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事業承継

事業承継の選択肢は3つ!親族内承継・社内承継・M&Aの比較!

更新日:

事業承継を行うとき、その方法には3つの選択肢があります。それが、親族承継、社内承継、そして、M&Aです。

この3つの事業承継の選択肢は、「どれが正しい」というものではなく、会社の状況、経営者や後継者のお気持ちなどによって、「どの選択肢が適切か」という観点で考える必要があります。

特に、事業承継は、下準備からはじまり実際に承継(前経営者の引退)のタイミングに至るまでには、長期間かかることもあり、当初は親族承継で考えていたが、進めているうちにM&Aの条件面が有利だと方針転換した、というケースもあります。

そこで今回は、事業承継の方法を検討している会社経営者の方に向けて、事業承継の複数の選択肢のメリット・デメリットを比較し、どの選択肢が適切かをご理解いただく判断材料を、相続・事業承継を多く取り扱う弁護士が解説します。

「事業承継」の人気解説はこちら!

事業承継

2019/3/8

事業承継で、後継者に求められる資質・要件は?ポイント4つ

後継者に対して事業承継をするとき、後継者候補として多くの人があがることがあります。例えば、実の息子、娘を後継者とする「親族承継」もあれば、社内の幹部役員を後継者としたり、事業承継のためにあらたに外部から後継者を連れてきたりすることもあります。 いずれの場合にも、会社・事業を継続していくために重要となるのが、「後継者の見極め」です。そして、後継者の資質を見極めるときに「お気に入りだから」といった感情が入らないように、客観的に見極めなければなりません。 資質・要件を満たさない後継者に継がせることは会社にとって ...

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事業承継

2019/3/9

法的整理、私的整理とは?2つの会社整理の違い・メリットなど

「会社整理」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「会社整理」というのは、古くは、旧商法時代に、法律上の手続をあらわす正式名称でしたが、現在は、平成18年会社法施行とともに、「会社整理」の制度自体は廃止になっています。 しかし現在でも、会社をたたむ方法のことを一般的に「会社整理」といいます。この会社整理には、「法的整理」、「私的整理」という2つの会社のたたみ方がありますが、その手続き内容には、大きな違いがあります。 会社経営者が高齢化し、事業承継を考える際に、事業承継、M&Aなどとともに、会社を辞め、会 ...

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事業承継

2019/3/12

会社をたたむ方法3つ!解散・清算・破産の違いとメリット比較

事業承継をせず、もう会社をやめてしまいたいと考えたときに、会社をたたむ方法として、「解散」、「清算」、「破産」という、3つの用語の違いをご理解いただけていますでしょうか。 いずれも身近な一般用語となって使われることもありますが、それぞれ法的には区別されています。どの方法で会社をたたむかによって、残った財産や債務をどのように処理するかなど、細かい手続が異なるからです。 「解散」、「清算」、「破産」のうちで、適切な方法を選択しなければ、会社に見切りをつけるタイミングを誤り、事業承継も、会社をやめることも難しく ...

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事業承継

2019/4/10

親族内承継の方法で事業承継するときの注意点を、弁護士が解説!

事業承継を行うときに、真っ先に思いつくのが、「自分の子どもに継いでもらおう」という承継方法ではないでしょうか。子どもが幼い場合であっても、なんとか子どもに事業を継いでもらおうと、一時的に妻や幹部社員に面倒をみてもらうという方もいます。 自分と血のつながった親族に、事業を受け継いでもらう承継方法のことを「親族内承継」といいます。「血のつながった実の子だから安心だ」と油断する方も多いですが、「親族内承継」ならではのメリット、デメリットや注意点が多くあります。 親族内承継の場合、特に、適任者の選定、承継する人の ...

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事業承継

2019/4/10

特別清算の手続き・流れ・注意点を、弁護士が解説!

会社のオーナー経営者が引退を考えるとき、事業譲渡やM&A(事業売却)をせず、会社を清算せざるをえないことがあります。 会社を清算する場合は、会社の財産で債務を返済し、のこった財産を株主がうけとって会社をとじる、というのが通常の流れです。 しかしながら、会社を清算する場合に、その会社にはもはや価値がないというケースもあります。債務が多すぎる場合には、通常の清算の手続きがとれないこともあります。 株式会社の解散決議をおこない、清算手続きに入ったとき、会社の債権者から反対があるなど、清算手続きを進めるのに支障が ...

