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遺言

遺言は作り直せる?自筆証書遺言の修正・変更の5つのポイント

投稿日:

あなたは、遺言を作っていますか?

「遺言」は、遺言をのこす人が、ご家族や、お世話になった人などのために、遺言をのこす人の「想い」にそって財産をわたすための、大切な手紙のようなものです。

「遺言」を、書面の形で示したのが「遺言書」ですが、「遺言書」は、自分ひとりで書くもの(「自筆証書遺言」といいます。)でものこすことができます。

私達弁護士が相続についての法律相談を受けて、このような話をすると、「実は仏壇の下に・・・」など語りだす方も少なくありません。

しかし、ご自分ひとりで書く「自筆証書遺言」は、専門家が関与していない分、無効になるリスクが常にあり、できれば、安心のためにも、一度弁護士に見てもらうのがよいでしょう。

今回は、自分ひとりで作った遺言を「作り直せるの?」という質問と、作り直す場合の、修正・変更の方法、ポイントについて、弁護士が解説します。

注意ポイント

2018年(平成30年)7月に成立した相続法の改正によって、「自筆証書遺言」についての重大な変更がありました。

「自筆証書遺言」のうち、「全部を手書きしなければならない。」という厳しい要件が、一部緩和されることとなり、「自筆証書遺言」は作りやすくなりました。

「自筆証書遺言」の修正・変更を考えていらっしゃる方は、この2018年(平成30年)7月の改正法も踏まえて行うとよいでしょう。

参 考
2018年(平成30年)改正法での、「自筆証書遺言」の変更点は、こちらをご覧ください。

「遺言を作ろう。」と考えている方に朗報です。 2018年7月に、相続分野の法律が改正されました。これによって、2019年からは、遺言が、より簡単に残しやすくなります。 というのも、「遺言」とひとことで ...

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2018/10/18

【弁護士が解説】公正証書遺言の書き方の注意点と4つのメリット

公正証書遺言は、自筆証書遺言、秘密証書遺言といった、その他の遺言の形式に比べて、確実性が高く、偽造、改ざんをされにくい点で、最もお勧めの遺言方法です。 遺言書を作成して遺言を残そうと、弁護士、税理士、司法書士などの相続の専門家に相談にいくと、真っ先に勧められるのが、公正証書遺言の作成であることが多いのではないでしょうか。 公正証書遺言を作成するときには、弁護士などの専門家に依頼する方が多いですが、公正証書遺言についてのポイントを、最低限理解してご依頼いただくのがよいでしょう。 よくある相続相談 公正証書遺 ...

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2018/11/7

不公平な遺言書は有効?無効?公平に相続財産をもらう方法は?

あなたにとってあまりにも不公平な内容の遺言書が残っていたとき、「この遺言書は無効なのではないか。」と納得がいかない相続人の方から、ご相談を受けることがあります。 結論から申しますと、遺言書は、「不公平である。」という理由だけで無効になることはありません。すなわち、不公平な遺言書もまた、「遺言は有効である。」ということです。 一方で、不公平な遺言書によって権利を侵害された相続人が、少しでも公平に相続財産(遺産)をもらう方法として、「遺留分減殺請求権(遺留分侵害額請求権)」があります。 しかし「遺留分減殺請求 ...

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2018/12/22

遺言書を失くしたら?紛失したら?再度作成し直す方法・注意点は?

せっかく作成した遺言書を失くしてしまったら、どうしたらよいのでしょうか。遺言書は重要な書類であり、自分が死んだ後の相続財産の分け方について、自分の意向を反映させるものですから、保管、管理は万全にしなければなりません。 しかし、火災や地震、引っ越しなどの際に遺言書の紛失はどうしても起こってしまう可能性があります。遺言書を失くしてしまったとき、紛失したときの対応は、自筆証書遺言か、公正証書遺言かによっても異なります。 そこで今回は、遺言書を失くしたとき、紛失したときの対応と、再度作成しなおす方法・注意点を、相 ...

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2018/12/30

遺言書と異なる内容の遺産分割協議はできる?できない4つのケース

ご家族がお亡くなりになって遺言書が発見されたとき、故人の遺志を尊重してあげたいものの、どうしても納得いかない内容の遺言が残されていたという相続相談があります。 遺産分割協議とは、遺産の分割方法を、相続人全員で話し合い、相続人全員の合意のもとに相続財産(遺産)を分け与える手続きのことをいいます。 他の相続人も、遺言書の内容にどうしても従いたくない場合には、遺言書の内容とは異なる内容の遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成することができるのでしょうか。できるケース、できないケースについて、相続に詳しい弁護士 ...

