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会社経営者が作成すべき遺言書のポイント6つ・書き方【弁護士解説】

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会社経営をしていて、引退時期がそろそろではないかとお感じになっている方にとって、相続問題はとても重要です。

特に、会社を創業し、100%の株式を保有しているオーナー社長にとっては、会社の株式や、会社の事業用に利用している個人資産などが、相続をきっかけとして、意図せぬ人の手にわたることによって、会社経営の継続が困難になってしまう危険があります。

会社の所有権ないし経営権を示す「株式」も相続財産(遺産)の一部であり、相続対策・生前対策を一切しなければ、法定相続分にしたがって相続人に分割されることとなります。

そこで今回は、会社経営をしていて、相続が発生することが予想される方に向けて、会社経営者が作成しておくべき遺言書のポイント、書き方、作成方法、注意点などについて、相続に強い弁護士が解説します。

参 考
株式を相続したかどうか調査する方法は、こちらをご覧ください。

「株式」は、会社の所有権をあらわす考え方です。つまり、会社の株式を保有している「株主」が、その会社の持ち主ということです。 会社の所有権をあらわす「株式」には、財産的価値があります。そのため、株式を保 ...

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事業承継

2019/3/14

事業承継について相談する専門家の選び方は?ポイント3つ

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事業承継

2019/3/8

事業承継で、後継者に求められる資質・要件は?ポイント4つ

後継者に対して事業承継をするとき、後継者候補として多くの人があがることがあります。例えば、実の息子、娘を後継者とする「親族承継」もあれば、社内の幹部役員を後継者としたり、事業承継のためにあらたに外部から後継者を連れてきたりすることもあります。 いずれの場合にも、会社・事業を継続していくために重要となるのが、「後継者の見極め」です。そして、後継者の資質を見極めるときに「お気に入りだから」といった感情が入らないように、客観的に見極めなければなりません。 資質・要件を満たさない後継者に継がせることは会社にとって ...

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2019/3/8

「遺留分に関する民法の特例」を利用し事業承継を円滑に進める方法!

会社の経営をしている人が、その事業を後継者に引き継ぎたいと考えたときに行うのが「事業承継」です。しかし、民法には、最低限相続できる権利である「遺留分」が定められているため、これが事業承継の弊害となる場合があります。 法定相続人の遺留分を侵害するような事業承継の対策を、生前贈与や遺言などによって行った結果、遺留分減殺請求権を行使され、思った通りに事業承継が進まないリスクがあります。最悪の場合、株式が分散し、事業の支配権をめぐって、家族間のトラブルが激化します。 そこで今回は、円滑な事業承継のために、遺留分に ...

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2019/4/10

事業承継の選択肢は3つ!親族内承継・社内承継・M&Aの比較!

事業承継を行うとき、その方法には3つの選択肢があります。それが、親族承継、社内承継、そして、M&Aです。 この3つの事業承継の選択肢は、「どれが正しい」というものではなく、会社の状況、経営者や後継者のお気持ちなどによって、「どの選択肢が適切か」という観点で考える必要があります。 特に、事業承継は、下準備からはじまり実際に承継(前経営者の引退)のタイミングに至るまでには、長期間かかることもあり、当初は親族承継で考えていたが、進めているうちにM&Aの条件面が有利だと方針転換した、というケースもあります。 そこ ...

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2019/4/18

種類株式を活用した事業承継の方法を、弁護士が解説!

事業承継において、もっとも重要なことの1つが、「オーナー経営者様の経営する会社の株式を、どのように後継者にわたすか?」という点です。 会社における重要な決定が行われる株主総会で、議決権をもつのは「株主」です。後継者が安定して会社を経営するためには、「株式」を後継者にわたすことが欠かせません。 ところが、「株式」は、経営者の財産のなかでも大きな割合を占めるため、後継者に選ばれなかった相続人が「十分に財産をもらえていない」という不満を抱き、「争続」につながって会社経営にも悪影響を及ぼします。 事業承継のお悩み ...

