「親孝行、したいときには親はなし」ということわざがありますとおり、昔から、親孝行を積極的に行うことは、とても難しいことと認識されていたようです。核家族化の進む現代では、特に親子関係は希薄化しやすく、意識して親孝行しなければ、冒頭のことわざのような事態にもなりかねません。
しかし、「親孝行といっても、何をしたらよいかわからない。」「親孝行の具体的な方法が思いつかない」という方も少なくありません。親孝行はもちろん、親子間のコミュニケーション不足は、いざご両親がお亡くなりになったとき「争続」問題として現実化します。親を大切にし、日ごろから親に感謝を伝えることが重要です。
今回は、「親孝行」をテーマに、家族史作成を軸として親孝行のプラットフォーム作りを進める、株式会社青い鳥、代表取締役の中村昌史氏に、お話を伺いました。
株式会社青い鳥
代表取締役 中村昌史
家族史作成を軸に、親孝行の大切さ、すばらしさを世に広め、円満な家族関係の構築とコミュニケーションの円滑化を提供する事業を行っています。
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家族史作成からはじまる、親孝行のストーリー
――はじめに、株式会社青い鳥の事業内容について、教えて頂けますでしょうか。
中村(以下、敬称略):当社は、「親孝行」という切り口から、「家族史」という書籍の作成をメインの商品として提供をし、この家族史作成に付随する、親孝行サービスを提供する会社です。
まずは、対象となるご家族の方、ご夫婦の方にインタビューをして家族史を作成することから始まり、ご希望の場合には、家族写真の撮影、家紋の調査、家紋の額縁作成などのサービスを提供しています。
家族史は、結婚などのライフイベントをきっかけに生前にお作りになりたいとご希望される方から、お亡くなりになったご家族の家族史を作成したいという方まで、さまざまなご依頼をいただいております。
――「家族史」は、「家系図」とは違うのでしょうか。「家族史」を作りたいという方には、どのようなお客様が多いですか?
中村:家族史の書籍の中には、家系図も含まれていますが、当社は家系図作成をメインにする会社ではありません。
家系図作成ですと、高齢の親世代の方から「自分の先祖を調査してほしい」と依頼されることが多いのではないかと思いますが、当社の手掛ける家族史作成では、子世代から「親孝行」の一環としてご依頼をいただいています。そのため30代~40代のお客様が主です。
株式会社青い鳥の、家族史作成にかける思いに共感してくださる、家族思いのお客様、親孝行をし、家族を大切にしたいというお客様からのご依頼が多くあります。ウェディングの際に夫婦で家族史を作成する方もいますし、おひとり様が相続に際して自分の歴史を残したいという需要もあります。
まずは、家族史について、当社の動画をご覧ください。
――貴社の作成する家族史の内容は、どのようなものでしょうか?
中村:家族史は、ご希望によって内容を変更することができますが、ご好評をいただいている内容は、まず家系図、家族写真からはじまり、ご家族の方へのインタビューを掲載し、ご家族の方への「孝行」の思いを伝える、という内容です。
直筆のお手紙を、家族史の書籍内に添付して挿入するなど、伝えたい思いに応じて、工夫をこらして書籍を作成していきます。どのようなご依頼であっても、それが親孝行に繋がるのであればできる限りオーダーメイドでご対応させていただいています。
自らの反抗期を振り返り、志につなげる
――お話はかわりますが、中村社長自身のご両親のお話、親孝行のお話についてお聞かせいただけますでしょうか。自身の経験が、今のビジネスにもつながっているのでしょうか?
中村:私は福岡の出身です。世間一般の子どもと同様に、中学から高校にかけて、反抗期を通りました。高校を卒業して関東の大学に進学し、実家を離れてはじめて親のありがたみが身に沁みました。
26歳で起業し、最初はウェブサービスの開発をしていましたが思うようにうまくいかずメンバーを解散し、私の人生を振り返ったとき、親孝行を自分の将来をかける仕事にしようと思い立ちました。
自分の祖父の相続でも、家族の離散を経験しているため、家族史によるコミュニケーション向上が、「争続」の解決に役立つと信じています。
――中村社長自身も、家族史の作成をされたのでしょうか?
中村:はい、まずは、自分でサービスを実証しなければ人に紹介することはできませんから、自分の親への親孝行のため、家族史を作成してプレゼントしました。
「株式会社青い鳥」で作成した家族史
――自分で、自社のサービスを経験してみて、どのように感じましたか?