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事業承継の3つの選択肢

まず、事業承継の3つの選択肢とは、次の3つのことをいいます。

ポイント

親族承継
社内承継
M&A

実際には、この3つの選択肢のなかでは、親族承継、社内承継、M&Aの順に検討されることが多いといえます。

つまり、まずは身近な後継者候補である自分の子やその配偶者(夫・妻)に継がせたいと考え、実の子が既に他の道を選択しているときに、会社内で幹部の地位にいる役員、社員への承継を考え、それでもだめな場合に、M&A(事業売却)を考える、といった具合です。

しかし、息子・娘に、事業承継の後継者となる強い意志と覚悟がある、といったケースを除いては、必ずしもこの順番で検討しなければならないわけではありません。3つの選択肢はそれぞれ並列に比較すべきで、いずれもメリット・デメリットがあります。

親族の人生は、いつなんどき変わるかわかりません。親族承継が可能と考えていたとしても、息子・娘が事業を継ぐことができなくなってしまった場合に備え、第二、第三の代替の計画を練っておいてください。

参 考
事業承継について相談する専門家の選び方は、こちらをご覧ください。

「事業承継を成功させたい」と考えたとき、専門家のサポートは不可欠です。しかし「事業承継の専門家」とひとことでいっても、そもそも「事業承継」自体がとても広い分野の知識が必要であるため、1つの業種に限定で ...

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親族承継とは?メリット・デメリットは?

親族承継とは、経営者の子どもなど、経営者の家族・親族が後継者となることをいいます。

「事業承継」というと、真っ先に親族承継を考える会社が多いかと思いますが、親族承継には、メリットもデメリットもありますので、いずれも理解して判断するようにしてください。

参 考
事業承継の後継者のための環境整備は、こちらをご覧ください。

事業承継を検討するとき「いつ」、「誰に」事業を継がせるか、はとても重要ですが、いかに後継者に「能力」と「覚悟」が備わっていたとしても、後継者が成功できる環境が整っていなければ、その「能力」、「覚悟」を ...

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【メリット①】自分の想いや経営手法を伝えやすい

親族承継では、家族である子どもやその配偶者などのように、自分の身近にいる方々に事業を承継させるため、経営者が、会社に関する自らの想いや経営のノウハウなどを伝えやすいです。

特に、中小企業では、文書にはなっていない、経営のためのさまざまなノウハウがあるため、直接話をしてコミュニケーションをとりやすい家族や親族が後継者となれば、会社の事業に対するご自身の想いや経営手法を伝えやすく、メリットがあります。

【メリット②】相続、贈与も活用できる

親族承継の場合には、後継者が相続人であれば、株式を譲渡するという方法ではなく、相続や贈与によって株式を承継させるという選択肢もあります。

相続人には、相続税の計算において、基礎控除という税制上のメリットがあります。そのため、会社の株式を相続させた場合にも、多額の資金を調達しなくともよい場合があります。

経営者の財産に余裕があれば、会社の株式とともに、相続税を納税するための資金も相続させることで、後継者が自分で資金を調達しなくともよいようにすることも可能です。

【デメリット①】後継者候補が少ない

親族承継の場合には、親族というかぎられた範囲内から、経営者としての能力や資質をもった後継者を見つけなければなりません。

もし、能力がなかったり、人望のない方を、家族だから、親族だからという理由だけで後継者にしてしまうと、それまで会社を支えてきた役員や従業員からの信頼を失い、会社の雰囲気が悪くなったり、会社にとって大切な人材が流出してしまうこともあります。

そのため、家族であっても、後継者にするためには、それなりの能力や資質をもった人をえらぶ必要があります。ただ、そのような後継者にふさわしい方が身内にいるとは限らないのが実情です。

【デメリット②】後継者候補が複数いる場合の決め方がむずかしい

後継者候補が複数いる場合には、そのうちの1人だけを後継者とするのか、それとも複数の方に事業をまかせながら、経営権争いがおこらないように協力して事業を承継させるのかなどを、考える必要があります。

複数の後継者を共同で経営者にしてしまうと、事業に関する考え方が違ったときに、会社内での対立をおさめることができず、会社がバラバラになってしまいます。そのため、複数の方に事業にかかわらせる場合でも、そのうちの1人をえらんで、会社をまかせた方がうまくいきます。

ところが、後継者の候補が数人いる場合に、そのうちの1人を後継者にきめれば、他の候補者は不満をもつのがふつうです。

このような不満は、相続の際の争いなどにつながるので、後継者にしない方には代わりとなる財産を与えるなどの方策を考えるべきです。

社内承継とは?メリット・デメリットは?

社内承継とは、自分が経営している会社の役員や従業員を、自分の後継者として、会社を引き継がせることをいいます。

会社内に、長年勤めてくれた右腕的な幹部社員、番頭さんがいるとき、社内承継が候補にあがります。

参 考
事業承継の後継者に求められる資質は、こちらをご覧ください。

後継者に対して事業承継をするとき、後継者候補として多くの人があがることがあります。例えば、実の息子、娘を後継者とする「親族承継」もあれば、社内の幹部役員を後継者としたり、事業承継のためにあらたに外部か ...

