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事業承継

後継者の成功のための環境整備は、経営者の責任!準備ポイント5つ

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事業承継を検討するとき「いつ」、「誰に」事業を継がせるか、はとても重要ですが、いかに後継者に「能力」と「覚悟」が備わっていたとしても、後継者が成功できる環境が整っていなければ、その「能力」、「覚悟」を生かし切ることはできません。

そして、事業をこれまで長年にわたって遂行してきた会社経営者である社長こそが、後継者のために、成功する事業承継のための環境を整備してあげることができるのです。

後継者が、事業承継の「覚悟」を見せたとき、活躍できるよう環境を整えてあげることこそ、会社経営者の責務です。実子・親族への「親族内承継」、役員・社員への「社内承継」、事業買収(M&A)による「社外承継」のいずれでも変わりありません。

そこで今回は、会社経営者が、後継者への事業承継を成功させるために、引退前に行っておくべき環境整備について、相続・事業承継を多く取り扱う弁護士が解説します。

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事業承継

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事業承継

2019/4/26

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事業承継

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事業承継

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特別清算の手続き・流れ・注意点を、弁護士が解説!

会社のオーナー経営者が引退を考えるとき、事業譲渡やM&A(事業売却)をせず、会社を清算せざるをえないことがあります。 会社を清算する場合は、会社の財産で債務を返済し、のこった財産を株主がうけとって会社をとじる、というのが通常の流れです。 しかしながら、会社を清算する場合に、その会社にはもはや価値がないというケースもあります。債務が多すぎる場合には、通常の清算の手続きがとれないこともあります。 株式会社の解散決議をおこない、清算手続きに入ったとき、会社の債権者から反対があるなど、清算手続きを進めるのに支障が ...

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事業承継

2019/3/8

「遺留分に関する民法の特例」を利用し事業承継を円滑に進める方法!

会社の経営をしている人が、その事業を後継者に引き継ぎたいと考えたときに行うのが「事業承継」です。しかし、民法には、最低限相続できる権利である「遺留分」が定められているため、これが事業承継の弊害となる場合があります。 法定相続人の遺留分を侵害するような事業承継の対策を、生前贈与や遺言などによって行った結果、遺留分減殺請求権を行使され、思った通りに事業承継が進まないリスクがあります。最悪の場合、株式が分散し、事業の支配権をめぐって、家族間のトラブルが激化します。 そこで今回は、円滑な事業承継のために、遺留分に ...

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「株式」に関する環境整備

まず、「株式」に関する環境整備です。会社の経営方針に反対する株主や、後継者への事業承継に反対する株主がいる場合、後継者の成功を妨げるハードルとなります。「株主」とは、いわば会社の所有者であり、株主が反対すれば、代表取締役社長を解任できるからです。

オーナー企業で、現代表者だけが100%の株式をもっている場合、後継者に対してそのすべてを引き継げるよう、「株式の集中化」についての相続の生前対策が必要となります。

しかし、それだけでなく、現在もなお、親族、創業者、出資者などが「物いう株主」として存在し、決定権が分散してしまっている場合があります。特に、現社長の親族、知人など懇意にしている人の中には、後継者への不安感から、事業承継に強く反対してくる人も少なくありません。

このような抵抗勢力をおさえ、事業承継後の後継者の経営を成功させるための環境整備として、現在の経営者が、反対する株主の説得、株式の買取など、「株式」に関する環境整備を行う必要があります。

株主はもちろんのこと、金融機関、取引先などの関係者に対して、具体的な事業承継の計画書を作成し、真摯に説明する姿勢が大切です。

「役員」に関する環境整備

さきほどの「株主」の話にも増して、「役員」の場合には、「長年現在の代表者に貢献してきた」という愛社精神の強い古株が、後継者への事業承継の反対勢力となってしまう危険があります。第2は、「役員」に関する環境整備です。

たとえ古参の役員に高い能力があったり、これまでの事業遂行を進めてきた経験値が多く蓄積されていたとしても、むしろこの能力と経験を使って後継者を抑え込む環境を作るようでは、後継者の成功は望めません。

