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身元保証人の地位・責任は相続される?

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身元保証人という言葉を聞いたことがありますでしょうか。身元保証人とは、「労使関係」において、労働者が、使用者に対して損害を与えたときの賠償債務などを保証する人のことをいいます。

相続のときには、プラスの相続財産だけでなく、マイナスの相続債務も相続によって承継される結果、連帯保証人の地位・責任(保証債務)なども、一括して引き継がれることとなっていますが、身元保証人の地位・責任は引き継がれるのでしょうか。

身元保証人は、「保証人」とはついているものの、「労使関係」という特殊な関係の中でのみ用いられる用語であるため、相続における取り扱いも特殊であり、「保証人の責任(保証債務)」とは別個に考えなければなりません。

今回は、身元保証人が死亡した場合に、その相続人が、身元保証人としての責任を相続によって負担することがあるのかどうかについて、相続に強い弁護士が解説します。

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身元保証人の相続とは?

身元保証人とは、労使間において、労働者が、使用者に対して与えた損害の賠償債務など、労使間において労働者側が負う債務を保証する人のことです。通常は、両親などが身元保証人となることが多いです。

身元保証人が保障する、雇用契約上の損害賠償債務の中には、「不法行為」「債務不履行(契約違反)」のいずれによる責任も含まれます。

そのため、身元保証人の責任はかなり重いものとなることがありますが、会社側(使用者側)が、その地位を利用して労働者側(被用者側)に酷な保証を強制しないよう「身元保証ニ関スル法律」という法律によって、そのルールが厳しく定められています。

具体的には、身元保証ニ関スル法律により、身元保証人の責任は、その契約期間を、原則3年、最長5年とするものと定められています。

相続は、お亡くなりになった方(被相続人)の財産と債務とを包括的に、その地位ごと受け継ぎます。そのため、お亡くなりになった方(被相続人)が借金の保証人や連帯保証人となっていた場合、その地位・責任は、相続人に引き継がれます。

この点について、身元保証人に関して労働者側を保護するルールための制限を定めている身元保証ニ関スル法律にも、身元保証人の責任自体が相続されるのかどうかについての定めはありません。

身元保証人の地位は、相続されない

身元保証人の地位が、相続されるのかどうかは、相続人にとってはとても大きな問題です。というのも、身元保証人は、本人が会社に与えた損害を全て保証することになるため、相続されるとしたらとても大きな責任となるおそれがあるからです。

相続する財産よりも、相続する債務のほうが大きい場合には、「相続放棄」したほうがよいケースもありますが、相続放棄は「相続開始を知ったときから3か月」以内に家庭裁判所へ申述を行わなければなりません。

身元保証人も、連帯保証人と同様、「保証契約」の一種ではありますが、結論から申しますと、身元保証人としての地位は相続されません。さきほど解説したとおり、身元保証人の責任はとても重く、相続人が引き継ぐには酷だからです。

このことは、古い裁判例によって、次の通り明示されています。このように相続されない権利を「一身専属権」とも呼びます。

大審院昭和2年7月4日判決

身元保証契約は、特別の事情がない限り、当事者その人と終始し、相続人はこれを承継しない。

身元保証人は、当事者同士の信頼関係によって成り立つ関係であるため、当事者でない相続人にとっては、身元保証人としての責任は果たせないからです。この点が、「借金を返済する」ことによって誰でも責任を果たせる「連帯保証人」と異なります。

この裁判例にいう、例外的に身元保証人の地位が相続される「特別の事情」とは、相続人自身が、身元保証人の地位を相続することを認めていた場合などです。相続人自身が同意するのであれば、相続させても負担が過剰とはいえないからです。

注意ポイント

なお、マンションやアパートの連帯保証人は、一般的な用語で「身元保証人」と呼ばれることがありますが、今回解説する「身元保証ニ関スル法律」のいう「身元保証人」にはあたらず、原則どおり、相続の対象となります。

参 考
「連帯保証人」の相続と遺産分割については、こちらをご覧ください。

相続人は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も相続する結果、親が有する、「連帯保証人」という地位も相続することになります。マイナスの財産を相続したくない場合には、家庭裁判所に相続放棄を申述するしかあ ...

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既に発生した身元保証債務は、相続される

身元保証人の地位自体が、包括的に相続の対象となることはないのとは別に、身元保証人が生前のうちに既に発生していた保証債務は、相続の対象となります。

つまり、身元保証人となったご家族がいて、その人が生きている間に、保証をしなければならないような事態が起こってしまったときには、既に発生した保証債務は、単に「お金を払う」という、通常の債務と同様だからです。

具体的に、金銭支払い債務として具体化している場合には、通常の保証債務や借金・ローンなどと同様、相続債務として、相続の対象となります。

この場合、相続開始と同時に、法定相続分に応じて、遺産分割がされることになります。そのため、遺産分割協議の対象とはなりません。

したがって、この場合には、具体的に発生している身元保証債務の金額と相続する財産の金額によっては、相続放棄を選択すべき場合もあります。

参 考
相続する債務(借金・ローンなど)の調査は、こちらをご覧ください。

相続財産(遺産)の調査で忘れてはならないのが「借金の調査」です。プラスの財産もマイナスの財産もいずれも相続するため、借金調査の結果、借金の方が多い可能性がある場合、相続放棄・限定承認を選択する必要があ ...

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いかがでしたでしょうか?

今回は、「保証契約」の中でも特殊な、雇用関係でみられる「身元保証人」の地位が相続されるのかについて、相続に強い弁護士が解説しました。

今回の解説をまとめると、身元保証人の責任はとても重いため、個人間の信頼をもとにしており、身元保証人の死亡によって消滅し、相続はされません。ただし、既に発生して具体化した保証債務は、通常の金銭債務として相続の対象となります。

「相続財産を守る会」では、相続問題だけでなく、身元保証人の地位が相続の対象となるかどうかなど、お亡くなりになったご家族の労使関係など、生活のあらゆる面にかかわるサポートを、弁護士が丁寧に対応します。

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