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相続で必要な兄弟姉妹の戸籍謄本を取り寄せる7つの方法

相続手続きにおいては、多くの戸籍謄本が必要となります。最も重要なのは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本。しかし、兄弟姉妹が相続人になるときには、兄弟姉妹の戸籍謄本もまた、とても重要な役割を有します。

兄弟姉妹は、血のつながった親族とはいえ、家族の状況によっては関係性がそれほど濃くはないこともあります。そのため、戸籍謄本の収集の際にも、赤の他人の戸籍を取得する場合と同じく「第三者請求」という方法によることとなっています。

兄弟姉妹の戸籍謄本は、決して無条件で取れるわけではないので、請求方法を理解しなければ円滑に進みません。今回は、兄弟姉妹の戸籍謄本を取得する方法について解説します。

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相続手続きで兄弟姉妹の戸籍が必要となる場面

相続手続きにおいて、兄弟姉妹の戸籍を収集しなければならないケースは多くあります。例えば次の通りです。

  • 「相続人が誰か」を確定するため
  • 相続登記(相続不動産の名義変更)のため
  • 相続した預貯金口座の解約のため

このとき、兄弟姉妹と円満ならば問題ないですが、対立していたり、疎遠になっていて連絡先がわからなかったり、行方不明になっていたりすると、どのように戸籍を集めるかが課題となります。

戸籍を無条件でとれる範囲に兄弟姉妹は含まれない

まず、兄弟姉妹の戸籍謄本を取り寄せる方法を知るにあたり、そもそも無条件で戸籍をとれる範囲があることを解説します。この範囲に含まれれば、特殊な方法を知る必要はないのですが、残念ながら、兄弟姉妹はこのなかには含まれません。

自分の戸籍を、自身で入手できるのが当然であるように、以下の続柄の戸籍は、特に理由の説明をしたり、委任状をもらったりしなくても、無条件で取得することができます。

  • 自分自身の戸籍謄本
  • 配偶者(夫または妻)の戸籍謄本
  • 直系尊属(両親、祖父母など)の戸籍謄本
  • 直系卑属(子、孫など)の戸籍謄本

このことは、戸籍法に次の通り定められています。

戸籍法10条

1. 戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされたものであつて、当該記載が第二十四条第二項の規定によつて訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。

2. 市町村長は、前項の請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる。

3. 第一項の請求をしようとする者は、郵便その他の法務省令で定める方法により、戸籍謄本等の送付を求めることができる。

戸籍法(e-Gov法令検索)

逆に、これ以外の続柄の戸籍は、たとえ血縁関係があっても無条件には入手できません。次章の通り、相続手続きにおける権利行使のために必要であるなど、正当な理由のある場合に限り、取得することができるに過ぎません。

したがって、兄弟姉妹の戸籍謄本もまた、正当な理由がなければ取得できません。

なお、令和6年3月1日より運転免許証やマイナンバーカードなどの写真付身分証によって、最寄りの市区町村の窓口から全国の戸籍が取得できる「広域交付制度」が始まりますが、本人の直系(祖父母、父母、子供、孫)のみしか取得できず、兄弟姉妹の戸籍などは窓口の手続きが必要です。

兄弟姉妹の戸籍謄本を取得する方法7つ

以上のとおり、戸籍謄本の取得は、無条件で行えるのは一定の範囲の続柄のみで、それ以外は正当な理由が必要となります。そのため、兄弟姉妹の戸籍謄本を手に入れるのは、さほど容易ではありません。

一方で、円満な相続のケースなどで、正当な理由を備えているか、全てチェックするのは困難な場合もあり、その他にもいくつかの方法があります。

自身の現在の戸籍に兄弟姉妹が記載されている場合

出生した子は、まず親の戸籍に入ります。その後、結婚して抜けない限り、新戸籍を作成せず、そのまま1つの戸籍に親子二代の情報が残っている例も少なくありません。

兄弟姉妹が婚姻しておらず、あなた自身もまだ同じ戸籍にいる場合には、自身の現在戸籍に、両親、兄弟姉妹などの記載があるケースとなります。この場合、自分の戸籍を取得することによって兄弟姉妹の戸籍を入手できるため、無条件に取得することができます。

自身の過去の戸籍に兄弟姉妹が記載されている場合

また、あなたが既に結婚するなどして両親の戸籍を抜け、新しい戸籍を作っていたとしても、自身の過去の戸籍は無条件に入手できます。したがって、兄弟姉妹がまだ、あなたが過去に載っていた戸籍に残っているならば、兄弟姉妹の戸籍謄本を無条件で入手することができます。

ただし、あなたが戸籍を抜けた後、両親が転籍していたり、除籍になっていたり、戸籍の電子化で再編成されてしまっていたりする場合、この方法をとれない場合があります。

両親の現在の戸籍に兄弟姉妹が記載されている場合

両親の戸籍の取得は、委任状や正当な理由がなくとも無条件で可能です。そのため、あなた自身が既に両親の戸籍を抜けていても、兄弟姉妹がまだその戸籍に残っているならば、両親の戸籍を取得する方法によって、あわせて兄弟姉妹の戸籍を入手できます。

