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不動産相続

相続不動産の仲介は、一般媒介と専任媒介のどちらがよい?

更新日:

相続した不動産を売却するときに依頼する仲介会社には、3種類の仲介方法があります。それが、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3つです。

インターネット上で、不動産売却の体験談を検索すると、「一般媒介のほうが、業者が競争してくれて早く高く売れる」、「専属専任媒介のほうが、不動産会社が高値売却する努力をしてくれるから良い」など、それぞれの取引形態のメリット・デメリットをあげてさまざまな意見・口コミが書かれています。

しかし、見逃してはならないのは、その体験談・口コミはいずれも、「その人の不動産売却の場合に、たまたまその取引形態がよかった」というだけで、一般化はできないという点です。特に相続不動産の場合、業として不動産の売買を繰り返す不動産会社とちがって、どのような特徴をもった不動産(土地・建物)なのかは千差万別です。

今回は、相続不動産の仲介を不動産会社に依頼するとき、一般媒介と専任媒介のどちらがよいのかを、相続不動産を多く取り扱った経験のある不動産会社の立場から解説します。

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不動産相続

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不動産相続

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不動産相続

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3つの取引形態の特徴

はじめに、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3つの取引形態の特徴を、簡単にまとめておきます。用語だけ見ると、「一般媒介」が最も一般的で、利用頻度が多いようにも聞こえますが、必ずしもそうではありません。

不動産会社に仲介を依頼するときは、「媒介契約書」を作成し、締結します。媒介契約書を作成することは不動産会社の義務です。この契約書には、次のことが記載されています。

ポイント

  • 3種の媒介契約のうち、いずれの取引形態であるか
  • 依頼者が希望する不動産の売却条件
  • 媒介契約の期間
  • 売買が成約した場合に支払う仲介手数料

媒介契約書を隅々までしっかり熟読することで、仲介契約を結んだ不動産会社がどのようなサービスを提供してくれるのかを理解し、人生で数少ない相続不動産売却を、損のないように進めてください。

「仲介(媒介)」と「代理」の違いは、こちらをご覧ください。
不動産売買の「仲介(媒介)」と「代理」の違いは?弁護士が解説!

相続した不動産を売却しようとするときには、「仲介業者」と呼ばれる不動産会社が必要となります。このとき、不動産会社と締結する契約書を、よく読んで理解し、損のない不動産取引を目指してください。 相続した土 ...

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一般媒介契約

複数の不動産会社との間で媒介契約を締結することができます。
媒介契約を結んだ不動産会社に、他にどの不動産会社と媒介契約を結んだか明らかにする「明示型」と、明らかにしない「非明示型」とがあります。
明示しなかった不動産会社の紹介によって不動産売却が決まった場合に、営業経費を支払う必要があります。
不動産会社でなく、自分のつてや紹介などで不動産を売却することができます(自己発見取引)。
法律上、不動産会社には、状況報告の義務はなく、契約期間の上限もありません。

専任媒介契約

仲介契約を1つの不動産会社としか結ぶことができず、他の会社に仲介業を依頼することができません。
不動産会社でなく、自分のつてや紹介で不動産を売却することはできますが、その場合営業経費などを支払わなければならない場合があります。
仲介契約を締結した不動産会社は、2週間に1回、状況報告をする義務があり、仲介契約の期間は3か月に限られます。>
仲介契約を締結した不動産会社は、7日以内に物件情報をレインズへ登録する義務があります。

専属専任媒介契約

媒介契約を1つの不動産会社としか結ぶことができず、他の会社に仲介を依頼することができません。
不動産会社でなく、自分のつてや紹介で不動産を売却することもできません。
仲介契約を締結した不動産会社以外の紹介によって売買が成約した場合、違約金が発生します。
仲介契約を締結した不動産会社は、1週間に1回、状況報告をする義務があり、仲介契約の期間は3か月に限られます。
仲介契約を締結した不動産会社は、5日以内に物件情報をレインズへ登録する義務があります。

大きな違いは?

