相続財産(遺産)を守る専門家(弁護士・税理士)が解説!

相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会

相続手続

限定承認が利用されない6つの理由と、有効な活用方法【弁護士解説】

投稿日:

「限定承認」という相続手続きをご存知でしょうか。お亡くなりになった方(被相続人)に多くの借金があるが、自宅不動産など必ず相続したい財産がある場合などに利用される、相続手続きの1種です。

「限定承認」を利用すると、相続した財産の範囲内でしか相続債務(借金・ローン等)を支払わなくてもよくなるため、一見すると便利な制度にも見えますが、実際には限定承認による相続はあまり利用されていません。

そこで今回は、「借金を相続してしまうのではないか」「相続放棄したほうがよいのだろうか」とお悩みの方に向けて、限定承認が利用されていない理由と、有効な活用方法について、相続に強い弁護士が解説します。

「相続手続」の人気解説はこちら!

相続手続

2019/3/28

相続放棄と自己破産はどちらがよい?違い・判断基準・注意点は?

ご家族が多額の借金をして、利息などが膨れ上がってしまっていたとき、「借金を相続したくない」という人が考える方法には「相続放棄」と「自己破産」があります。 「相続放棄」も「自己破産」も、これ以上借金を肩代わりして返さなくてもよくなる、という意味では同じですが、全く別の制度ですので、異なる点も多くあります。 親の借金であっても、自分が連帯保証人になってさえいなければ、必ずしも引き継いで代わりに返済しなければならないわけではありません。 そこで今回は、ご家族に借金があったときに比較しておくべき「相続放棄」と「自 ...

ReadMore

相続手続

2018/11/16

戸籍謄本と戸籍抄本の違いは?戸籍のとり方、記載内容は?

相続手続きでは、多くの戸籍が必要となります。相続手続きで必要となる戸籍には種類があります。 よく使われるのが、戸籍謄本、戸籍抄本、除籍、改製原戸籍です。このうち、戸籍謄本、戸籍抄本を「現在戸籍」といいます。相続手続きで現在戸籍が必要となるとき、戸籍謄本を使用するのが一般的です。 では、戸籍謄本と戸籍抄本はどのように違うのでしょうか。記載方法や戸籍のとり方に違いがあるのでしょうか。 今回は、相続手続きでよく利用される戸籍謄本と戸籍抄本の違い、記載内容がどのように異なるかと、その取り方について、相続手続きに強 ...

ReadMore

相続手続

2019/2/13

亡くなった人の連帯保証人だと、相続放棄できない?4つの対応

「相続」というのは、プラスの財産とともにマイナスの財産(借金・ローンなど)も同時に受け継ぐため、お亡くなりになった方の借金などを相続したくない場合には、「相続放棄」によってはじめから相続しないことを選択します。 しかし、あなたが、亡くなったご家族(被相続人)の借金について、連帯保証をしていた場合、相続放棄できないし、かつ、相続放棄をしても連帯保証人としての責任はなくならず、意味がないという場合があります。 そこで今回は、亡くなった方(被相続人)の債務の連帯保証人となっている方が、遺産相続のときにどのように ...

ReadMore

相続手続

2018/11/28

相続放棄したら、借金返済する必要はなくなる?放置しても大丈夫?

「相続放棄をすると、借金返済をしなくても大丈夫になるのですか?」というご相談が、弁護士によく寄せられます。 お亡くなりになったご家族(被相続人)が、悪い筋で借金をしていたとき、生前には、「子どもでも妻でも借金を払ってもらう」と脅されたことがあるかもしれません。ドラマや小説でも、親の借金返済に必死になる息子、娘がよく描かれています。 相続放棄を、期限内に、適切な手続きで行えば、借金返済をする必要はなくなりますので、相続放棄と借金返済の関係についてよく理解しておいてください。相続放棄と借金返済についてよくある ...

ReadMore

相続手続

2018/11/28

相続人全員が相続放棄し、相続人がいなくなったら財産は誰のもの?