ただし、両親の転籍などによって、両親の戸籍だけではあなたと両親の親子関係が証明できない場合、親子関係を証明する戸籍をあわせて提出する必要があります。

なお、この方法は、兄弟姉妹もまた結婚などで両親の戸籍を抜けている場合には、利用することができません。

直系尊属(両親・祖父母等)に依頼する方法

次に、無条件に取り寄せられるわけではないものの、親族に依頼することができれば、兄弟姉妹の戸籍が入手できるケースもあります。

直系尊属(両親、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)の戸籍は、了承無く取得できると解説しましたが、あなたにとって兄弟姉妹はこのいずれにも当たらないものの、あなたの両親、祖父母などにとってあなたの兄弟姉妹は「直系卑属」にあたります。

そのため、両親・祖父母などに依頼をすれば、兄弟姉妹の戸籍を取り寄せてもらえます。

甥・姪に依頼する方法

同様に、兄弟姉妹の子である甥、姪にとっては、兄弟姉妹は「直系尊属」に該当します。そのため、甥、姪であれば、あなたからみた兄弟姉妹の戸籍を、本人の了承なく無条件で取得できます。

兄弟姉妹自身から委任状を取得する方法

本人の委任状があれば、親族・血縁関係がなくても、戸籍謄本を取得できます。そのため、兄弟姉妹自身から委任状をもらうことができれば、その戸籍を取寄せられるのは当然です。

戸籍謄本を取得するための委任状には、次の事項を記載します。あわせて、請求の際には、受任者の公的な身分証明書(免許証・パスポートなど)を持参する必要があります。

  • 作成日
  • 委任者・受任者の住所・氏名
  • 委任者の押印
  • 委任事項(「戸籍謄本の請求に関する一切の事項」などとする)

ただし、相続手続きを進めなければならないことはやまやまだけれども、遺産分割の方法・割合などに争いがあり「争続」となってしまっているケースでは、兄弟姉妹自身の委任状をもらえない場合もあります。

正当な利用目的を証明して取得する方法

親族が協力してくれず、兄弟姉妹自身の協力をとりつけることもできなかった場合の最終手段として、正当な利用目的を証明して取得する方法があります。

相続手続きでは、兄弟姉妹の戸籍が必要となる場面は多いため、正当な理由とは「相続だから必要」という程度では足りず、具体的な説明が求められます。このとき、請求先となる市区町村役場に対し、次の資料を提出します。

  • 被相続人が死亡したことを示す資料
  • 自身が法定相続人であることを示す資料
    上記2点は、戸籍謄本(除籍・改製原戸籍を含む)で証明します。自身や親の戸籍のため、正当な理由がなくとも無条件で取得できます。
  • 兄弟姉妹の戸籍を取得する必要性を記載した書面

最重要なのが、「兄弟姉妹の戸籍を取得する必要性を記載した書面」ですが、説得的に説明するために、次の事項を具体的に書くのがお勧めです。相続関係図を添付するとわかりやすく説明できます。

  • 被相続人の氏名
  • 被相続人の死亡日
  • 入手した兄弟姉妹の戸籍の提出先

戸籍の記載などから、通常であれば相続人であるなどの利害関係は明らかですが、より丁寧に記載する請求書の記載例(書式)を紹介しますので、参考にしてください。

私、相続太郎は、兄弟姉妹である相続花子の戸籍謄本を請求します。その理由は、次のとおりです。

私の父である相続一郎が、平成○年○月○日に死亡しました。現在、相続財産の調査が終了し、遺産分割協議を行う予定ですので、相続人の範囲を確定するために、相続花子の戸籍謄本の入手が必要です。

相続財産には、不動産(東京都中央区銀座XX-X-X所在の土地・建物)があり、遺産分割協議が終了した後の相続登記の際に、中央法務局へ提出するための必要書類として、相続花子の戸籍謄本が必要です。

相続財産には、被相続人名義の預貯金(XX銀行 銀座支店 普通 XXXXXXX)が存在しており、その解約、払い戻しの際に、XX銀行へ提出するための必要書類として、相続花子の戸籍謄本が必要です。

兄弟姉妹の戸籍謄本を入手できなかったら?

最後に、以上の方法を利用しても、兄弟姉妹の戸籍謄本を入手できなかった場合の対処法について解説します。

最後に説明した、相続手続における必要性など、正当な理由を説明して行う取得方法によっても、兄弟姉妹の戸籍謄本を入手することができない場合、その必要性に関する説明が、役所にしっかりと伝わっていないことが原因の可能性があります。

法律知識をもとにしっかりと説得するためには、専門家に相談するのが最適です。

まとめ

今回は、相続手続きに必要となる添付書類のうち、入手に手間取ることの多い「兄弟姉妹の戸籍謄本」について、請求方法を解説しました。

兄弟姉妹の戸籍謄本が必要となる場面は、相続において多く存在するので、円滑に進めるためにしっかり理解しておいてください。兄弟姉妹との間で遺産分割の争いが起こるケースほど、専門家の助けが必要です。

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