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遺言

【弁護士が解説する】自筆証書遺言の要件と、書き方の注意点!

更新日:

お亡くなりになったご家族の方の意思を、死亡後も、相続に反映する方法が、「遺言」(いごん・ゆいごん)です。

「遺言」は、お亡くなりになったご家族(被相続人)の一方的な意思によって、相続人の合意なく、その意思のとおりの効果を発揮するもので、法律の専門用語では「単独行為」といいます。

よくある相続相談

家族のために貢献してくれた相続人に、多くの財産を残してあげたい。
家業を継ぐ長男のために、事業継続のために必要となる財産を引き継がせたい。
「二次相続」トラブルの防止のため、子に全ての財産を引き継がせたい。

遺言がないときには、相続が発生すると、民法に定められたルール(法定相続分)にしたがって、相続人に財産が分け与えられます。

以上のように、民法に定められたルールとは異なる分配の方法によることを希望する場合には、「遺言」を作成しておくことが有用です。

今回は、遺言書を自分だけで作成する場合、つまり、「自筆証書遺言」を作成する場合について、その要件と、書き方の注意点を、相続・遺言を多く取り扱う弁護士が解説します。

注意ポイント

「自筆証書遺言」は、弁護士や司法書士、公証人などの関与を求めることなく、自分だけで作成できる点で、気軽に思われる方が多いことでしょう。

しかし、「自筆証書遺言」は偽造、紛失などの危険があることから、法律で厳格な要件が決められており、要件を満たさない「自筆証書遺言」無効とされてしまうため、注意が必要です。

参 考
2018年(平成30年)改正法での、「自筆証書遺言」の変更点は、こちらをご覧ください。

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ポイント

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

今回の解説では、この3種類の遺言のうち、最も簡単に作成することのできる「自筆証書遺言」について解説します。

遺言を作成した場合には、原則として、民法で定められている相続のルールよりも、遺言で示されているお亡くなりになったご家族(被相続人)の意思が優先されます。

自筆証書遺言の特徴

「自筆証書遺言」とは、その名のとおり、「自分で書くことができる遺言」のことをいいます。

今回の解説でまとめた、「自筆証書遺言」有効要件を満たしていれば、どのような形式であっても遺言としての効力を持ち、死後の相続において、民法における相続のルールよりも優先して効果を発揮します。

「自筆証書遺言」では、遺言者が、遺言書の全文、日付、氏名を自筆で記載して、押印をして作成をします。

自筆証書遺言のメリット

「自筆証書遺言」のメリットは、手間と時間がかからない点です。弁護士、税理士、司法書士や公証人などに頼む必要もありませんので、費用もかからず手軽に遺言を作成することができます。

家にある便せんや裏紙などに記載したとしても、要件を満たしている限り、「自筆証書遺言」として有効な遺言となります。用紙の種類、筆記用具の種類に制限はないからです。

役所による手続きもなく、弁護士などの専門家に報酬を支払う必要もありません。

自筆証書遺言のデメリット

「自筆証書遺言」のデメリットは、弁護士、司法書士などの、遺言作成を専門とする専門家のチェックをもらうことができない点です。

「自筆証書遺言」には、この解説でまとめたとおり、有効な遺言となるために守らなければならないルール(要件)があるため、「方式不備」の場合には、せっかく作成した「自筆証書遺言」無効となってしまいます。

専門家に作成してもらえば、「方式不備」のおそれを回避することができますが、手間と費用が余計にかかるおそれがあります。

「自筆証書遺言」の場合には、遺言者が、自筆で作成するものであるため、偽造、変造をされてしまう危険もあります。

もっとくわしく!

弁護士や司法書士に依頼をし、「公正証書遺言」を作成する場合には、一定の費用がかかるものの、無効となるリスクは大幅に減少します。

公証役場において、公証人の関与のもとで作成するため、要件を満たさなかったり、「方式不備」の遺言となったりすることはなく、偽造、変造されてしまう危険も低いといえます。

自筆証書遺言が有効となるための4つの要件

「自筆証書遺言」は、自分1人で作成でき、手軽である反面、有効となるためには一定の要件(ルール)を満たさなければなりません。

これらの「自筆証書遺言」が有効となるための要件のうち、1つでも欠けてしまうと、自筆証書遺言が無効と判断されてしまいます。

自筆証書遺言の有効性が、後日の遺産分割協議のときにトラブルの種となることがよくあるのはそのためです。

全文を自書していること

「自筆証書遺言」は、遺言をする人が、遺言書の全文を自分で書かなければなりません。遺言者が自筆で書くことを、「自書」といいます。

遺言を自筆で書かなければならないのは、遺言者の真意であることを保障するためです。遺産分割協議の際などに、「自書」であるかが争いとなる場合、筆跡鑑定などを行うことになります。

コピーしたものや、ワープロで打ったものに署名押印だけをしたものなどは、「自書」ではなく、「自筆証書遺言」としては無効となります。

なお、2018年の相続法改正によって、「自筆証書遺言」のうち、財産目録などの一部を「自書」しなくてもよいこととなりました。

参 考
2018年(平成30年)改正法での、「自筆証書遺言」の変更点は、こちらをご覧ください。

「遺言を作ろう。」と考えている方に朗報です。 2018年7月に、相続分野の法律が改正されました。これによって、2019年からは、遺言が、より簡単に残しやすくなります。 というのも、「遺言」とひとことで ...

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遺言者に自書能力があること

「自筆証書遺言」を作成するためには、遺言をする人が、「自書」することのできる能力を備えていなければなりません。

つまり、「自筆証書遺言」を作成しようとする場合には、遺言者が文字を知っており、かつ、筆記する能力がなければなりません。

もっとくわしく!

