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相続の相談窓口

交通事故で亡くなったら、遺族の誰が慰謝料を相続する?相続税は?

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交通事故でご家族がお亡くなりになったとき、ご遺族の方は加害者に対して、慰謝料などの損害賠償請求をすることができます。このとき、ご家族がお亡くなりになったことによる「相続」の問題も同時に考えなければなりません。

よくある相続相談

遺族のうち、交通事故の慰謝料を請求できる「相続院」は誰?
遺族が、加害者に請求できる損害賠償金にはどのようなお金がある?
交通事故の慰謝料で相続人全員の合意がとれないときどうする?

交通事故でご家族がなくなったとき、その損害賠償請求権を相続し、慰謝料などを加害者や保険会社に請求することができます。しかし、共同相続人が複数いるとき、相続人全員の同意によって方針を決定しなければなりません。

そこで今回は、交通事故によってご家族を亡くし、残された遺族の方に向けて、慰謝料などの損害賠償請求を誰が相続するのかについて、相続税の問題も含めて、相続問題に詳しい弁護士が解説します。

参 考
遺産相続に強い弁護士の選び方は、こちらをご覧ください。

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交通事故の慰謝料を請求できる「相続人」とは?

交通事故の被害者となってしまったとき、慰謝料をはじめとした損害賠償請求を加害者や保険会社に対して請求できるのは、被害者本人です。しかし、死亡交通事故の場合には、被害者本人は既に高いしており、慰謝料の交渉、請求、示談をすることができません。

この場合、相続人が、お亡くなりになった被害者(被相続人)の慰謝料など損害賠償をする権利を相続し、相続人が請求することができます。慰謝料を請求する権利も「債権」として相続財産(遺産)となり、相続の対象となります。

そこでまず、慰謝料など損害賠償を請求する権利を相続する「相続人」は誰かを理解する必要があります。

参 考
「法定相続人」の範囲・順位と割合は、こちらをご覧ください。

身近なご家族がお亡くなりになってしまったとき、「誰が財産を相続することができるのだろう。」と不安に思うことでしょう。 遺言・遺書などがのこされていたなど、お亡くなりになったご家族の意思が明らかでない場 ...

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法定相続人とは?

法定相続人とは、民法で、相続をすることが決められた血族・親族のことをいいます。遺言など特別の定めがない場合には、「法定相続人が誰か?」「法定相続分の割合はどれだけか?」が、相続人を決める基準・目安となります。

法定相続人は、配偶者(夫または妻)がいる場合には必ず相続人となり、それに加えて、子、直系尊属(両親・祖父母)、兄弟姉妹がいる場合には、この順位で、最も高順位の人が相続人となることと定められています。

被害者本人の慰謝料請求権を相続し、加害者やその保険会社に対して慰謝料請求をすることができる相続人も、この法定相続人を基準・目安にして検討します。

ポイント

  • 配偶者は必ず相続人となる
  • 第一順位の法定相続人:子(既に死亡している場合には孫)
  • 第二順位の法定相続人:直系尊属(両親、既に死亡している場合には祖父母)
  • 第三順位の法定相続人:兄弟姉妹(既に死亡している場合には甥姪)

法定相続人が1人の場合には、その人が慰謝料請求権を全て相続します(子が複数いる場合などは人数割となります。)。法定相続人が複数いるとき、その相続割合は、次のように決められています(法定相続分)。

続柄 法定相続分
法定相続人が配偶者と子の場合 配偶者2分の1、子2分の1
法定相続人が配偶者と直系尊属の場合 配偶者3分の2、直系尊属3分の1
法定相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
参 考
法定相続分・法定相続割合は、こちらをご覧ください。

法定相続分とは、その名のとおり、「法律」で定められた「相続分」のことをいいます。民法で、「誰が、どの程度の割合の相続財産を得ることができるか」ということです。 法定相続分は、お亡くなりになったご家族( ...

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慰謝料請求権の遺産分割は?

