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遺産分割

生前の預貯金の無断引出と、遺留分の関係は?パターン4つを解説!

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ご家族がお亡くなりになったときに、「長男に全ての財産を相続させる」といった遺言があると、他の相続人の遺留分を侵害することとなります。民法で定められた最低限の相続分である遺留分を侵害された相続人は、遺留分減殺請求権によって救済を図ります。

しかし、上記のような不公平な遺言が残っていたようなケースでは、すでに、生前もしくは死後に、預貯金が無断で引き出されてしまっており、使われてしまっている場合が少なくありません。

このように、同居の家族や、遺留分を侵害するほどの財産を取得した相続人などが、預貯金を無断で引き出していたとき、遺留分の計算については、どのように考えたらよいのでしょうか。

「生前の預貯金の無断引出しと遺留分の関係」について、相続に強い弁護士が解説していきます。

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生前の預金引き出しと、遺留分の関係とは?

そもそも遺留分とは、どのような考え方なのでしょうか。遺留分とは、相続分の一定割合について、生前贈与遺贈などによって侵害されず、保証されるという制度です。

法定相続人にみとめられた、相続の際の遺産の最低限の取り分といえます。これは、相続人の生活を守るために、相続人間のいきすぎた不公平を防止するための制度です。

遺留分を計算するときには、「相続財産(遺産)の金額×相続割合×遺留分割合」という計算式で算出します。

たとえば・・・

妻と子ども2人が相続人になる場合の妻の遺留分は、「相続財産(遺産)の金額×1/2×1/2」という計算により、相続財産(遺産)の4分の1となります。

そのため、生前に預貯金を無断で引き出されてしまうと、見た目の相続財産(遺産)が減ってしまう結果、遺留分もまた減ってしまう危険があります。

生前に、ある相続人が、ご家族の預貯金を無断で勝手に引き出したという疑いがあるとき、次のパターンに応じて、「遺留分との関係」の考え方が異なります。

ポイント

  • 生前に引き出された預貯金が、お亡くなりになったご家族(被相続人)のために費消された場合
  • 生前に、無断で預貯金を引出し、自身のために費消した場合
  • 生前に、お亡くなりになったご家族の許可を得て費消した場合
  • 生前に、お亡くなりになったご家族の許可を得て引き出したが、目的外に費消した場合

理由のない財産の持ち出しや、認められた範囲外での被相続人財産の流用は、許されることではありません。それぞれのケースに応じて、遺留分との関係を調整する方法について、相続に強い弁護士が解説します。

【ケース1】生前に、無断で引き出し、被相続人のために費消した場合

生前に引き出された預貯金が、被相続人のために費消された場合とは、たとえば次の事例のような場合です。

たとえば・・・

父親の面倒をみるために、長男が父親の預金通帳やキャッシュカードをあずかっており、長男がお金を引き出して父親の生活のために使用していた。

この場合、引き出した預金でメリットを得ているのは父親本人であり、預金をおろした長男がお金を得ているわけではありません。

したがって、引き出されたお金を、遺留分の計算の基礎となる、父親(被相続人)の相続財産に含めることはできません。

父親の体が不自由で自分では預貯金をおろせないという場合に、長男がお金をおろしていれば、長男は、他の相続人から、そのお金を自分のために使い込んでしまったのではないかと疑われる可能性もあります。

長男の立場でいえば、おろしたお金を父親のために使ったということが後から証明できるように、家計簿をつけたり、領収書を保管しておくべきです。

【ケース2】生前に、無断で引き出し、自身のために費消した場合

では、長男が父親のキャッシュカードを使って、父親に無断でお金をおろし、自分のために使った場合はどうでしょうか。これが、生前に無断で引き出し、自分のために費消してしまった場合です。

無断で預貯金を引き出してしまえば、たとえ親子関係があったとしても、不法行為・不当利得となります。

長男は、父親のお金を権限なく自分のものにしてしまったわけですから、長男の父親に対する「不法行為」となります。父親は、生きていれば、長男に対して、損害賠償を請求できます。同時に、長男は受け取る権利がないお金を受け取ったので、「不当利得」にもあたります。父親が生きていれば、長男に対して、お金を返してもらうという、不当利得の返還請求ができます。

つまり、いずれにせよ、父親は、長男に対して、無断で引き出された預貯金の額を返せ、という債権をもつことになります。父親が長男に対してもつ、「無断で引き出した分のお金を返せ」という債権(権利)も、父親の財産の一部といえます。

したがって、父親が亡くなった場合の遺留分の計算にあたっては、この債権を、遺留分算定の基礎となる被相続人の相続財産(遺産)の一部にふくめて計算することになります。

【ケース3】生前に、被相続人の許可を得て費消した場合

長男が、父親の許可をえて預金を引き出していたものの、そのお金を長男が自分のために使っていた場合はどうでしょうか。これが、生前に被相続人の許可を得て費消したケースです。

このようなお金は、父親が生きている間に長男に贈与したもの、つまり「生前贈与」したと評価されます。

被相続人が相続人に生前贈与した財産は、基本的にすべて遺留分算定の基礎となる財産に含まれるというのが、今の民法の考え方です。したがって、長男が引き出して自分のために使ったお金は、遺留分の計算の基礎となる財産に含まれます。

もっとくわしく!