3つの取引形態の、最も大きな違いは、「専属専任媒介契約>専任媒介契約>一般媒介契約」の順で、売主に対してかかる制限が強いという点です。

制限が強ければ強いほど、仲介契約を締結した不動産会社に拘束されます。拘束が強ければ強いほど、他のところで買主を探して成約したときには、違約金、営業経費などの仲介業者に支払わなければなりません。

契約期間の違いは?

専属専任媒介契約、専任媒介契約では、売主に対して課せられる拘束が強いことから、契約期間は3か月以内に限定されています。3か月の期間は、売主が希望すれば延長することができますが、延長せずに他の不動産会社に任せることもできます。

これに対して、一般媒介契約の期間は法律上の上限はありませんので、期間の制限のない一般媒介契約を結ぶことができます。ただし、一般媒介契約であっても3か月以内とするよう行政指導が出ており、実際には3か月ごとに延長の契約を結ぶことが多いです。

ネットで一括査定をかけてみる

相続した不動産を売りたいと考えた方は、まずは一括査定をしてみるというのも一つの手法だと言えます。これは、複数の不動産会社に一括で、無料で見積もりしてもらうことができるもので、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介のいずれの媒介契約を結ぶ予定であっても利用できます。

一括査定をすると、相続した不動産のだいたいの相場観がわかり、大まかな売却方針を立てることができます。ただし、複数の不動産会社に、「不動産を売りたい」という情報が伝わるため、勧誘のメール、電話、DMが来るデメリットがあります。

そういう煩わしい連絡が嫌な方は複数の不動産会社に自ら物件情報を持ち込んで相談してみるというのが良いと思います。

一括査定であまりに高い査定額を出す不動産会社は、逆に信用できない業者である危険もあります。実際にはその値では売り出せず、値下げを求められることもありますが、万が一専属専任媒介契約を締結してしまうと、3か月の間は他の不動産会社に依頼することができなくなります。

一括査定は一つの手法として有効ではありますが、過信することなく、その後実際に不動産会社の担当者と会い、内見してもらって売却方針を聞いてから、どのような媒介契約(仲介契約)を結ぶかじっくり考えてください。

参 考
値引き交渉に応じて値下げするかどうかは、こちらをご覧ください。

相続不動産を売却するとき、できるだけ高く売りたいと思うのが、売主として当然のお気持ちではないでしょうか。しかし一方で、買主側としても「できるだけ安く買いたい」と考えることでしょう。 相続不動産の売買交 ...

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【注意】不動産会社にとっての利益を考えてみる

不動産を売却することをお考えの方は、不動産会社との契約形態を選択するときに、「不動産会社にとっては、どの契約が一番利益あるのか」を先に考えてみてください。

結論からいうと、不動産会社にとっては、売主をより強く拘束できる専属専任媒介契約、専任媒介契約のほうが、メリットがあります。売買契約が成約すれば必ず利益を生むことができ、その分の広告費や営業努力をかけることができるからです。

特に、売買対象となる不動産が、人気物件、稀少物件で、早く、高く売れる可能性があるとき、積極的に専属専任媒介、専任媒介を勧めてくるのではないでしょうか。

しかし、このとき、不動産の売主として一旦立ち止まって考えて頂きたいのは、その不動産会社には、3か月間売却のすべてをお任せしておける信頼性があるのかどうか、という点です。最後は、その不動産会社と、営業マンが信頼できるかどうかで選ぶのが重要です。

参 考
相続不動産を高値売却するための仲介業者の選び方は、こちらをご覧ください。

不動産を売却するとき、通常は不動産会社に「仲介業者」としてサポートを依頼しますが、このとき、「どのような不動産会社に仲介を依頼するか」が、相続不動産を有利に、かつ、高額で売却できるかどうかに大きく影響 ...