相続財産(遺産)の分け方は、民法で定められた法定相続分の割合どおりに相続しなければならないわけではなく、最終的には、相続人間で行われる遺産分割協議によって、どのような割合で相続するかを話し合うことになります。

しかし、慰謝料請求権のような、分割をすることが容易な金銭債権については、遺産分割の対象とならず、相続によって法定相続分に応じて分割されることとなっています。

ただし、遺産分割協議において、相続人全員の合意によって、遺産分割の対象とすることを合意する場合には、その他の相続財産(遺産)と同様に、「慰謝料を、どの相続人が請求することができるか?」を、話し合いで決めることができます。

参 考
遺産分割協議の流れと、円滑な進め方は、こちらをご覧ください。

遺産分割協議とは、ご家族がお亡くなりになってしまったときに、相続人が、遺産の分割方法について話し合いを行うことをいいます。 遺産分割協議が行われるのは、相続財産(遺産)の分け方に争いがあるケースです。 ...

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遺言がある場合は?

お亡くなりになった方(被相続人)が遺言書を作成していた場合には、遺言によって指定された相続分(指定相続分)が、さきほど解説した法定相続分よりも優先し、遺言のとおりとなります。

ただし、民法に定められた、法定相続分のうち最低限相続できる割合である「遺留分」を下回る遺言による指定は、遺留分減殺請求権によって救済されることとなります。

参 考
「遺留分減殺請求」を弁護士に相談するメリットは、こちらをご覧ください。

遺留分減殺請求は、多くの相続手続きの中でも、難しい法律問題を含んでおり、「争続」にもなりやすいため、弁護士に相談・依頼したほうがよい手続であるといえます。 遺留分減殺請求権を行使すると、権利行使をされ ...

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とはいえ、突発的に起こる<b>交通事故による死亡の場合に、交通事故を予定した慰謝料に関する遺言が残されていることは通常考えられないため、「慰謝料を誰が相続するか?」を考えるとき、遺言書が重要となることはあまりありません。

なお、交通事故の慰謝料に関するお話を超えて、相続財産(遺産)の分け方全体を考えるときにはやはり遺言が重要となります。遺言が存在する場合でも、相続人全員の合意があれば、これと反する内容の遺産分割協議をすることも可能な場合があります。

参 考
指定相続分と法定相続分の違いは、こちらをご覧ください。

相続財産(遺産)を相続する割合のことを、「相続分」といいます。そして、相続分には、指定相続分と法定相続分とがあります。 相続財産の分け方は、遺言によって希望通りに決めることができますが、遺留分等に注意 ...

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遺族の請求できる慰謝料は2つある!

ご家族を死亡交通事故で亡くした遺族の方が、加害者やその保険会社に対して請求できる慰謝料には、次の2つの種類があります。

  • 被害者自身の慰謝料請求権(相続によって得たもの)
  • 遺族固有の慰謝料請求権

それぞれの慰謝料請求権ごとに、どのような権利であるかと、その慰謝料金額の内訳などを、弁護士が解説します。

被害者自身の慰謝料請求権(相続によって得たもの)

交通事故によって死亡した方は、加害者に対して損害賠償請求をすることができ、遺族は「相続人」として、その請求権を相続することができます。

相続の結果、遺族が加害者に請求をできるお金には、相続した慰謝料以外に、「逸失利益(生きていれば得られていたであろう収入に相当する金額)」などがあります。また、即死でなければ「入通院費用」、「休業損害」などが請求できる場合もあります。

逸失利益は、お亡くなりになったときの年齢や収入の状況によって算出されます。その他に、葬儀費用、弁護士費用、治療費、通院交通費などを請求することができ、これらも相続の対象となります。

遺族固有の慰謝料請求権

死亡事故の場合には、お亡くなりになった方(被相続人)から相続する慰謝料などの損害賠償請求権以外に、「遺族固有の慰謝料」を請求することができます。

遺族固有の慰謝料とは、お亡くなりになった被害者の方から相続をした慰謝料請求とは別に、民法に定められた遺族の方が加害者や保険会社に直接請求できる慰謝料のことです。遺族固有の慰謝料は、被害者本人の慰謝料の2、3割となることが裁判例では一般的です。

