★ 相続の専門家の正しい選び方!

相続した不動産の相談は誰にする?相続に強い不動産会社の選び方

不動産の相続は、トラブルになりやすい大きな課題。相続登記は複雑ですし、遺産が高額になると相続税もかかります。不動産の問題の解決に「不動産会社」の力が不可欠です。

しかし一方で、信頼できる専門家を選ばないと、問題が悪化する危険もあります。不動産会社は数多く存在し、相続分野に明るく、専門性ある相談先でないと適切なアドバイスを得られません。

今回は、不動産相続の相談先と、相続に強い不動産会社の選び方を解説します。相続における不動産の問題は、単なる資産の移転ではなく、法律、税務そして家族のコミュニケーションも必要な、非常にデリケートな場面であり、専門特化した不動産会社のサポートが必要です。

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相続不動産の基本

相続は、遺産の分配を決める手続きですが、その重要性からして時間や手間がかかります。なかでも遺産に不動産を含む場合、相続登記や相続税申告などを要することが多く、煩雑な作業となります。まずは、相続した不動産で押さえるべき基本をわかりやすく解説します。

  • 相続税
    取得した遺産の額が基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると相続税が課されます。不動産を相続する場合、これを超える評価となることが多いでしょう。
  • 相続登記
    相続した不動産について登記をし、権利を公的に表示する必要があります。売却処分をするときにも、相続登記をすることは不可欠です。
  • 遺産分割の方法
    不動産が遺産となるとき、相続人間で分割するにあたり、その分け方が争いになることがあります。現物分割、換価分割、代償分割といった方法のうち、家族と財産の状況に合った分け方を選ぶ必要がありますが、意見の対立があると争いが激化しがちです。
  • 共有不動産の管理
    分割が済むまでは、相続人の共有となり、この間、資産価値が落ちないよう管理する必要があります。既に賃貸に出したマンションなどが遺産のとき、その管理や収益の分配が争いの種となります。

相続した不動産の相談先は?

次に、相続した不動産の相談先をまとめて解説します。抱える問題に応じた最適な相談先を見つける参考にしてください。

仲介会社

まず、相続した不動産を処分したいなら、仲介を扱う不動産会社に相談しましょう。売却したいなら売買仲介、賃貸に出したいなら賃貸仲介を扱う業者が最適です。不動産会社は数多く存在するので、相続案件を扱った実績があるかどうかに注意して選定してください。

相続に強い不動産会社の選び方は、後述します。

管理会社

既に賃貸に出しているマンションを相続した場合など、空室対策や管理、メンテナンスの悩みは、管理会社に連絡するのが適しています。

買取業者

相続した不動産を、速やかに売却して現金化したいなら、買取業者を探しましょう。買取業者は、仲介会社と同じく不動産会社ですが、業者自身が買い取ってくれる点が異なります。買い取った不動産は、リフォームや整地をして再販したり、その会社自身が活用したりといった流れとなります。

建築会社

相続した実家を建て替えたい場合、更地を相続して新築したい場合などは、建築会社にも相談が必要です。土地活用をしたいなら、ハウスメーカーに相談するのもお勧めです。

専門士業

最後に、相続の問題について専門士業に相談する必要があります。専門士業は、各分野によって役割分担がされており、例えば、法律ならば弁護士、税務なら税理士、登記の問題は司法書士に相談します。相続を専門的に扱うチームなら、全ての専門家を紹介することができます。

相続問題の専門家について

相続に強い不動産会社の選び方

不動産会社といっても、相続案件の扱いの少ない会社もあります。本解説の通り、不動産の相続には特有の問題が多く存在し、類似の経験が豊富な会社でないと適切に扱えないおそれがあります。業者のミスは、顧客である相続人の損失に直結してしまいます。

相続に強い不動産会社に依頼するために、以下の判断基準を参考にしてください。

相続の専門知識がある

相続には複雑な法律や税務の知識が必要です。もちろん、難しい局面では、税務については税理士、法律については弁護士の助けを借りる必要がありますが、少なくとも相続した不動産の相談を受ける時点で、不動産会社においても最低限の知識は持っておく必要があります。

また、相続トラブルが複雑化したときに、任せられる弁護士や税理士のコネクションを豊富かどうかも、相続した不動産を任せるべき不動産会社を選ぶ際のポイントです。ノウハウや知識は、その会社のサイトやSNSなどの情報発信が判断要素となります。

