相続財産(遺産)を守る専門家(弁護士・税理士)が解説!

相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会

相続登記

表示登記と権利登記の違いは?司法書士と土地家屋調査士の違いは?

投稿日:

相続をして、相続財産(遺産)のうちの不動産を入手した方は、相続不動産の名義変更(相続登記)を早めに行うべきだとご理解いただいているのではないでしょうか。しかし、不動産の登記といっても、「表示登記」「権利登記」の2種類があり、それぞれ意味合いが異なります。

この表示登記権利登記の違いや、どちらの登記がどのような場合に必要になるかを正確に理解していただかなければ、相続の際に発生する相続登記をスムーズに進めることはできません。

特に、「不動産登記の専門家」といっても、表示登記については土地家屋調査士、権利登記については司法書士の業務範囲とされており、実際に登記が必要となった際に、どの専門家に依頼したらよいかも異なります。

そこで今回は、表示登記と権利登記の違い、司法書士と土地家屋調査士の違いについて、相続登記に詳しい司法書士が解説します。

「相続登記」の人気解説はこちら!

相続登記

2019/1/7

遺言による相続登記の必要書類・申請書の書き方・方法4つ

お亡くなりになった方(被相続人)が、生前に遺言書を作成していたときには、その遺言書にしたがって相続手続きを進めることができます。相続財産(遺産)に不動産(家・土地)が含まれるとき、「遺言による相続登記」が可能です。 遺言による相続登記ができるときは、遺産分割協議を行ったり遺産分割協議書を作成したりする手間なく相続登記ができますので、可能な限り生前に遺言書を作成しておくほうが、相続登記の面でも、有効な生前対策となります。 そこで今回は、相続登記を数多く取り扱う司法書士が、遺言による相続登記の必要書類、申請書 ...

ReadMore

相続登記

2018/12/16

相続登記しないとどうなる?不動産の名義変更をしない10のデメリット

相続には、相続手続きの種類によって、期限があったり、義務となっていたりするものがあります。例えば、相続税の申告・納付は相続開始から10カ月以内に行わなければならず、相続放棄の申述は相続開始を知ってから3か月以内に行わなければなりません。 相続財産の中に不動産(土地・建物)があるとき、相続登記をして不動産の名義変更をする必要がありますが、この相続登記には期限はありません。 今回は、(期限がないものの)相続登記をせずに不動産の名義を放置しておいた場合のデメリットについて、相続登記に詳しい司法書士が解説します。 ...

ReadMore

相続登記

2018/12/5

土地を相続した相続人が負う義務とは?土地は相続放棄できる?

先祖代々の土地をお持ちのご家庭では、土地を相続することによって相続人がどのような義務を負わなければならないのかが気になるところではないでしょうか。 今回は、土地を相続することで相続人が負う義務、行わなければならない行為などを、相続手続きに詳しい弁護士が解説します。結論からいうと、土地を相続することで、相続税・固定資産税などの納税義務のほか、土地の管理義務が生じます。 重い負担を負うおそれのある土地相続について、「そもそも、土地を相続すること自体が義務なの?」という疑問にお答えするため、土地の相続から逃れる ...

ReadMore

相続登記

2018/12/11

相続した不動産の権利証を紛失したときの対応を、司法書士が解説!

不動産の権利証は、非常に重要な書類で、大切に保管しておかなければなりません。しかし、相続した不動産に権利証がなかったり、相続時の多忙でなくしてしまったりすることが残念ながらあります。 不動産の権利証がなくなってしまったことをきっかけに、遺産分割や相続登記などの諸手続きが進められないと考え、そのまま故人の名義のまま放置されてしまっている不動産も少なくありません。 不動産の権利証は、再発行することができません。しかし、不動産の権利証がなくても、その後の相続手続きは滞りなく進めて頂く必要があります。 そこで今回 ...

ReadMore

相続登記

2018/12/6

農地の相続で必要な手続と、農業委員会への届出を司法書士が解説!

今回は、農地を相続したときに、相続人が行わなければならない手続について、相続手続きに詳しい司法書士が解説します。 農地とは、わかりやすくいえば「田畑」のことで、「農地法」という法律によって、一般的な住宅地とは異なる制限があるため、農地を相続するときは注意が必要です。 特に、農家でない人でも「実家が農家だ」という場合、農業を行わないのに農地を相続してしまうことがあります。農地法などの農地特有の制度を理解しなければ、農地を活用したり人に売ったり、他の用途に転用したりする際の支障となります。 ご家族が農業を営ん ...

ReadMore

[toc]

表示登記と権利登記の違いは?

不動産登記のうち、表示登記権利登記の違いについて、司法書士がわかりやすく解説します。

表示登記とは?

表示登記とは、その登記されている不動産が、どのような不動産であるかについて表した基本的な情報を記載した登記部分のことをいいます。登記簿謄本のうち、「表題部」に記載されているのが、表示登記です。

表示登記を見れば、その土地が、どこに所在し、どのような用途で利用されており、その面積がどの程度の広さかがわかります。表示登記には次の情報が記載されています。

ポイント

土地:調製の日付、不動産番号、所在、地番、地目、地積、原因及びその日付
建物:調製の日付、不動産番号、所在、家屋番号、種類、構造、床面積、原因及びその日付

表示登記は、建物の新築、増改築や滅失、土地の分筆、合筆など、不動産(土地、建物)の形状が変更されたり、新しく生まれたりして、その不動産の特定が必要となる際に、土地家屋調査士によって行われます。

権利登記とは?