遺族固有の慰謝料を請求することのできる「遺族」とは、民法で、父母、配偶者(夫または妻)、子であるとされています。また、これらと実質的に同じとみなすことができる場合には、兄弟姉妹、祖父母、内縁の配偶者(事実婚のパートナー)などにも、遺族固有の慰謝料の請求権が認められた裁判例があります。

相続した慰謝料の相続税は非課税

交通事故の被害者となったご家族がお亡くなりになったとき、ご遺族の方がもらえる慰謝料は、原則として「非課税」です。つまり、相続税の課税対象とはならず、相続税を支払う必要はありません。

損害賠償金は、損害を補填するために支払われるものであって、かつ、予期せず突発的に発生するものであることから、法律上、所得税もかからないことになっています。遺族の所得になるものの、非課税規程により、税金はかからないこととされています。

例外的に、交通事故によってお亡くなりになったご家族が、生前に既に慰謝料をもらうことが決まっていた場合に、その慰謝料請求権を相続すると、相続財産として相続税が課税されることとなります。

ただし、死亡交通事故で、死亡前に示談が成立して慰謝料請求権が確定していることはそれほど多くないため、原則として相続税はかからないと考えておいてよいです。

交通事故の損害賠償金についての課税関係については、国税庁のタックスアンサーも参考にしてみてください。

相続人が複数いるとき、慰謝料請求の方法、示談のしかたは?

民法に定められた法定相続分、もしくは、遺言によって指定された指定相続分に基づいて検討したとき、慰謝料請求権を相続する相続人が複数いるときの、慰謝料請求の方法、示談のしかたについて、弁護士が解説します。

相続人全員が合意している場合

死亡交通事故の慰謝料請求について、相続人全員が、解決方針について合意をしている場合には、相続人全員で、加害者やその保険会社と交渉をすることができます。この場合には、代表者を窓口とするか、弁護士を依頼して窓口とすることで、交渉がスムーズに進みます。

お亡くなりになったご家族(被相続人)から相続した慰謝料の増額を求める場合であっても、相続人全員がその方針に合意している場合には、相続人全員で加害者に対して訴訟を起こすことができます。

反対する相続人がいる場合

これに対して、相続をした慰謝料請求の解決方針について、相続人間で合意がとれない場合には、交渉方法を検討する必要があります。

そもそも、さきほど解説したとおり、お亡くなりになった方(被相続人)から相続する慰謝料請求権は、法定相続分に応じて各相続人に承継されますので、それぞれの相続人ごとに、自分の方針にしたがって慰謝料請求を進めることができるのが原則です。

この場合には、各相続人ごとに、加害者やその保険会社と示談を成立させることができればよいですが、実際には、加害者側の保険会社が、各相続人ごとの示談には応じてくれない場合が多いです。

そのため、一部の相続人が「もっと高額の慰謝料がほしい」と考えるなど、相続人全員で解決方針に合意できないときは、個別にその相続人が加害者に対して訴訟提起をして、慰謝料増額を目指すことになります。

相続問題は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか?

今回は、交通事故でご家族を亡くしてしまった相続人の方に向けて、死亡交通事故によって相続した慰謝料請求の方法、誰が慰謝料請求をすることができるかなどを、弁護士が解説しました。

交通事故で、思わぬタイミングでご家族を亡くされてしまった場合には、相続の生前対策、節税対策が十分でないかもしれません。しかし、交通事故の慰謝料請求権を相続しても、相続税、所得税などはかからないのが原則です。

死亡交通事故によって相続が開始してしまったご家族の方は、相続問題はもちろんのこと、保険会社から提示された慰謝料に満足することなく、少しでも慰謝料を増額するために、お早めに弁護士に法律相談ください。

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