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親に遺言を書いてもらう方法は?7つのテクニックを解説

15歳に達すれば遺言を残せますが、遺言書を書くかどうかは個人の自由です。実際は、遺言を残さずに亡くなる方も大勢います。

しかし、亡くなった方(被相続人)に遺言自由の原則があるとはいえ、残された家族の立場からすれば「遺言があったらよかったのに」と思うことは多いものです。遺言さえあればうまく収まったはずが、遺言がなかったがために争続となることもあります。

「遺言の話は気が重い」「親が死ぬ前提で話すのは不謹慎だ」という反対意見もあるでしょうが、遺言による生前対策はとても重要です。親が理解してくれないとき、子の世代が説得しなければならず、働きかけをするためには、親に遺言を書いてもらう方法とテクニックを知る必要があります。

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親に遺言を書いてもらう方法7つ

親の立場では「死後のことなど考えたくない」という人も多くいます。逆に、子の立場で「親心があるなら遺言を残してほしい」と考えるのも当然。気持ちにギャップがあるので、伝え方によっては誤解を招き、遺言書を書かせるのが更に難しくなるおそれがあります。

  • 親の死亡を待ち望んでいるのか
  • 遺産狙いなのではないか
  • 他の相続人を出し抜こうとしているのか

このような誤解は、子供側のお願いのしかたで回避することができます。想いの伝え方にも、工夫が必要です。邪推されるのをおそれるあまり、遺言の話を切り出すことに躊躇するうちに親が亡くなれば取り返しのつかないことになります。

勇気を出し、親に遺言を書いてもらうよう頼むにあたり、良い方法とテクニックを紹介します。

遺言を書いてほしいとストレートに伝える

最初に実行してほしいのが、ストレートに、包み隠さず「遺言を書いてほしい」と伝える方法です。素直に伝えるのが一番です。「死ぬのを待っているのではないか」「財産目当てでないか」といった誤解も避けることができます。

遺言の内容について希望を述べないのが、誤解を抱かれないためのポイントです。自分に都合のよい希望を伝えると、不信感を増大させ、結局遺言の作成に着手されないおそれがあります。

率直に伝えることで、むしろ親側も「自分がある日突然死んだらどうしよう」と不安になったり、「実は気にしていた」という本音が聞けたりすることもあります。

遺言は、亡くなる方だけでなく、残された家族の問題でもあるので、胸を張って希望を伝えて良いのです。誤解されずに伝えるには、常日頃のコミュニケーションも大切です。遺言の話だけ突然切り出すのでなく、しっかりとした親子間の絆を作る努力をしましょう。

遺言を書かないデメリットを伝える

遺言を書かずに亡くなると、残された家族には多くのデメリットがあります。遺言には気の進まないという人は、その手間の割に、避けられる将来のトラブルや争いがイメージできていないことがあります。親の生前は仲の良かった家族が、遺言なく残された遺産を取り合い、骨肉の争いを繰り広げることはよくあるのです。

「財産が少ないから大丈夫」「長男に全て残すから大丈夫」といった思い込みは危険です。愛する家族が争わないためにも、遺言を書いてもらう必要があるということを理解させるために、書かなかったときのデメリットをよく伝えましょう。

「相続人が困る」といった自分本位のデメリットの伝え方は逆効果です。

死亡後の具体的な計画について聞く

「遺言を書いてもらいたい」と直接切り出せない場合にも、間接的に伝える方法があります。それが、死亡後に残された財産についてどのようにしてほしいか、具体的な計画について聞く方法です。

このとき、「財産」に焦点を当てると心理的に避けられるおそれがある場合は、「家族の将来の計画」という観点で聞くようにしてください。遺産狙いだと誤解されないためには、ただ心配なのだという気持ちを親に分ってもらわなければなりません。

例えば、まずは次のような話題から始めてみてください。

  • 父親が先に亡くなったとき、残された母の介護費用をどう負担するか
  • 家族経営の事業を、誰が、どのように承継するか
  • 家族の住む自宅に、誰がいつまで住み続けてよいのか

死亡後の計画を具体的に話し合っているうちに、親からも色々な意見や考えが出てきます。その決まった内容について「それならやはり遺言を書いたほうがよいのでは」という流れになることは多いものです。

遺言書の作成を手伝う

遺言は、相続トラブルを避けるためのものですが、法的な要件が厳格であり、最悪はせっかく作成した遺言が死後に無効になってしまうこともあります。遺言がかえってトラブルを招くことのないよう、弁護士のアドバイスを聞きながら作成するのがお勧めです。

