相続問題を考えるときには、「誰が相続人となるか」を調査しなければなりません。戸籍謄本(戸籍、除籍、改製原戸籍など)、住民票などを読み解き、お亡くなりになった方の相続人を調べ、確定する作業が必要です。
相続人調査の結果は、「相続関係図」にまとめ、各種の相続手続きに使用しますが、相続人の確定にいたるまでに、必要書類の収集に手間がかかるなど、とても時間がかかることがあります。
生前に、家系図を作成して、終活とともに、相続の生前対策もあわせて行うことを勧めているのが、今回紹介する、家樹株式会社です。代表の田代隆浩氏に、お話をうかがいました。
家樹株式会社
代表取締役 田代 隆浩
私たちは、家系図を通して、ご依頼者のルーツを探り、先祖への感謝、家族の歴史に触れる「体験」を提供します。
[toc]
相続と家系図の関係は?
ーー 最近、「相続問題」に社会的な興味関心が非常に集まっているように感じます。当会にも、多くの相続トラブルの相談が寄せられていますが、相続対策の実情について、どのようにご覧になっていますか?
田代(以下、敬称略):
今、高齢化が進み、多死社会がやってくるといわれています。相続税も改正されてメディアにも相続の特集が頻繁に組まれるようになり、相続の生前対策が注目を集めるようになりました。
遺言、生前贈与、家族信託など、たくさんの選択肢があり、専門家の手を借りないと、自分一人ではどうしたらよいのかわからない場合も多いものです。
さらに、その相続対策を自らやる気がある場合であれば問題ありませんが、実際は子供が親に対して相続対策をすることを促すことも多いことでしょう。
そんなときに、子供から親に「遺言を書いてくれないか」と話したら、財産目当てのイメージが先行してしまい両親が少し戸惑ってしまうかもしれません。相続の話は、財産や身分関係の話ですから、どうしても生々しい話になってしまうからです。
-
-
相続税の節税対策について、税理士解説はこちらをご覧ください。
相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内に、税務署に対して申告し、納税しなければなりません。節税対策を全く行っていないと、相続税があまりにも高額となり、期間内に払いきれない危 ...
続きを見る
-
-
公正証書遺言について、弁護士解説はこちらをご覧ください。
公正証書遺言は、自筆証書遺言、秘密証書遺言といった、その他の遺言の形式に比べて、確実性が高く、偽造、改ざんをされにくい点で、最もお勧めの遺言方法です。 遺言書を作成して遺言を残そうと、弁護士、税理士、 ...
続きを見る
ーー 家系図を生前に作成しておくことが、相続の生前対策になるのは、どのような点でしょうか?
田代:
まずは、当社のPVで、家系図を作成していたときの、死後の相続問題についてわかりやすく解説していますので、ご覧ください。
●家樹 -Kaju- PV Episode 5 「父の残した暗号」 字幕版
相続対策として家系図作りに取り組むことも検討してみてください。家系図を作ることで、相続関係書類である戸籍謄本を事前に集めておくことができるだけでなく、法定相続人の確定ができるという活用法もあるからです。
さらには、相続対策に向けた動機づけになるということなのです。家系図には今より遥か昔、200年以上前に生まれたご先祖様の名前が出てくることも珍しくありません。昔から引き継がれてきたバトンを意識することができるので、自分もそのバトンリレーについて考えなければいけない!という気にさせてくれるものなのです。
ーー 家系図を作成したい、という相続相談は増えていますか?