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自筆証書遺言が作成しやすくなりました!【2018年法改正】

「遺言を作ろう。」と考えている方に朗報です。 2018年7月に、相続分野の法律が改正されました。これによって、2019年からは、遺言が、より簡単に残しやすくなります。 というのも、「遺言」とひとことでいっても、「遺言」にはいろいろな形式があり、それぞれの形式ごとに、満たさなければならない要件があります。 「遺言」の法律上認められる要件を欠いてしまうと、せっかく遺言を作ったのに、お亡くなりになった後に「無効」となってしまい、「遺言」を作成した意思が実現できなくなってしまいます。 今回のテーマである「自筆証書 ...

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2019/2/8

「相続させる旨の遺言」とは?遺贈との違いは?弁護士が詳しく解説!

遺言書においてひんぱんに登場するのが、「不動産は妻に相続させる」、「A銀行の預金は長男に相続させる」といった、「~を相続させる」という言葉です。このような内容の遺言は「相続させる旨の遺言」と呼ばれます。 遺言書において特定の財産を特定の方に与える方法には、「遺贈(いぞう)」もあります。正確には、特定の財産を与える遺贈は、「特定遺贈」と呼びます。 では、「相続させる旨の遺言」と「遺贈」は、どのように違うのでしょうか。遺言書において「相続させる」と書いた場合に、どのような意味があるのでしょうか。 遺言をのこさ ...

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遺言者より先に相続人が死亡した場合の対応は?代襲相続できる?

遺言をのこしてくれたご家族(遺言者)が、「全ての財産を相続させる」と遺言に書いてくれたのに、その遺言者よりも先に、財産をのこされる側の相続人(受遺者)がお亡くなりになってしまった場合、どのように対応すればよいのでしょうか。 受遺者はもはやこの世にいないわけですから、遺言書の通りに相続させることはできません。相続問題において、相続人が先に死んでしまったときにその子が代わりに相続する「代襲相続」がありますが、遺言の際には同様の状況でも「代襲相続」とはなりません。 そこで今回は、例えば祖父が、「長男にすべての財 ...

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2018年相続法の改正で変わる、遺言制度の見直し【弁護士解説】

2018年(平成30年)に行われた、民法のうち相続法に関する部分の重要な法改正について、今回は「遺言制度の見直し」という側面から解説していきます。 遺言制度に関して、今回の法改正で変更があった点は、次の4つです。 ポイント 自筆証書遺言の方式の緩和 自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度の創設 遺贈の担保責任等 遺言執行者の権限の明確化 特に今回の改正では、自筆証書遺言の様式の緩和によって、遺言が作りやすくなり、また、法務局での保管制度が創設されたことにより、検認手続も不要となったことから、自筆証書遺言が増加 ...

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2018/12/19

遺言能力とは?遺言が有効にある場合、無効になる場合の判断基準

遺言能力とは、遺言を有効に行うことができる能力のことをいいます。相続の生前対策で、「遺言を残しておいた方がよい」というアドバイスをよく受けるかと思います。しかし、遺言能力のない状態で残した遺言書は、無効です。 せっかく相続税対策、揉めない遺産分割対策などの目的で残した遺言が無効となってしまわないためにも、遺言能力があるかどうか、の判断基準をしっかり理解してください。特に、認知症にり患してしまった後の遺言書作成には要注意です。 また、相続人の立場でも、不利な遺言が残っているとき、「遺言能力のない状態で作成さ ...

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2018/10/23

【弁護士が解説する】秘密証書遺言とはどんな遺言?作成方法は?

秘密証書遺言とは、遺言書の内容を秘密にしながら、遺言書が存在することのみを公証人に認証してもらって作成する、遺言方法の1つのことをいいます。 秘密証書遺言は、その他の遺言方法である自筆証書遺言、公正証書遺言に比べて、利用されるケースが非常に少ないですが、秘密証書遺言を活用することができるケースも少なくありません。 よくある相続相談 遺言の内容を秘密にしたいが、「自筆証書遺言」の厳しい要件を満たしているか不安・・・ 遺言の存在を知らせ、遺産分割協議に反映してほしいが、内容は自分が死ぬまで秘密にしてほしい。 ...

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遺言執行者とは?2018年の法改正で権限が明確化!