中村:自分の家族史を作成してみると、自分の知らないことが次々と出てきました。幼い頃から親に聞かされて、知っていた気になっていましたが、改めて、私の生まれたときのエピソードや名前の由来など、深く理解し、家族の愛を感じることができました。
親孝行をするつもりでしたが、私にとっても、とても幸せを感じるサービスでした。このような幸せな気持ちを体験することは、私以外の人であっても、当社のサービスで可能なのではないかと考え、当社のサービスの価値をあらためて確信しました。
――では、家族史の作成をお考えになっている方に向けて、貴社がどのように家族史を作成していくのか、サービスの内容を教えて頂けますでしょうか。
中村:当社では、家族史を作成するにあたり、まずはじっくりと2時間程度インタビューを行います。その後、必要に応じて深堀をし、お電話などでもお話を聞くことがあります。実家が遠方の方の場合、出張してインタビューすることもあります。
当社では、デザイナー、カメラマンもおりますので、分業制でできる限り早く完成させ、インタビューから1か月程度で、家族史をお手元にお届けすることができます。
家族史からはじまり、親孝行のプラットフォームを目指していますので、入り口となる家族史以外にも、家紋、家系図の作成から、提携先の他社を紹介することで、記念日のタイミングで青い鳥からメッセージ付きのお花をプレゼントするサービスなど、アフターサポートも充実させています。
「株式会社青い鳥」で作成した家紋・家系図
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――家族史を作成するにあたり、どのようなことを大切にされていますか?
中村:私の家族史を作成した例でもわかるように、家族のことは、書き残しておかないと忘れてしまうし、消えてしまうことも多いものです。自分に子どもができたとき、家族史を語り継いでいくことは、自分が親になったときの責任でもあるのではないでしょうか。
家族の歴史をつむいでいくことの大切さを、家族史を通じて伝えたいです。
実際にお客様から「家宝になりました」という嬉しいお言葉をいただけているので、しっかりと後世にも伝わっていく本になっていると思います。
家族史からはじまる、親孝行のプラットフォーム
――ところで、貴社の「青い鳥」という社名には、どのような思いがこめられていますか?
中村:「青い鳥」とは、幸せを運ぶ青い鳥という、童話に出てくる鳥です。幸せは追い求めると逃げてしまいますが、気づくとすぐ傍にあります。家族も同じです。そのことを、当社のサービスを通じて、皆さんに気づいていただけると嬉しいです。
――家族史の作成をご依頼いただいた方の中で、印象に残っているお客様はいますか?
中村:起業して、最初のお客さんは今でも印象に残っています。
家族史を作成するインタビューのとき、ご家族がみんな笑顔になり、一瞬幸せになる空気が流れました。当社の家族史作成事業が、幸せを運ぶことのできる事業だと強く感じた瞬間でした。
そのときは、盛り上がってお客様の家に2泊3日もしてしまいました。
――出張して家族史を作成されることもあるのですね。
中村:むしろ、ご家族が遠方にいて、たまにしか会えない人にこそ、家族史を作っていただき、親孝行していただきたいと考えていますので、出張でのインタビューも積極的に行います。
今後は、家族が遠方にいて、家族史を必要とされている方に向けて、地方で家族史プランナーを育成し、インタビューを現地の方に任せる体制を作る予定です。
交通費がかからず安く家族史が作成できるという直接的なメリットだけでなく、地元の人に話を聞いてもらうほうがありのままの思いを反映することができたり、地方の雇用創出にもなったりといった付随的なメリットもあります。
――青い鳥が目指す、「親孝行のプラットフォーム」とはどのような意味でしょうか。
中村:私達は、家族史作成は入り口と考えており、親孝行を切り口として、冠婚葬祭など人生の全てをサポートする事業を展開します。
家族史の作成を通じて、家族が仲良くなり、コミュニケーションをとることができます。「本を作って終わり」というのではなく、家族史の作成を入り口に、家族が仲良くなることが重要です。例えば、インタビューで親の思い出の場所がわかり「今度旅行にいこう」といった具合です。
そこから派生して、旅行、保育、介護、相続、終活など、さまざまなサービスを提供することができます。
――提携先には、どのような事業者の方がいるのでしょうか?
中村:遺品整理業者との提携を、最近開始しました。その他、介護施設や葬儀会場にも、当社の家族史のサンプルを置かせていただいています。
「親孝行」、「家族を大切にする」、という当社の理念を共有できる事業者の方とは、積極的に提携したいです。
――プラットフォームとなるためには、ご家族の情報など、多くの個人情報をお預かりすることになりますね。気を付けていることはありますか?
中村:個人情報をお預かりする当社では、お客様との信頼関係がとても重要です。家族史という本を共同作業で作成することで、深い信頼関係を気付くことができます。
――ありがとうございました。では、最後に、家族史の作成や、貴社の親孝行サービスに興味のある方に向けて、一言メッセージをいただけますでしょうか。
中村:当社では、親孝行とは「親について考えて行動すること」と考えております。
そして最初のステップが「親のこと、家族のことを知ること」です。つまり親子のコミュニケーション。知らないと相手が何を考えているのかがわからないですからね。親孝行したいけど何をすればいいのかわからない、後世にも残していけるような家宝を作りたい、などありましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。あなたにあった親孝行を提案させていただきます。