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遺産分割

「相続放棄」と「代襲相続」の関係を弁護士が解説!【全まとめ】

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「相続放棄」「代襲相続」はいずれも、相続問題を考える際にとても重要なキーワードです。そして、「相続放棄」をすると、相続人ではなくなるため、そのときに、どういうケースで「代襲相続」を考えなければならないのか、が問題となります。

特に、祖父母から両親、そして子への、三代にわたっての相続問題を考える際には、相続放棄と代襲相続との関係は、場面によっては複雑な考慮が必要となる場合もあります。

そこで今回は、相続放棄と代襲相続の関係について、考えられるすべてのケースでどのように処理したらよいかを、相続問題に詳しい弁護士が解説します。

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遺産分割で預貯金をうまく分ける方法と、分け方のポイントを解説

お亡くなりになった方(被相続人)の財産の中で、銀行やゆうちょなどに預け入れてある預貯金もまた、相続される財産(遺産)になります。 そこで、遺産分割のときの、預貯金の分け方と、より良い分割方法のポイントについて、相続問題に強い弁護士が解説します。遺産に預貯金が含まれることが多いため、注意点も解説します。 預貯金の相続、遺産分割のときは、預貯金を勝手に引き出すことはできず、遺産分割協議を行って凍結を解除し、適切な分け方で分割する必要があります。 「遺産分割」の人気解説はこちら! [toc] 預貯金口座の凍結を ...

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相続放棄とは?

相続放棄とは、相続人としての資格を放棄し、はじめから相続人ではなかったものと取り扱われる相続手続きのことをいいます。相続放棄は、家庭裁判所に申述することによって行います。

相続放棄は、お亡くなりになる方(被相続人)の財産内容が、プラスの財産(相続財産)よりもマイナスの財産(相続債務)の方が多い場合、たとえば多額の借金が返しきれない場合(債務超過)などに活用します。相続開始を知ったときから3か月以内に行わなければなりません。

相続放棄をすると、プラスの財産はもちろん、マイナスの財産も一切引き継ぎません。

参 考
相続放棄したほうが得かどうかの判断基準は、こちらをご覧ください。

相続放棄とは、お亡くなりになったご家族から、財産を引き継がず、その代わりに莫大な借金も引き継がないために利用する制度です。 いざ相続が開始したら、葬式や通夜などであわただしいでしょうが、早めに相続財産 ...

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代襲相続とは?

代襲相続とは、相続人となる人が、被相続人よりも先にお亡くなりになっていたときに、その子が代わりに相続財産(遺産)をもらうことが出来る制度のことです。代襲相続人が得られる財産は、代襲される人が得られるはずだった財産と同じです(代襲相続人が複数いる場合には、人数割りとなります。)。

相続欠格、相続廃除によって相続人でなくなった人の直系卑属(子孫)もまた、代襲相続の対象です。

代襲相続が、どのようなケースで起こるのか、まずは民法の条文をご覧ください。

民法第887条 

1 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定(相続人の欠格事由)に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定(相続人の欠格事由)に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

代襲相続をすることができる人は、「直系卑属」です。直系卑属とは、子や孫など、直接の親族のことをいい、例えば結婚した妻の連れ子などは、養子縁組をしない限り代襲相続できません。

兄弟姉妹以外の相続人の場合、代襲する人も既に死亡していた場合、更なる代襲相続(「再代襲」といいます)が起こります。兄弟姉妹の場合は、甥姪による代襲相続までで、再代襲は起こりません。

参 考
代襲相続の範囲・割合とケースは、こちらをご覧ください。

「代襲相続」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。「代襲相続」を知ることによって、いざ相続が発生したとき、誰が、どれだけの遺産(相続財産)を相続できるかがわかります。 通常、相続が発生した ...

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【ケース1】相続放棄したら、代襲相続は起こる?

まず1つ目のケースは、「相続放棄した場合に、代襲相続が起こるか?」という場面です。結論から申しますと、相続放棄した場合には、代襲相続は起こりません。

相続放棄をすると、相続人は、初めから相続する権利をもっていなかったものと扱われますので、その子・孫も代襲相続する権利を失います。

次の例にしたがって検討しましょう。

たとえば・・・

お亡くなりになった人が「父」であり、その配偶者、息子1名が法定相続人となっているケースを考えてみてください。

この場合に「父」の相続財産の中に多額の借金が含まれていたことから、息子が相続放棄をしたとき、その子(被相続人である「父」から見た「孫」)は、代襲相続をしません。

【ケース2】代襲者が相続放棄したら、再代襲は起こる?