相続財産(遺産)を、大切な家族やお世話になった方にどう分けてもらうかを生前に決めておく方法に、「遺言」の制度があります。遺言の中に、不動産は配偶者(妻や夫)に、預金は子どもに、などと財産の分け方を書いておくのです。 財産の分け方を遺言で決めても、いざ遺言者がお亡くなりになると、財産を遺言書どおりに分けるための手続きが必要です。 遺言に書かれた内容を実現する行為を、「遺言の執行」と呼び、この遺言の執行をする役割を負う人のことを、「遺言執行者」といいます。 2018年(平成30年)7月の相続法の改正で、遺言執 ...

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2018/12/6

遺言書がトラブルの原因となるケースと解決法を、弁護士が解説!

相続の生前対策として「遺言書を書くこと」がよくあげられます。しかし、お亡くなりになったご家族残していた遺言が、かえってトラブルの原因・発端となることもあります。 「遺言書がなくて遺産分割でもめた」という話はよく聞きますが、逆に「遺言があったことでもめた」という相続相談も、弁護士のもとには多く寄せられています。遺産分割でもめると、相続税申告、相続登記などにも影響します。 そこで今回は、遺言書がかえってトラブルの原因となるケースと解決法を、相続に詳しい弁護士が解説します。遺言書は、争い回避の手段ですが、不適切 ...

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親に遺言書を書いてもらう方法・テクニック7つ【弁護士解説】

15歳以上の人は、遺言を残す能力(遺言能力)がありますが、遺言を書くも書かないも遺言者の自由であって、実際には、遺言書を書かずにお亡くなりになる方も大勢います。「遺言自由の原則」があるからです。 しかし、お亡くなりになる方(被相続人)にとっては、「自分の死亡した後のことは、子に任せる」という方もいますが、実際に家族が亡くなったとき残された者の立場では、遺言書がないととても手間がかかったり、「争続」となって丸く収まらないことも少なくありません。 「遺言書の話は気が重い」、「死後の相続のことを生きているうちに ...

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2019/4/15

遺言書作成にはメリットも、デメリットもある?対策は?

遺言は、いつかやってくるかもしれない万一の自分の死亡のときのために、残されたご家族が困らないように残しておくものです。そのため、適切な遺言には大きなメリットがあり、デメリットはそれほどありません。 しかし、遺言についての知識、経験が乏しく、間違った遺言を残してしまえば、遺言を残すことによるデメリットも当然ながら存在します。 そこで今回は、遺言作成のメリット・デメリットについて、遺言と相続に詳しい弁護士が解説します。解説を参考に、遺言書を書くかどうかをご決断ください。 注意ポイント なお、遺言書を作成する方 ...

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2019/2/7

遺言書に書いた財産がなくなった場合の対応は?書き直さないと無効?

相続対策として遺言書を作成している人の中でも、「争続」の大変さを理解している人は、かなり若いうちから遺言を残している人もいます。しかし、生前早くから相続対策をすればするほど、「遺言書に書いた財産がなくなった」「処分してしまった」ということが起こりえます。 遺言書の財産目録に記載をしたからといって、その財産の処分、売却などが禁じられるわけではありませんが、その財産がもはや手元になくなってしまえば、遺言書どおりに遺産分割をすることは困難です。 そこで今回は、遺言書に書いた財産を既に処分してしまったなど、遺言を ...

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【弁護士が解説する】自筆証書遺言の要件と、書き方の注意点!

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相続対策を検討するとき、相続問題は、ある1人の問題ではありません。ご家族全体の問題であるという自覚をもって、家族全員で話し合いをしながら、遺言書の作成など生前対策を進めるのはとても効果的です。 しかし、夫婦で一緒に遺言書を作成しようと考えるときには、注意点があります。それは、「共同遺言」が禁止されているということです。 夫婦の相続財産(遺産)の行方について、将来のことは未定ですので、「原則として配偶者(夫や妻)に残す。しかし、配偶者が死亡している場合には、長男に残す」と遺言したいとき、どのように進めたらよ ...

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遺言書の調査方法(調べ方)と検認手続のポイントを弁護士が解説!

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遺言書を作っていますか?