田代:
今、一番手軽な相続対策として、家系図作りに取り組まれる方が増えています。記憶の中で親族を思い出して家系図を書くのであれば、1時間以内に終わる作業になりますが、自分の記憶だけではなく、明治時代までの戸籍を取得して本格的なものを作るとなると大変です。
古い戸籍は1箇所で集まることはほとんどなく、本籍地を管轄する役場に順番に請求をしていかなければいけないので、取得するのも一苦労です。さらに取得した後も読むのが大変です。
昔の戸籍は毛筆の手書きで書かれているものですから、字にクセがある場合は読みづらく、作業の途中で挫けてしまう方も多いです。時間のあるシニアにとっては、そんな一筋縄ではいかないところも人気の要因の一つになっているのかもしれません。
-
-
相続に必要な戸籍の収集方法は、こちらをご覧ください。
身近なご家族がお亡くなりになり、相続手続きをしなければならないときに必要となるのが、戸籍の収集です。今回は、必要な戸籍の集め方・取り寄せ方についての解説です。 遺産分割協議を開始するときに相続人を調査 ...
続きを見る
ーー 家系図作成を依頼できる会社や士業は他にもあると思いますが、家樹株式会社の作成する家系図の、他社と違う強みはどのような点ですか?
田代:
注意しなければいけないのは、観賞用の家系図は実際の手続きで利用することができない点です。あくまでイメージ作りの道具としては使えますが、相続手続で家系図を提出することはできません。
一方で、家系図作りに利用した戸籍一式は有効期限がないので、相続手続で再度利用することができるので、捨てずに保管しておいた方が、後で得をします。最近では、法務局で「手続で使える家系図」を作ってもらえる「法定相続情報証明制度」もスタートしました。
この制度を使うことで、法務局の印鑑が押された使える家系図(法定相続情報一覧図)を作ってもらえます。相続手続でたくさんの戸籍の束を一覧図1枚にまとめることができるので、手続をスムーズに進められるようになる便利な制度ですので、是非活用してみて下さい。
当社で作成できる家系図の例を載せておきますので、参考にしてみてください。
[su_slider source="media: 2110,2111,2112"]
終活と家系図の関係は?
ーー 「終活」という言葉も流行していますが、家系図が「終活」に果たす役割は、どのようにお考えですか?
田代:
終活の一環としてエンディングノートに取り組まれる方も増えていますが、エンディングノートに書く家系図と、当社の作成している家系図とには、大きな違いがあります。
エンディングノートにも色々な種類がありますが、その中にも家系図を書くページが設けられていることが多いです。この1ページで書く家系図は、戸籍を辿らずに自分の記憶の中で親族の関係を整理して書きます。事前に親族関係を整理して、相続対策のイメージ作りをするのが目的の家系図なので、おそらく親子3代程度のボリュームになります。
一方で、戸籍を辿って作る幕末までの家系図は個人差はあるものの5~6代程度遡れることが多く、自分の知らないご先祖様をたくさん見つけることができます。
ーー 先祖様の数が多くても対応していただけるのですね。実際には、どのような体裁になるのでしょうか。
田代:
その先祖の数は多いときで300人以上になるときもあり、多くの方が出来上がった家系図を見て驚きます。自分の先祖のことを知らなくても生活は不自由しないと思いますが、知ることで、自分のルーツ、根っこを知ることができて、自分のことを知ることにもつながります。お子様がいる家庭ですと、子供にも一家のルーツを教えることができるようになります。
永久に生き続けることはできませんから、自分自身もいつかご先祖様になることになります。時代が変わっても、どこかに自分の名前が残っていてほしいと思うのは自然なことではないでしょうか。
ーー 最後に、「終活」をこれから始める方に向けて、メッセージをお願いします。
田代:
終活は楽しくないと続きません。一言で「終活」といっても、やることがたくさんあって何から始めたらいいのかわからない方も多いと思います。
残された家族のためとはいっても、自分が死ぬことは考えたくないものです。終活の中で家系図作りが注目されている理由の一つが、「前向きにできる終活」だということでしょう。「残された家族に迷惑をかけないように」する終活ではなく、自分のルーツを知りたいという知的好奇心を満たすためにできる楽しい終活だからです。
自分にために家系図作りを始めて、それが結果的に相続対策や家族に残す財産になる、とても理想的な終活だと思います。興味のある方は是非取り組んでみて下さい。自分でやるのは難しいし面倒臭い、誰かにやってもらいたい場合は、私達のような家系図業者への活用も検討してみて下さい。