特に、役員の場合には、「会社が成功するかどうかに、自分の人生・生活がかかっている」という場合も多く、個人的、主観的かつ限局的な考えで会社経営を考えてしまう方もいます。

後継者への事業承継後に、後継者が自身の側近を役員に固められるよう、現在の役員に対して説明を尽くすことが、承継前の経営者の、後継者のためにできる環境整備です。

関係者への理解を深めるためには、ぜひ、事業承継前に、後継者候補の人を社内に入れ、一定期間社員として修業してもらうことをご検討ください。

「債務」に関する環境整備

3つ目は、債権債務関係に関する環境整備です。財務状況が悪い会社の場合、事業承継をした後継者が、その処理に追われているうちに、本業が倒れてしまう危険があるからです。

長年社員として修業してきた人を後継者にするのでない限り、後継者は会社の債務の状況などについてそれほど詳しくありません。また、会社経営者として財務状況の改善をしたことがない人にとって、承継してすぐの仕事としては過大といわざるをえません。

債権債務関係を整理し、事業に大成功しなくても、100点満点中70点くらいの成功でも会社が倒れてしまわないよう、今のうちから後継者のための環境整備を行ってください。

金融機関との間の債務圧縮についての交渉や、経営者保証をできるだけ少なくしてもらう交渉などが「債務」に関する環境整備に含まれます。

特に、オーナー企業で、社長の個人資産を会社に貸付していたり、逆に、会社から借入を受けて私的に流用してしまっていたりする場合、後継者への事業承継前に、しっかりと債権債務を清算しておく必要があります。

「権限」に関する環境整備

事業承継の準備は、現経営者がまだ社長のころからはじまっています。事業承継を決断したら、後継者のために、早いうちから「権限」に関する環境整備を進めていただくことをおすすめします。

つまり、まだ完全に事業承継が完了する前から、部の統括をまかせたり、支店長に就任させたりなど、業務についての重要な権限を委譲していくことです。

後継者としての「責任」ばかり重く、「権限」はなにもなく、承継前の経営者がいつまでも口を出しおうかがいを立てなければならないとしたら、後継者の成功する環境整備が不足しているといわざるをえません。

権限移譲には、周囲の関係者にも、事業承継を「既定路線」として納得させるのにもつながります。「権限」に関する事前の環境整備だけでなく、事業承継後も「会長職」として後見し、後継者のサポートをするという手もあります。

「事業」に関する環境整備

最後に「事業」に関する環境整備については、「事業の整理」といってもよいでしょう。後継者にとって、事業承継直後から、あれもこれも全部できるわけではありません。得意なことに注力させることが、成功への近道です。

まず、赤字事業、不採算部門を、現経営者のもとで縮小、廃止することを検討してください。事業承継をしてすぐに赤字部門の立て直しを担当させることは、困難が多すぎます。

また、黒字事業であったとしても、現在の社長がはじめた事業、古株の役員が長年担当していた事業などは、そのまま後継者に引き継ぐことが適切でない場合があります。

「創業者の思い入れのある事業だから」と顔色をうかがって撤退できないでいるうちに、資産を食いつぶす赤字部門となってしまうケースも少なくありません。逆に、事業承継を転機として、なかなかかじ取りのしづらい赤字部門の清算を行ってしまうことができます。

事業承継は、「相続財産を守る会」にお任せください!

今回は、事業承継を決断したらすぐに行っていただくべき、後継者のための環境整備のポイントを、特に整備しておいていただきたい5つの側面にしぼって、弁護士が解説しました。

事業承継を決断したら、実際に承継をするタイミング(引退タイミング)が将来になるのだとしても、環境整備を早めに進めてください。本日紹介した環境整備の中には、かなりの手間、苦労と時間を要するものも少なくありません。

「相続財産を守る会」では、事業承継を決断した方に向けて、事業承継時がまだ先であっても、それまでの会社内の環境整備、コンプライアンス体制の構築などを、弁護士がサポートいたします。

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