かないメリット・デメリット
最後に「遺言書を書かない」という選択肢をあえて選ぶかどうかを判断するために、遺言書を書かないメリット・デメリットについても解説しておきます。
【遺言書を書かないメリット】
- 遺言書の作成にかかる手間や労力、費用を省ける。
- 生前に相続のことに頭を悩ませる必要がない。
【遺言書を書かないデメリット】
- 死後に相続人間の争いが長期化するおそれがある。
- 遺産分割に希望を反映することができない。
- 相続人以外に財産を分け与えることができない。
- 相続人の負担を減らすことができない。
- 遺産分割が終わらないと財産を分けられない。
以上の通り、亡くなる人にとっては、その時点での手間や労力を省けて、相続について考える必要がないように見えます。しかしそれは、問題の先送りに過ぎず、見て見ぬふりはいけません。しっかりと相続の対策をしたほうが、結果的には手間を減らすことができ、長期的に家族の絆を確保し、争いを減らすことができます。やはり、遺言を書くメリットの方が、デメリットよりも大きいのです。
遺言を書くことによるリスクが顕在化するのは、不明瞭で争いの起きやすい遺言内容だったり、不公平で対立のもととなる遺言であったりといったことが原因です。適切な遺言とするよう配慮しておけば、遺言を書くことにリスクやデメリットはありません。
口約束の相続について
遺言書を作成する際にあわせて考慮すべきポイント
次に、遺言書の作成を検討する際に、あわせて考慮しておきたい点を解説します。
遺言執行者の選任
遺言書の作成と同時に、遺言執行者を指定しておくことが望ましいです。
遺言執行者とは、遺言の内容に基づいた財産の分配を担当する人です。遺言書作成を弁護士にする場合は、依頼した弁護士を遺言執行者として指定することが多いです。遺言書のなかで遺言執行者を指定せず、第三者に指定を委託することもしない場合でも、必要に応じて、利害関係人が家庭裁判所に選任を請求することができます。
遺言書であらかじめ遺言執行者を指定しておけば、相続人や受遺者の負担を減らすことができます。
遺言執行者について
自筆証書遺言書保管制度
公正証書遺言はハードルが高く感じたり、費用をかけたくなかったりして自筆証書遺言を選ぶ場合には、あわせて自筆証書遺言書保管制度を活用してください。この制度は、自筆証書遺言を法務局で保管してくれるもので、紛失のリスクをなくせるだけでなく、死後に、家庭裁判所の検認の手続きが不要となります。保管の申請の手数料は3,900円です。
最終的には公正証書遺言書を作成するものの、一旦ひとまず自筆証書遺言を簡易に作成して保管しておく、という利用のしかたも可能です。
形式が自由な通常の自筆証書遺言とは異なり、A4サイズの用紙に限定されるなど、様式上のルールが変更されている点があるので注意が必要です。
制度利用の流れは、次の通りです。
- 自筆証書遺言を作成する。
- 遺言者が無封のまま最寄りの法務局に持参する。
- 担当職員に本人であることを証明して遺言書の保管を申請する。
- 法務局がその遺言書を預かり、データを保存する。
この制度を利用すれば、自筆証書遺言の欠点をカバーすることができますが、完璧というわけではなく、過度な信頼は禁物です。法務局に保管してもらっていたとしても、自筆証書遺言の形式不備によって無効となるデメリットはやはり残るからです。
トラブルを避けるための遺言書の注意点
相続のトラブルを避けるため、遺言書について注意すべき点を解説しておきます。
遺言書の訂正・変更の方法を理解する
遺言に加除や訂正などの変更をした箇所がある場合、遺言者はその箇所を指示し、その箇所を変更した旨を付記し、署名押印をしなければなりません。
このような方法が必要なのは、遺言の変更が遺言者自身によるものであることを担保し、他人による変造を防ぐためです。変更についての形式不備があるときも、遺言書の全体が無効となる危険があるため、慎重を期して、変更時にも専門家のアドバイスを求めましょう。
相続財産目録を正確に記載する
相続財産目録も遺言書の一部であり、形式面は当然注意しなければなりません。特に、自筆証書遺言に添付する相続財産目録を自署しない場合、全頁に署名押印することが要件となるので忘れず守りましょう。
また、形式面だけでなく、内容面にも正確性を要します。財産の記載漏れがあったり、情報が不正確だったりすると、相続財産調査をし直す必要が生じて手間がかかります。債務の記載が漏れていると、相続放棄をするかどうかの判断を誤り、トラブルに繋がります。
