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法定相続による相続登記の方法と注意点

法定相続は、民法に定められた割合による相続のことです。法律の定める相続の割合は、配偶者や個など、生計を共にする可能性の高い続柄を優先し、取得できる遺産の割合を定めます(法定相続分)。つまり、法定相続による分配は、遺産分割の原則的な方法です。

このとき、法定相続による分割後に、遺産に含まれる不動産については名義変更が必要です。今回はこの、法定相続による相続登記の方法と注意点について解説します。

相続登記の手続きについて

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法定相続による相続登記とは

民法の定める相続できる人の順位を、法定相続人といいます。そして、その決まりは、次のようになっています。

  • 配偶者は必ず相続人となる

  • 第1順位:子
    子がいるときは、配偶者と共に相続人となる
  • 第2順位:直系尊属
    子がいないときは、直系尊属が相続人となる
  • 第3順位:兄弟姉妹
    子も直系尊属もいないときには、兄弟姉妹が相続人となる

※ 同じ続柄の人が複数いるときには、その人数で等分する

つまり、配偶者が必ず相続するほかは、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続しないという決まりになっています遺言書を作成していないときは、法定相続分によって遺産分割するのが原則ですが、遺言があるときはそちらが優先します。

相続登記は、遺産に含まれる不動産の名義変更であり、その不動産の権利を確実に保つのに不可欠です。その方法は、相続登記申請書を作成して法務局に提出することによって行います。

法定相続分の割合について

法定相続による相続登記の申請書

本解説にいう法定相続によって相続登記するとき、申請書の書式は次の通りです。

【例:法定相続によって妻子が2分の1ずつ相続する場合】

不動産登記申請書

登記の目的   所有権移転
原   因   令和XX年X月XX日相続
相 続 人   (被相続人 相続太郎)

東京都◯◯区……
相続花子  持分2分の1
連絡先の電話番号 XX-XXXX-XXXX

東京都◯◯区……
相続一郎  持分2分の1
連絡先の電話番号 XX-XXXX-XXXX

送付の方法により登記識別情報通知の交付を希望します。
送付先 申請人の住所
連絡先の電話番号 03-1234-5678

添付書類 登記原因情報 住所証明情報その他の事項 

送付の方法により登記完了証の交付及び添付書類の原本還付を希望します。
送付先 申請人の住所

令和XX年XX月XX日申請 東京法務局 御中

課税価格   金4,000,000円
登録免許税  金16,000円

不動産の表示

不動産番号   0100XXXXXXXXX
所   在   東京都◯◯区……
地   番   X番X
地   目   宅地
地   積   50.00㎡

申請書を作成したら、次章に解説する添付書類とともに管轄の法務局に提出します。法定相続による相続登記では、提出先は、不動産の所在地を管轄する法務局と決まっています。遠方になる場合には、直接持参だけでなく、郵送やオンラインによる相続登記も可能です。

以下には、記載方法の注意点を解説します。

相続登記申請書の書式について

登記の目的

登記の目的とは、その登記をする理由のことです。法定相続分に基づく分割では、登記の原因は「所有権移転」と記載します。このことはいずれの続柄の法定相続人でも変わりません。被相続人が、不動産の共有持分を有していた場合には、登記の原因は「持分移転」と記載します。

登記の原因

登記の原因とは、その登記がなぜ起こったかを示す欄です。そして、法定相続による相続登記では、その登記原因は「相続」と記載し、あわせてその相続が起こった年月日(被相続人の死亡日)を記載します。

相続人・相続割合

相続登記申請書には、被相続人の氏名、相続人の氏名、住所と、相続によって取得した割合を記載します。法定相続による相続登記では、その申請書に必ず、法定相続分の割合に応じた正しい割合が記載されているかをよく確認してください。法律のルールにしたがって厳密に計算する必要があります。

法定相続による相続登記の必要書類

次に、法定相続によって相続登記するときの必要書類を解説します。

必要書類は、申請書に添付して提出する必要がありますが、戸籍をはじめとした多くの書類が必要となり、収集には時間と手間がかかります。独力での資料収集が困難な場合は、ぜひ司法書士にお任せください。

登記原因を証明する資料

法定相続による相続登記では、登記原因が「相続」となるため、これを証明する資料が必要となります。そのためには、相続登記をする当事者が、民法の定める法定相続人に該当することを証明しなければなりません。そのために、被相続人と相続人の身分関係を証する戸籍を収集します。

具体的には、被相続人の出生から死亡までの全戸籍(除籍、改製原戸籍を含む)、相続人全員の現在戸籍を準備しておく必要があります。法定相続情報証明制度を利用すれば、取得した戸籍を法務局に提出し、法定相続情報一覧図を発行してもらうことで、その後は戸籍の代わりとして使用できます。

なお、法定相続分によって分けるなら遺産分割協議は不要ですが、特別受益寄与分など、原則ルールの修正を希望する相続人がいるときは協議を要します。

また、法務局によっては「法定相続分で分割した」旨の遺産分割協議書を要求されるケースがあるため、事前確認が必要です。

相続に必要な戸籍の集め方について

相続人の住所を証明する資料

法定相続による相続登記では、不動産を承継する相続人の住所を証明しなければなりません。この証明は住民票によって行います。そのため、法定相続人全員の住民票を準備する必要があります。

代理権を証明する資料

相続登記には、専門的知識が必要となったり、慣れないと資料収集などに多くの時間がかかったりする場合があります。そのため、相続登記を専門として取り扱う士業、すなわち、司法書士に、相続登記を代理してもらうのが通例です。

相続登記を本人でなく代理人がするとき、その代理権を証するための委任状を添付します。

委任状の書き方について

不動産の評価額を証明する資料

次章の通り、当記事にかかる登録免許税額の計算のためには不動産の評価額を知る必要があり、固定資産税評価証明書を準備しなければなりません。

法定相続による相続登記にかかる費用

法定相続による相続登記にかかる費用は、登録免許税と、司法書士費用です。このうち、登録免許税については、次

法定相続による相続登記において、法務局に登録免許税を払う必要があり、具体的には申請書に税額に相当する収入印紙を貼付します。登録免許税額は、相続する不動産の固定資産税評価額の0.4%として算出されます。

  • 登録免許税額 = 不動産評価額 × 0.4%

※ 算出額の100円未満は切り捨てる。
※ 算出額が1000円未満の場合、税額は1000円となる。

相続登記の費用について

まとめ

今回は、法定相続による相続登記についての知識を解説しました。

相続登記の申請書の書き方や必要書類は、その登記原因によって異なるため、正しく理解してください。法定相続分は、民法の定める原則的な遺産分割の割合であり、多くのケースでこれに基づいた遺産の分配が進められているため、最重要といってよいでしょう。

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