不動産を売却するとき、通常は不動産会社に「仲介業者」としてサポートを依頼しますが、このとき、「どのような不動産会社に仲介を依頼するか」が、相続不動産を有利に、かつ、高額で売却できるかどうかに大きく影響します。
「相続不動産が高く売れるかどうかは、仲介する不動産会社の腕次第」といっても過言ではありません。特に、相続不動産の売却には、一般的な不動産売却にもまして、不動産会社が気を付けなければならない注意点やノウハウが多くあります。
「不動産会社は専門家だから・・・」と言われるがままに流されることなく、仲介業者(不動産会社)を、相続不動産の売主である相続人の側から積極的に選んでいくために、その選び方のポイントを解説します。
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選ぶ不動産会社(仲介業者)によって結果は全く違う!
ひとことで相続不動産の売却といっても、どの不動産会社(仲介業者)にお任せするによって、結果は全く異なります。例えば、不動産会社(仲介業者)によって結果が異なる要素は次の点です。ただし、最終決定は、(専門家のアドバイスをもとに)売主本人が決めなければなりません。
ポイント
- 相続不動産をいくらで売り出すか
- 相続不動産をどのタイミングで売り出すか
- 買主からの値下げ交渉に応じるか
相続した不動産の売却を多く手掛け、知識、経験、ノウハウの豊富な不動産会社であればよいですが、そうでない不動産会社もいます。また、会社の利益のために顧客に対して誠実な説明をしない不動産会社も、残念ながらあります。
仲介業者(不動産会社)を選ぶときの基準にも、例えば次のとおり多くの条件があります。
ポイント
- どこの地域の不動産会社に、相続不動産の仲介を依頼するか。
- 大手不動産会社に依頼するか、地元密着の不動産会社に依頼するか。
- どの担当営業マンに、相続不動産の仲介を依頼するか。
そこで、今回の解説をご覧いただけば一通り不動産会社(仲介業者)の選び方がわかるように、相続不動産売却を不動産会社に依頼するときに、見ておいてほしいポイントを順番に解説していきます。
【ポイント①】複数の不動産会社に査定を依頼する
相続不動産を売却するときは、1つの不動産会社だけに任せるのではなく、まずは一括査定を依頼してください。一括査定をすることで、不動産会社ごとの査定額の差や、だいたいの価格相場を知り、不動産会社との交渉を有利に進めることができます。
一括査定を先にしておけば、他社の見積額よりも明らかに低額な仲介業者を避けることができますし、逆に、明らかに高額な仲介業者に対しては、「どのような販売プランでその価格を実現するのか」を、しっかり突っ込むことができます。
しかし、一括査定で一番高額な見積額を提示してきた不動産会社が、仲介業者として最も適切であるかどうかは、再度考え直す必要があります。次の点にも注意が必要です。
注意ポイント
顧客欲しさに、現実的ではない高額な見積額を提示する不誠実な業者ではないか。
地域情報を知らず、買手のつかない高値の見積額を提示していないかどうか
特に、相続不動産を売却するとき、その不動産が新興住宅地の新築マンションなどの売りやすい不動産であればよいですが、郊外や築古の住居など、売りづらい不動産の場合、査定額通りに売却できるとは限りません。
不誠実で悪質な業者の中には、選んでもらいたいがために、一括査定では高額の査定額を提示して、仲介契約(媒介契約)を締結して、売れない期間が続いた後で、値下げを提案してくる会社もあり、注意が必要です。
【ポイント②】具体的な売却方針の説明を求める
一括査定で最高値を提示した会社を選びたくなる気持ちはやまやまですが、「一旦立ち止まって考えるべき」であることを解説しました。高値をつけた不動産会社に、相続不動産の仲介を依頼するときは、まずその値付けの理由、ポイントを質問してください。
相続不動産の中でも、特に売りづらい不動産(土地・建物)を売却するには、戦略的な売却方法が必要であり、複数の会社に話を聞けば、会社ごとに販売戦略が異なることが理解でき、判断の基準になります。
例えば、不動産(土地・建物)の特徴のうち、次の点は、不動産会社(仲介業者)の戦略的な売却方針に、大きく影響します。
ポイント
- 土地の用途(宅地、マンション敷地、分譲用地、店舗、駐車場、事業用など)
- 土地の広さ(面積)
- 土地の所在する場所(地域性、駅からの距離、近隣の環境など)
- 建物の古さ(築年数、リノベーションの有無など)
- 建物の用途(戸建て住戸、マンション、店舗、事務所、商業施設など)
- 権利関係(単独所有か、相続人の共同所有かなど)
- その他の事情(事故物件かどうかなど)
不動産会社(仲介業者)に対して、販売戦略に基づいた値付けの理由を問いただしたとき、これらの不動産(土地・建物)の特徴にもとづいた納得のいく説明のない仲介業者は、選ばないほうがよい仲介業者の可能性があります。