相続財産目録について
遺留分侵害をしないよう配慮する
遺言書を作成する場合には、相続人の遺留分を侵害しないように注意する必要があります。遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に認められる相続財産の最低限の取り分のことです。この取り分が遺言によって侵害されることが明らかになると、遺留分権利者と侵害者の間でトラブルになります。
遺留分の基本について
遺言書を発見したら開封せず裁判所で検認手続をする
遺言書らしき書面や封筒を発見したら、開封せずに家庭裁判所に提出し、その検認を請求しなければなりません。検認によって、家庭裁判所に遺言の存在と内容を明確にして偽造や変造がないことを確認してもらう必要があり、自筆証書遺言、秘密証書遺言では必須の手続きです。
検認をせず勝手に開封すると5万円以下の過料に処せられるおそれがあるほか、他の相続人からは改ざんを疑われ、悪意がなくても相続争いの原因となってしまいます。
遺言書の検認について
遺言で不動産を取得したら必ず相続登記する
遺言で不動産を取得したことが明らかになったら、必ず相続登記をしてください。相続登記は、相続によって取得した不動産の所有者の名義変更をするための手続きであり、2024年4月より相続登記の義務化がされ、必須の手続きとなりました。
不動産を相続したことを知ったときから3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続登記の手続きについて
遺言書作成は専門家に相談すべき
相続は誰もが経験しうる一般的な法律問題にもかかわらず、自分だけでは解決困難な複雑さを有しています。遺言書は、厳格な方式が求められているために、複雑で高度な知識を要します。
最後に、遺言書の作成を専門家に相談すべき理由について解説しておきます。
弁護士に相談するメリット
遺言書の作成にあたっては、無効にならないよう法律知識を有する専門家に相談すべきです。弁護士への相談には、遺言が無効にならないだけでなく、死亡後の事態にも臨機応変に対応してもらえるメリットもあります。遺留分に配慮した相続財産の分け方や、調査についても総合的に依頼できます。
遺言書の作成を相談するにあたり、やはり一番の心配は残される家族でしょう。どれほど有効性に配慮しても、妥当かつ公平な内容でなければ、トラブルを招く危険もあります。遺言者と相続人の希望が完全に一致するケースはそう多くありません。事前の対策が甘くて紛争になれば結局は弁護士の力を借りなければなりません。
二度手間を避けるため、当初から亜信頼できる弁護士に依頼しておくのがお勧めです。
相続に強い弁護士の選び方について
遺言書が無効になるリスクを避けられる
特に、自筆証書遺言を作ろうとしている人は、専門家のサポートを受けておかないと、遺言書が無効になってしまう可能性は否定できません。多額の財産の承継を伴う遺言書ほど、多少の費用を支払ってでも、専門家に作成してもらうことをお勧めします。
遺言が自分にとって不利な内容であった利害関係者は、重箱の隅をつつくように無効を主張し、容易に争いに発展します。
専門家に遺言書作成をサポートしてもらう際のポイント
遺言書作成をサポートしてもらうときには、相続問題についての知識と経験が豊富な専門家を選ぶようにしてください。相続に詳しいかどうかは、初回の面談で確認しましょう。自身の資産や家族構成、遺言に関する希望を伝え、どのような方針がお勧めかアドバイスを求め、自分の考えに最も近いと感じる人に支援を求めるべきです。
ホームページ上に掲載された解決実績や解説記事の内容や、口コミも1つの基準となります。
相続の専門家について
まとめ
今回は、遺言をする際の必須書類である、遺言書について解説しました。
遺言書は、遺言の効力を発生させるために、必要不可欠です。遺言書の重要性からして、民法に定められた方式は厳格に守らなければならず、要件を具備していない遺言は、将来無効と判断されてしまい、遺志を反映できなくなってしまいます。せっかく作成した遺言が無効とならないよう、事前に弁護士などの専門家のサポートを受けながら作成するのが有効です。
家族にきちんと財産を残していきたいなら、トラブルにならない内容を考える以前に、無効とならない書き方を理解しなければなりません。