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【メリット①】会社の事業や業界動向に精通している

社内承継の場合には、後継者は、長い間その会社で働いていることが多いため、会社の事業の内容や、会社の文化、また業界の動向を、くわしく知っていることが多いです。

そのため、まわりの役員や職員との関係さえうまくいっていれば、社内の理解もえられやすく、現在の経営者が引退した後も、スムーズに事業をまわしていくことができます。

後継者に会社の事業のことを一つ一つ教えて育てる必要がないというのは、社内承継の大きなメリットです。

【メリット②】後継者が育つまで任せられる

それまでに経営者の下で仕事をしてきた役員や従業員であれば、経営者のこともよく理解していることが多いため、たとえば親族を後継者にしたいと考えた場合に、育成に必要なあいだ、一時的に経営を任せるということもできます。

子どもの年齢が若いため、しばらくの間、かわりの経営者に任せておきたいと考えた場合には、会社の株式は子どもに承継させつつ、取締役や代表取締役にはそれまでの役員や従業員をあてるといった方法があります。

【デメリット①】株式承継の資金確保がむずかしい

親族ではない会社の役員や従業員を後継者とする場合には、会社の株式を、後継者にひきつがせる必要があります。

ところが、株式を譲渡するのであれば、株式の購入資金としてまとまったお金が必要となります。株式を遺言などで与える場合にも、税金をおさめるために、まとまったお金が必要となります。

このまとまった資金を調達しなければならないというのはデメリットといえます。

M&Aとは?メリット・デメリットは?

M&Aとは、第三者による会社の買収です。会社の合併・分割・事業譲渡や、株式の譲渡などによって、第三者に経営権をうつすことをいいます。

M&Aは、事業承継の手段の中でも「最後の手段」と位置付けている経営者の方が多いのではないでしょうか。M&Aの良いところ、悪いところを理解していただくことで、より良い事業承継を実現できます。

【メリット①】広く事業の承継先をさがせる

M&Aをする場合には、後継者が身内にかぎられないため、事業を引き継いでくれる人や会社を、広くさがすことができます。

多くの会社の経営者は、後継者をさがし、育てることに苦労しています。そういった苦労から解放されることは、大きなメリットといえます。

【デメリット①】コストがかかる

M&Aを利用して会社の買い手をさがすときは、M&A仲介を専門とする会社に依頼をして、買い手をさがしてもらうことが多いです。

このような会社は、買い手をさがしてくれるだけでなく、実際に売却をする際の手続きや契約についてもアドバイスをしてくれますが、仕事をうけてもらうための費用も低くはありません。

もっとも、最近では、M&Aを仲介するさまざまな会社やサービスがあり、費用もこれまでより安くサービス提供しているものもあります。

【デメリット②】従業員と新経営者の考え方が合わない

M&Aを利用した場合には、会社の役員や従業員とそれまでまったく面識のなかった人や会社が、新しい経営者・株主になる可能性があります。

新しい経営者や株主と、すでにいる会社の役員や従業員とのコミュニケーションがうまくいかず、考え方があわなければ、働きづらい職場となり、人がやめてしまう可能性があります。

特に、会社にとって重要な人材がやめてしまうと、事業に悪影響が生じてしまうため、注意しなければなりません。

「廃業」について

厳密には、「事業承継の選択肢」という今回の解説とは離れますが、「廃業」も、事業承継の3つの選択肢とともに、並列して検討しておくべき選択肢の1つです。

事業承継の3つの選択肢について、どのような流れとなるかの比較の流れを知っていただければ、以下のケースで、「廃業」も並列して検討しておくべきであることをご理解いただけるでしょう。

  • 後継者となる親族がいない
  • 赤字経営が続き、将来も業績向上が見込めない
  • 会社の事業価値が乏しく、M&Aの買手も見つからない

むしろ、このような危機的状況の場合には、会社経営者である社長の個人資産を注入し続けて無理に生き残るよりは、事業承継をいい転機として「廃業」を選択したほうが、良い再出発がきれる例もあります。

事業承継は、「相続財産を守る会」にお任せください!

今回は、事業承継の際にとりうる選択肢について解説しました。親族承継・社内承継・M&Aは、どれが優先すべきというものではありません。それぞれの方法のメリットとデメリットをよく考えたうえで、一番よい方法を決めるべきです。

場合によっては、社内承継をさせた上で親族に引き継がせたり、一時的に親族にまかせた上でM&Aで会社を売却するといった方法も考えられます。

「相続財産を守る会」では、相続や事業承継に強い専門家が、お互いに協力しながら、あなたの会社の円滑な事業承継をサポートいたします。事業承継はぜひ「相続財産を守る会」の専門家にお任せください。

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弁護士法人浅野総合法律事務所は、銀座(東京都中央区)にて、相続問題、特に、遺言・節税などの生前対策、相続トラブルの交渉などを強みとして取り扱う法律事務所です。 同オフィス内に、税理士法人浅野総合会計事務所を併設し、相続のご相談について、ワンストップのサービスを提供しております。

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