お亡くなりになった方(被相続人)に、マイナスの財産(借金など)が多い場合に選択される相続手続きが、「相続放棄」です。 相続放棄が行われると、文字通り、相続放棄した人は相続の関係から外れ、相続人ではなくなります。 よくある相続相談 相続放棄を、相続人の全員が行うことはできますか? 相続放棄で、相続人がいなくなったら、相続財産(遺産)は誰のもの? 相続人全員で相続放棄する具体的な方法を知りたい。 相続財産のうち、資産がほとんどなく多額の借金がある場合など、相続放棄をしたほうが有利なケースも少なくありません。相 ...

ReadMore

そもそも「限定承認」とは?

お亡くなりになったご家族(被相続人)に借金があるが、その金額がいくらか、誰が債権者かがすぐにはわからないとき、調査の期間が必要です。しかし、借金もまとめて相続しないで済む「相続放棄」は、「相続開始を知ったときから3か月」という期限があります。

限定承認は、お亡くなりになった方の財産のうち、不動産・預貯金などプラスの財産の範囲内でしか、借金・ローン等のマイナスの財産の責任を負わなくなる相続手続きです。限定承認もまた、「相続開始を知ったときから3か月」の「熟慮期間」内に、家庭裁判所に申述しなければなりません。

相続手続には、「限定承認」以外に、「単純承認」、「相続放棄」という3つの種類がありますが、この3つの相続手続きのうち、限定承認はもっとも利用頻度の少ない手続です。

参 考
限定承認の方法と手続については、こちらをご覧ください。

限定承認について、その方法と手続を解説します。相続人は、相続が開始した時点から、お亡くなりになった方(被相続人)の一切の権利義務を承継します。 一切の権利義務の中には、プラスの相続財産(遺産)も含まれ ...

続きを見る

限定承認が利用されない6つの理由

借金・負債があったとしても、他にも自分のために家族が残してくれた相続財産(遺産)があるとき、その財産を捨てたくないがために「限定承認」の利用を検討する方もいるのではないでしょうか。

しかし、実際には限定承認という相続方法があまり利用されていないことには、理由があります。限定承認を有効活用していただくために、限定承認の活用のハードルとなっている事情を知っておきましょう。

【理由①】相続放棄で足りる場合が多い

限定承認とよく比較される相続方法が、相続放棄です。相続放棄をすると、相続開始の時点から相続人ではなかったこととなり、相続財産(遺産)についてプラスの財産もマイナスの財産も一切得ないことになります。

相続放棄をすると、住み慣れた自宅、家業の会社の株式など、今後の人生においてどうしても手放せない財産を得られなくなることがデメリットですが、借金を背負ってでも相続したい財産は、実際にはそれほど多くありません。

一方で、借金の額がそれほど多くなく、十分に返済しきれる場合には、限定承認のメリットはなく、単純承認で十分です。

単純承認か、相続放棄かを、「相続開始を知ったときから3か月」という短い熟慮期間内に決めることは困難なようにも思えますが、弁護士、税理士、司法書士といった専門家に財産調査を依頼し、財産目録を作成してもらえば、思いのほかの借金が発覚するリスクも軽減できます。

参 考
限定承認と、単純承認・相続放棄との違いは、こちらをご覧ください。

相続のしかたには、単純承認、限定承認、相続放棄の3種類があります。 相続放棄は、ほかの2つの方法(単純承認、限定承認)が、相続財産を引き継ぐことを前提としているのに対して、相続財産を引き継がないための ...

