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信託の元祖、河合保弘が語る新しい財産承継「未来信託」の超絶技巧

相続の世界に革命をもたらした河合保弘氏が、今度は私たちに全く新しい財産承継の概念「未来信託」を紹介します。伝統的な信託の枠を超え、次世代の資産管理に革命を起こすこの方法は、ただの技術ではなく、まさに芸術の域に達しているといってもよいでしょう。

河合氏は、信託の分野における先駆者であり、その卓越した知見を活かして私たちに新たな財産承継の地平を開く「未来信託」の概念を提案します。これまでの信託とは一線を画した新たな手法が、私たちの財産を守り、次世代につなげるのにどう役立つか、既存の枠組みにとらわれない斬新かつ先進的な戦略を知ってください。

今回は、信託の考え方が、相続や財産管理に与える影響について、信託の元祖である河合保弘氏にお話を伺いました。

ゲスト

司法書士・作家

河合保弘

平成5年司法書士登録。信託の第一人者として活躍、未来信託の組成支援、関連する講演と出版に特に注力し、出版25冊以上、講演年間100回以上。2018年に後継者に後を託して「隠居」したが2023年10月現役復帰。

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昭和100年、未来を切り開く信託の新時代!

――河合先生は、信託の元祖かと思いますが、「信託」という言葉に疎い方に向けて、まずは最近の信託事情を教えていただけますでしょうか。

河合:2024年は昭和99年、この歴史的な時代に、新たな信託手法が産声をあげました。1968年(明治100年)は日本人にとって大きな転機でした。これと同じように、2025年は、昭和の呪縛を解く歴史的な年になります。このような時代の転機は、日本人の心理が大きく動く可能性が高く、時代の転換点となります。

現行民法は昭和22年に制定されたまま放置されています。今の法定相続制度は、まさに昭和の呪縛といえるのではないでしょうか。財産承継についても新たな時代がやってきたと考えており、その時代を切り拓くのが、信託の手法だと考えています。

――民法が時代に適合していない部分があるということですね。どのあたりに問題があるとお考えですか?

河合:まず、成年後見制度の硬直化です。成年後見は、普及率が3%という統計も出ている通り、全く使われていないといっても過言ではありません。国民が利用を拒否しているといってもよいでしょう。そして権利が分散するばかりで、揉め事の原因ともなっている法定相続制度は、まさにガラパゴス状態といえ、サザエさん一家のような家庭を前提とした民法制定の当時とは、国民の意識も社会環境も大きく変わっているのに、ツギハギの改正を続けている状態です。

――新たな時代は、先生の目から見てどのような変化を見て取れますか?

河合:現行民法が制定された時代の発想にはなかった代表的な事象は、中小企業の株式の承継でしょう。株式も相続の対象となること自体が、承継問題を複雑にしていますが、それを前提としていない民法には問題があります。さらに、最近の話でいえば、海外資産や仮想通貨、デジタル資産など、グローバル化やIT技術の発展にともなって、新たな考え方が次々と出てきています。

昭和の常識と、令和の常識は大きく異なり、既存の民法という法律は明らかに時代遅れになってしまっています。

契約の力で時代遅れの法律を乗り越える信託の新境地

――法律が時代遅れなのは、法律家もよく意識しないといけないですね。河合先生はその弊害を信託で乗り越えるべきだとお考えなのですね。

河合:未だに大多数の法律関係者が、昭和からある相続のルールの信奉者です。しかし、新たに出現した社会的課題に、民法だけでは到底対処できません。「昭和100年」を「信託元年」とするため、私が普及活動をしているのです。

――信託の普及はまだ不十分ですか?

河合:少なくとも、私がやっているような個人間信託は、まだ普及が十分でないのが現状ですね。まず、日本国民はリスク意識が極めて低く、正しくリスクを捉えていない人が多いです。「家族信託は認知症対策だ」といった理解もありますが、それだけにとどまるものではなく、あえて範囲を限定してしまっている気がします。

――普及のためには、専門家の力が必要なのではないでしょうか。

河合:専門家として、私も日夜励んでいます。しかし、相続に関わる専門家のなかにも、信託と相続とを混同し、相続のルールで信託を判断してしまったり、信託についてのデマや噂を信じてしまったりしている人もいます。地方裁判所の判決(平成30年9月12日判決)が一つ出ましたが、高裁で和解して効力は失われているのに、内容を正確に理解せずに間違った議論をしている人もいます。