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会社経営者が、遺言書を作成すべき理由

会社経営者の場合で、会社の株式を所有している場合、その株式には財産的価値があるため、相続の対象となります。その結果、遺産分割によって株式が分割されてしまい、意図しない親族に会社をのっとられてしまう危険があります。

「株式」とは、会社の所有権をあらわすもので、株式を過半数もっていれば、役員を変更するなど、会社の重要事項を決めることができてしまいます。

加えて、次の観点からも、会社経営者であれば、相続問題に備えて、生前から遺言書を作成しておくという対策が必要となります。

ポイント

代表者個人名義の預貯金口座を、事業用に利用している
代表者個人所有の不動産を、事業用に利用している
代表者が、個人資産を会社に貸付している

これらの事情があった場合、「会社」という法人と「社長」という個人とは、法的には全く別物ですので、財産関係を整理しておかなければ、会社代表者(社長)の死亡によって、会社の経営にとって重要な財産が、会社から失われてしまいます。

会社の株式を100%持っているオーナー社長の場合には、「会社=自分」、「会社は自分のもので、他人に口出しはさせない」という人も少なくないですが、完全に私物化できるわけではなく、相続の場合には、人の手にわたってしまいます。

このような会社経営者特有の相続問題を解消するための、遺言作成のポイント、注意点をしっかりご理解ください。

参 考
「公正証書遺言」の書き方と注意点は、こちらをご覧ください。

公正証書遺言は、自筆証書遺言、秘密証書遺言といった、その他の遺言の形式に比べて、確実性が高く、偽造、改ざんをされにくい点で、最もお勧めの遺言方法です。 遺言書を作成して遺言を残そうと、弁護士、税理士、 ...

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株式が分散すると会社経営が危ない!

株式は会社を所有する権利を示しているため、少なくとも会社に残っている資産分の価値があり、会社の事業に将来性があれば、それ以上の財産的な価値があります。

そのため、相続財産(遺産)に株式が含まれている場合には、遺言によって相続割合を定めなければ、法定相続分に応じて分割されることとなります。

たとえば・・・

相続財産として株式100株(評価額1億円)があったとき、相続人が妻と子の2人であれば、妻が2分の1の50株(評価額5000万円)、子が2分の1の50株(評価額5000万円)を承継することになります。

会社の意思決定は、株主のもつ株式数の多数決によって決定されるのが原則です。そのため、株式の過半数以上を所有した人は、会社の重要事項を決めることができます。相続によって会社の意思決定権者である株主が複数になると、とても複雑な権利関係になります。

たとえば・・・

さきほどの例ですと、妻、子という2人の株主が、株式を2分の1ずつ持つことになるため、いずれの株主も1人では過半数を超えず、2人の株主が喧嘩してしまった場合に、会社の重要な方針が決定できなくなってしまいます。

このような経営権が分散して会社運営がストップしてしまう事態を避けるために、会社法106条では、相続によって共有状態になっている株式に関する権利行使について、代表者を定めて届け出れば、代表者が権利行使できる、という定めがあります。

会社法106条(共有者による権利の行使)

株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。

しかし、そもそも「争続」が起こり、相続人間で対立が激化した場合には、代表者を決めることが困難なケースも少なくありません。

参 考
遺産分割協議がもめる理由と対処法は、こちらをご覧ください。

「遺産分割協議」とは、法定相続人や、遺言によって相続人に指定された人が、相続財産(遺産)をどのように分けるかについて話し合いをする協議のことです。 遺産分割協議は、あくまで話し合いですから、円満に解決 ...

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株式を分散させないための遺言の書き方【書式・ひな形】

このように、株式が分割されず、会社の後継者と決めた人が、会社の重要事項を決定することができるほうが、会社の経営が円滑に進み、「争続」も回避することができます。

法定相続分よりも、遺言で定めた指定相続分が優先するため、後継者が決まっているのであれば、その人に全株式を相続させるという内容の遺言を、生前に作成しておくことが「株式の分散化」の対策になります。

例えば、株式を分散させない「株式の集中化」のための遺言書の例として、次のケースをご覧ください。遺言書の書式・ひな形を、記載例としてあげておきます。ダウンロードして、適宜修正して、遺言書を作成してみてください。

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する預貯金を、すべて妻相続花子(昭和○年○月○日生)に相続させる。

第2条 遺言者は、遺言者の所有する以下の株式を、遺言者の長男相続一郎(平成○年○月○日生)に相続させる。
⑴ 相続商事株式会社の株式 100株
⑵ 株式会社そうぞくの株式 100株

○○年○月○日

住所 東京都中央区銀座1丁目1番1号
遺言者 相続太郎 ㊞

書式・ひな形サンプルのダウンロードリンク

遺言者が自分1人で作成する「自筆証書遺言」の場合には、以上の書式をすべて手書きで作成して、自筆で署名押印をし、作成日を記載しなければ遺言が無効となってしまうことにご注意ください。

公正証書遺言で作成する場合には、公証人の協力や手数料が必要となるかわりに、遺言書の有効要件については、公証人からのチェックを受けることができます。ただし、「どのような遺言がよいか」という内容面のアドバイスは、弁護士におまかせください。