権利登記とは、不動産の権利に関する基本的な情報が記載された不動産登記の部分のことをいいます。登記簿謄本のうち、「権利部」に記載されているのが権利登記です。

権利登記を見れば、不動産に対して誰がどのような権利を有しているかがわかります。権利登記には「甲区」と「乙区」があり、それぞれ、次の情報が記載されています。

ポイント

甲区:所有権に関する権利の情報(所有権、所有権仮登記、差押え、仮差押えなど)
乙区:所有権以外の権利の情報(抵当権、地上権、地役権、賃借権など)

ただし、抵当権などの担保権や、賃借権などの利用権がまったく設定されたことのない不動産には、乙区は存在しません。

権利登記に記載される不動産に対して有する権利は、所有権については、従前の所有者の情報が残り続けますが、所有権仮登記や差押え、抵当権などの権利は、権利変動があるたびごとに、古いものは下線が入り、新しいものが付記され記載されます。

司法書士と土地家屋調査士の違いは?

次に、不動産登記のうち権利登記と表示登記の違いに関連して、司法書士と土地家屋調査士の違いについても解説します。

「登記の専門家」といっても、2つの専門士業があり、それぞれ、役割が異なります。具体的には、表示登記土地家屋調査士、権利登記は司法書士、と考えて頂ければ結構です。

相続登記において、相続した不動産の所有権の名義を変更するようなケースでは、司法書士に依頼することとなりますが、一方で、生前対策などのために不動産を分筆して生前贈与するようなケースでは、土地家屋調査士のサポートが必要となります。

司法書士とは?

司法書士は、登記の専門家の士業です。不動産の登記だけでなく、商業登記(法人登記)もその業務範囲です。

しかし、不動産の登記のうち、当事者を代理して登記に関わることができるのは、司法書士の場合、「権利登記(権利部/甲区・乙区)」のみです。表題登記のうち、表題部所有者の住所変更登記や表題部所有者の持分の更正登記等は例外的に代理で申請することができますが、原則代理で申請することはできません。

司法書士の試験は非常に難しく、合格率約3%の難関試験です。不動産を売買によって取得したり、相続によって承継したりしたとき、権利の移転を登記に記載するのが、司法書士の役割です。

土地家屋調査士とは?

土地家屋調査士は、新しい不動産が生まれたときに、その測量を行い、座標などを測り、境界プレートを設置し、登記に反映する士業です。さきほど解説した登記の部分でいう「表示登記(表題部)」の登記を担当します。

司法書士と土地家屋調査士の両方の資格を持っていれば、不動産に関するすべての登記(表示登記と権利登記)を担当することができます。土地家屋調査士の試験合格率は、8%程度です。

新築の住宅を購入したり、1つの土地を2つに分筆したりしたとき、新しい不動産の測量を行い、表示登記(表題部)を作成するのが、土地家屋調査士の役割です。

不動産登記は自分でできる?

不動産登記は、土地家屋調査士が行う表示登記も、司法書士が行う権利登記も、いずれも不動産を取得する本人が自分で行うことも可能です。これを「本人申請」といいます。

司法書士や土地家屋調査士は、あくまでも本人が申請する手続きの代理をするだけです。

とはいえ、表示登記権利登記も、登記手続きを行うためには法律や先例に関する詳しい知識が必要となります。また、多くの表題登記の申請では不動産の測量の結果を図面にして法務局に提出することになります。単に登記に記載されている名前を書き換える程度のものと軽く考えてはなりません。

特に、相続問題が絡む相続登記では、権利関係が複雑になりやすいため、収集する必要書類も多くなり、登記手続きも煩雑になりやすいため、素人による本人申請ではミスが起きやすく、手間も余計にかかってしまいます。

不動産を所有する方がお亡くなりになった場合には、相続登記(不動産の名義変更)が必要となります。戸籍収集の手間を削減し、相続手続きに関する期限(相続税の申告期限、相続放棄の期限、遺留分減殺請求権の時効など)を遵守するために、ぜひ登記手続きを専門家にお任せください。

相続登記は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか?

今回は、不動産登記簿謄本に記載された登記のうち、表示登記(表題部)と権利登記(権利部)の違いと、これを担当する2つの専門家士業(司法書士と土地家屋調査士)の違いについて、解説しました。

相続登記、所有権移転登記、抵当権設定登記などの司法書士が担当する登記はもちろん、測量の必要な土地家屋調査士の担当する登記も、自分1人で行うこともできますが、専門家にお任せいただいた方が、手間がかからずスムーズに進みます。

「相続財産を守る会」では、不動産登記を専門的に手掛ける司法書士、土地家屋調査士のいずれもの専門家が在籍し、ご相談者の相談内容に応じて、適切な登記の専門家をご紹介することができます。

ご相談の予約はこちら

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

司法書士 吉越 清顕

司法書士吉越清顕は、弁護士法人浅野総合法律事務所に所属する司法書士です。東京都中央区、銀座駅から徒歩3分の利便性の高い、相続登記・戸籍に強い司法書士です。 同場所に所在する税理士法人浅野総合会計事務所と連携をとることで、ご相談者にとって最適なトータルサポートによる相続問題の解決を目指します。

-相続登記
-,

Copyright© 相続の専門家(弁護士・税理士)が教える相続の相談窓口│相続財産を守る会 , 2023 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.