専門家がこのような状況では、まして利用者が安心して利用できるわけもありません。説明する人がもっと知識を持たなければいけません。

信託で解放される可能性、資産管理の新たな章

――では、信託で対応できることは、どんな点にあるのでしょうか。これまでできなかったことができるようになるのでしょうか。

河合:信託には、既存の方法では対応困難なリスクを打破する力があります。認知症や重病者の意思を尊重することはもちろんですが、それだけではありません。遺産を渡したくない法定相続人が存在する、一度は配偶者側に渡った財産を血縁側に戻したい、財産の名義を変えないまま実質的な権利を移転したいといった、これまでの相続では限界のあることも、信託ならアプローチできます。

私は、この点から、信託は「脱・相続」「超・後見」だと考えており、まさに今の時代が必要としている有用なツールだと確信しています。

――生前対策の場面から信託は力を発揮するものと思いますが、他の手法に比べてどんな優位性があるのでしょうか。

河合:相続とは人の死によって発生する自然現象のようなもので、相続人を国が勝手に決めているという制度ですが、それに対して信託は、委託者の意思が最優先されるしくみです。これは「契約自由の原則」があるからです。民法の制約にはとらわれずに、信託契約(自己信託という、契約ではない信託もありますが)でもって約束ごとを決めることができます。

わかりやすくいえば、信託によって財産は形を変え、民法以外の世界、つまり、別の法律の世界に移されるのだ、と考えるのがよいでしょう。このとき、信託法の世界では、財産は全て信託行為の通りになります。

現行信託法における信託受益権が相続によっては承継されない、ということについては、平成19年の法改正で追加された信託法91条などを根拠にして、法的にも説明ができます。

――新たな手法には、リスクも付きものだとは思いますが、その点はどうお考えですか?

河合:「判例が出るまでは怖い」という話を聞くこともあります。しかし、医療の世界では、難病に対する特効薬が発明されたら「どんな手段を使ってでも命を伸ばしたい」という人は多いのではないでしょうか。このとき、患者の同意があるなら、使ってあげるのが専門家の使命ではないですか。なぜ法律の世界だけがそうではないのか、不思議でなりません。責任を負うことを怖がっていてはだめです。

憲法では故人の財産権を絶対的に保障しているのに、民法の相続制度だとそうならない、それなら民法以外の方法の活用を考えるべき、既に生命保険の死亡保険金や共済、死亡退職金などは「相続ではない」という判例を持っている、そして生命保険と同じ法的構造を持つ信託に辿りついたのです。

未来信託が描く新たなビジョン

――最終章では、河合先生の提唱する未来信託について教えてください。

河合:「家族信託」の普及は徐々に進んでいるのですが、認知症対策にのみスポットがあたっています。しかし本来、信託は高齢者と障がい者のみのためにあるわけではないので、もっと一般化すべきです。

例えば、これから結婚するカップルや、事情があって入籍できない人たち、離婚再婚を繰り返して相続関係が複雑な人、おひとりさま、そして中小企業の経営者など、民法や相続に不安を持つ全ての人にとって、信託が活用できる。実際に信託発祥の国々であるイギリスやアメリカでは信託が普通に使われている、そのことを表すため、未来信託と呼ぶようにしました。信託の持つ無限の可能性を表現しています。

――未来信託の活用については、どのようにお考えですか?

河合:生前対策における信託は、あらゆる場面で活用できます。高齢者や障がい者はもちろんですが、少しでも財産を持っている人や、社会問題を解決したい人、相続で悩む人なら、まずは信託を頼ってください。もちろん、遺言や生前贈与、任意後見など、それ以外の方法も必要に応じて併用して使います。専門家としては弁護士、税理士、司法書士など様々な人が絡みますが、ぜひ皆さんに信託の知識を得て欲しいです。

――河合先生の最近の活動と、最後に一言メッセージをお願いします。

河合:未来信託を世に広めるため、セミナーや講演活動に励んでいます。要望があれば全国各所にも参りますし、リモートでのセミナーも定期的に開催しています。また、「日本人最後のファンタジスタ」笹川良一さんのご子孫である笹川能孝さんとも懇意にしており、一緒に「鵺の会」というものを立ち上げ、活動しています。

私は司法書士として、法律や経営に長く携わってきましたが、笹川さんは政治、社会といった立ち位置から、それぞれ違った視点で語れるため、今後は協力しながら、自由闊達で、かつ、しなやかに成長できる日本人を育てる一助になることができたらと考えています。

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