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後継者の育成が承継を成功させる鍵となる!具体的な方法や戦略を解説

事業承継は避けて通れない大きな節目ですが、その継承プロセスの成功は、後継者の質にかかっているといっても過言ではないでしょう。企業の未来を担い、次世代のリーダーとなる後継者を育成するのが、現経営者の最後の責任であり、事業の持続的な成長へのキーポイントとなります。

後継者育成は、能力や資質面での成長は当然、それだけでなく、企業文化の継承、ビジョンの共有といった各社固有の視点も必要です。効果的な後継者育成のためには戦略的なアプローチを考えるべきです。承継タイミングまでに残された十分な時間も必要であり、後継者育成への早めの着手も重要です。

今回は、事業成功に不可欠な後継者の育成の重要性と、その方法や戦略について解説します。事業承継と後継者育成のプロセスは、企業の状況に応じて変える必要がありますが、自社に適した戦略を立てる一助としてください。

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事業承継における後継者の重要性

事業承継は、経営者やオーナーが変わる過程であり、企業の長期的な成功と、経営の安定には不可欠です。承継のプロセスは、単なるトップの交代というだけでなく、企業の価値観やミッション、戦略といった目に見えない考え方の継承を含みます。

そのため、事業承継を適切に計画するには、後継者の存在が非常に重要です。

事業承継の種類ごとの後継者

事業承継は、企業のリーダーシップや所有権が次世代へと移行するプロセスです。

家業を親族間で継ぐ「親族内承継」のケース、社内で次の経営者を探す「社内承継」そして「事業売却(M&A)」の3種類がありますが、どのプランを選ぶにせよ、後継者が重要なことに変わりありません。事業承継の計画ごとに、組織の将来のビジョンをどのように共有するか、リーダーシップを戦略的に移行できるかを検討しなければ、長期の繁栄は望めません。

事業承継の基本について

後継者育成の重要性

事業承継には後継者が重要であるとはいえ、最適な後継者が常に家族や社内にいるわけではありません。後継者不足と嘆く前に、後継者を育成することで解決する策を検討してください。

後継者育成は、事業承継の計画の中核をなす重要な要素となります。効果的な後継者育成プログラムを経ることにより、候補者が必要なスキル、知識、経験を身につけ、将来のリーダーシップの役割を果たす準備を整えることができ、これにより後継者不足が解消できます。

そして、ただスキルを鍛えるだけでなく、企業文化を理解し、戦略的ビジョンを共有し、組織に合った成長を目指すには、育成にそれなりの時間をかけなければなりません。現在目の前にある課題より、将来を見据えた後継者育成の重要性をよく理解し、持続可能性と競争力を確保すべきです。

後継者がいない会社の問題と対策について

効果的な後継者育成のための戦略

効果的な後継者育成は、企業の持続可能な成功にとって不可欠です。ここでは、実践的な後継者育成のアプローチと具体的な戦略、方法について解説していきます。

知識とスキルを伝達する

後継者には、業務の知識が優れているのはもちろんですが、経営者としての心構えの理解も重要です。そのなかには、リーダーシップ、戦略的思考、決断力、問題解決力といった、業務そのものではない幅広い知識が必要となります。

これらの知識は、本来は長い期間をかけて養うものですが、後継者育成のために用意された教育プログラムを受けることによって体系的に習得することも可能です。コンサルティング会社などが提供するセミナーや勉強会、育成コースを受講するのがお勧めです。

また、同時に、組織内におけるトレーニングによって経営者としての能力を磨くならば、現経営者とできるだけ近い距離で働かせ、模範的な行為を追わせる「シャドウイング」が有効です。いわゆる「カバン持ち」をさせて実務経験によって直接学ばせる方法です。

メンターシップとコーチング

社内での後継者の育成には、メンターシップとコーチングが有効な手法です。

メンターシップは、経験豊富なリーダーがメンターとなり、日常的なコミュニケーションをとりながら成長を支援することです。現経営者が現役のうちから育成を実施できれば、メンターとしてアドバイスを提供し、後継者の課題解決を手助けできます。これに対し、コーチングは、外部の専門家などのコーチによって目標を設定し、サポートしてもらう方法です。

いずれも押し付けて教えるのでなく、後継者自ら気付きながら学べる方法です。

実務経験によって学習する

後継者育成では、教育だけでなく、実務経験も重要です。実務経験なしに事業承継してしまうと、いわば「机上の空論」「頭でっかち」となり、経営に失敗しかねません。また、仮にうまくいっても現場の社員の気持ちが分からず、気持ちが乖離して離職率が上昇するきっかけとなってしまいます。