目が見えない、手に怪我をしている、手が震えるといった理由で、他人に手を添えてもらって記載した「自筆証書遺言」について、「自書」したものであるかどうかが争われることがあります。

裁判例においては、他人の意思が介在したものであるか、それとも、自書を手助けするために添え手をしただけにとどまるものであるかによって、「自筆証書遺言」の有効性が判断されています。

日付が明記されていること

「自筆証書遺言」を有効に作成するためには、遺言書に、自筆で日付を明記しなければなりません。

例えば、次のように遺言書の作成日が不明確であったり、自筆でなかったりする遺言書は、「自筆証書遺言」としては無効となります。

ポイント

  • 遺言書に、日付の記載がない「自筆証書遺言」
  • 日付の記載が印字されており、自書されていない「自筆証書遺言」
  • 日付の記載が「平成30年8月吉日」など、明確でない「自筆証書遺言」

遺言書のうちの日付の記載は、複数の遺言書が存在したときに、その先後、すなわち、どちらの遺言が優先するかを決定するために非常に重要だからです。

署名押印がなされていること

「自筆証書遺言」として有効に成立するためには、遺言書署名と押印が必要となります。署名は、「自書」する必要があります。

氏名は、戸籍上の氏名ではなくても、通称、ペンネームでもよいとされていますが、誰の遺言書であるかがわかる必要があることから、戸籍上の氏名を記載しておくことをお勧めします。

押印する印鑑には制限がなく、認印や三文判、指印でもよいものとされており、必ずしも実印である必要はありません。

自筆証書遺言は加筆・変更・修正できる?

「自筆証書遺言」は、遺言書を作成した人であれば、いつでも加筆、変更、修正することができます。

しかし、「自筆証書遺言」を加筆、変更、修正するための要件もまた、厳格に定められているため、次のルールにしたがって変更を加えなければ、遺言書、もしくは、遺言書の変更が無効と判断されてしまうおそれがあります。

ポイント

  • 遺言者が、加筆、変更、修正する場所を指示すること
  • 遺言者が指示した場所を変更した旨を付記すること
  • 変更場所に署名をし、押印をすること

なお、変更場所に押印する印鑑は、遺言書の作成のときに使用した印鑑で行います。

参 考
「自筆証書遺言」の加筆・変更・修正のポイントは、こちらをご覧ください。

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【注意!】自筆証書遺言が無効となるケース

自筆証書遺言の場合、手軽だと思っていましたが、要件を満たさなければ無効となってしまうリスクがあることは理解できました。

自筆証書遺言を作成する場合に、注意しておかなければならない無効となるケースについて教えてください。

「自筆証書遺言」を作成するときに、よくやってしまいがちな失敗例について、弁護士が解説していきます。

公正証書遺言ではなく、「自筆証書遺言」を作成する場合であっても、不安なときには、弁護士などの専門家に目を通してもらうことをお勧めしています。

複数名での共同の遺言はできない

「自筆証書遺言」の形式で遺言書を作成するときには、「1つの遺言書につき、遺言をのこせるのは1人である」ということに注意をしてください。

例えば、夫婦そろって、家族の財産についていっしょに遺言書を作成することはできません。

相続財産の特定が曖昧なケース

遺言とは、遺言者がお亡くなりになった後の財産の分け方についての、遺言者の意思表示です。

遺言者がお亡くなりになった後、遺言書にしたがって財産をわけなければならず、不動産(土地や建物)の場合、登記が必要となります。そのため、「自筆証書遺言」であっても、財産の特定は明確に行わなければなりません。

財産の特定方法は、相続財産の種類によって違いますが、例えば次のとおりです。

ポイント

  • 不動産(土地や建物)
    :登記簿に記載された不動産の情報
  • 預貯金口座
    :金融機関名、支店名、口座の種類、口座番号

遺言者の認知症が悪化したケース

遺言書を有効に作成するためには、遺言をのこす能力がなければなりません。

特に、「自筆証書遺言」の場合には、公正証書遺言とは異なり、公証人の関与がないことから、「自筆証書遺言」を作成した時点で、遺言をのこす能力があったのかどうかについて、後からトラブルの火種となります。

遺言者は高齢であることが多く、認知症などにかかっている場合、特に、遺言をのこす能力が問題となります。

医師の診断書を残すことによって、トラブルを予防することも可能ですが、心配な場合には、公正証書遺言の形式によって遺言をのこすことをご検討ください。

遺言作成は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか。

今回は、「無効になってしまわないための自筆証書遺言の書き方、注意点」という解説について、弁護士がくわしく解説しました。

「自筆証書遺言」を作成したとしても、後日に行われる遺産分割協議など、相続にともなう争いで、遺言書無効となってしまうと、お亡くなりになった後に意思を反映することができなくなってしまいます。

「自筆証書遺言」であっても、作成した後に、相続の専門家(弁護士、司法書士など)に遺言書をチェックしてもらうことで、遺言書が無効となってしまう危険を回避することができます。

当会では、遺言書の作成に詳しい弁護士が、多数在籍しています。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

自分ひとりでも作成でき、手間も費用もかからないため、お手軽に感じがちな「自筆証書遺言」ですが、甘くみると無効となってしまうなど、難しい面も多くあります。

今回の解説をご覧になっていただくことで、次のことをご理解いただけます。

解説のまとめ

「自筆証書遺言」とは?基本的な知識
「自筆証書遺言」が有効となるための要件と注意点
「自筆証書遺言」が無効となってしまうケース

相続財産を守る会では、相続に強い弁護士だけでなく、税理士、司法書士などの他の士業、不動産会社、FP、保険会社などが一丸となって、あなたの相続のサポートをします。

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