経験と実績が豊富

長年に渡って相続不動産を扱ってきた経験豊富な不動産会社を選ぶのがよいでしょう。不動産は、実際の現場をどれだけ見たか、実物の土地や建物をどれだけ扱ってきたか、といった経験が、その能力に如実に反映される分野だからです。

過去の取引実績や顧客からの評価も、その不動産会社が信頼できるかどうかの基準の1つです。特に、相続不動産を扱った実績がどれだけあるかは、弁護士や税理士といった専門士業からの評判が参考になります。既に相続手続きを任せる専門家がいる場合、不動産会社の紹介を頼むのも有効です。

勧誘のしつこい不動産会社はやめる

不動産会社のなかには、営業や勧誘のしつこい業者もいます。ビジネスですから一定の営業行為はしかたないものの、一括査定を申し込んだところから連絡先が流出し、何度も電話したりメールしたり、DMが止まらなかったりといった場合、その業者への依頼はやめるべきです。

勧誘のしつこい不動産会社が信頼に足らないのは当然。依頼をしても、顧客目線はなく、不動産会社の利益しかならない提案をされるのではと疑ってしまいます。仮に悪意がなくても、相続をした不動産は特殊な状況なことが多く、冷静に見極め、丁寧に対応してくれる不動産会社でなければ思わぬ失敗に足をすくわれてしまいます。

本解説を参考にして、相続した不動産を任せる会社は、最終的には、自己責任で、自分の意思で決めなければなりません。

相続に強い不動産会社を選ぶときのポイント

次に、相続に強い不動産会社を選ぶときに知ってほしいポイントを解説します。

信頼できる不動産会社に査定を依頼する

相続した不動産の扱いを決めるにあたり、まずは信頼できる複数の不動産会社に査定を依頼するのがお勧めです。各社の査定額の差や相場感を知れば、今後の交渉を有利に進められます。

ネットの一括査定をすると個人情報が流出し、多数の不動産会社にわずらわしい営業をされることになりかねません。信頼のおける不動産会社を見極め、数社に絞って査定依頼をしましょう。

なお、実際に査定通りに売却できるかどうかは、不動産の状況によっても異なるため、土地の立地や形状、建物の築年数などに応じた個別の検討は不可欠です。ただ査定を出すだけでなく、査定依頼をしたなかから丁寧にヒアリングしてくれる誠実な業者を選定するのに役立ててください。

具体的な戦略を説明してもらう

相続した不動産に限らず、不動産を売却するのに高いに越したことはありませんが、ケースによって戦略は異なります。売却には専門的な知識が必要で、具体的な戦略によって、どれほどの価格で売れるかは大きく異なります。

また、相続税の資金源を確保するために売却するケースでは、相続税の期限(相続の開始を知った時から10ヶ月以内)に現金化しなければならず、スピーディな対応が求められます。

任せる不動産会社を選ぶ場合に、その不動産の特性に合わせた、具体的な戦略を説明してもらうことが、その業者の能力や経験値を見極めるポイントとなります。

初回相談で信頼性を確認する

最後に、本解説で挙げたポイントを理解し、初回相談に臨みましょう。不動産会社との初回の打ち合わせこそ、その業者の信頼性を確認する最も重要なタイミングです。次の点に気をつけて、納得のいくまで質問するようにしてください。

  • 過去に扱った事例を聞く
    相続した不動産のケース、特に、自身の問題に似た事例を扱ったことがあるか
  • 実績を確認する
    不動産会社としての経験年数、成功事例や取引件数がどれほどあるか、同種や同規模、近接する地域の売却実績が多いか
  • 専門知識を確認する
    相続不動産について、法律、税務、不動産取引の知識が豊富かどうか
  • 対応の質がよいか確認する
    話を丁寧に聞いてくれて、顧客のニーズに答える姿勢があるか、レスポンスが迅速か

まとめ

今回は、不動産を相続した方に向けて、その相談先となる不動産会社について解説しました。

判断基準や注意点は多くありますが、最終的には、実際にその不動産会社の人と対面して、提案を聞き、信頼できる人に任せるのが一番です。相続はもちろん、不動産の売却も、一生のうちに何度も経験することではないので、納得行く業者を選定する一助となれば幸いです。

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