ただ、高齢になると、手元が危うくなったり、目が見えなくなったり、法律知識を調べたり、弁護士に相談に行くのも億劫になったりするでしょう。そのような面倒な作業を、子供が代わりに行ってあげると伝えることで、親に遺言を書こうという気持ちを呼び起こすことができます。

遺言書の内容を親と一緒に考えるにあたっては、自分にだけ有利になったり不公平な内容となったりしないよう注意し、両親の遺言へ向かう気持ちを前進させることに注力しましょう。

遺言について親と一緒に弁護士に相談する

遺言が後から無効にならないよう、弁護士への法律相談は重要です。特に、遺留分を侵害しないような内容にする必要があるほか、相続税について有利なものとするため税理士への相談も欠かせません。このように相続に関わる専門家に相談するには、親子そろって出向くのがお勧めです。

弁護士もまた、相続ケースでは、親子そろっての相談をお聞きすることはよくあります。利益相反が顕在化していない限り、断れれることもありません。相談のなかで、弁護士からも遺言をするメリットを説明してもらうことが後押しとなります。

弁護士の個別相談がハードル高いときには、相続勉強会やセミナーなどに親子で参加するのもよいでしょう。

相続に強い弁護士の選び方について

自分も遺言を残す

「遺言は高齢者が書くもの」「死の直前になったら」と誤解している人もいますが、遺言を作るタイミングに「早すぎる」ということはありません。一度作成しても何度でも書き直すことができ、矛盾する部分については後から作成した遺言が有効となるからです。

親に遺言を書いてもらおうとして、「まだその時期ではない」と先延ばしされないよう、子供の立場である自分も遺言書を作成しておくのがお勧めです。特に、自分にも子供がいるならば、突然の死に備えて遺言を残しておくべきです。

この場合も、親子で弁護士に相談すれば、同時に遺言の作成に着手できます。なお、1つの遺言には1人の意思しか記載できないので、親子両方の意思を記載しても無効となってしまいます。

遺言を書くより軽い方法から始める

親に遺言を書いてもらおうとしても、「遺言書」という言葉が堅苦しく感じられてしまうと、抵抗感を生んでしまいます。法律の形式や手続きがあるものに対し、親世代ほど障壁を感じるでしょう。

お勧めの方法は、遺言を書くより軽いものから始めること。具体的にはエンディングノートや動画による遺言など、法律上の遺言の形式は必ずしも満たさないものの、簡単に始められるものを作ってみて、自分の意思を示す訓練をしてもらうのが有効です。

「遺言を書いてほしい」と伝えるだけでなく、まずはエンディングノートなど、素直に自分の気持ちを書ける文書を作ってもらうことは、親の気持ちを知る助けにもなります。書店などにも作成キットが市販されています。

遺言は無理やり書かせないほうがよい

親に遺言を書いてもらうのに、様々な切り出し方があることを理解ください。そして、それらを家族の状況や親の性格、親子の現在の関係値などに応じて、使い分けてください。

しかし一方で、親に遺言を書いてもらいたいからといって、無理やり強制してはいけません。親の意思によらずに書かせた遺言は無効です。また、強制は、遺言を無効にするだけでなく、今後遺言を書いてもらうことがますます困難となったり、親の反発を招いて、自分に不利な(他の相続人に有利な)遺言を作成されてしまう危険もあります。

「親を操って、自分に有利な遺言書を早く作ってもらおう」という悪意を持つのでなく、あくまで「親の意思で、遺言書を抵抗なく速やかに書いてもらおう」という気持ちで、サポート役に徹するのが、スムーズに親に遺言書を書いてもらうポイントです。

要家族に「自然に」遺言を残したい気持ちになってもらうのが一番なのです。脅したりだましたりして遺言を強制すると、最悪は相続欠格に該当し、相続人となる資格を失うことにもなります。

まとめ

今回は、親に遺言を書いてもらう方法と、その際に使えるテクニックを解説しました。なかなか遺言を書いてくれなかったり、その大切さに気づいてくれなかったりする親世代に対し、どう働きかけるのが有効か、考える助けにしてください。

相続を扱う弁護士に相談すれば、遺言を作成しなかったことによるトラブルやリスクを共有してもらえます。親と一緒に相談すれば、豊富な経験談が、両親に遺言を書いてもらう後押しになります。

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