あなたはもう、遺言書を作っていますか?冒頭で解説したとおり、「相続」についての「生前対策」で、まっさきにあがるのが「遺言」です。

遺言をまだ作成していないのに、「相続税の節税」などから考えていくのは、本末転倒でしょう。

よくある相続相談

  • この土地は妻(夫)にわたしたい
  • このお金は子どもに残したい
  • このお金はここに寄附したい

こういった相続についての「想い」をかなえたいのであれば、遺言をのこすことをおすすめします。

特定の財産を、ある家族に必ず残したい、という場合、まずは遺言による方法を検討するのが一般的です。

すでに遺言を作っている方へ

すでに遺言書を作成していたとしても、それだけで安心するわけにはいきません。相続は複雑であり、簡単にみえる「遺言の作成」だけをとっても、難しい点がたくさんあります。

もしあなたが、自分で遺言書を作成した場合には、「自筆証書遺言」という形式になります。

しかし、「自筆証書遺言」が、ご家族がお亡くなりになった後、相続人間のトラブルの原因となったり、無効となってご家族の意思が果たせなかったりといった法律相談が、実は多くあります。

これを聞いて、「自分で手書きで遺言を作ったけれども、遺言の内容を変えたい(訂正したい)」とお考えでしたら、ぜひこの後の解説をご覧ください。

【弁護士解説!】遺言の訂正・変更と、そのポイント


遺言をのこす人(遺言者)が、手書きで作成する遺言のことを、法律のむずかしい言葉でいうと、「自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)」といいます。

ここでは、この手書きで作る自筆証書遺言のことを、簡単に「遺言」または「遺言書」とよぶことにします。

すでに遺言を書いてみた方であればおわかりかもしれませんが、遺言を自分おひとりで作る場合には、今のルールでは、その遺言書の内容すべてを、自分で、手書きで書かなければなりません。

ただ、いったん遺言を作ったとしても、その後長い時間がたって、遺言をのこす人がもっている財産の内容や金額が変わったり、財産をのこしたいと思う相手が変わったりすることも、よくあることです。

結論からもうしますと、遺言書を修正したり、変更したりすることは可能です。これは「自筆証書遺言」でも当然です。

そこで、自筆証書遺言を作成したけれども、修正したり、変更したりしたいという方に向けて、その際の方法注意点、気を付けておいてほしいことを、弁護士が解説します。

遺言を修正・変更する必要がある?

まずは、「遺言書を修正・変更する必要があるのかどうか。」ということを気付いて頂くために、よくある法律相談の例を挙げてみます。

ここで見る相談者の方たちのお気持ちを反映するには、一度作成した「自筆証書遺言」を、修正・変更する必要があると考えてよいでしょう。

はじめに自分ひとりで遺言を作ったときは、預金がA銀行に500万円、B銀行に300万円ありました。

しかし、10年たった今は、AA銀行の預金は300万円に減り、、B銀行には400万円の預金ができました。

はじめに作った遺言には、預金の金額を具体的に書いており、預金の金額が変わった場合にどうするかについては全く考えていませんでした。

「財産の変更」があった場合に、遺言書の書き換えが必要となる場合があるということです。このことは、手書きで作成した遺言でも変わりません。

むしろ、「自筆証書遺言」であることによって、修正・変更のときには、特に慎重に注意点を理解する必要があります。

昔、自分ひとりで手書きで遺言を作ったときは、X市に土地と建物を持っていました。

しかし、事業開発にともない、今は業者に売ってしまって、代替地として別の場所に土地と建物をもらいました。このことは、遺言書には書いてありません。

財産の内容が不動産であっても同様に、財産の内容が、時の経過によって変化することがあります。

遺言を修正・変更する理由は?

