★ 相続の専門家の正しい選び方!

事業承継の専門家とは?種類と役割や選び方のポイントを解説

事業承継は、企業の未来を形作る重要なプロセスです。特に、創業者から経営者が変わる大きな転換点では、企業理念や文化、社風や価値を維持しながら、新たなリーダーシップへとスムーズに移行するための計画が必要です。

そのために、財務や法律、税務などの専門知識を有するため、事業承継を得意とする適切な専門家のアドバイスとサポートが不可欠です。

今回は、事業承継のプロセスを解き明かし、場面ごとの適切な専門家の役割と、その選び方を解説します。適切な専門家の選び方から、どのようなサポートを受けられるかを知り、有効に活用することが事業承継を成功させるポイントとなります。

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事業承継を支える専門家たち

事業承継は、現経営者から、次世代へと企業経営を引き継ぐ方法です。事業承継のプロセスはとても複雑であり、専門家のサポートは必須のものといってよいでしょう。

専門家は、その知識や経験、ノウハウを活用して、事業承継が希望通り進むようサポートします。

弁護士

法的側面におけるサポートは事業承継に不可欠です。

事業承継における弁護士の役割は、

  • 契約書の作成
  • 法的アドバイスの提供
  • リスクの評価とその軽減

といったものです。また、事業承継では相続についても想定しておかなければならないため、遺言書の作成や検証、遺産分割の交渉や調停の代理といった手続きも、弁護士の得意分野です。

事業承継を社外の第三者を承継先として進める場合には、企業合併や買収といった、企業法務に関する分野の知識も要することとなります。株式は会社の支配権を意味しており、その譲渡や組織再編の際には、会社法の定める要件を満たす必要があります。

以上のような複雑な法律問題の絡む承継ほど、その専門家である弁護士の力が必要です。

相続に強い弁護士の選び方について

税理士

税理士は、事業承継における税務計画を策定する役割を担います。承継には、相続税や贈与税といった税金が課されるリスクがあり、対策には時間を要しますから、事業承継を考えたら早いタイミングで相談するのがお勧めです。

事業承継では、株式をはじめ資産の移動が必ず発生し、その際に課税は付きものです。相続税や贈与税が少しでも安くなるよう計画的に進めるため、税理士に依頼してください。適切な税務申告は、財政的な余裕をもたらし、後継者に経済面の負担をかけないようにして、事業承継をスムーズに進める助けとなります。

なお、税理士に相談する際は、相続税などを含む「資産税」を得意とする専門家を選ぶようにしてください。企業の税務を中心にしている税理士のなかには、資産税を取り扱わない先生もいます。

公認会計士

公認会計士は、財務評価や会計監査、内部統制の専門家です。事業承継の際にも、その承継対象となる会社の財務状況を適正なものに保つことはとても重要です。

企業の財政が健全ではないことによって、承継の前後で会社の価値が下がってしまえば、希望通りの承継にはなりません。経営の透明性は、第三者に事業売却する場合でも、親族内承継の場合でも、信頼を確保するために不可欠です。

司法書士

司法書士は、登記に関する専門家であり、不動産登記や商業登記をサポートします。

事業承継に伴って組織再編をするときには、法人の登記を変更する必要があります。また、特に不動産を含む事業承継の場面では、適切な登記手続きが不可欠であり、司法書士の助けが必要となります。また、会社の支配権を確保するために、種類株式の活用など、司法書士による手続き的なサポートを要する承継方法もあります。

相続に強い司法書士の選び方について

M&Aアドバイザー

企業の合併や買収を通じて事業承継を行う場合、M&Aアドバイザーによる戦略的アドバイスが役立ちます。シナジーのある承継先を探してマッチングを図ったり、取引をスムーズに進めるための専門知識を提供したりするのがアドバイザーの役割です。

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー(FP)は広くお金の専門家ですが、特に資金計画や投資計画の策定に優れています。事業承継においても、資金面の計画を立て、事業承継に必要な財政的な基盤固めを支援します。資金が枯渇すると事業承継の可能性は狭まるので、その役割は非常に重要です。

その他の専門家

以上のように事業承継に絡む典型的な専門家のほかにも、相談しておいた方がよい役割は多くあります。ケースと必要に応じて、次の職種への相談がお勧めです。

中小企業診断士

事業承継において経営面でのアドバイスが必要なときに、中小企業診断士に相談してみるのもよいでしょう。その他に、定まった資格ではないものの経営コンサルタントに関与してもらうのも有効な場合があります。なお、事業承継を専門に扱うコンサルタントも存在します。

生命保険会社、銀行などの金融機関

節税の対策や、円滑な遺産分割の対策として、生命保険を活用できる場面があります。また、自社株式の購入や相続税の納税など、事業承継に要する資金を捻出するために取引銀行の融資を受ける場合もあります。

相続問題の専門家について

事業承継の専門家選びのポイント

事業承継において最も適切な専門家を選定することは、その成功を左右する重要なポイントです。以では、専門家を選ぶ際の重要な注意点と、相談のための準備について説明します。

信頼できる専門家を選ぶには、最初が肝心です。一度良い専門家を見つけ、依頼すれば、長期的な関係を構築し、更にその手腕を存分に活用することができるからです。

選定基準

事業承継の専門家を選ぶにあたって、判断してほしい基準は次の通りです。

  • 専門性
    専門家を頼む最大のメリットは、その知識を活用できることにあります。そのため、知識の深さとその分野での実績が、専門性を判断する基準として最も重要です。法律や税務、会計など、その分野に応じたニーズに合う専門性を有していることを確認してください。
  • 経験と実績
    長年の実務経験がある専門家ほど、過去に直面した危機的な事態から、ノウハウやスキルを身に着けている可能性が高いです。難しい事案ほど、経験豊富な専門家に依頼すべきです。

相談の準備

事業承継の専門家に相談する際には、事前準備が欠かせません。というのも、初回の相談時こそ、直接専門家を見極める大切な機会だからです。

専門家との相談前には、サイトなどで情報を下調べしておきましょう。あわせて、承継の目的をわかりやすく話すため、以下の資料を収集し、経営に関する情報を整理してください。

  • 株主名簿
  • 決算書
  • 財務諸表
  • 保有資産のリスト
  • 契約書の一覧
  • 従業員名簿

これにより、専門家に迅速に状況を把握してもらい、具体的なアドバイスをもらえます。質問リストを作成しておけば、希望する方針を明確にし、期待した回答をもらいやすくなるとともに、専門性を判断しやすくなり、効率的に相談を進めることができます。

事業承継の成功のためには専門家の連携が必須

成功する事業承継には、各分野の専門家との緊密な連携が不可欠です。そのため、事業承継の専門家は、チームで戦略的にサービス提供する人が最適です。

なぜ、専門家の連携が必要なのか、それは、事業承継が単なる資産の移転というだけの意味ではなく、これを超えた様々な意味があり、1つの分野の専門知識だけでは太刀打ちができないからです。:

このとき、経営戦略の策定から、法的リスクの評価、税務効果の最適化、財務計画の見直しなど、多岐にわたる専門知識が求められます。全ての分野の知識を網羅している専門家は存在しないといってもよいでしょう。事業承継を成功に導くためには、弁護士、税理士、会計士など、各専門家の緊密な連携と協力が不可欠です。

事業承継の基本について

まとめ

今回は、事業承継の専門家について、その種類や必要性、役割などを解説しました。専門家の重要性を再認識していただき、効果的な事業承継を実現する手助けになれば幸いです。

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