続きを見る

【理由②】熟慮期間(3か月)が短い

3つの相続手続きである、相続放棄、限定承認、単純承認のいずれを選択するかを決めるのに許された期間は「3か月」の熟慮期間内しかありません。ご家族がお亡くなりになると、それ以外にも親族への連絡、葬儀などの雑事に追われ、相続どころでないこともあります。

相続人間の意見がまとまらずに「争続」となると、相続手続きの選択もますます遅れがちです。3か月以内に、戸籍謄本・住民票などの必要書類をまとめ、限定承認申述書を作成し、家庭裁判所に提出することは、思いのほか大変です。

3か月の期間は、伸長を申し出ることもできますが、さきほど申し上げたとおり、単純承認か相続放棄かで足りる場合が多い中で、3か月の期間内にとても大変な限定承認手続きを利用するメリットはそれほど大きくありません。

参 考
相続手続の期限と、過ぎてしまったときの対応は、こちらをご覧ください。

ご家族がお亡くなりになり、相続が発生すると、多くの相続手続きを行わなければなりません。相続手続きの中には、期限があるものがあり、期限に違反すると厳しい制裁(ペナルティ)やデメリットが避けがたいものもあ ...

続きを見る

【理由③】相続税は変わらない

相続財産を取得した相続人は、その財産額が「3000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除額を超える場合には、相続税を支払う必要があります。限定承認をしたとしても、受け取るプラスの財産が多い場合には、相続税を支払わなければなりません。

限定承認をした結果、プラスの財産よりマイナスの財産のほうが多ければ相続税はかかりませんが、そのような財産状況であれば結局、限定承認をしてもしなくても相続税を払う必要がないわけですから、限定承認の有無によって、相続税は全く変わりません。

また、限定承認をした結果、プラスの財産よりマイナスの財産が多かったとしても、生命保険の死亡保険金は、相続人固有の財産となるため、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を超える保険金をもらった場合には、相続税がかかります。

死亡保険金は、相続財産とはならないため、死亡保険金を超える相続債務(借金・ローン等)があっても、死亡保険金から返済しなければならないわけではありません。

参 考
生命保険の遺産相続における取扱いは、こちらをご覧ください。

ご家族がお亡くなりになったとき、遺族に対して生命保険(死亡保険金)が支払われるか確認してください。。生命保険の死亡保険金は、遺産分割協議を丸く収める目的や、相続税の納税資金の目的で、お亡くなりになる方 ...

続きを見る

参 考
相続税がかかるかどうか調べる方法は、こちらをご覧ください。

相続税がかかるかどうかは、相続財産の金額によって異なります。具体的には、相続税法が「基礎控除」の金額を定めており、相続財産の金額がこの基礎控除額の範囲内であれば、相続税はかかりません 一方、相続税法は ...

続きを見る

【理由④】相続財産をもらえるのが遅くなる

限定承認という相続手続きを選択し、家庭裁判所に申述を行うと、結果的に、相続財産をもらうことができる時期が遅くなります。というのも、限定承認が認められるまで、相続財産を誰かのものとすることができないからです。

限定承認は、相続放棄と異なり、相続人1人では行うことができず、相続人全員で行わなければなりません。つまり、限定承認を選択すると、全相続人が、相続財産(遺産)に手を付けることができなくなるのです。

万が一、限定承認が認められる前に、相続財産(遺産)を費消してしまったとき、「単純承認」とみなされ、その後に限定承認や相続放棄を選ぶことができなくなる危険があります。

【理由⑤】相続人全員の同意が必要

限定承認は、相続放棄や単純承認と異なり、相続人全員の合意がなければ、選択することができません。相続人の1人だけが限定承認し、その他の相続人は単純承認する、ということは不可能なのです。全員まとめて家庭裁判所に限定承認を申述します。

これに対して、相続放棄は、相続人1人でも選択可能なため、結果、債務(借金・ローン等)が存在する相続では、限定承認より相続放棄のほうが選択されやすくなります。1人でも限定承認に反対する人がいれば、限定承認はできません。

ただでさえ、相続は日ごろ円満だった親族がもめて「争続」となりやすいのに、債務(借金・ローン等)があって限定承認をするかどうか、リスクの大きい決断をしなければならないとなると、話し合いがすぐに解決することはむしろ少ないとお考え下さい。