はじめに遺言を作ったときから、自分がもっている財産が変わるということは、よくあることです。

この場合には、はじめに作った遺言の中には書いていなかった財産を書き加えたり、今はなくなってしまった財産を消したりする必要があります。

もしかすると、それぞれの財産を誰にのこすのか、もういちど考える必要があるかもしれません。つまり、

自筆証書遺言に書いてある財産の内容に変更があった。
相続財産の分与の方法、割合を変えたいという気持ちになった。

という場合には、遺言書を修正・変更する理由になります。

たとえば、以前に作成した遺言から、財産の内容は変わらないものの、相続の発生するご家族のお気持ちの変化が、遺言書の修正・変更の理由となるケースをあげてみます。

5年前に作った遺言では、私の持っている土地は、自分の子どもにあげることにしていました。

しかしその後、私がからだを悪くすると、娘たちは私の面倒を見てくれなくなりました。

私の土地は、いつも身近で世話をしてくれる人にのこしてあげたい・・・。

はじめに遺言を作ったときから自分の気持ちが変化して、財産をあげたいと思う相手が変わることもあるかもしれません。

自筆証書遺言を変更・修正する方法

以上の解説で、自分で手書きでつくった遺言(自筆証書遺言)を、修正、変更する理由と必要性については、ご理解いただけたのではないでしょうか。

遺言書を自分ひとりで作成したけれども、修正・変更をしなければならないとき、遺言をすべてはじめから作りなおして、古い遺言をすててしまうことも、もちろんできます。

ただ、すべて手書きで作りなおすのは、とても手間がかかることです。すでに遺言を作ったことのある方であれば、その大変さは、よくおわかりのことではないでしょうか。

もし、遺言の内容を少し変えるだけですむのであれば、ぜんぶを書きなおすよりも、はじめに作った遺言の内容を変える(訂正する)ほうが、ずっと楽かもしれません。

遺言の修正・変更は法律で認められている!

自分で手書きで書いた遺言を、あとから変更・訂正することは、法律でみとめられています。つまり、

ポイント

はじめに作った遺言の中には書いていなかった預金を、書き加える
売ってしまった土地を、遺言から削除する
財産をあげる相手を、AさんからBさんに変える

といったことも、遺言をすべて作りなおすのではなく、はじめに作った遺言を変更・訂正することで、できるのです。

自筆証書遺言を修正・変更するときの注意!

現在の法律のルールでは、自分で手書きで作った遺言(自筆証書遺言)を手直しする場合には、次の注意点を必ず守らなければならないこととなっています。

注意ポイント

遺言を作った本人が、修正・変更をしなければなりません。
遺言を作った本人が、内容を手書きで書きかえなければなりません。
自筆証書遺言を書き換えた部分に「遺言の内容を変更した」と自筆で書き添えて署名をしなければなりません。
自筆証書遺言を変更した部分には、印鑑を押さなければなりません。

以上のことを守らなければ、せっかく自筆証書遺言の手直し(修正・変更)をしても、手直しの内容が「無効」、つまり、効力を生じないとされてしまいます。

修正・変更の注意点を守らないと無効!

さきほど解説しました、自筆証書遺言の修正・変更のときの注意点を知らずに、自分で書き直してしまった方に向けて、解説します。

修正、変更の注意点を守らないと、修正・変更(手直し)をした部分については、効力を生じません。つまり「無効」ということです。

もし、遺言の変更・訂正が無効になってしまえば、せっかく遺言をのこそうと思って遺言を作ったり、手直しをしたりしたのに、その思いどおりに財産をわたせないことになってしまいます。

自分の修正・変更をした遺言が無効かもしれない、と不安に思う方は、遺言書を専門家に見てもらい、再度作り直すことをお勧めします。

【2018年法改正】「相続財産の目録」は手書きの必要なし!

ここまでお読みいただければわかるとおり、自筆証書遺言(自分で手書きによって作成した遺言)といえども、修正・変更をするときには、注意すべき重要な点が満載であると理解ください。

ただ、2018年(平成30年)7月に相続に関する法律が改正されたことで、遺言の訂正は、これまでよりも、少しは楽になるかもしれません。

そこで、2018年法改正によって緩和された、自筆証書遺言の問題点と、修正・変更をするときに、この法改正がどのように影響してくるかについて、法律の専門家である弁護士が解説します。

参 考
弁護士が教える2018年法改正のまとめは、こちらをご覧ください。

平成30年(2018年)7月6日に、通常国会で、相続に関する法律が改正されました。 正式名称、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」という法律が成 ...

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2018年法改正で何がかわった?

2018年(平成30年)7月に、民法の中の、相続に関する部分が改正されました。

この改正によって、2019年(平成31年)1月13日から、遺言書のうち、「相続財産の目録」は、遺言をのこす人が手書きで作らなくてもよいことになりました。

「相続財産の目録」とは、遺言を作ろうとする人が持っている不動産や預金などの財産の一覧のことです。たとえば、次のようなものが「相続財産の目録」です。

相続財産目録

・乙山太郎名義の、以下の預金

〇〇銀行 普通口座 口座番号1111111 
△△銀行 普通口座 口座番号2222222 
□□銀行 普通口座 口座番号3333333

・乙山太郎名義の、〇〇市〇〇一丁目1番地の土地

以上

「相続財産の目録」については、新しい法律では、遺言をのこす人が、自分で手書きで作らなくてもよいことになります。

つまり、例えば、パソコンやワープロを使って作ることもできますし、他の人におねがいして、自分の代わりに書いてもらうということもできます。

ただし、「相続財産の目録」を、遺言をのこす人(遺言者)が手書きで作らない場合、手書きでないすべてのページに署名と押印が必要となること、「相続財産目録」以外は手書きである必要があることなど、重要な注意点があります。