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注意ポイント

悪質な不動産会社と、専属専任媒介契約・専任媒介契約を締結してしまうと、そのダメージはとても大きいものです。

まず、専属専任媒介契約、専任媒介契約の場合には、レインズに物件情報を登録する義務はあるものの、数日の間(専属専任媒介の場合5日、専任媒介の場合7日)は義務がなく、物件情報を自社だけで隠しておくことができます。

そして、仲介契約の期間中は、他の手で不動産を売却することができないため、売却の努力をするかどうかは不動産会社次第ですし、積極的に値下げ提案をしてくる業者もいます。

専属専任媒介・専任媒介に向いているケース

前述のように一括査定で複数の不動産会社に査定を依頼すると、売却自体も、複数の不動産会社にお願いした方がよいのではないかとお考えになるかもしれませんが、実際は必ずしもそうではありません。

専属専任媒介、専任媒介には、一般媒介にはないメリットがあるため、一般媒介より高値で相続不動産を売却できる場合があります。

不動産を売り急いでいるわけではなく、希望の売却条件がある場合には、専属専任媒介契約、専任媒介契約を結んで、希望の売却条件で成約するまで待つのがよいです。一般媒介契約の場合には、不動産会社は、他社との競争で早く売らなければならないので、できるだけ早く成約させたがるからです。

一般媒介契約で買主候補が数多く見つかることが到底予想できないような、不人気物件特殊な物件も、そのような物件の得意な不動産会社に、専属専任媒介、専任媒介で営業努力をしてもらったほうが早く売却できる可能性が高いです。

一般媒介に向いているケース

人気物件稀少物件の場合には、一般媒介であって、それほど各社が営業努力や広告宣伝費をかけてくれなくても、買主候補が多く見つかることがあります。また、不動産会社にとっても、仮に自分の会社で成約できなくても、「目玉物件」を持っていることで他の物件が売れることもあります。

高値売却をそれほど希望しておらず、むしろ「値段にかかわらず早く売りたい」と考えるときには、一般媒介契約を検討してください。例えば、相続税の納税資金を早く確保したい、というケースでは、「10カ月」という相続税の申告・納税期限があります。

媒介契約の3種類とレインズの関係は?

レインズとは、「Real Estate Information Network System」の頭文字をとった「REINS」のことをいいます。全国の不動産業者が、仲介している物件情報を掲載するサイトです。

レインズに物件情報を掲載することで、全国の不動産業者が、その買主を探してくれることが期待でき、より早く、より高値で不動産の売却が決まりやすくなります。

専属専任契約、専任契約では、物件情報をレインズに登録することが義務付けられていますが、一般媒介契約では、レインズへの掲載は義務ではありません。しかし、レインズに登録しないことは、「不動産を売りたいということを隠しておきたい」という特別な事情がある場合でない限り、売主にとってメリットはありません。

一般媒介契約を締結するときであっても、念のため、媒介契約を締結する仲介業者に対しては、レインズに登録をしてくれるかどうかを確認しておくことがお勧めです。一般媒介契約の場合、レインズへの登録や状況報告の義務は法律上ありませんが、買主が希望するのに拒否する業者は、不誠実と言わざるを得ません。

不動産相続は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか?

今回は、相続した不動産を売却したい方、生前に、不動産を売却して相続対策をしたい方に向けて、不動産会社と締結すべき媒介契約の種類について、解説しました。

専属専任媒介、専任媒介、一般媒介は、いずれも一長一短あり、どの契約がよいかは、売買対象となる不動産の特性や売却方針によって変わります。また、そもそも「どの契約を選択するか」よりも、「どの不動産会社を選ぶか」のほうが重要で、誠実で、あなたのために最大限努力してくれる営業マンを選定する方が重要です。

「相続財産を守る会」では、相続不動産を多く取り扱った、経験豊富な不動産会社が、あなたの不動産(土地・建物)と売却事情にあわせた、最も有利な取引形態を選定し、売却に尽力します。

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株式会社JAMP 代表 川島勇之介

株式会社JAMPは、不動産の買取・再販、不動産の仲介を得意とし、賃貸管理業、リフォーム業も行っているため、相続の場面での不動産に関するあらゆるお手伝いが可能です。 海外不動産にも強いので、相続財産(遺産)が海外にあっても対応できるのが強みです。相続前後の資産運用もお任せください。

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