なお、相続放棄した相続人は、最初から相続人ではなかったこととなるので、相続放棄した人の同意は不要です。

【理由⑥】みなし譲渡所得税が課税される

限定承認をするとき、取得する相続財産(遺産)に不動産が含まれると、その不動産は、お亡くなりになった方(被相続人)から相続人に対して、取得時の時価で譲渡したものとみなされます。

その結果、不動産が購入時から値上がりしていると、被相続人の生前の収入があることとなり、準確定申告が必要となり、「みなし譲渡所得税」という税金が課税されます。

限定承認を選択する理由として「どうしても取得したい財産がある」というケースが多く、その財産は「自宅不動産」「家業に使用している事業用不動産」などであることが多いため、限定承認の場合「みなし譲渡所得税」も含めて損得を検討すべきケースが多いです。

結果、限定承認をしてみなし譲渡所得税を支払うのと、単純承認をして債務を支払うのとで、後者のほうを選択してもあまり変わらなかった、という場合もあるため、限定承認は選択されづらい理由の1つとなっています。

限定承認の活用方法と、生前対策

以上の理由により、あまり利用頻度の高くない限定承認の制度ですが、限定承認を有効活用できるケースもあります。

また、限定承認は、利用のための手間が煩雑な制度であるため、「限定承認を利用すればいいや」と考えて生前対策をおろそかにすることはお勧めできません。相続時になって限定承認を選ばざるを得ないケースは、生前対策を万全にしておけば、単純承認でよかった場合も多いものです。

事業承継を伴う場合

お亡くなりになった方(被相続人)が家業を営んでおり、その家業が債務超過である場合や、家業に利用している不動産などが被相続人所有となっている場合などには、家業の清算・再生という意味もこめて、限定承認を活用すべきケースがあります。

ただし、この場合であっても、社長の生前に、事業承継についてどのような方針とするのか、決定しておくべきです。

生前であれば、事業承継の方法として、限定承認して家族に引き継ぐ以外にも、会社の解散、破産手続きを選択したり、事業譲渡、事業買収(M&A)などの方法を利用したりすることも、広く検討可能だからです。

放棄できない相続財産(遺産)がある場合

限定承認を活用できる典型的なケースが、放棄できない相続財産(遺産)があるケースです。

しかし、限定承認は、相続人全員の合意でしか実現することができないため、全ての相続人にとって「放棄できない相続財産(遺産)」であることについて共通認識がなければ、限定承認でその相続財産を救うことができません。

生前であれば、その相続財産を取得したい相続人に対して、生前贈与をしたり、遺言書を作成したりといった生前対策によって、より適切な相続方法を選ぶことも可能です。

遺産分割は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか?

今回は、限定承認の基礎知識と、「なぜ限定承認が利用されづらいのか」という理由を解説し、限定承認をより有効活用していただきやすい方法を、弁護士が解説しました。

限定承認の手続は煩雑であり、限定承認の申述をした後も、公告や財産の清算など、行う手続きが多くあります。申述から清算にいたるまでの流れを、弁護士に依頼していただくことで、よりスムーズに限定承認を活用できます。

「相続財産を守る会」では、限定承認の手続を弁護士が代理することはもちろん、限定承認を利用することが適切であるかどうかについても、弁護士、税理士が協力して、財産状況の確認、アドバイスを行います。

ご相談の予約はこちら

相続のご相談は
「相続財産を守る会」
相続にお悩みの方、相続対策の相談をしたい方、当会の専門家にご相談ください。
お問い合わせはこちら
  • この記事を書いた人
  • 最新記事
弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所

弁護士法人浅野総合法律事務所は、銀座(東京都中央区)にて、相続問題、特に、遺言・節税などの生前対策、相続トラブルの交渉などを強みとして取り扱う法律事務所です。 同オフィス内に、税理士法人浅野総合会計事務所を併設し、相続のご相談について、ワンストップのサービスを提供しております。

-相続手続
-,

Copyright© 相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会 , 2019 All Rights Reserved.