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死後離婚する?しない?メリット・デメリットは?【司法書士解説】

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「死後離婚」という言葉をテレビで耳にすることが多いのではないでしょうか。「死後離婚」とは、配偶者(夫や妻)の死亡後に、姻族(配偶者の親族)との関係を絶つことをいいます。

配偶者(夫や妻)が死んだ後(死後)に離婚することはそもそもできず、死亡によって夫婦関係(婚姻関係)は途絶えますので、「死後離婚」というのは、配偶者の死亡後に配偶者の両親などの家族との縁を切ることを「離婚」にたとえたマスコミの造語です。

法務省統計によれば、死後離婚は近年増加しています。配偶者(夫や妻)に対する愛情があったとしても、その家族(舅、姑)には未練はないということでしょうか。

今回は、「戸籍」に関する専門家である司法書士の立場から、近年増え続けている「死後離婚」をするかどうかお迷いの方に向けて、死後離婚のメリット、デメリットについて比較しながら解説します。

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死後離婚とは?具体的な方法は?

冒頭で解説したとおり、「死後離婚」とは、配偶者(夫や妻)が死亡したあとに残る、姻族(配偶者の親族)との親戚関係を断絶する戸籍上の手続のことをいいます。以前からあった手続ですが、テレビなどで話題となったことで、最近死後離婚が増えています。

配偶者と死別した場合、離婚をしたわけではないので、配偶者の家族との親戚関係はなくなりません。そうすると、扶養義務などの民法上の義務が残ることになり、義理の両親が住宅の賃貸借契約をするときの保証人になることを頼まれるなど事実上の親戚関係が残ります。感情的にも「親戚のまま」ということが負担やストレスになることも多いでしょう。

扶養義務を定める民法の条文は、次の通りです。

民法730条(親族間の扶け合い)

直系血族及び同居の親族は、互いに助け合わなければならない。

民法877条(扶養義務者)

1 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定するほか、三親等内の親族間においても不要の義務を負わせることができる。
(後略)

民法878条

扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても、同様とする。

死後離婚の方法は、配偶者(夫や妻)がお亡くなりになった後に、市区町村役場に「姻族関係終了届」という書類を提出することで、一方的に行うことができます。これによって縁がきれるのは、次のような姻族です。

ポイント

  • 配偶者の父親=舅(しゅうと)
  • 配偶者の母親=姑(しゅうとめ)
  • 配偶者の兄弟=義理の兄弟姉妹

死後離婚は、縁を切られる側の姻族の同意なく、一方的に行うことができます。また、「姻族関係終了届」によって届出をすれば死後離婚が成立しますので、役所の許可、認可を得る必要も特にありません。

参 考
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死後離婚は、誰に相談すればいい?

相続の専門家にも、多くの職種があります。遺産分割協議などの争いごとを担当する「弁護士」、相続税の申告・納付を担当する「税理士」、相続登記を担当する「司法書士」といった士業や、不動産会社、保険会社、FPや銀行なども相続問題を取り扱います。

死後離婚をするかしないか、死後離婚をしたほうがメリットがあるかどうかなどにお悩みの相続人の方が、死後離婚に関する知識、経験のある専門家に相談したいと考えたとき、最も適切なプロは「司法書士」です。

司法書士は、戸籍や登記の専門家です。相続問題においても、相続手続きに必要となる「出生から死亡までの戸籍謄本」の収集、相続手続きや不動産の名義変更などを担当するのは、司法書士の仕事です。

したがって、「死後離婚をしたいけれど、何から行ったらよいかわからない」「そもそも死後離婚をしてメリットがあるだろうか、目的達成できるだろうか」とお悩みの方は、司法書士に一度ご相談ください。

参 考
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死後離婚するメリット

死後離婚は、夫や妻と死別してもどうしても切れない親戚関係を、戸籍の手続上で、法的にも親戚ではないこととすることで、親戚のしがらみから逃れることができます。したがって、死後離婚のメリットを強く感じる人も少なくありません。

死後離婚は、法的な関係が断絶されるだけでなく、心理的なストレスを緩和する効果もあります。次のメリットをご覧いただき、死後離婚したいと考える方は、事前に司法書士に相談して、状況把握をするとよいでしょう。

【メリット①】介護・世話の必要がなくなる

夫や妻がお亡くなりになって死別した後、その親、つまり、義理の両親がまだ生きているということがあります。この場合、義理の両親は、既にかなりの高齢となっていることが通常です。

義理の両親が認知症となっていたり、足腰が不自由となっていたりして、夫の生前から介護に苦労していたという奥さん側からの相談をよくお聞きします。この場合、夫が亡くなった後まで、夫の両親の介護の面倒を見ることが難しいことも少なくありません。

死後離婚をすることによって、義理の両親との姻族関係がなくなれば、民法上で義務付けられた親族間の扶養義務の負担はなくなりますので、法律的には、介護をする必要はありません。実際にも、死後離婚を宣言することによって、配偶者の兄弟などが、介護の必要性を強く認識してくれるきっかけづくりにもなります。

参 考
介護をした人が、相続財産を増やす方法は、こちらをご覧ください。

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【メリット②】金銭的援助の必要がなくなる

姻族関係がある場合には、介護・扶養・病気の療養などを行う義務だけでなく、金銭的な援助をしなければならない場合もあります。

例えば、同居の姻族が、無収入であり重度の精神病など病気にかかって仕事ができないなど、生活に苦しむ状況の場合には、金銭的な支援をおこなわなければなりません。義理の兄弟姉妹が結婚せず実家に残っている場合など、配偶者(夫や妻)と死別したあとまで生活の面倒を見なければならないのは大きな負担です。