実務経験を積むには、後継者が様々な部署やプロジェクトに参加して働き、多角的な視点を身につける「ローテーション」の発送が重要です。また、後継者を早めに重要なプロジェクトに参加させることは、リーダーシップと責任感を養うのに効果的です。

後継者が社長の親族である場合など、上司や従業員が遠慮して自社内での成長が難しい場合には、あえて同業他社に出向させて実務経験を積ませる方法も有効です。

ネットワーキングや業界理解も重要

最後に、社内だけに留まらず、社外でも後継者育成の機会を得ることができます。業界団体やイベント、カンファレンスやセミナーに参加することで、業界内外のネットワーキングをし、人間関係を構築することも後継者育成にとっては大切です。また、自社の考えの殻にこもることなく、業界の最新トレンドを知り、自社の商品やサービスに繁栄できます。

将来のリーダーとして会社を率いていくには、弁護士や税理士といった専門家士業との交流も忘れてはなりません。

事業承継の専門家について

後継者育成をしないリスク

次に、後継者育成をしないことによるリスクについて解説します。これらの危険は、業種や業界、企業規模などを問わず、どの会社にもあてはまることです。

後継者育成を怠るリスクは、短期的にはもちろん、長期的にはより大きなリスクとして多大な影響があります。そのため会社を危険に陥らせず、持続的に成長させるためにも、後継者育成は、企業戦略の中核であると理解し、積極的に取り組むべきです。

経営の空白を生み、組織が不安定になる

後継者を早めに育成しておかないと、経営者が死亡したり、病気になったりした際、組織にリーダーがいなくなってしまいます。これによって意思決定が遅延したり、会社全体の戦略的な方針がなくなってしまったりして、業績が悪化するなど大きな影響が及びます。

そのまま放置し続ければ、長期的には組織が不安定となり、崩壊する危険もあります。従業員にも不安を与えれば、士気が低下し、業務効率が落ち、最悪は、離職率が上がって優秀な人材が流出していってしまいます。

事業承継に失敗してしまう

後継者育成の計画がないと、事業承継を成功させることはできません。その結果、後継者不足に陥り、継ぐ人がいないことを理由として廃業を余儀なくされてしまうことがあります。

このような経緯で廃業する会社は、小規模な地方企業などが典型ですが、後継者の候補がいないからといってあきらめるのでなく、そうであればより早い時期から後継者育成に着手する努力をするようにしてください。

事業承継と廃業の比較について

社内外の信頼を喪失する

後継者育成に失敗すると、社内外の信頼も喪失してしまいます。

社内の信頼が失われ、優秀な人材が転職してしまうのは想像に固くないでしょう。それだけでなく、優秀な後継者がいないと、取引先や顧客も見放し、企業のブランド価値や市場での競争優位姓に悪影響となってしまいます。投資家や金融機関の信頼を失えば新たな資金は得られませんし、優秀な才能を新たに採用することもできず、人手不足に陥ってしまいます。

後継者育成に成功した実例

後継者育成に成功した実例は、下記インタビューを参考にしてみてください。

後継者育成についてよくある質問

最後に、後継者育成についてのよくある質問に回答しておきます。

後継者育成プログラムはどのように始めるべき?

後継者育成の開始に早すぎるということはありません。まずは企業のビジョンや目標の共有からはじめ、戦略的に進めましょう。後継者候補を複数選び、育成しながら選択していく手も有効です。

後継者に必要なスキルや資質は?

まずリーダーシップと戦略的な思考力は、経営者の資質として欠かせません。また、業務遂行能力や問題解決力も必須です。そして、その業界や会社にあわせた知識やノウハウ、人間関係を築くコミュニケーションスキルも大切なポイントです。これらは、育成プログラムとともに、現場での実務経験を組み合わせ、両面から鍛える必要があります。

小規模企業でも後継者育成は必要?

小規模な企業だと、後継者が既に決定しており、育成をおろそかにする会社もあります。しかし、企業規模が小さいほど後継者育成が重要です。候補者が限られるほど、どうしてもその人に欠けた資質については教育と育成によって補う必要があるからです。

まとめ

今回は、承継を決断したらすぐ着手すべき、後継者育成のポイントを解説しました。

事業承継は、経営を次世代のリーダーに引き継ぐものなので、その引き継ぎ先となる後継者の資質が非常に重要な鍵となります。後継者選びが不適切である場合はもちろん、育成が十分でなく中途半端な時期に承継していまうことも、失敗のもとと言わざるを得ません。後継者不足は小規模な企業ほど課題でしょうが、実際は完全無欠の後継者などいるわけもなく、育てる必要があります。

後継者育成には、かなりの手間と労力、そして時間を要するので、事業承継を決断したら速やかに着手しましょう。自社に合った後継者育成プログラムをカスタマイズすることが、企業の持続可能な成長のためには必須となります。

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