ただし、この点については2018年(平成30年)の相続法の改正によって、ルールに変更が加えられています。

改正前の民法では、お亡くなりになった方(被相続人)が相続人に対して生前贈与をしたときは、生前贈与の時期を問わずすべての財産が、遺留分算定の基礎となる財産の価額に算入されます。

10年前の贈与でも、20年前の贈与でも、遺留分の計算の際には、被相続人の財産にふくめます。

しかし、これでは、遺留分の額が大きくなりすぎるとして、生前贈与のうち、遺留分の算定の基礎となる相続財産(遺産)の額に加える金額は、限定されることになりました。

改正後の民法のルールでは、原則として、

  • 相続開始前10年以内に行われた生前贈与であって
  • 「特別受益」に該当するもの

だけを、遺留分の算定の基礎となる相続財産(遺産)の範囲に加えることとされています。この新しいルールは、2019年7月に施行されます。

相続人に対する生前贈与のうち、どこまでを遺留分算定の基礎となる財産にふくめるか?

2018年改正前 2018年改正後
(2019年7月施行)
生前贈与の時期を問わず、原則として「すべて」遺留分算定の基礎となる財産の価額に算入 原則として
・相続開始前10年間の、
・特別受益に該当する生前贈与
を算入

【ケース4】生前に、被相続人の許可を得て引き出したが、目的外に費消した場合

最後に、長男が、父親の許可を得て預貯金を引き出したものの、勝手に自分のために使ってしまった場合はどうでしょうか。父親が、長男に対して、そのようにお金を使うことを認めていなかったのであれば、長男は、父親に無断で父親のお金を使ったことになります。

したがって、【ケース2】と同じように、父親は、長男に対して、不法行為不当利得があるとして、使った分のお金を請求することができます。つまり、父親は、長男に対して、お金を返せという権利(債権)をもつことになります。

そのため、父親が亡くなった場合の遺留分の計算との関係でも、【ケース2】と同様の扱いとなります。

つまり、父親(被相続人)が長男に対してもっていた債権は、遺留分算定の基礎となる被相続人の相続財産(遺産)の一部にふくめて計算することになります。

預貯金の使い込みをめぐる争いに備えた対応は?

相続において、預貯金の使い込み(使途不明金)をめぐって相続人どうしの争いになることは、よくあります。

通帳を見ても、「お金が引き出された」ことしかわからず、誰がどのように使ったのかは、通帳だけではわかりません。また、口座をもっていた本人はすでにお亡くなりになっているため、話を聞くこともできません。

被相続人と同居していた相続人や、お亡くなりになった方の面倒をみていた相続人が、他の相続人から、「お金を使い込んだのではないか」と疑われてしまうことが多いですが、お金の使い込みが問題になりそうなとき、相続人は、どのような点に気をつければよいかを、相続に強い弁護士が解説します。

預貯金の使い込みを疑われそうなとき

高齢の親の生活の世話をするために、預金口座の管理をまかされるという場合があります。

このような場合には、親がお亡くなりになって、相続となった後で、他の相続人から、親の預貯金を不当に自分のものにしたのではないか、使い込んでしまったのではないか、などと疑われてしまうおそれがあります。

預貯金を引き出していたこと自体は事実だとすると、そのお金をきちんと親のために使っていたのだことを証明できなければ、「使い込みだ」と判断され、他の相続人に対してお金を支払わなければならなくなってしまいます。

そのような事態をさけるため、たとえ相手が親であっても、自分以外の方のお金を預かったり、預貯金口座の管理をする場合には、そのお金をどのように使ったかの記録をのこし、できる限り、領収書などの証拠を保管しておくようにしてください。

預貯金の使い込みを疑っているとき

上の例とは反対に、お亡くなりになった方と離れて暮らしていた相続人にとっては、お亡くなりになった方の預貯金口座からお金が引き出されていて、その使いみちが分からなければ、お亡くなりになった方のそばで面倒をみていた方がお金を使いこんだのではないかという疑いをもつことがあります。

使い込みの疑われる本人に、引き出されたそれぞれのお金について、どのように使ったのか、領収書があるのかなどを、確認してください。

また、どのような経緯でお亡くなりになった方のお金を管理するようになったのか、通帳や印鑑をなぜあずかったのか、本当にあずかる必要があったのか、といった点についても、説明を求めてください。もし、相手の説明に不自然な点があれば、お金を使い込んでいる疑いが強くなります。

実際に裁判などをしてお金の支払いを求めたいとお考えの場合は、相続トラブルに強い弁護士に相談してください。

相続問題は、「相続財産を守る会」にお任せください!

今回は、生前に被相続人(お亡くなりになった方)の預貯金が払い戻されていた場合に、それが遺留分の計算にどのような影響を与えるかという点を解説しました。

使途の明らかでない預貯金の引き出しは、遺留分をはじめとして、相続で特に争いとなることの多いテーマです。無断で引き出した人以外の相続人の相続分を害し、遺留分に影響を与える可能性があるからです。

「相続財産を守る会」の弁護士は、相続に関する他の専門家とも協力して、相続をめぐる紛争の解決を協力にサポートいたします。

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弁護士法人浅野総合法律事務所は、銀座(東京都中央区)にて、相続問題、特に、遺言・節税などの生前対策、相続トラブルの交渉などを強みとして取り扱う法律事務所です。 同オフィス内に、税理士法人浅野総合会計事務所を併設し、相続のご相談について、ワンストップのサービスを提供しております。

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