しかし、死後離婚をすることで姻族関係がなくなれば、金銭的援助を行う必要性も、法律上消滅します。

【メリット③】一緒のお墓に入らなくてよい

「夫の家の墓には入りたくない、自分の家の墓に入りたい」という相続相談をお聞きすることがあります。嫁としてとつぐと、嫁ぎ先の墓に入ることとされるのが多いですが、配偶者が先になくなったときは実家の墓に入ったり、夫婦の墓を新しく作ったりといった選択肢もあります。

お墓についてのこのようなご希望があるとき、死後離縁のメリットを享受することができます。死後離縁することによって、配偶者(夫や妻)の親族との姻族関係を絶つことができれば、法律上も、実際にも、一緒のお墓に入る理由がなくなります。

配偶者(夫や妻)の親戚代々のお墓にお参りにいったり、管理をしたりする負担もなくなります。

【メリット④】相続財産(遺産)をもらう権利はある

「姻族関係終了届」を市区町村役場に提出して死後離婚を行っても、配偶者(夫や妻)との夫婦関係がきれるわけではありません。戸籍上は、夫婦関係を示す戸籍に、姻族関係が終了したことを記載されるだけです。

そのため、配偶者(夫や妻)がお亡くなりになったことによって開始される、配偶者を被相続人とする相続については、相続財産(遺産)をもらう権利はなくなりませんので安心です。子も同様に、子の続柄のまま変わりませんので、相続権を失いません。

また、姻族(例えば、義理の両親)がお亡くなりになったとしても、義理の両親と養子縁組をしている場合などでない限り、そもそも姻族を被相続人とする相続においては、死後離縁をしてもしなくても、相続をする権利はありません。

参 考
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死後離婚するデメリット

死後離婚のメリットをご理解いただけたかと思いますが、しかし一方で、夫や妻と死別したときに死後離婚することにはデメリットもあります。デメリットをきちんと理解して死後離婚を進めなければ、思わぬ不利益を被ることもあります。

【デメリット①】死後離婚を取り消せない

既に配偶者が死亡し、死別してしまっているわけですから、死後離婚した後で後悔しても、再度結婚したり、姻族としての親戚関係を結びなおすことはできません。

死後離婚によって姻族との縁切りを一度行うと、その後に再度親戚関係に戻ることはできません。「姻族関係終了届」を受理された時点から、もはや撤回、取り消し、やり直しはできませんので、届出書を提出する前に、しっかりと覚悟をしなければなりません。

そのため、死後離婚を行うとどのようなデメリット、不利益、リスクがあるか、届出書を提出する前によく「想像」することで、「本当にそうなったとき、姻族関係を戻したいと後悔しないのか」と繰り返し自問自答してください。

間違っても、義理の両親からの、配偶者死亡直後の冷静な状態でないときに放たれた一言に怒り、突発的に死後離婚に進むことはやめておきましょう。

【デメリット②】人間関係が疎遠になる

死後離婚によって姻族との縁を切ったとしても、喧嘩をしているわけではありませんが、人間関係が疎遠になることは、心情的に避けがたいことが容易に想定できます。親戚の集まりには呼ばれなくなるでしょうし、法事、葬儀、結婚式など、ライフイベントへのお声はかからなくなる可能性があります。

特に、子がいる場合には、子どもと祖父母との間には、死後離婚をしたとしても直系親族の関係が続くことになります。自分が死後離婚によって縁を切ったことで「祖父母が冷たくなった」「祖父母が孫を助けてくれなくなった」など、子に影響が出るおそれがあります。

参 考
祖父母から孫へ遺産を相続させる方法は、こちらをご覧ください。

「孫がかわいい」という祖父・祖母の方は多く、また、相続税対策としても「遺産の一部を孫に渡しておきたい」という相続相談をよく受けます。 よくある相続相談 孫の教育資金として、生前贈与して相続対策をしたい ...

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【デメリット③】転居の必要がある場合も

配偶者(夫や妻)が生きていたときに、育児や介護などの都合上、義実家の近くに住んで生活していた、というケースは少なくありません。この場合、死後離婚によって縁を切った後は、近くに住む理由もありません。

むしろ、縁を切った義実家の姻族と、頻繁に顔を合わせることが心理的なストレスとなることから、転居を余儀なくされることもあります。環境の変化に慣れないことが、逆に新たなストレスを生み、死後離婚への後悔に繋がることはデメリットです。

既に自宅の家・土地を購入していたり、配偶者の死別によって開始された相続において相続不動産として承継取得した場合などにも、不動産を手放して、姻族から遠く離れた地に転居をしなければならない可能性もあるのが、死後離婚のデメリットです。

相続手続きは、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか?

今回は、最近TVやニュースなどで話題の「死後離婚」について、死後離婚の基礎知識と、死後離婚をしたほうがよいか、しないほうがよいかを判断する材料となるメリット・デメリットの比較について、戸籍に詳しい司法書士が解説しました。

死後離婚は、一度したら基本的には戻すことができません。死後離婚のメリットとともに、デメリットをきちんと理解していただき、自分にとって納得のいくライフプランを計画してください。

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司法書士 吉越 清顕

司法書士 吉越 清顕

司法書士吉越清顕は、弁護士法人浅野総合法律事務所に所属する司法書士です。東京都中央区、銀座駅から徒歩3分の利便性の高い、相続登記・戸籍に強い司法書士です。 同場所に所在する税理士法人浅野総合会計事務所と連携をとることで、ご相談者にとって最適なトータルサポートによる相続問題の解決を目指します。

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