代襲相続は、兄弟姉妹以外の法定相続人の場合には、再代襲が発生します。「子孫代々受け継がれる相続できる権利」と考えて頂ければわかりやすいかと思いますが、子が既に死亡していれば孫、孫が既に死亡していれば曾孫(ひまご)が、相続する権利を代襲していきます。

この場合に、再代襲相続をする人が、相続放棄をした場合には、最初の代襲者が相続放棄をした場合と同様に、そこで代襲相続の流れはストップします。

つまり、何度代襲相続が起こったとしても、相続放棄をした代襲者がいた場合には、それ以上の再代襲、再々代襲などは発生せず、それ以上の相続は起こりません。

参 考
相続の順位と「誰が優先順位か」は、こちらをご覧ください。

配偶者相続人が、常に相続順位のうちの最優先順位にいるのに対して、血族相続人には、相続順位に優劣があります。 血族相続人の相続順位には、「相続順位の優先する相続人がいる場合には、その人は相続人になること ...

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【ケース3】親を相続放棄しても、その親を代襲相続できる?

親が死亡して相続が開始し、その親の相続財産を相続放棄し、その後で祖父母が亡くなったというケースで、代襲相続が起こるかどうか、というのが、3つ目のケースです。

少し複雑なので、例をみて考えてください。

たとえば・・・

父が亡くなった際に、父の財産が少なく借金が多かったことから、父の財産を相続すると不利になると考えて相続放棄をした息子がいたと考えてください。

このとき、父よりも後に祖父がお亡くなりになった場合には、既に亡くなっている父が相続人となるため、その子が代襲相続をすることになりますが、ここで気になるのが、「以前に息子は、父の相続について相続放棄をしているのではないか?」という疑問です。

この場面では、親の相続の際に相続放棄をしていたとしても、祖父母がお亡くなりになったときには、問題なく親を代襲相続して、祖父母の財産を相続することができるとされています。親の相続のときに相続放棄をしたとしても、祖父母の相続とは関係がありません。

親の相続を放棄した時点で、「親との関係では」相続人とはみなされなくなりますが、「祖父母との関係では」違って考えることができ、代襲相続して相続人になることができます。相続放棄は、「誰の死亡に伴う相続に関するものか」で区別する必要があるということです。

むしろ、親は借金があって債務超過状態であったとしても、祖父母には(親には移転することのできなかった)相続財産が存在し、孫に引き継ぎたい、という場合も少なくありません。

【ケース4】代襲相続の発生により、相続放棄を検討すべき?

相続放棄と代襲相続の関係性が問題となる最後のケースは、代襲相続が発生したことにより、相続放棄を検討しなければならないという場合です。

ある相続人が、相続放棄をする理由としては、やはり一番大きな理由は、「財産より借金のほうが多いので、相続すると不利になる」というものです。そして、このような理由で相続放棄が起こる場合には、誰でもこのような相続はしたくないと考えるのが通常ではないでしょうか。

相続放棄をしても直接の代襲相続は起こりませんが、逆に、代襲相続が起こって、自分に相続をする権利が回ってきたときには、相続放棄をすべきかどうか、検討しなければなりません。

特に、代襲相続の場合には、自分が代襲して相続人となることに気づくのが遅れ、相続放棄の期限である「3か月」を過ぎてしまう危険があるため注意が必要です。また、代襲相続で権利関係が複雑になることを嫌って、遺産分割協議がまとまらず「争続」となることを回避するために相続放棄するという方もいます。

参 考
相続手続きの期限と、過ぎてしまったときの対処法は、こちらをご覧ください。

ご家族がお亡くなりになり、相続が発生すると、多くの相続手続きを行わなければなりません。相続手続きの中には、期限があるものがあり、期限に違反すると厳しい制裁(ペナルティ)やデメリットが避けがたいものもあ ...

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遺産分割は、「相続財産を守る会」にお任せください!

いかがでしたでしょうか?

今回は、複雑な取り扱いが必要となりやすい、相続放棄と代襲相続・再代襲相続などの関係について、相続に強い弁護士が解説しました。

相続放棄は、最初から相続人ではなくなるため、「相続人の死亡」の場面のように代襲相続は起こりませんが、親の相続のときに相続放棄していたとしても、その後の代襲相続は問題なく発生します。「相続放棄しても、代襲相続人になれる」ということです。

ただし、相続放棄は、後から撤回して相続をしなおすことはできませんので、「3か月」と検討期間は短いものの、相続財産をきちんと調査し、慎重に検討しなければなりません。相続放棄するかどうかお迷いの方は、「相続財産を守る会」の弁護士に法律相談ください。

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