遺留分侵害に注意する

株式の分散化を避けるために、後継者となる相続人1人に株式を集中させる遺言を作成するとき、気を付けなければならないのが「遺留分」です。

遺留分は、兄弟姉妹以外の法定相続人(すなわち、配偶者、子、直系尊属)に認められる最低限の相続分であって、株式を1人に集中して相続させたときには、株式の評価額や相続財産の総額によっては、他の相続人の遺留分を侵害することになるからです。

株式を、後継者となる相続人1名に相続させるときに、「遺言を書く」ことは当然として、遺留分侵害とならないようにする対策として、次の方法が考えられます。

ポイント

  • 株式の評価額が低くなるようにする
  • 相続財産(遺産)総額が高くなるようにする

いずれの方法も、要は、相続財産(遺産)に占める株式の「割合」が低くなるようにすることが対策になるということです。「相続財産(遺産)のうち、株式や事業用資産以外のものがほとんどない」という場合には、遺留分侵害となるため注意が必要です。

参 考
遺留分が認められる割合と計算方法は、こちらをご覧ください。

相続のときに、「相続財産(遺産)をどのように分けるか」については、基本的に、被相続人の意向(生前贈与・遺言)が反映されることとなっています。 被相続人の意向は、「遺言」によって示され、遺言が、民法に定 ...

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会社と代表者個人間の債権債務関係は解消しておく

さきほど解説したとおり、「会社」という法人と、「社長」という個人とは、法律上、まったく別のものと考えられています。中小企業の中には、実質「会社=社長」だという会社も少なくないのは事実ですが、これはあくまでも、社長が生きている間の話です。

社長の口座、会社の口座のいずれにお金があっても一緒だ、と考えて、会社に社長が貸付を行ったり、逆に、社長が会社のお金を使い込んでいたりする場合には、相続が開始するまでに、会社と個人との間の債権債務関係を解消しておくことをお勧めします。

また、会社が借主となっている借金(債務)について、社長が個人保証を行っている場合には、個人保証を外してもらう交渉をするとともに、万が一難しい場合であっても後継者への引継ぎを行っておきましょう。

まずは家族間の協議が重要

会社経営者の相続問題というと、今回の解説でもあるとおり、遺言書の作成が最重要視されます。しかし、忘れてはならないのが、事前に家族間で協議をすることが非常に重要だということです。

遺言書が、もし他の相続人の遺留分を侵害している場合には、遺留分減殺請求権によって遺言書どおりの結果が実現できない場合があります。それでも、家族間で、会社の後継者についての合意が形成されていれば、相続人全員が遺言を尊重してくれることもあるからです。

特に経営者の遺言書作成では、定型的な遺言書の内容だけでは済まないことが多く、会社の状況はもちろんのこと、相続人となる1人1人のお気持ちを踏まえて、遺言書を作成していく必要があります。

万が一、遺言書がない場合であっても、相続人間の話し合いがきちんとできていれば、会社を無事、後継者に事業承継できることも少なくありません。

この場合、揉め事になれば、遺産分割協議、遺産分割調停で争うこととなります。

参 考
遺産分割協議の流れと進め方は、こちらをご覧ください。

遺産分割協議とは、ご家族がお亡くなりになってしまったときに、相続人が、遺産の分割方法について話し合いを行うことをいいます。 遺産分割協議が行われるのは、相続財産(遺産)の分け方に争いがあるケースです。 ...

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相続問題は、「相続財産を守る会」にお任せください!

今回は、会社経営者である社長の相続問題で特に気を付けておくべき、遺言書の書き方・注意点について、記載例を示しながら、弁護士が解説しました。

ただし、お示しした遺言書の文例は、あくまでも「例」であって、遺言書を作成する際には、既に解説しましたとおり、会社経営者の場合には特に複雑な考慮が必要となります。また、相続税についてどのような分け方が有利か、という視点も踏まえて考えなければなりません。

「相続財産を守る会」では、相続問題を取り扱うとともに、多くの会社経営者の方の顧問弁護士にもなっている弁護士が、経営者特有の相続・遺言問題について、事例に即した適切なアドバイスを差し上げます。

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弁護士法人浅野総合法律事務所は、銀座(東京都中央区)にて、相続問題、特に、遺言・節税などの生前対策、相続トラブルの交渉などを強みとして取り扱う法律事務所です。 同オフィス内に、税理士法人浅野総合会計事務所を併設し、相続のご相談について、ワンストップのサービスを提供しております。

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