不動産会社によっては、得手不得手があります。「小規模な宅地が専門で、広大な事業用地の売却仲介は経験がない」という業者もいます。業者の得意分野も、さきほどの考慮要素を参考に質問していけば、知ることができます。
注意ポイント
相続不動産を売却するケースでは、不動産を多数所有している大家さんでなくても、不動産会社と交渉して不動産を売却しなければなりません。人生で一度きりの機会だという人もいます。
不動産会社(仲介業者)を、契約前に質問攻めにしているようで気が引ける、という方もいますが、遠慮は無用です。むしろ、嫌な顔をする不動産会社は、顧客目線でのサービスが不足している危険があるため、選ばないほうがよいです。
【ポイント③】相続不動産を高値売却した実績を聞く
相続不動産の売却を数多く経験している不動産会社であれば、「相続不動産を高値で売却することができた。」という経験を豊富に有しています。お客様の個人情報がありますので細かい情報をお伝えはできませんが、次のような質問には、お答えすることができます。
ポイント
同種の用途、同種の規模の土地・建物の売却実績があるかどうか
相続不動産を売却した実績があるかどうか
相続不動産を相場より高値で売却できた実績があるかどうか、そのときの販売戦略
過去に実績があると、どの地域のどのような物件が、いつ頃いくらくらいで売却できそうかが、ある程度の精度で予想することができます。つまり、単に一括査定で回答しただけでなく、その理由を「過去の取引事例」という確たる根拠から、明確に説明できるのです。
【ポイント④】不動産会社の他社と比べた強みを聞く
相続不動産の仲介をする不動産会社も、今では数多く存在しており、それぞれの特色があります。つまり、各不動産会社は、他の会社と比べた自社の強みを持っています。
たとえば・・・
仲介業者の中でも、一戸建て住戸の売却が得意な業者、広大な土地の売却が得意な会社、事業用の一棟の売却が得意な業者などがいます。
一戸建て住戸の売却ばかりを仲介している不動産会社に、広大な開発用地の売却を依頼しても高値売却は目指せませんし、その逆もしかりです。
自社の強みを聞かれたときに、マイナスな発言を繰り返す不動産会社もまた、相続不動産を仲介してもらうには向きません。
確かに、不動産市場には波が存在し、とても儲かる時期もあればあまり儲からない時期もあります。しかし、不動産市場の景気を理由に、不動産の高値売却をあきらめる業者には任せたくないのは当然です。
特に、相続した不動産を売却したいという場合、人生で一度きりの不動産売却であり、かつ、相続税資金を確保するためなど早期売却の必要に迫られていることもあります。「今売らなければならない」という相続人にとって、不動産市場の景気は言い訳になりません。
【ポイント⑤】しつこい勧誘は断る
不動産会社の中には、営業・勧誘のしつこすぎる業者もいます。一括査定の場合には、「不動産を売りたい人」のリストを作ることが目的であり、査定時に登録した情報へ、何度も電話やメール、DMが送られてくることがあります。
不動産一括査定など、気軽にできる査定サイトは便利ではありますが、しつこい勧誘をしてくる業者が信頼できないと感じるのは当然です。勧誘・営業は断り、信頼できる不動産会社は自分で積極的に選びましょう。
同様に、個人情報の管理がずさんで、他社からもDMが送られてきてしまうような不動産会社も、相続不動産の売却には向きません。相続不動産の売却は人生に一度きりで、何度も不動産を購入・売却する職業投資家とちがって勧誘は不要のはずです。
【ポイント⑥】相続についての知識を聞く
今回の解説のテーマでもある、相続不動産を売却するときの仲介業者を選択するにあたっては、相続についての基本的な知識も重要となります。
弁護士の相続法の知識、税理士の相続税の知識、司法書士の相続登記の知識ほどの専門性がないとしても、相続に関する知識を全くしらないのでは、相続不動産の売却を仲介してもらう業者としては役不足と言わざるを得ません。
ただし、具体的なご家族の状況、不動産の状況に応じた、法律・税務のアドバイスは、不動産会社に頼ることなく、弁護士、税理士といった各分野の相続の専門家に任せる必要があります。専門士業のネットワークが豊富なことも、相続に強い不動産会社の強みです。
不動産相続は、「相続財産を守る会」にお任せください!
いかがでしたでしょうか?
今回は、相続不動産の売却を検討されている相続人の方に向けて、売却を依頼する不動産会社(仲介業者)の選び方について、ポイントをしぼってわかりやすく解説しました。
判断基準、注意点は多くありますが、最終的には、不動産会社とその担当営業マンに、実際に対面で会って話を聞き、信頼できる人に任せて頂くことが重要です。相続した不動産を売却することは一生で何度も経験することではありませんから、納得のいく不動産取引をしてください。
「相続財産を守る会」では、相続不動産の売却を数多く経験している不動産会社が、顧客目線で、デメリットやリスクを隠さずお伝えし、親身にご相談をお聞きします。