参 考
2018年(平成30年)改正法後の「自筆証書遺言」をつくるときの注意点は、こちらをご覧ください。

「遺言を作ろう。」と考えている方に朗報です。 2018年7月に、相続分野の法律が改正されました。これによって、2019年からは、遺言が、より簡単に残しやすくなります。 というのも、「遺言」とひとことで ...

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2018年法改正以降に、遺言を変更・訂正する場合は?

いちど作った自筆証書遺言を変更・訂正する場合も、「相続財産の目録」は手書きしなくてもよい、というルールを使うことができます。

つまり、はじめに作った遺言書が「相続財産の目録」も含めてすべて手書きであっても、その内容を変更・訂正するときは、「相続財産の目録」をパソコンで作り直してもよいということです。

たとえば・・・

すでに作ってある遺言書に、遺言をのこす人がもっている預貯金口座の一覧が、手書きで書かれているとしましょう。

もし、遺言書を作ったときにもっていた預貯金口座と、今もっている預貯金口座がちがうのであれば、遺言書の内容を書きかえる必要があります。

この修正・変更の場合に、預貯金口座の一覧を手書きで作りなおすのが面倒であれば、パソコンで作り直すこともできます。

更には、預金口座の通帳の写しをコピーして、「相続財産の目録」の代わりとすることもできます。

手書きの「相続財産目録」の変更のしかた

このように、「相続財産の目録」を変更する場合は、新しいルールを使って変更することができるようになります。

新しいルールで「相続財産の目録」を変更する場合は、次のような手順で変更することになります。

ポイント

  1. 新しい「相続財産の目録」をつくる(自分で手書きする必要はありません)
  2. 新しくつくった「相続財産の目録」が、遺言者の手書きではない場合、「相続財産の目録」のすべてのページに、遺言者が、署名と押印をする。
  3. 「相続財産の目録」を、古い内容から新しい内容に訂正するということを、遺言者が手書きで記載し、そこにも署名と押印をする。

なお、新しいルールは、2019年(平成31年)1月13日以降に作る遺言に適用されます。

2019年(平成31年)1月12日までに作った遺言には、このルールは使えませんので、注意してください。

遺言の修正・変更は「相続財産を守る会」にお任せください

いかがでしたでしょうか?

自分で手書きで作成した遺言書(自筆証書遺言)であっても、変更・修正する必要が生じることがあり、そのときにどのような方法で進めたらよいか、理解していただけたのではないでしょうか。

自筆証書遺言を、状況に応じて何度も書き換えたり、手直しを加えたりしていると、複雑になってきてよくわからなくなってしまう方も少なくありません。

自分で手書きをしても作ることができるとはいえ、一度、作った遺言書をお見せいただき、アドバイスさせていただくと、より良い遺言になります。

「相続財産を守る会」では、遺言をのこす方が自分でお作りになった遺言書へのアドバイスだけでも、相談に対応させていただいております。

当会では、多くのご相談者様が、自分の意思を、死後も、後世に反映していけるよう、最大限のサポートを提供しています。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、自筆証書遺言(自分で手書きでつくった遺言書)を、作成後に、修正・変更する方法や、そのときの注意点について、弁護士がくわしく解説しました。

また、2018年7月に行われた相続法の改正のもとで、修正・変更する方法に重大な影響がありますので、その点についてもわかりやすく説明しました。

今回の解説をご覧になっていただくことで、次のことをご理解いただけます。

解説のまとめ

自筆証書遺言を変更・修正する理由と必要性
自筆証書遺言を変更・修正する具体的な方法と注意点
2018年(平成30年)に成立した相続法の改正で、変更・修正に影響を与える点

相続財産を守る会では、相続に強い弁護士だけでなく、税理士、司法書士などの他の士業、不動産会社、FP、保険会社などが一丸となって、あなたの相続のサポートをします。

まずは、初回のご相談にて、あなたの置かれている状況をご説明いただき、オーダーメイドの相続のご提案をお受けくださいませ。

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弁護士法人浅野総合法律事務所

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