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相続した連帯保証人の保証債務に消滅時効はある?

借金するときに連帯保証人を付けることはよくあります。連帯保証人は、借入をした本人(主債務者)が返済できなかったときに肩代わりする人です。

相続の場面において、連帯保証人の地位が問題となることがあります。亡くなった方(被相続人)が連帯保証人のとき、相続人もまた、相続によって連帯保証人の責任を承継するからです。このように連帯保証人の債務(保証債務)が相続されるとして、借金の時効と保証債務の時効は、どのように扱われるのは、複雑な法律問題が生じます。

また、連帯保証人と主債務者のいずれかに対してされた時効中断の効力が、他方に影響を及ぼす場合があります。

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連帯保証債務が相続される場合の法律問題

相続は、プラスの財産を承継するのみならず、マイナスの財産(相続負債)も引き継ぎます。マイナスの財産には、被相続人の借金やローンなどのほか、被相続人が連帯保証人として負うことになった保証債務も含まれます。

もしも、被相続人の負う保証債務が多額で、かつ、主債務者が返済できない可能性の高いケースでは、相続放棄をすることで、遺産をそもそも承継しないほうが得な場合もあります。相続放棄は、相続開始を知ったときから3ヶ月以内(熟慮期間)、家庭裁判所に申述しなければならず、保証債務が存在する可能性のあるときは、速やかな調査が必要です。

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連帯保証人の保証債務の時効について

消滅時効は、法律の定めた一定の期間、行使しなかった権利を消滅させる法制度です。消滅時効が完成すると、権利行使はできなくなります。

連帯保証人の負う保証債務もまた、法的な請求権の1つであり、時効が存在します。

保証債務の時効期間と起算点

連帯保証債務の消滅時効は、陰包に定められた債権の時効のルールに従います。債権の時効のルールは、2020年4月施行の改正民法によって変更されており、現在は、債権の種類を問わず①権利を行使できることを知った時から5年、または②権利を行使できる時から10年です。

時効の起算点は、①については権利行使をできることを知った時、②については権利行使できる時とされており、保証債務の例にあてはめると、次のように説明できます。

  • 主債務に返済期日の定めがあるとき
    最終返済日の翌日から権利行使が可能となる
  • 主債務に返済期日の定めがないとき
    契約成立と同時点から権利行使が可能となる

相続との関係では、連帯保証人の地位が相続されるより前に、被相続人のもとで経過した期間についても通算することができます。例えば、親が連帯保証人として3年、相続した子供が7年の間請求を受けなければ、消滅時効が完成します。

保証債務の時効の援用

保証債務の時効期間が経過したとして、それだけで直ちに請求権が消滅するわけではなく、援用が必要となります。援用というのは、時効の利益を享受するという意思表示です。相続によって連帯保証人の地位を承継した場合にも、時効を理由に債務を免れるためには、債権者に対して時効の援用の意思表示をする必要があります。

主債務と保証債務の時効期間は別々に進行する

主債務と、保証債務とは、それぞれ別の債務です。そのため、時効期間の進行についても別に考えることができます。つまり、主債務の消滅時効が完成せずとも、連帯保証人の保証債務の時効が先に完成し、連帯保証人としての責任を負わなくなるケースもあります。

主債務がなくなれば、連帯保証人の責任もなくなる

連帯保証人は、保証債務の時効だけでなく、主たる債務の時効を援用することもできます。つまり、主たる債務の時効が既に完成しているならば、連帯保証人もまた責任を負わなくなるのです。このように主たる債務に追従する保証債務の関係を「保証債務の附従性」と呼びます。保証債務はあくまで、主債務のおまけだということです。

このことは、連帯保証人側では返済をし続けていたなど、時効中断の理由があっても当てはまります。主債務の時効が完成したなら、その援用は「時効援用によって直接利益を受ける人」がすることができ、自分の保証債務を返さなくて良くなる保証人は、この援用権者に当然に該当します。

ただし、親の連帯保証人の地位を、相続によって承継した場合で、主債務者が不明な場合だと、主債務の時効の援用が難しくなってしまいます。この点で、被相続人の死亡が近い場合には、生前に、連帯保証人となっている債務の主債務者を聞いておく必要があります。

主債務者の時効中断は、連帯保証人にも及ぶ

債権の消滅時効は、5年又は10年の経過によって完成しあすが、その間に時効中断事由だ生じると、時効期間はリセットされてしまいます。そして、主債務者に時効中断事由が生じたときには、保証債務においてもまた、その時効の進行がストップしてしまいます。

時効中断理由は、次の通りです。

  • 請求
  • 差押え、仮差押え又は仮処分
  • 承認

このうち「請求」は、裁判上の請求だけでなく、支払督促、和解の申立、民事調停などの申立、破産手続き参加などが含まれます。また、裁判の方法によらない口頭や書面での督促は「催告」に当たり、6ヶ月以内に「請求」を行った場合にのみ時効が中断されます。

ちなみに、親の連帯保証人としての責任を、相続によって受け継いでしまった場合に、主債務者が不明だと、主債務の時効が中断された結果、どれだけ放置しても保証債務の時効が完成しないという危険があります。

まとめ

今回は、連帯保証人の責任を相続してしまった方に向けた法律知識を解説しました。

相続と連帯保証人の問題の絡む複雑なケースでは、生前の対策が十分でないと、争いが起こりやすくなってしまいます。特に、主債務者ならばともかく、連帯保証人ともなると、亡くなった方(被相続人)ですら、主債務の金額や内容、返済期限を正確に知らないおそれがあり、相続開始前によく調べておかなければなりません。

相続によって、親の連帯保証人の責任を承継してしまった可能性のある方にとっては、相続放棄には3ヶ月の猶予しなかいことを理解し、速やかな債務調査が必須となります。

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